表紙 すべての障害のある人が安心して暮らすことのできる社会を実現するために 障害のある人の人権を尊重し県民皆が共にいきいきと輝く富山県づくり条例 思いやりのためのブックレット 富山県 P1 このブックレットは、「障害のある人の人権を尊重し県民皆が共にいきいきと輝く富山県づくり条例」に基づき、すべての県民が、障害の特性や多様性を理解するとともに、障害のある人へ適切に対応できるよう、作成したものです。 平成28年(2016年)4月1日より、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」が施行されました。これに伴い、本県においても同日付で「障害のある人の人権を尊重し県民皆が共にいきいきと輝く富山県づくり条例」が施行されました。 この障害者差別解消法や県条例が成立した背景には、2006年(平成18年)12月に国連総会本会議で採択された「障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)」の存在があります。 障害のある人に対する差別の禁止や障害のある人の尊厳と権利の保障を定めたこの障害者権利条約を批准するにあたり、国内では関連する法の整備が進められてきました。 しかしながら、各種障害保健福祉施策が進展する一方で、まだまだ障害や障害のある人に対する理解不足などから、障害があることを理由に不利益な扱いをされるなど、様々な場面で暮らしにくさを感じている人も少なくありません。 また、障害は多種多様で、障害の現れ方も一律ではありません。外見からわからない障害のために、理解されずに苦しんでいる人もいます。 このブックレットは、日々の生活の中で配慮すべき事項をわかりやすくまとめ、生活全般における対応の具体例を提示するとともに、様々な障害の特性についてもわかりやすく説明したものです。 より多くの皆さんに、このブックレットを活用していただき、それぞれの立場から、障害者差別解消に向けての取組みを進めていけるよう、障害のある人とない人が共に交流し、支え合う共生社会を実現していけたらと考えています。 平成29年(2017年) 11月 富山県厚生部障害福祉課 P2 知っておこう 法律や条例は、なぜ、どうしてつくられたのか? 2006年(平成18年) 障害者権利条約が国連総会で採択される。 障害者権利条約は、「障害のある人が生まれながらにして持っている人権や基本的自由を確かなものとし、障害のある人の尊厳を尊重することを目的として、障害者の権利を実現するため」 2007年(平成19年) 日本が署名 日本では、平成23年障害者基本法改正、障害者虐待防止法制定、平成24年障害者総合支援法(注、障害者自立支援法改正)、平成25年障害者差別解消法制定(注、障害者基本法第4条障害者差別の禁止を具現化)、障害者雇用促進法改正と、国内の法整備をしたうえで、 2014年(平成26年)障害者権利条約に批准(契約締結)をした。 これにより、権利条約の国内での効力が発生。 2016年(平成28年)4月1日、障害者差別解消法施行。 富山県では、障害者差別解消法の制定を受けて、議員提案により、関係機関・団体等の意見を取り入れて県条例を策定。 「障害のある人の人権を尊重し県民皆が共にいきいきと輝く富山県づくり条例」は、平成26年12月17日公布、平成28年4月1日施行(法と同日)。 P3 障害のある人のより良い生活と安心な暮らしのために、 障害のある人に対する差別をなくさなければなりません。 差別をなくすために、してはいけないことは? 不利益な取扱い。 障害があることを理由に、障害のない人と異なる対応をすること。 たとえば、 障害がある、車いすや杖を使用している、補助犬(盲導犬、聴導犬、介助犬など)を同伴しているということなどを理由に ・入店することや施設・建物を利用することを断る。 ・必要がないのに付き添いを求める、必要なのに付き添いを拒否する。 ・条件を付ける、順番を後回しにする、乗車拒否をする、など。 差別をなくすために、しなければならないことは? 合理的配慮。 障害のある人から何らかの配慮を求める意思表示があったときに障害のある人の障害の状態や、その人に応じた手助けをすること。 たとえば、 手話、筆談、誘導、点字、読み上げ、わかりやすい説明、設備(スロープ、エレベーター、トイレ、点字ブロック、駐車場)など。 「やむを得ず」障害のない人と違う対応をしなければならないとき、「負担が重すぎて」手助けをすることができないときは、その理由を説明しましょう。 話し合って、代わりにできることを考えることも大切です。 P4 差別をなくすために、障害について理解をしましょう。 病気にかかったり、事故に遭ったりすることで誰でも「障害のある人」になる可能性があります。 同じ障害でも、程度の重い軽いや症状の違いなど個人差があります。複数の障害を併せ持つ人もいます。 身体障害(肢体、視覚、聴覚、内部)(P5〜) 知的障害(P15〜) 精神障害(P17〜) 発達障害(P20〜) 難病(P23) 高次脳機能障害(P23) その他の障害 見ただけではわからない障害のために、傷ついたり苦しい思いをしたりしている人もいます。 「わからないから」かかわることを避けるのではなく、一声かけて、どうすればいいのかを聞きましょう。 障害を理解し配慮をすることで、障害のある人のできることが増えます。 付き添いの人がいても、本人に話しかけましょう。 大人の人に幼児言葉を使うのはやめましょう。 P5 肢体不自由の特性と適切な対応。 特性。 病気や事故などによって、手や足に欠損、麻痺、筋力低下などがあり、日常の動作(移動や作業など)が困難。 適切な対応。 車いすが通れるように、通路のスペースを確保する。 エレベーターや券売機など機器の操作に困っていたら手伝う。 段差や階段のあるところでは、スロープをつける、マンパワーで持ち上げるなど移動の配慮をする。 高いところの物を取ったり、落ちた物を拾ったりして手渡す。 電車やバスに車いすの人が乗車してきたら、スペースをあける。 その人の高さに合わせた目線で話す。 P6 肢体不自由のある人への合理的配慮の例。 建物の入り口が狭く、段差もあって、車いすで入ることができないという場合、了解を得たうえで、荷物の搬入口から入ってもらった。 各種会場等で、車いすのまま席に着きたいという場合、車いすのままで出入りがしやすいスペースを確保した。 自分で書類の記入ができないので代筆してほしいという場合、十分に本人の意向を確認したうえで、複数の店員が立会い、代筆した。 支払い時、財布から小銭を取り出すことが難しいという場合、本人に確認しながら、店員が小銭を取り出して、会計した。 挿絵のセリフ。 「自分で書類に記入できない」 「間違いはありませんか?」 「財布から小銭を取り出せない」 「540円なので、500円玉1枚と10円玉4枚出しますね」 P7 内部障害の特性と適切な対応。 特性。 内臓や呼吸器、免疫の機能が低下している状態で、生活の様々な面で支障があるが、外見ではわかりにくい。 適切な対応。 医療的対応が必要な場合が多い。 人工肛門等(ストーマ)を使用している場合、排泄処理への配慮が必要。 ペースメーカーは電気や磁力の影響を受けるため、電車やバス等で携帯電話を使用する場合はルールやマナーを守る。 薬の服用が適切に続けられるよう配慮する。 呼吸機能障害のある人と話をするときは、息苦しくならないように楽な姿勢に配慮する。 風邪などの感染する怖れがある病気をうつさないようにする。 挿絵の説明。 見た目ではわからないことが多いので、辛そうにしていたり、苦しそうにしていたりする人がいたら、声をかける。 挿絵のセリフ。 「大丈夫ですか?どうしたら楽になりますか?」 P8 内部障害のある人への合理的配慮の例。 定期的な通院のため、授業や試験を欠席することが多くなるという場合、担当教員の間で情報共有を行い、レポート提出で代替できるようにした。 定期的な通院のため、通常の休暇制度では日数が足りないという場合、通院のために使用できる休暇制度を導入した。 薬の数が多いため、服薬時に他人の目が気になるという場合、空いている部屋を使用して服薬できるようにした。 長時間の立ち作業は、体調に不安があるという場合、業務内容の変更を検討した。 勤務時間中に休憩する場合、周囲の目が気になるため、横になれるスペースがほしいという場合、職場とは区切られた場所に休憩スペースを設け、簡易ベッドを設置した。また、理解を促すための職場研修を行った。 挿絵の説明。 人目を気にしなくていいように別室や職場とは区切られた場所を設けました。 挿絵のセリフ。 「人目を気にせず薬を飲んだり休憩できたら・・・」 挿絵の説明。 理解を促すための職員研修を行いました。 P9 視覚障害の特性と適切な対応。 特性。 全く見えない、ぼやける、部分的に見えないなど症状に個人差がある。 適切な対応。 まず、コミュニケーションをとる方法を聞く(点字が読めない人もいる)。 誘導するときは、ひじか肩をもってもらう。 説明するときは「あれ」「これ」「それ」などの指示語ではなく、「右」「左」「正面」「後ろ」など情報を具体的に伝える。 急に腕をつかむなどすると驚くので、まず一声かける。 各種案内等は、文字や画像だけでなく、音声による案内も併せて行う。 書類などは、読み上げたり点字のものを用意するなどして内容を伝える。 挿絵のセリフ。 「3時の方向にコーヒーがあるよ」 「焼き魚が12時の場所に、ご飯は6時の場所に、1時の場所におひたしが・・・」 「前に進みます。右に曲がります。下りの階段が3段あります」 P10 視覚障害のある人への合理的配慮の例。 手続きをしたいが、どこで受付をすればよいかわからないという場合、驚かせないように、正面から声をかけ、受付へ案内した。 会議等の資料を当日配布されても内容が読めないという場合、パソコンの読み上げ機能が使えたため、事前にテキストデータを提供した。 展示物の見学イベントで直接触れることができるとありがたいという場合、原則、展示物に触れることは禁止しているが、差し支えないと思われるものは触れてよいことにした。 弱視のため、試験の問題の文字が小さくて、読めないという場合、拡大文字を使って問題用紙を作成した。また、拡大鏡などの補助具の使用ができるようにした。 盲導犬同伴での予約をしたが、お客さんから店員が補助犬のことをよくわかっていないようで不安だと言われたという場合、店員が補助犬とペットの違いを理解していなかったため、研修の内容に補助犬に関する事項を追加し、対応できるようにした。 挿絵のセリフ。 「弱視なので、試験問題の文字が小さくて読めません」 「大きな文字の問題用紙を作ります」 「拡大鏡を使用してもいいことにします」 P11 聴覚・言語障害の特性と適切な対応。 特性。 全く聞こえない、聞こえにくい、片方だけ聞こえないなど症状に個人差がある。 言語障害を伴う場合と伴わない場合がある。 適切な対応。 まず、コミュニケーションをとる方法を聞く(手話、筆談、読話など)。 スマートフォンなどの音声を文字に変換するアプリを使用する。 順番を待っているときは、メモなどで順番が来たことを書いて知らせる。 聞き取りにくい場合は、わかったふりをしないで、きちんと確認する。 各種案内等は、音声だけでなく、文字や画像による案内も併せてする。 講演会などでは、手話通訳や要約筆記が見えやすい場所に席を設ける。 挿絵のセリフ。 「学校に避難してください」 「聞こえません。どうしたらいいんですか?」 紙に書いて「学校に避難します」 P12 聴覚・言語障害のある人への合理的配慮の例。 難聴のため、授業を聞くこととノートをとることを両立することが難しいという場合、原則、授業の撮影は禁止だが、障害の状況によって黒板の撮影を認めることにした。 補聴器では、業務連絡の放送が聞き取りにくいという場合、同僚による確認の声かけや、電子メールでの連絡も行うようにした。 テレビショッピングで、電話受付だけだと購入できないという場合、電話に加え、ファックスや電子メールでの受付も行うことにした。 災害時の警報は、音声によるものが多く、気づきにくいという場合、災害情報を登録された電子メールアドレスへ配信する警報システムを導入した。お知らせ用の電光掲示板に、緊急速報が表示されるようにシステム改修を行った。 挿絵のセリフ。 「テレビショッピングのお申込はこちらの電話番号へどうぞ」 「買いたいけど、電話は無理」 「ファックスやメールでもお受けします」 P13 盲ろうの特性と適切な対応。 特性。 視覚と聴覚の重複障害。 全盲ろう(全く見えず聴こえない)。 弱視ろう(見えにくく聴こえない)。 盲難聴(全く見えず聴こえにくい)。 弱視難聴(見えにくく聴こえにくい)。 適切な対応。 コミュニケーションの方法には、手書き文字、触手話、指点字などがある。 周りの状況もわからないため、人に関する情報(人数や性別等)、部屋の大きさや机の配置、雰囲気等の環境に関する情報も伝える。 移動に、介助が必要な場合が多い。 社会的に孤立しがちになるため、様々な支援があることを伝える。 挿絵のセリフ。 「部屋の広さは30畳ほど。3脚ずつ椅子が置かれた机が10台。男性が14人と女性が10人いる。一番前の中央に席が空いている…」 P14 盲ろうのある人への合理的配慮の例。 会議等で、指点字通訳を受けている間は、自分で記録することができないという場合、通訳・介助員とは別に記録担当者を配置した。 手話通訳者が配置されていたが、視力が弱いため手話が読めなかったという場合、参加申込書に配慮希望の記入欄を設け、記載に基づき、手話通訳者のすぐ前に席を設けた。 大学入試(面接・小論文)の際に、通訳・介助員の派遣制度を利用したいという場合、事前に関係者で面接についての打ち合わせを行ったうえで実施し、論文では時間延長やパソコンの使用を許可した。 飲食店で、混雑状況や空席状況がわからず、店員に声をかけられても聞き取れないという場合、空席状況について手のひらに指文字で「○」「×」を書いて知らせるとともに、席まで案内した。 挿絵のセリフ。 心の中で「店が混んでいるのかどうかわからない」 「席までご案内します」 P15 知的障害の特性と適切な対応。 特性。 知的な能力に障害があり、状態によって、言葉や文字、状況などの理解が困難、計算などが苦手。 適切な対応。 ゆっくりと簡単な言葉で話しかける。 難しい言葉は、易しい言葉に言い換える。 漢字にはルビを振る。 パニック行動が起きたときは、落ち着ける場所に誘導する。 危険なことがわからない場合があるので、優しく知らせる。 説明は、ゆっくり丁寧に、わかりやすく、図や絵などを使って行う。 理解したかどうかをその都度確認し、メモなどに書いて渡す。 挿絵の説明。 急かさずゆっくり話を聞く。 安心させ、落ち着かせる。 挿絵のセリフ。 「あ、あの」 「大丈夫」 挿絵の説明 質問は答えやすいように。 挿絵のセリフ。 「どっちにする?」 「こっち」 P16 知的障害のある人への合理的配慮の例。 選挙の投票の際、うしろに他の投票者が来るとパニックを起こすという場合、投票者が少ないと予想される時間帯を前もって知らせ、来場時には、他の投票者に間隔を空けてもらった。 多くの人が集まる場所が苦手で、集会活動や儀式等への参加が難しいという場合、集団から離れた場所に席を用意し聴覚過敏があればイヤーマフなどを用いることとした。 パニック障害があるため交通機関利用時に必ず介助者の隣に座りたいという場合、ほぼ満席のため隣り合った空席はなかったが、他の乗客に了解を得て座席を変更した 発語がなく、実物や指差し、発声で要求や援助を伝えるが、明確に伝わらないことが多いという場合、絵カードやタブレット端末、音声ペンなどの補助手段を導入し、本人の理解度や操作能力に合わせて使用できるようにした。 挿絵のセリフ。 「パニックを起こすことがあるので付き添いの人の隣の席にしてほしいのですが」 「2人並んだ空席がないので、他の乗客の方に座席の変更をお願いしてみますね」 P17 精神障害。 統合失調症の特性と適切な対応。 特性。 症状によって、幻聴や妄想が生じ、思考の混乱や判断力の低下があり、これらに伴う不安感、睡眠障害、行動や感情の変化がある。 適切な対応。 対人関係に敏感なため、陰口や批判的な言い方は避ける。 症状が強い時は無理をさせず、休養や主治医の受診を促す。 社会との接点を保つことも治療となるため、病気と付き合いながら他人と交流したり、仕事に就いたりすることを見守る。 ストレスや環境の変化に弱いため、対応に配慮する。 薬の服用が適切に続けられるよう配慮する。 一度に多くの情報が入ると混乱するため、伝えることは、整理して、ゆっくり、具体的に伝える。 精神障害。 気分障害の特性と適切な対応。 特性。 うつ病は、気分が落ち込み、意欲が低下する。 躁うつ病は、「うつ」の状態と極端にハイな状態を繰り返す。 適切な対応。 症状が重いときは、静養が必要である。 社会から孤立しないよう、散歩に出かけたり友人と交流を持てるようにする。 十分な休養が必要なため、頑張りすぎないよう配慮する。 薬の服用が適切に続けられるよう配慮する。 躁状態の時は、金銭の管理、安全の管理などに気を付ける。 P18 挿絵の説明。 説明は短く簡潔に。 社会から孤立しないように社会と接点を保ち、交流することも大切。 精神障害。 てんかんの特性と適切な対応。 特性。 脳の神経細胞の一部に突然、一時的に異常な電気発射が起こり、発作を起こす病気。 急に動きが止まってボンヤリしたり、倒れて全身が痙攣したりする。 適切な対応。 発作が起こったら、まずはあわてず見守る。 発作が起こっていないほとんどの時間は普通の生活が可能なので、発作がコントロールされている場合は、過剰に活動を制限しない。 発作の時は、体を押さえたりしない。 薬の服用が適切に続けられるよう配慮する。 意識が回復しないまま次の発作が連続して起きる、痙攣発作が10分以上続く、というような時は、病院を受診させる。 P19 精神障害のある人への合理的配慮の例。 人の多い場所では周囲が気になり落ち着かず、順番待ちが難しいという場合、別室を確保できなかったが、周りからの視界が遮断できる場所に椅子を移動し、順番待ちしてもらった。 状況によって、授業中に情緒不安定になることがあるという場合、情緒不安定になったときには、落ち着くまで一人になれる場所で休憩できるようにした。 指定の診察日と勤務のシフトが合わず受診できないことがあるという場合、通院・受診の妨げにならない勤務体制を組み、やむを得ない場合は休めるようにした。 職場の同僚が、接し方がわからず、気まずい雰囲気になってしまうという場合、本人の希望を踏まえ、障害の内容や必要な配慮などについて職場で説明を行った。 細かい作業の段取りがなかなか覚えられず、急な手順の変更に対応できないという場合、業務マニュアルをわかりやすい内容に工夫し、説明や指示は具体的に行うようにした。 挿絵の説明。 作業手順はわかりやすく。 職場で必要な配慮の説明をする。 P20 発達障害。 自閉スペクトラム症の特性と適切な対応。 特性。 コミュニケーションをとることや対人関係を作ることが苦手で、こだわりの強い面があったりする。 特定の分野で高い能力を発揮することがある。 (自閉症・アスペルガー症候群など) 適切な対応。 具体的、視覚的に伝えるよう工夫する。 見通しが立たないと不安が強くなるため予定は事前に具体的に伝えておく。 相手の表情や態度を理解することが困難なため、具体的に、又は図や絵を使って説明する。 否定的な表現(〜してはいけません)ではなく、肯定的な表現(〜しましょう)で伝える。 何かを伝えるときや依頼をするときは、必ずその意図や目的を説明する。 新しく挑戦する部分は、少しずつ進めるようにする。 発達障害。 注意欠如・多動症(ADHD)の特性と適切な対応。 特性。 気が散りやすく、言動に落ち着きがない。 自己コントロールが難しい。 エネルギッシュに様々なことに取り組み、成果を上げることもある。 適切な対応。 指示やルールはわかりやすく提示する。 気が散りにくいよう、座席の位置を工夫したり、掲示物を整理したりする。 適応行動ができたことに対するこまめな評価をするなど、自尊感情を損なわないようなケアをする。 傷つき体験に寄り添い、ストレスケアを行う。 P21 発達障害。 学習障害(LD)の特性と適切な対応。 特性。 知的発達に遅れはないが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」などの特定のことについての学習が困難。 適切な対応。 得意な部分を伸ばすようにする。 苦手な部分について、課題の量・質を適切に加減する。 ICT機器などを活用し、苦手な部分を補うようにする。 苦手な部分についての評価を柔軟にする。 発達障害。 その他の発達障害の特性と適切な対応。 特性。 チックは、不随意に声が出たり、体が動いてしまったりする。 吃音は、言葉が出にくい、引き伸ばされる、繰り返される。 適切な対応。 叱ったり、拒否的な態度をとったりせず、日常的な行動の一つとして受け止め、楽に過ごせる方法を一緒に考える。 挿絵の説明。 ・こだわりが強い。 ・いつもと違うことになかなか納得できない。 挿絵のセリフ。 「今日は○○の仕事をして」 「どうして」 挿絵の説明。 指示は、具体的に。 挿絵のセリフ。 「ここに集合」「ここ?」 「赤い線まで移動して」 挿絵の説明。 あいまいな言い方をしない。 挿絵のセリフ。 「△△してもらえますか?」× 「△△したほうがいいですね」× 「△△して下さい」○ P22 発達障害のある人への合理的配慮の例。 教員の話を聞いて想像することが苦手なため、内容の理解ができないという場合、絵、写真、図、実物などを見せ、授業内容や活動予定を理解しやすいようにした。 休憩時間から授業への気持ちの切り替えに時間がかかり、授業に集中できないという場合、気持ちが切り替えやすいようにチャイム前に合図となる音楽を流すようにした。 周囲の物音に敏感なため気が散り、学習に集中できないという場合、教室内での耳栓使用や、別室へ移動することで、静かな環境で学習できるようにした。 先を見通すことが苦手なため、初めての活動に不安があり参加できないという場合、活動を始める前に、内容や手順を説明して確認し、安心して取り組めるようにした。 挿絵のセリフ。 「まわりの音が気になって作業に集中できない」 「作業中にヘッドホンを着けてもいいですよ」 P23 高次脳機能障害の特性と適切な対応。 特性。 脳卒中等の病気や交通事故などで脳の一部が損傷を受けたことで起こる障害。 記憶障害は、忘れっぽくなる。 注意障害は、集中力がなくミスが多くなる。 遂行機能障害は、要領が悪くなる。 社会的行動障害は、感情のコントロールが難しくなる、無気力・無関心。 適切な対応。 一つの行動ごとに声をかける。 一日の予定などは紙に書いておく。 急な予定変更をしないようにする。 記憶障害の場合、手帳やメモ、アラーム、ルートマップなど、思い出す手がかりとなるものを利用する。 難病の特性と適切な対応。 特性。 原因不明で治療方針が未確定で、後遺症を残す恐れがあり、慢性になることが多い。 長期にわたり療養を必要とする。 病気についてあまり知られていないため、周囲から理解されにくい。 適切な対応。 病態や障害の変化に配慮して対応する。 薬の服用が適切に続けられるよう配慮する。 それぞれの病気で特性が異なるため、その特性に合わせて対応する。 排泄の問題、疲れやすさ、状態の変動などに留意する。 P24 気をつけましょう!! 誘導ブロックの上に物を置く、立ち止まる。 障害者用の駐車スペースに車をとめる。 電車やバスなどの優先席付近で携帯電話を使用する。 多目的トイレを長時間使用する。 「つい」「ちょっとだけ」のつもりでも、障害のある人の生命にかかわることもあります。 日頃の生活の中で、「思いやり」を大切にしましょう! P25 障害を理由とする差別で困ったら。 解決を図るしくみ。 相談体制。 地域相談員。 身体障害者相談員、知的障害者相談員、その他知事が適当と認めるもの。 ・地域の中の身近な相談役として市町村に設置されている。 ・日頃の相談活動の中で障害を理由とする差別に関する相談に対して、助言や情報提供をする。 ・必要に応じて、広域専門相談員を紹介する。 広域専門相談員。 県に設置(県庁内障害福祉課相談室)。 ・地域相談員と同様に、障害を理由とする差別に関する相談を受ける。 ・必要に応じて助言やあっせん、情報提供、関係者間の調整をする。 ・必要に応じて、関係行政機関等を紹介する。 ・地域相談員への助言や情報提供をする。 紛争解決。 広域専門相談員の相談対応で解決しない場合は、本人・家族・関係者からの申立てにより、調整委員会(県の附属機関)による助言・あっせんで解決を図る。 正当な理由なく拒否・虚偽の報告があった場合は、勧告により解決を図る。 正当な理由なく勧告拒否があった場合は、公表する。 P26 各種情報。 障害のある人の人権を尊重し県民皆が共にいきいきと輝く富山県づくり条例。 富山県厚生部障害福祉課ホームページ URL : http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1209/kj00013327.html 条例本文、ガイドライン、職員対応要領 などをダウンロードすることができます。 スマイリータウンとやま。 パソコン、スマートフォン、タブレット URL : http://smileytown-toyama.jp/ 携帯(ガラケー) URL : http://smileytown-toyama.jp/m 公式フェイスブック URL : http://www.facebook.com/smileytown.toyama 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)。 内閣府ホームページ。 URL : http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html 法律本文、基本方針、対応要領・対応指針、リーフレットなどをダウンロードすることができます。 合理的配慮等具体例データ集『合理的配慮サーチ』のページにもリンクしています。 相談窓口。 場所:〒930-8501 富山市新総曲輪1番7号。 富山県厚生部障害福祉課 相談室(富山県庁本館1階)。 受付時間:午前8時30分から午後5時まで。 (土日、祝日、年末年始を除く) 電話番号:076-444-3959 ファックス番号:076-444-3494 電子メールアドレス:ml-sabetsu-soudan@pref.toyama.lg.jp 裏表紙。 障害のある人にかかわるマーク。 障害者のための国際シンボルマーク。 障害者が利用できる建物、施設であることを明確に表すための世界共通のシンボルマーク。 身体障害者標識。 肢体不自由であることを理由に免許に条件を付されている方が運転する車に表示するマーク。 聴覚障害者標識。 聴覚障害であることを理由に免許に条件を付されている方が運転する車に表示するマーク。 盲人のための国際シンボルマーク。 世界盲人連合で1984年に制定された盲人のための世界共通のマーク。 耳マーク。 聞こえが不自由なことを表すと同時に、聞こえない人・聞こえにくい人への配慮を表すマーク。 ほじょ犬マーク。 身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)同伴の啓発のためのマーク。 オストメイトマーク。 人工肛門・人口膀胱を造設している人(オストメイト)のための設備があることを表したマーク。 ハート・プラスマーク。 身体内部(心臓、呼吸機能、じん臓、膀胱・直腸、小腸、肝臓、免疫機能)に障害がある人を表したマーク。 障害者雇用支援マーク。 障害者の在宅障害者就労支援並びに障害者就労支援を認めた企業、団体に対して付与する認証マーク。 「白杖SOSシグナル」普及啓発シンボルマーク。 白杖を頭上50cm程度に掲げた視覚に障害のある人を見かけたら、進んで声をかけて支援しようというマーク。 ヘルプマーク。 外見から分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることができるマーク。 内閣府ホームページ。 「障害者に関するマークについて」参照。 http://www8.cao.go.jp/shougai/mark/mark.html 発行。 富山県厚生部障害福祉課 郵便番号930-8501 富山市新総曲輪1-7。 電話 076-444-3211 ファックス 076-444-3494。 2017年11月発行。 注釈 このブックレットは、障害者就労施設で印刷しました。