家庭で出来る食中毒(O157)対策

食中毒(O157)は家庭でも発生します!

 食中毒というと、レストランや旅館などの飲食店での食事が原因と思われがちですが、毎日食べている家庭の食事でも発生しており、発生する危険性がたくさん潜んでいます。
 ただ、家庭での発生では、発症する人が1人や2人のことが多く、また症状が軽かったり、風邪や寝冷えなどと思われがちで、食中毒とは気づかずに重症になったり、死亡する例もあります。

あなたの食事作りをチェックしてみましょう!

 家庭における「食品の購入」から「調理」「食事」などの一連の過程を6段階に分けて、各段階の注意点を示したものが、次の「食中毒予防の6ポイント」です。

ポイント1「食品の購入」

肉、魚、野菜などの生鮮食品は新鮮な物を購入しましょう。
表示のある食品は、消費期限などを確認し、購入しましょう。
購入した食品は、肉汁や魚などの水分がもれないようにビニール袋などにそれぞれ分けて包み、持ち帰りましょう。
特に、生鮮食品などのように冷蔵や冷凍などの温度管理の必要な食品の購入は、買い物の最後にし、購入したら早めに帰るようにしましょう。

ポイント2「家庭での保存」

冷蔵や冷凍の必要な食品は、持ち帰ったら、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。
冷蔵庫や冷凍庫の詰めすぎに注意しましょう。めやすは、冷蔵庫や冷凍庫の7割程度です。
冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は−15℃以下に維持することがめやすです。
温度計を使って時々温度を計るとよいでしょう。
細菌の多くは、10℃では増殖がゆっくりとなり、−15℃では増殖が停止しています。しかし、細菌が死ぬわけではありません。早めに使いきるようにしましょう。
肉や魚などは、ビニール袋や容器に入れ、冷蔵庫の中の他の食品に肉汁などがかからないようにしましょう。
肉、魚、卵などを取り扱う時は、取り扱う前と後に必ず手を洗いましょう。
簡単なことですが、細菌汚染を防ぐ良い方法です。
食品を流し台の下に保存する場合は、水漏れなどに注意しましょう。

ポイント3「下準備」

台所を見渡してみましょう。
ゴミはきちんと捨ててありますか?
タオルやふきんは清潔なものと交換してありますか?
せっけんは用意してありますか?調理台の上は かたづけて広く使えるようになっていますか?もう一度、チェックをしましょう。
井戸水を使用している家庭では、水質に十分注意してください。
手を洗いましょう。
生の肉、魚、卵を取り扱った後には、手を洗いましょう。
途中でペット等動物に触ったり、トイレに行ったり、おむつを交換したり、鼻をかんだりした後の手洗いも大切です。
生の肉や魚などの汁が、果物やサラダなど生で食べる物や調理の済んだ食品にかからないようにしましょう。
生の肉や魚を切った後、その包丁やまな板を洗わずに、続けて果物や野菜など生で食べる食品や調理の終わった食品を切ることはやめましょう。生の肉や魚を切った包丁やまな板は、洗ってから熱湯をかけたのち使うことが大切です。
包丁やまな板は、肉用、魚用、野菜用と別々にそろえて、使い分けるとさらに安全です。
ラップしてある野菜やカット野菜もよく洗いましょう。
冷凍食品など凍結している食品を調理台に放置したまま解凍するのはやめましょう。室温で解凍すると、食中毒菌が増える場合があります。
解凍は冷蔵庫の中や電子レンジで行うとよいでしょう。また、水を使って解凍する場合には、気密性の容器に入れ、流水を使います。
料理に使う分だけ解凍し、解凍が終わったらすぐ調理しましょう。
解凍した食品をやっぱり使わないからといって、冷凍や解凍を繰り返すのは危険です。冷凍や解凍を繰り返すと食中毒菌が増殖したりする場合もあります。
包丁、食器、まな板、ふきん、たわし、スポンジなどは、使った後すぐに、洗剤と流水で良く洗いましょう。ふきんのよごれがひどい時には、清潔なものと交換しましょう。漂白剤に1晩つけ込むと消毒効果があります。
包丁、食器、まな板などは、洗った後、熱湯をかけたりすると消毒効果があります。たわしやスポンジは、煮沸すればなお確かです。

ポイント4「調理」

調理を始める前にもう一度、台所を見渡してみましょう。
下準備で台所がよごれていませんか?タオルやふきんは乾いて清潔なものと交換しましょう。そして、手を洗いましょう。
加熱して調理する食品は十分に加熱しましょう。
加熱を十分に行うことで、もし、食中毒菌がいたとしても殺菌することができます。めやすは、中心部の温度が75℃で1分間以上加熱することです。
料理を途中でやめてそのまま室温に放置すると、細菌が食品に付いたり、増えたりします。途中でやめるような時は、冷蔵庫に入れましょう。
再び調理をするときは、十分に加熱しましょう。
電子レンジを使う場合は、電子レンジ用の容器、ふたを使い、調理時間に気を付け、熱の伝わりにくい物は、時々かき混ぜることも必要です。

ポイント5「食事」

食事の前には手を洗いましょう。
清潔な手で、清潔な器具を使い、清潔な食器に盛りつけましょう。
温かく食べる料理は温かく、冷やして食べる料理は冷たくしておきましょう。めやすは、温かい料理は65℃以上、冷やして食べる料理は10℃以下です。
調理前の食品や調理後の食品は、室温に長く放置してはいけません。 例えば、O157は室温でも15〜20分で2倍に増えます。
乳幼児やお年寄りのO157などの腸管出血性大腸菌感染症は症状が 重くなりやすく、死亡率も高くなります。これらの年齢層の人々には加 熱が十分でない食肉などを食べさせないようにした方が安全です。

ポイント6「残った食品」

残った食品を扱う前にも手を洗いましょう。
残った食品はきれいな器具、皿を使って保存しましょう。
残った食品は早く冷えるように浅い容器に小分けして保存しましょう。
時間が経ち過ぎたら、思い切って捨てましょう。
残った食品を温め直す時も十分に加熱しましょう。めやすは75℃以上です。
味噌汁やスープなどは沸騰するまで加熱しましょう。
ちょっとでも怪しいと思ったら、食べずに捨てましょう。口に入れるのは、やめましょう。

 食中毒予防の三原則は、食中毒菌を「付けない、増やさない、殺す」です。 「6つのポイント」はこの三原則から成っています。これらのポイントをきちんと行い、家庭から食中毒をなくしましょう。
 食中毒は簡単な予防方法をきちんと守れば予防できます。
 それでも、もし、腹が痛くなったり、下痢をしたり、気持ちが悪くなったりしたら、お医者さんに相談しましょう。


出典:厚生労働省ホームページ「O157 Q&A」より一部改変
富山県感染症情報センター