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更新日:2023年4月7日

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富山県 News Release MAKE TOYAMA STYLE

経鼻投与型ワクチンに必要な新しい粘膜アジュバントとなる化合物の発見と有効性を示す研究開発成果の特許出願について

発表日 2023年4月7日(金曜日)

  • 富山県が運営する産学官共創事業のプラットフォーム「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムにおいて、富山県薬事総合研究開発センターと富山県立大学の共同研究成果を特許出願しました。
  • 新しい経鼻投与型ワクチン用のアジュバント(免疫賦活剤)となる化合物の基本構造を見出し、粘膜アジュバントとして有効性を感染防御実験で確認しました。
  • 様々な感染症ワクチン開発に貢献できる経鼻投与型ワクチンのアジュバントとして、社会実装を目指していきます。

【概要】

「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアム(運営事務局所在地:富山県富山市安住町7-18 富山安住町第一生命ビルディング2階、事業責任者:森 和彦)は、平成30年(2018年)に県内大学や本県医薬品産業の振興、それを担う専門人材の育成・確保を図るために設置された産学官共創事業のプラットフォームです。300年を超える歴史と伝統を有する富山の「くすり」と「くすりをつくる体制」が世界中から信頼され、頼られる存在になることを目指しています。

富山県薬事総合研究開発センター(富山県射水市中太閤山17-1、所長 髙津聖志)と公立大学法人富山県立大学(富山県射水市黒河5180、学長 下山勲)は、自然免疫に着目した先行研究で見出した複数のアジュバント候補化合物を基に、コンソーシアム事業において、粘膜アジュバント化合物の探索とその実用化に向けた性能評価、安全性及び製剤学的検討、詳細な作用機序の解析を進め、粘膜アジュバントとして有効な合成可能な化合物の発見に至りました。

マウスを用いた経鼻投与試験で、インフルエンザのワクチン抗原だけでは免疫が誘導されないところ、ワクチン抗原と一緒に新規粘膜アジュバントを経鼻投与することにより、鼻腔粘膜にIgA抗体が誘導され、血液中のIgG抗体も誘導することを確認しました。この効果により、実際にインフルエンザウイルスの感染も防御できることを確認しています。更に、新型コロナウイルスの抗原を用いた場合においても粘膜へのIgA抗体並びに血液中のIgG抗体を誘導するなどの有効性がみられ、様々なワクチン抗原に対してアジュバント性能を示すことが期待されます。

今般、その成果を共同研究先である富山県立大学と共同で、令和5年(2023年)3月31日付けで特許を出願しました。

化合物の安全性、製品化に必要となる合成法などの基礎データの収集を行い、実用化にむけた課題の抽出と解決策の検討も進めており、新規粘膜アジュバントの使用により、有効な経鼻投与型ワクチンが実用化できれば、感染そのものの防御といった有効性を示すワクチンを短期間に製造し、医療現場に供給できることが期待されます。今回の成果は、新型コロナウイルスの出現などにより、更にその重要性が高まっているパンデミック対策という点においても有益な手段になると考えています。

今後、インフルエンザをはじめとする種々の感染症に有効な経鼻投与型ワクチン用アジュバントとしての有用性を示し、社会実装に向け、企業による開発へと繋げたいと考えています。

【発明の名称】

粘膜アジュバント

(参考)図「粘膜アジュバントを用いた経鼻投与型ワクチンによる感染防御効果」(PDF:318KB)(別ウィンドウで開きます)

【研究の背景】

ワクチンは病原体の感染や感染による症状の重篤化を防ぐために最も有効な手段として世界中で用いられています。現行の注射型ワクチンでは、病原体を認識し中和する免疫グロブリン(IgG)抗体が血液中に誘導されるものの、感染防御に重要な役割を果たす分泌型IgA抗体は病原体の侵入部位となる鼻腔等の粘膜上に誘導されません。従って、注射型のワクチンは、感染重症化の予防効果は期待できますが、感染防御・予防効果は大きく期待できません。

一方、経鼻投与型ワクチンなどの粘膜投与型ワクチンは、粘膜免疫を利用することにより、粘膜に分泌型IgA抗体を誘導でき、さらに血液中のIgG抗体も増加させることができれば、感染の防御と重篤化予防効果を示します。両効果を兼ね備えるワクチンは次世代型ワクチンとして開発が期待されています。加えて、分泌型IgA抗体は交叉反応性が高く、病原体に変異が起きてもある程度の防御効果を示すことができます。粘膜投与型ワクチンによるIgA抗体産生を効率的に誘導するには、“アジュバント”(免疫賦活剤)が必須であり、安全で有効な新規粘膜アジュバントの開発が必要とされています。

【用語解説】

  • IgA:Immunoglobulin A;免疫グロブリンAとは、免疫グロブリンの一種であり、2つの重鎖(α鎖)と2つの軽鎖(κ鎖またはλ鎖)から構成される。分泌型IgAは粘膜免疫の主役であり、消化管や呼吸器における免疫機構の最前線として機能している。
  • IgG:Immunoglobulin G;免疫グロブリンGは、抗体のクラスの1つで、2つの重鎖γと2つの軽鎖から構成される。ヒトの血清中の抗体約75%を占め、体中の血液、組織液に存在する最も一般的な抗体の種類である。
  • 交叉反応性:免疫原とは異なる抗原と抗体との間の反応。

【参考】

【本件に関するお問い合わせ先】

(研究・技術に関すること)

富山県薬事総合研究開発センター

電話番号:0766-56-6026

担当:長谷川、相川、森田

(くすりコンソーシアムに関すること)

厚生部 くすり政策課 くすりコンソーシアム推進班

電話番号:076-444-3943

担当:建部、高森、舟﨑

お問い合わせ先

部局・担当名

電話番号

担当者

厚生部 くすり振興課くすりコンソーシアム推進班

076-444-3943

建部、高森、舟崎