更新日:2021年2月24日

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周産期医療搬送・紹介ガイドライン

母体搬送基準

重症妊婦においては、分娩から新生児医療が一体となって提供される必要があります。
このため、富山県周産期保健医療協議会において平成12年1月に、地域産科医療機関から周産期救急医療機関への搬送にあたって使用する「母体搬送基準」が作成されました。

そして、平成22年9月「富山県周産期医療搬送・紹介ガイドライン」において、母体搬送基準および新生児集中治療室への新生児搬送基準、妊婦の外来紹介基準、救急隊員のための搬送基準が作成されました。

(1)1次および2次周産期医療機関から2.5次および3次周産期医療機関への搬送基準

  1. すべての妊娠週数の3次救急対応疾患
    1. 多発性外傷
    2. 重症熱傷
    3. 急性中毒
  2. 妊娠22週以降の救急疾患(産科以外)
    1. 脳血管障害
    2. 急性心不全
    3. 呼吸不全
    4. 敗血性ショック
    5. 出血性ショック
    6. 多臓器機能障害
    7. 意識障害
  3. 妊娠22週以降~2次周産期医療機関受入れ可能週数*未満の救急疾患(産科)
    1. 羊水塞栓症
    2. 子癇、妊娠高血圧症候群(重症)
    3. HELLP症候群、急性妊娠脂肪肝
    4. 常位胎盤早期剥離、出血を伴う前置胎盤
    5. 前期破水
    6. 胎児機能不全(軽症・重症)**
    7. 切迫早産:胎胞脱出、子宮頸管開大、点滴による子宮収縮抑制困難、発熱
    8. 双胎子宮内一児死亡
    9. その他の緊急を要する母体合併症
  4. 2次周産期医療機関受入れ可能週数以降の下記状態
    1. 胎児機能不全(重症)**
    2. 常位胎盤早期剥離

(2)1次周産期医療機関から2次周産期医療機関等への搬送基準

  1. 2次周産期医療機関受けれ可能週数以降の救急疾患(産科)
    1. 羊水塞栓症の疑い
    2. 子癇、妊娠高血圧症候群(重症)
    3. HELLP症候群、急性妊娠脂肪肝
    4. 出血を伴う前置胎盤
    5. 妊娠36週未満の前期破水
    6. 胎児機能不全(軽症)**
    7. 切迫早産:胎胞脱出、子宮頸管開大、内服による子宮収縮抑制困難、発熱
  2. 妊娠22週未満の救急疾患(産科以外)
    1. 脳血管障害
    2. 急性心不全
    3. 呼吸不全
    4. 敗血性ショック
    5. 出血性ショック
    6. 重症外傷
    7. 多臓器機能障害
    8. 意識障害
  3. 妊娠22週未満の救急疾患(産科)
    1. 1次周産期医療機関で対応困難な破水、進行流産
    2. 子宮外妊娠破裂
    3. その他の緊急を要する母体合併症
  4. 胎児死亡
    1. 1次周産期医療医療機関で対応困難な単胎子宮内胎児死亡
  5. 1.輸血が必要な弛緩出血
    • 2.その他産褥期の緊急を要する異常
*2次周産期医療機関受入れ可能妊娠週数、出産体重
黒部市民病院 33週 1,500g以上
富山市民病院 35週 2,000g以上
富山赤十字病院 35週 2,000g以上
済生会高岡病院 35週 2,000g以上
砺波総合病院 33週 1,800g以上

**胎児機能不全は日本産婦人科学会周産期委員会の胎児心拍波形の分類による

新生児集中治療室への新生児搬送基準

  • (1)早産児
    • 相対的入院適応 34週、35週
    • 絶対的入院適応 34週未満
  • (2)低出生体重児
    • 相対的入院適応 1,800g以上2,000g未満
    • 絶対的入院適応 1,800g未満
  • (3)呼吸器障害
    • 生後3時間以上経過してもSpO2を95%以上保つために30%以上の酸素を要する
    • 生後3時間以上経過しても1分間に80回以上の呼吸や陥没呼吸が持続する
  • (4)循環器障害
    • 中心性チアノーゼが持続する
      (生後3時間以上経過してもSpO2<90%が持続する場合や、生後24時間以上経過してもSpO2<95%が持続する場合は精査を考慮)
  • (5)仮死
    • 蘇生後も呼吸サポートが必要か、または啼泣が弱く持続しない場合
  • (6)黄疸
    • 日齢の基準より4mg/dl以上高値の場合
  • (7)低血糖
    • 生後24時間以内の血糖値が40mg/dl未満で補足に反応しない場合
    • 生後24時間以降での血糖値が45mg/dl未満で補足に反応しない場合
  • (8)感染症
    感染症を疑わせる以下の症状が認められる場合
    • 38度以上の発熱が持続、36.5度以下の低体温が持続、活気不良、哺乳力低下、頻回の無呼吸発作の出現など
  • (9)痙攣
    痙攣を疑わせる以下の症状が認められる場合
    • 一点凝視、眼瞼をパチパチ、ペダル漕ぎ様の下肢の動き、無呼吸、突然のSpO2低下、突然のチアノーゼ、など
  • (10)先天異常
    • 21トリソミーなど
  • (11)外科関連疾患
    • 胆汁性嘔吐、泡沫状嘔吐、腹部膨満、血便などの腹部外科疾患
    • 髄膜瘤、水頭症などの脳神経外科疾患
    • 口唇口蓋裂などの口腔外科的疾患
    • 先天性心疾患

救急隊員のための搬送基準

(1)自宅分娩の搬送

自宅分娩に至った場合でも成熟児(37週以上)であり呼吸状態が安定している場合は従来通り、かかりつけの産科医療機関に搬送する。
しかし、以下の場合においては、NICUを有する下記の周産期医療機関に搬送を行う。

  1. 早産児あるいは低出生体重児である(または推測される)場合
  2. 生児の呼吸状態あるいは全身状態に問題があると判断される場合
  3. 母体に緊急を要する問題があると判断される場合
  4. かかりつけ医を持たない場合(健診未受診)

なお、1.から3.については、「救急搬送における重症度・緊急度判断基準作成委員会報告書の重症度・緊急度判断基準」を参考に判断する。

  1. 新川医療圏
    黒部市民病院に搬送した後、必要に応じて高次医療機関への転院を考慮する。
  2. 富山医療圏
    富山大学附属病院又は県立中央病院のいずれか近い方の医療機関に搬送する。
  3. 高岡医療圏
    厚生連高岡病院へ搬送する。
  4. 砺波医療圏
    一旦市立砺波総合病院に搬送した後、必要に応じて高次医療機関への転院を考慮する。
    ただし、市立砺波総合病院の小児科医師は、休日・夜間の場合、基本的に自宅待機であるため、救急隊は市立砺波総合病院に対応可能か同課の確認を行い、対応不可能の場合は他医療機関のNICUを有する医療機関へ搬送する。

※搬送上の留意点

  • 救急車内の温度の最大とする。
  • 新生児の呼吸が安定しており蘇生を要さない場合は、母親の旨に直接肌を接して抱かせ、その上から保温シートやバスタオルなどで包み低体温を予防する。
  • クリップまたは鉗子により臍帯血流を遮断した状態で搬送する。

(2)妊婦の救急搬送

救急隊は「救急搬送における重症度・緊急度判断基準作成委員会報告書(平成16年3月財団法人救急進行財団)」の「周産期の重症度・緊急度判断基準」を参考に、傷病者の重症度・緊急度を判断するとともに、かかりつけ医へ連絡し、かかりつけ医の対応が困難又は、かかりつけ医がいない場合は、以下を参考に搬送先を選定する。

  1. 傷病者を重症以上と判断した場合の搬送先
    NICUを有する下記周産期医療機関へ搬送する。
    1. 新川医療圏
      黒部市民病院に搬送した後、必要に応じて高次医療機関への転院を考慮する。
    2. 富山医療圏
      富山大学附属病院又は県立中央病院のいずれか近い方の医療機関に搬送する。
    3. 高岡医療圏
      厚生連高岡病院へ搬送する。
    4. 砺波医療圏
      一旦市立砺波総合病院に搬送した後、必要に応じて高次医療機関への転院を考慮する。ただし、市立砺波総合病院の小児科医師は、休日・夜間の場合、基本的に自宅待機であるため、救急隊は市立砺波総合病院に対応可能かどうかの確認を行い、対応不可能の場合は他医療機関のNICUを有する医療機関へ搬送する。
  2. 傷病者を中等症以下と判断した場合の搬送先
    • 1)かかりつけ医がいる場合の搬送先
      かかりつけ医に連絡し、対応可能であれば、かかりつけ医に搬送する。
    • 2)かかりつけ医がいない場合や、かかりつけ医が対応できない場合の搬送先
      1. 新川医療圏
        黒部市民病院に搬送する。
      2. 富山医療圏
        富山市民病院、富山赤十字病院、済生会富山病院のいずれかに搬送する。
      3. 高岡医療圏
        済生会高岡病院、高岡市民病院のいずれかに搬送する。
      4. 砺波医療圏
        市立砺波総合病院に搬送する。

妊婦の外来紹介基準

妊娠中のリスクを可能な限り回避するために1次及び2次周産期医療機関においては下記の紹介基準に基づき、より高次の周産期医療機関に、早期に適切な外来紹介を行う。
紹介を受けた2次、2.5次及び3次周産期医療機関は、診断結果にも続き、1.自宅での対応、2.紹介元医療機関へ戻す、3.より高次の医療機関へ紹介するなど、適切な管理方法を選択・決定する。

  1. 2.5次及び3次周産期医療機関への照会基準
    1. 一絨毛膜性双胎又は品胎以上
    2. 胎児奇形
    3. 子宮内胎児発育遅延(出生2,000g未満と推定)
    4. 羊水過多
    5. 妊娠リスクスコア7点以上(全分娩の3-10%)
    6. 32週未満かつ内服のみで管理困難な切迫早産
    7. 癒着胎盤を疑う全前置胎盤
    8. 妊娠高血圧症候群(重症)
      ※1.~4.は必ず2.5次および3時で分娩管理が必要である。5.~8.は時のNICU管理が必須でない場合、2次周産期医療機関で管理することも考慮する。
  2. 周産期医療機関への紹介基準
    1. 妊娠リスクスコア4-6点(全分娩の10-20%)
    2. 子宮頸管無力症の既往
    3. 妊娠高血圧症候群(軽症)
    4. 二絨毛膜性双胎

お問い合わせ

所属課室:厚生部こども家庭室子育て支援課切れ目ない子育て支援担当

〒930-8501 富山市新総曲輪1-7 県庁本館2階

電話番号:076-444-3208

ファックス番号:076-444-3493

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