1 小児科医の仕事

 小児科医の仕事とは子どもを大人まで育てる、命を亡くさないこと、より望ましい姿の大人にすることです。診察のイラスト

具体的には・・・
(a)病気の発見と治療・予防
     原因療法・・・そのもとになっているものを治す
     対処療法・・・さしあたってその苦痛を取り除く
(b)子どもの発育(育児)のサポート
(c)保育者の悩み相談
核家族が多くなり、相談する人がいないという保護者が増加しています。

鼻水が出たから耳鼻科、目やにが出たから眼科へ、そして熱が出たから小児科医へ行かれるお母さんがいらっしゃいますが、子どもの具合が悪いなと思ったとき、子どもの場合はまず小児科医にかかられるのが総合的に診るという立場から賢明かと思います。

 

2 小児科医のかかりかた

(a)かかりつけ医をもとう
 いつも見ているとわかることがあります。 例えば、ちょっとしたことで熱を出す子だとわかっていれば、それなりの処置ができるわけです。 知らないところへ行くといろいろな処置をされる場合も少なくありません。日頃のその子のことをよくわかっていなければ、検査結果による診断に頼らざるを得ないこともあります。 子どもは日々成長していくのでその変化をみていると容易に診断のつくこともあります。また、 医者と保護者とのコミュニケーションがうまくとれているとより適切な処置ができるとも言えます。ですから、 自分と波長の合った信頼できるかかりつけ医を持つことが大事です。 最近は人間関係が希薄になっていて、それがかかりつけ医との信頼関係にも影響しているのが少し心配です。

 (b)小児科(小児内科)は病気への窓口
 子どもに気なることがあったら、まず、小児科医を受診しましょう。かかりつけ医で治せるものは治し、手におえないものはそれぞれの専門科医を紹介します。かかりつけ医はそれぞれの病院の得意分野を知っていますから、保護者の方も安心して病院へ行くことができます。

(c)救急センターの利用法
 救急センターは本当に「やむを得ない時にいく所」だということです。 毎回担当医は変わるし、継続してみることはできません。夕方とか、連休の前日には子どもの健康状態を点検して、非常に備えるような心がけが子育てには大切です。

救急センターでは・・・
100人のうち、50〜60人が小児科
人口比からみるととても比率が高い。

お母さんの経験が少ないので、心配になって連れてこられる場合が多いようです。お母さんは さっきまで元気だったのに、今、急に熱が出たとおっしゃるが、そんなに急に発熱することはありません。熱が上がるには 早くても3時間ぐらいかかります。 面白いテレビなどがあると元気で、それが終わると急にぐったりしたように見えることがあります。お母さんが気がつかないだけなのです。

★★―慌てないために!―★★
体温計測は1日3回・・・登園時、帰宅時、就寝時の3回をおすすめします。
●登園時
 朝計れば保育園に行ってから保育士の先生に迷惑をかけることもありません。
●帰宅時
 夕方計って少し熱があれば、今晩熱が高くなるかもしれないから、お医者さんへ行っておこうか、明日は日曜日だからお薬をもらっておこうかと準備できます。
●就寝時
 夜中になって慌てなくてもすむよう事前にそなえておきましょう。

備えの気持ちを持ってほしいと思います。 普段からの心がけがあれば、慌てて救急センターへ走ることも少なくなるのではないでしょうか。

 

3 子どもに見られる病気

 恐ろしいのは死ぬかもしれない病気、やっかいな病気(難病)、頻繁に起こる病気です。
(a)先天性疾患・・・母親の妊娠中から始まる疾患
 誕生以前に亡くなる子もいます。(流産)
 以前なら生後すぐに亡くなっていたが、治療法の開発により、生まれてきて生き長らえるものもあります。(先天性の心臓病など) 1歳までになくなる子は先天性疾患である場合が少なくありません。
(b)感染症・・・伝染病  
 細菌やヴィールスの感染で発病します。
  抗生物質ができたことと予防接種によって減少しています。
(c)体質性・・・アレルギー  親譲り
 生まれつきの体質をベースにしてその後の環境も影響して発病する。親譲りが多分にあります。
(d)事故・外傷
  1歳以降事故の割合が高くなります。

4 感染症

 細菌やヴィールスによって、人から人へ移るものを感染症といいます。 診療所の子どもの病気の3分の2は感染症といえます。

注射のイラスト(a)伝染病・・・学校伝染病予防法
 感染症の中で特に伝染力の強いもの、思い症状になるものを伝染病といいます。学校、保育園など集団生活の場で流行しやすい伝染病を特に学校伝染病と呼び、この病気の人は休んでもらうことになっています。

(b)伝染する病気 しない病気
 感染症の多くは、程度の差はあれ、感染します。
 喘息や花粉症、湿疹などはうつりません。

(c)予防接種
      公的:DPT(百日咳、ジフテリア、破傷風) BCG(結核) ポリオ 麻疹 風疹 日本脳炎
      私的:ムンプス(おたふくかぜ) 水痘(水疱瘡) インフルエンザ

5 体質と疾患

(a)過敏症 アレルギー性
(b)親の体質・性質・・・親の幼少時を参考に
(c)その他

 風邪を引きやすい人、よく熱を出す人、おなかを壊しやすい人は過敏な人といえ、俗に「家の子は弱い」と言われている子です。 しかし風邪をよくひく子が早く死ぬとは限らないのです。
  集団生活に入ってしばらくはよく風邪をひきます。3年間くらいかけていろいろな風邪の抵抗力ができるとひかなくなります。
 診療所に、いつも来る人が3分の1、たまに来る人が3分の1、ほとんどかからない子が3分の1くらいの割合かと思います。
  子どもの体質は親の体質と似ている場合が多いんです。 もって生まれた体質はなかなかかわらないものです。 体質性の病気は今の医学では完全には治せません。運動会やマラソンで喘息発作を起こす人は、どうすれば参加できるか、かかりつけ医と相談しておくことです。体質的な病気は、病気との上手な付き合い方を医師と共に工夫することが上手な生き方だと思います。

薄着がいいのか?
 「厚着をすると弱くなる」といいます。だけど日本の気候では裸では耐えられません。犬や猫は年中毛皮を着ていますね。でも、風邪もあまりひきません。 風邪をひきやすい子を薄着にすると風邪をひくだけです。 寒さに過敏な子どもが風邪をひかないようにするには 乾布摩擦風呂上りに冷たい水を浴びるなど寒さに鍛えながら薄着に慣らしていくことが大切です。もって生まれた体質と上手な付き合い方が大切です。


保育園や学校の健康カードの記述方法
喘息だったらどういうときに発作が出るのか?
どのような処置が必要か?
湿疹だったら何を食べたときにでるのか?
などを具体的に記入しておくと実用的です。

 

6 事故と外傷

事故については母子手帳に細かく書いてあるのでよく読んでください。

 やけどしないように、お鍋、湯沸しの持ち手は手の届かない方へ向けるとか、炊飯器は触れると蓋が開きやすく、水蒸気をもろに顔にかぶる危険があるので

 お風呂も危険な場所です。 水の中に落ちたときはすぐに引き上げることが大事です。 子どもがお風呂に入るときは親が一緒に入る、入浴後はお湯を抜く、 お風呂場に入れないように鍵をかけるなどを心がけてください。 ビニールプールも必ず大人がついて見ている必要があります。大きなプールでは、水中の子どもがみえるよう、水面より高い位置で監視することが大切です。

 家族でドライブのイラストしかし、危ないからと言って、初めからダメダメいうのではなく、 親が見ているところで体験させながら危険を認識させることも必要です。

 少し大きくなると飛び出しなど交通事故が多くなります。 車に乗っている場合は 正しいチャイルドシートの着用で子どもの事故は防ぐことができます。

7 子どもの発育


(a)健診の目的 母子手帳の活用法

健診は今のところ、異常がないか年齢相応の発育をしているか、そして年齢相応の関わり方を学ぶ機会です。

母子手帳の「自由記入欄」意義・・・自由欄は自分独自の発育の記録でもあり、次世代への参考資料でもあります。子どもは親の写し絵です。親の育った道をほぼ辿ります。次の世代のために未来の親の足跡を記録してあげましょう。いつごろ風邪をよくひいた、ひかなかった。ぜーぜーに悩んだか。お腹は丈夫だったか。湿疹はよく出たか。おむつは、いつとれた。おねしょはいつまで続いたか。いつから歩いた。何歳でどんなことをしたか。母親としてどんな対応をしたか。これらはいずれも次世代の育児不安への参考になります。

(b)発育とその考え方
 身体 、運動 、知能 、感性 、社会性の発達情況を総合的にみていく必要があります。
 個体差については親の発育(幼少時の)を参考にするとよいでしょう。

 あまり可愛がり過ぎると、生きる力の弱い子になります。しかし、可愛がってもらった子は他人に優しくしてあげることができる子になります。加減は人によりけりで難しいものです。
  様々な問題児といわれる子は、 子ども時代に不幸な育ち方をした子が多いようです。 幼少時は、まずは素直な子に育てることが先決でしょう。

 

8 子育て不安

(a)原因:核家族化 情報過多 教養過多 友人不足
(b)解決策:悩みをおなかに貯めぬこと

・子育て支援センターの利用(同じ立場の者は同じような悩みを持っているんだ)
・かかりつけ医訪問(気軽に話せる医者をみつけよう、マスコミ情報に乗らず確かな知識を)
・保健センター、保育所の活用(子どもの扱いの師は保育士さん、毎日観察してもらえる人)
・乳幼児専門カウンセラーの利用(子どもの難題行動は共々で相談を)

朝ご飯や夕ご飯は、お父さんお母さん兄弟一家団欒で楽しくいただけるような労働条件の整った社会、人生の育児期間、両親が子どもたち中心の生活設計を立ててくれるような家庭、親の意識、そんな家庭、社会からは素晴らしい未来社会を作る子供が育つだろう。

家族のイラスト