1 人の育ちの道すじ

 人の心の発達は、乳幼児期以来の様々な体験と、周りの人との関わりの中で形成され、生涯を通して展開されていきます。「ゆりかごで学んだことは墓場まで・・・」と言われるように、1950年代に入り、各種機器の導入によって、乳児の感覚器官が早い時期から機能していることが、生理的指標(心電図、眼球運動、脳波など)の長時間観察によって明らかにされてきました。1980年以降、人間の子どもは最早期から自己表現し、養育者がそれを助けていく周囲との関わりの中で、自分を発達させていくことが強調されるようになっています。子どもの育ちは養育者との互いに響き合う関係性の中で行われていることに、私たちは気づき始めているのです。
  それゆえ、思春期の子どもたちが出している不登校や心身症的症状をこれまでの養育者や周囲の大人(教師も含め)との関わり合いの中で生じた関係性障害の視点から捉えなおすことが必要です。思春期イラスト1

 思春期になって初めてつまずく子どももいれば、幼少期からの問題が徐々にこじれ、思春期で重症になる子もいます。また、乳幼児期時代の家族の相次ぐ転勤、病気や事故などのトラウマ、離別、死別などの体験がよみがえり、不安に陥る子どももいます。

 親がよかれと思って一生懸命育てていたにもかかわらず、ボタンを掛け違ってしまう悲劇もあります。
  その子の生まれ持った資質と、養育環境(その家の価値観や伝統、世代間にわたる問題、時代や社会的背景も含む)との相互作用から、思春期の子どもの問題が生じてくるのです。

2 中学、高校時代を中心とする思春期の特徴

 思春期、特に中学生時代は、心と身体が大きく脱皮するときで、本人が意識すると否とに関わらず、特有の危うさをどの子も持っています。

−三つの特徴−
●身体的に急激に変化する時期
二次性徴に直面して、爆発的な衝動につき動かされます。言葉にならない感覚に苛(さいな)まれます。
●死と隣り合わせの時期
「自分とは何か、人は何のために生きるのか」と根源的問いがわき起こってくるけれど、納得いく答えを見つける力がまだありませんから、いつも晴れない気持ちでいます。それで、大人からみればほとんど取るに足らない程の出来事が「引き金」になって、いとも簡単にプッツンと切れてしまいます。
●依存と自立の欲求が目まぐるしく変わる時期
べったり甘えてくるかと思うと、“ウザイ”と冷たく言い放ちます。十分に甘えを満たされて、安心感をもった人が自立していけるのです。子どもの反抗は、手のひらの上で暴れる“孫悟空”を見守るような心境で、追い詰めない、深追いしないことです。

  「油断すると左右どちらに傾いても、崖下に転落する危険のあるやせ屋根の上を歩いているような時期」ですから、思春期の最大の課題は「自分と他人をあやめることなく、生きのびること」なのです。

3 思春期の子どもと向き合う

 思春期のイラスト2思春期に何か問題が起こった時「この子の人生はもう取り返しがつかない」などと思う必要はありません。ただ、親が描いてきた理想の子ども像や親の将来プランを一度棚上げにして、目の前の子どもと、生身の人間同士として向き合わなければならない時期なのです。
  子どもの揺れる心を受け止めながら、親である私たちの心が鍛えられていくのです。「子どもの不登校のお陰で、私たちは仲の良い家族になれた」と苦しみ悩まれた末、述懐される方が多いです。思春期は手応えのある分だけ、子どもにとっても、親にとっても、実り豊かな成長期といえるかもしれません。

4 今、乳幼児を育てている親へのメッセージ

 生後1〜3年間、親子が幸せだと感じられる日々を送れたなら、その後の人生という長いライフサイクルの中で、何があっても何とかやっていけることでしょう。赤ちゃん時代を大事にしましょう。それは、自分たちの将来、未来を大事にすることにつながるのです。

 まだ、授乳中のお母さんは是非、テレビを切り、携帯を手放して、笑顔で赤ちゃんの飲みっぷりを見守ってあげましょう。幼児期には、いっぱい遊んで、泥んこになって、兄弟げんかを思いっきりして、いたずら(試行錯誤)をさせてあげましょう。

 信頼し合う関係は、脳を育てます。見えない脳の生き生きとした活動を大事にしていきたいものです。

 時には、頭でわかっているけれど、子どもがかわいいと思えなくって、子育てが辛く感じられてしまう場合があります。それは、お父さん、お母さんが悪いのではないのです。世代間伝達と言って、自分の子ども時代の辛い体験が蘇ってきて、目の前のわが子との関係に影を落としてしまうのです。そんな時は富山県家庭教育カウンセラーに相談してみましょう。予約番号は076−433−4150です。

 人間は一人だけで上手に子育てできる訳ではありません。哺乳動物(サル、ゾウ、ライオン…)は、群れの中で子どもを育てます。
 私たちも人々の輪(和)の中で、次世代を育てていけばいいのです。

大家族のイラスト