地下水揚水量実態調査(27年度実績)の結果について

 

1 調査の概要

  県内における地下水の利用実態を把握し、地下水指針で定める「適正揚水量」の範囲内で地下水が利用されているかを確認するため、 県下平野部全域を対象に、平成27年度の揚水量の実態を調査しました。

※ 適正揚水量:塩水化の進行や大幅な地下水位の低下等の地下水障害を生じさせない揚水量で、かつ、地域の特性や住民の意向などの社会的条件を考慮した量

2 調査内容

(1) 調査対象地域

地域区分

市 町 村

黒部地域

黒部市、入善町、朝日町

魚津・滑川地域

魚津市、滑川市

富山地域

富山市、舟橋村、上市町、立山町

高岡・砺波地域

高岡市、砺波市、小矢部市、南砺市、射水市

氷見地域

氷見市

 (2) 調査方法

@「富山県地下水の採取に関する条例」に基づく地下水採取量報告書の集計・解析

(回答数:3,191件)

A 県内平野部全域の工場・事業場(@以外)に対するアンケート調査の集計・解析

(回答数:1,806件)

 

3 調査結果

 (1)揚水量

  @地下水区別

 平成27年度における揚水量(以下「実績揚水量」という。)は表1のとおり、合計187.4百万m3/年であり、 平野部全域の適正揚水量合計502.6百万m3/年を下回っていました。また、前回調査した平成22年度実績 (以下、「前回結果」という。)と比較すると31.9百万m3/年減少(▲15%)していました。

県内平野部5地域でみると、富山地域が88.9百万m3/年(47%)で最も多く、次いで高岡・砺波地域 が40.5百万m3/年(22%)、黒部地域が31.7百万m3/年(17%)の順でした。

また、県内平野部を17の地下水区で区分したところ、最も揚水量が多いのは富山地域の扇頂部・ 扇央部の48.8百万m3/年、次いで高岡・砺波地域の扇央部の21.5百万m3/年でした。

なお、適正揚水量に対する実績揚水量の比率が最も大きいのは富山地域の扇頂部・扇央部(90%)、次いで 高岡・砺波地域の扇頂部(57%)、富山地域の海岸部(55%)の順で、すべての地下水区で 適正揚水量を下回っていました。


表1 地下水揚水量実態調査結果(地下水区別)

図1 平成27年度地下水揚水量と適正揚水量

 

なお、5kmメッシュ別に集計した年間の揚水量実績は図2のとおりです。


図2 【年間】地下水揚水量(平成27年度実績)

 

A市町村別

市町村別の揚水量は表2のとおりであり、富山市が76.9百万m3/年(41%)で最も多く、次いで 黒部市の14.9百万m3/年(8.0%)、魚津市の14.4百万m3/年(7.7%)の順でした。


表2 地下水揚水量実態調査結果(市町村別・用途別)

 

B用途別

 用途別の揚水量は表2のとおりであり、工業用が93.5百万m3/年(50%)で最も多く、 次いで水道用の40.4百万m3/年(22%)、消雪用の24.3百万m3/年(13%)の順でした。


前回結果と比較すると、工業用は13.3百万m3/年(▲12%)、消雪用は14.3百万m3/年 (▲37%)減少していましたが、農業・水産用は1.4百万m3/年(+21%)増加していました。

図3 用途別揚水量実績[単位:千m3](平成27年度実績)


C季節別

 季節別の揚水量は図4及び図5のとおりであり、冬期が64.4百万m3/年(34%)で最も多く、 次いで春期42.9百万m3/年(23%)、夏期41.4百万m3/年(22%)、秋期38.7百万m3 /年(21%)の順であり、冬期は消雪用に利用されるため、他の時期の1.5倍以上の揚水量となっていました。 


図4 用途別揚水量実績[単位:千m3](平成27年度実績)


図5 季節別(月別)の揚水量実績[単位:千m3](平成27年度実績)


(2) 揚水設備数

 本調査で把握された平成27年度における揚水設備の設置数は5,745基であり、前回調査と比較して87基減少していました。 

 用途別にみると、消雪用が2,376基(41%)と最も多く、次いで建築物用が1,831基(32%)、工業用が1,049基(18%)の順でした。 

 前回調査と比較して、最も増加したのは消雪用199基(+9%)であり、また、最も減少したのは建築物用233基(−11%)でした。 

 なお、5kmメッシュ別に集計した揚水設備の設置数は図7のとおりです。

図6 用途別揚水設備数[件]

図7 揚水設備設置数[基]

4 まとめ

平成27年度の揚水量は、全体として前回調査と比べて減少し、17地下水区すべてで適正揚水量の範囲内でした。

前回調査よりも揚水量が減少した要因としては、

@ 平成27年度は降雪量が少なく、消雪用途の揚水量が大幅に減少したこと

A 事業者の節水努力により、工業用途・建築物用途の揚水量が漸減傾向にあること

B 人口減少、節水型機器の普及、県民の節水意識の変化により、水道用途の揚水量が減少したこと

などが考えられます。

一方、消雪用の揚水設備数が増加しており、特に冬期間において、降雪の状況によっては消雪設備 の一斉稼働に伴い地下水位が大幅に低下することが懸念されます。

こうしたことから、県では塩水化や地盤沈下などの地下水障害を未然に防止するため、今後も地下 水利用者に対し節水や合理的な利用など地下水保全に向けた取組みを呼びかけます。

また、この調査結果を踏まえ、今後の中長期的な地下水保全施策を検討するとともに、29年度中 に検討することとしている「富山県地下水指針」の改定に活用します。