更新日:2021年3月4日

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常西合口用水大山町

常西合口用水
じょうさいごうくちようすい
大山町

この地域は常願寺川の扇状地で、東は白岩川、西は神通川にはさまれ、南から北へ急勾配の地形となっています。常願寺川の東側を常東地区、西側を常西地区と呼んでいます。
常願寺川を水源に網の目のように張りめぐらされた農業用水は、富山平野の穀倉地帯約7,900ヘクタールをうるおしていますが、今日の大規模な農業施設となるまで、度重なる変遷を経てきました。


▲桜並木

「桜の下を泳ぐのは、気持ちがいいね」

「昭和30年頃に地元の青年たちが植えたんだ。ふるさとを愛する気持ちの現われだね。ジ~ン・・・」

「ごんべ祭りもユニークだよね。宴会のおもしろさを競うんだよ。出てみたいな」

佐々堤
「用水の底にななめの石づみがあるよ。どうして?」

「1580年の大洪水の後に、富山城主の佐々成政が築いたかすみ堤の跡といわれているよ。富山初の治水工事とも伝えられているね」


殿様林
「1769年に富山城主の前田利與が、堤防の決壊を防ぐために植えたそうだ。かつては林というほど広かったが、洪水で流されたり切られたりして、今は用水沿いに100本ほどが残っているよ」


殿様橋
「かわった橋がいっぱいあるね。あれはお城みたい」

「殿様橋といって、富山城をイメージした欄干がおもしろいね」


太田閘門
「あれ、トンネルみたいな水路があるよ」

「その水路は樋管といって、常願寺川の巨石から作ったそうだよ。この太田閘門は、旧太田用水の時代、常願寺川に舟渡しがあった頃の舟通し口の名残りともいわれているよ。」

デ・レーケの用水改修計画

  • 常西地区には、かつて岩繰・広田など12の用水がありました。これらの用水は常願寺川左岸の堤防にそれぞれ水門をつくって水を引いたため、各用水間の争いが絶えることはありませんでした。多くの水が上流で取水されたため、下流の用水が水不足に悩まされることも度々ありました。
  • 明治24年(1890年)、常願寺川の大洪水を機に富山県は流域の災害復旧にあたり、ヨハネス・デ・レーケの提案に基づいて川幅を広げたり堤防の建設、白岩川の分離、さらに左岸の12用水路の合口化を柱とした改修基本計画を立てました。この時代に約4,000ヘクタールにわたる大規模合口化は、全国初のことでした。

土砂との戦いは続く

  • 用水経営の中心となる町村組合が設立され、常西用水路の開削工事が始まり、明治25年10月に完成。しかし、この取入口は出水の度にゴミや土石などで埋まったため、さらに上流に移しましたが、それでも用水の取入が困難になることがしばしばありました。
  • 昭和3年頃から、上流の砂防工事が進むにつれて流れる土砂が少なくなり川底が低くなったこと、水路の中心が移動したことなどから、各用水の取水がますます難しくなりました。そこで、昭和17年に工事が中断していた岡田砂防堰堤を利用して、頭首工として再工事。これが現在の横江堰堤で、昭和28年に完成しました。

歴史をたたえて流れる水路

  • 老朽化が進む水路の改修を行うため、昭和58年度から県営事業が着工しました。このうち、水神社から殿様公園までの延長2.45キロメートルの区間には、桜並木、殿様林、太田閘門、戦国武将の佐々成政が心血を注いだ「佐々堤」があり、景観的にも歴史的にも勝れた場所です。この地域の財産を活かした水路改修を行おうと地元の声が高まり、昭和59年度から県単独事業「やすらぎある農村施設整備」が、全国初のモデル地区として施行されました。

さざ波が美しい水辺へ

  • その内容は、散策道、公園、休養施設、安全柵の整備や植樹を、地域の歴史家の意見もとり入れながら行うというもの。従来の石張水路を活かし、自然石で作られた石積護岸は、桜並木や殿様林とも調和し、急勾配を駆け下りる白いさざ波は、水音とあわせて美しい風景を創り上げています。この環境を利用して、地元の人々による手作りのイベントも行われ、人々に広く愛され親しまれる用水路となっています。

急流で良かった?大きな水のエネルギー

  • 常願寺川は勾配が急で水量も豊富なことから、26もの水力発電所で最大総出力80万キロワットを発電。庄川水系に次ぐ北陸屈指の電源地帯となっています。また、富山市の上水道や富山市工業用水道としても利用されています。

「流れが速くてゆっくりできないけど、発電にはぴったりの川なんだね」

土地改良広辞苑
堰堤【えんてい】
川や谷を横切って、水をせきとめるための堤防。ダム。
頭首工【とうしゅこう】
川などから用水路へ水を取り入れるための施設。
閘門【こうもん】
舟通し口。運河などで水位を調整するための施設。
樋管【ひかん】
川や道路、堤防などを横断して水を渡すための水路。
かすみ堤【かすみてい】
川にそって斜めの堤防が二重につくられ、不連続な形をしている。氾濫した水を川に戻す働きなどがあり、急流河川に多い。

お問い合わせ

所属課室:農林水産部農村振興課 

〒930-0004 富山市桜橋通り5-13 富山興銀ビル4階

電話番号:076-444-3380

ファックス番号:076-444-4427

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