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地図

入善平野を潤す水

 黒部川は国内屈指の急流河川であることから豪雨のたびに暴れ川と化し、川筋が幾筋にも分かれて流れ、その多さから「四十八ヶ瀬」または四十八文字にちなんで「いろは川」と呼ばれ、人々から恐れられていました。氾濫を繰り返し、人々を苦しめた黒部川は、治水工事が進み河道も安定した明治期に現在の形になりました。
 この急峻な地形を活かし、大正時代から水力発電が開発され、中でも山岳地帯を舞台に壮絶な難工事が行われた黒部ダムや黒部川第四発電所といった通称「くろよん」と呼ばれる電源開発事業が特に有名です。
 黒部川流域の年間降雨量は非常に多く、さらに夏まで続く雪解け水も相まって、年間を通じて水量が豊富です。入善平野では、この清流日本一の黒部川が育んだ大地と豊富な水により、富山県屈指の良質な米、種籾、チューリップ、入善ジャンボ西瓜、白ネギ等が生産されています。
 また、海岸部付近には名水百選に選ばれた「黒部川扇状地湧水群」があり、独特の自然環境を形成すると共に、地域住民の生活用水として利用されています。

黒部川古図

黒部川扇状地の冷水と砂質土壌の克服 ―全国初の流水客土事業―

流水客土

 黒部川扇状地の水田は、黒部川の雪解け水による低水温や、扇状地特有の水はけのよい砂質土壌と浅い耕土のため、水稲収量や米質は全国的にも低い水準でした。そこで、温水ため池や温照水路の設置などの水温を上げる対策と、粘土質の赤土を客土し水の浸透を抑え耕土を確保する対策が実施されることになりました。
 客土工事は、黒部川扇状地の用水路が適度な勾配を持ち平野の隅々まで行きわたっていること、水量が豊富であることを生かし、山の赤土に水を噴射し用水路を流下させ水田に送り込むという工法がとられました。この工法は「流水客土」と言われ、昭和25、26年度の試験客土を経て、昭和36年3月までの10年間にわたり全国初の流水客土事業として実施されました。
 これらの対策により、田面の水温が上昇しただけでなく、鉄分を含んだ粘質土が客土されたこともあって、水稲の収量は増加し米質も改善されました。

温照水路

農業用水を流水状態で温めるため、勾配を緩くし、幅を広くした水路。流速が抑えられることで水温上昇が図られる。

客 土

土壌中に不足している要素や土質の改良のため、性質の異なる土を搬入すること。


杉沢の沢スギ

湧水とサケの遡上する庄助川

サケの遡上

 庄助川は、入善町の北西部に位置し、黒部川右岸側に隣接して流れる全長2,570mの基幹排水路です。庄助川は、伏流水が地表に湧き出る湧水を受けるため、年間を通した豊富な水量と水質の良さが特徴です。秋には大量のサケが遡上し、近年見かけられなくなった魚類や底生動物が生息するなど、豊かな生態系を有していることから、県では排水路改修工事を行うにあたり生態系調査を行い、生息する動植物等の自然環境の保全にも配慮し、石積護岸排水路としました。
 バイカモ(梅花藻)の繁殖期には、排水機能に支障を生じないよう刈取り作業を行う必要があります。水中での作業で多数の人力が必要となりますが、刈り取った大量の藻が日本海へ流出しないよう独自の集積籠を作製したりするなど、庄助川だけでなく周辺の環境にも十分配慮した共同作業活動が行われています。
 庄助川の環境保全と維持管理活動を行う「庄助川排水路施設維持管理協議会」は、平成27年度とやま水土里コンクールで優れた維持管理活動を実践しているとして「とやま水土里賞(知事賞)」を受賞しました。

バイカモの刈取り作業
小学生による自然観察会

松明まつり

 入善町墓ノ木地区にある水護神社は、氾濫する黒部川の洪水を鎮め、かんがい用水の護り神として信仰されていました。その昔、大洪水により堤防が破れた際、境内で多くの松明を作り、現場へ運んだと言われています。毎年10月、洪水からの無事を祈るとともに、利水の恩恵に感謝する松明祭りが行われています。

松明まつり
小水力発電

 黒部川扇状地は、豊富で安定した表層水、地下水等の水源に恵まれています。この豊富で安定した水源を生かし、浦山新地内で小水力発電所を建設中です。
 小水力発電は、無駄のない水利用と二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーとして奨励されています。平成29年3月に稼働開始を予定しています。

浦山新地区発電所