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新生児マススクリーニングの拡大

新生児マススクリーニングの拡大

日本マス・スクリーンング学会理事長   山口清次    Dryamaguchi.jpg 
                
(島根大学医学部小児科)

 

新生児マススクリーニングとは

 新生児マススクリーニングとは、知らずに放置していると障害が出るような生まれつきの代謝異常症を、発症してないうちに見つけて、障害発生を予防する事業です。1960年頃にガスリー博士が発明しましたので「ガスリーテスト」と呼ばれました。日本では1977年から全国実施され新生児は全員が受けています。そして、これまでに1万人以上の小児が障害から救われたといわれています。
 

タンデムマス法

 従来6つの病気を対象としていましたが、今年度(2014年度)からタンデムマス法という新しい検査法が全国的に導入されることになりました。富山県でも2014年3月から始まりました。タンデムマス法を導入すると対象疾患が6種類から19種類に増え、それだけ恩恵を受ける小児の数も増えることになります。これを「拡大スクリーニング」といいます。
 

対象となる病気

 マススクリーニングの対象となる病気は、放置すると発達遅滞、けいれんなどを起こします。タンデムマス法の対象疾患は、ふだん正常に生活しているのに、感染、下痢などに引き続いて急性脳症や突然死を起こすような病気が少なくありません。症状の出ていないうちに診断できれば、多くの場合このような障害発生を防ぐことができます。
 

社会的意義

 生まれたばかりの赤ちゃんには、これから長い人生を楽しむ権利があります。しかし、何らかの要因で「障害」という足かせを背負って一生を送らなければならない小児がいるのも現実です。もしも、そのような障害を予防、軽減する対処法のある病気ならば、我々は全力を注いで、小児を障害から守ってやらなければなりません。

 数年前から予防接種が拡大しましたが、全国各地から「髄膜炎が減った」という声が聞かれ、東日本大震災の被災地でロタウィルスのワクチンを無料接種した地域で、冬季下痢症の入院数が1/5以下になったという報告もあります。予防接種の普及によって、小児の医療現場に変化が起こりつつあります。同様に、タンデムマス法の普及によって小児の救急現場などでも「原因不明の」急性脳症、突然死などが減ることが予想されます。小児の予防医学は小児の医療現場を変えつつあるのです。
 

新生児マススクリーニングの課題

 マススクリーニングの対象疾患は稀少疾患が多く、小児科専門医でも戸惑うこともあります。そこで診療上の相談を受けたり、全国の専門機関ネットワークに紹介する窓口「TMSコンサルテーションセンター」(電話03-3376-2550)を2014年4月から設置しました。全国どこからでもアクセスできます。これにより周囲に専門家がいない地域でも安心して診療ができ、地域格差の是正に役立つと思います。

 またタンデムマス法は、超高感度精密機器を使用するので、測定値の正確さを継続的に保証する必要があります。そこで、全国自治体からの委託を請けて2014年度から「TMS精度管理センター」(国立成育医療研究センター内)を立ち上げました。さらに患者コホート体制を整備中です。これらによって新生児マススクリーニングの母子保健への貢献を社会にアピールすることができます。 
 

小児の病気は治療よりも予防

 小児の病気は「治療よりも予防」が大切です。このために乳幼児健診や予防接種などがあります。新生児マススクリーニング事業もその一環です。「新生児マススクリーニング」が小児の幸せに貢献できるよう、国民の皆様、関係各位の皆様のご協力をよろしくお願いします。 
 

 ※  タンデムマス・スクリーニング普及協会HPはこちら

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