■ストレスに強くなる方法

 健康づくりの基本は、栄養、運動、休養の3要素にあるといわれていますが、これは、 心の健康にもあてはまります。これに加え、心の健康づくりには、ストレスへの対処が重 要となります。

 心の健康づくり
  =(栄養×運動×休養) +ストレス対処
  =(栄養×運動×休養)+(緊張緩和+ストレス管理)


(1)緊張緩和
 ストレスによって生じた緊張状態をひとまず解除することで、いわゆる「ストレス解消」はこれにあたります。「ちょっと一杯」であったり、カラオケであったり、趣味のことなどそれぞれに方法があるでしょう。

(2)ストレス管理

 どちらかといえば受け身の緊張緩和にとどまらず、さらに積極的なストレス対策が必要です。日常生活の中でストレスを管理する工夫が求められます。毎日の暮らしの中での取り組みや、積極的なストレス管理に役立つ技法の習得・実践が有効です。
  ア 日常的方策

1 リズム
生活にリズム(変化)を持たせます。仕事や勉強の合間に気分転換や休息を取り入れ緊張を細切れにするのも一つの方法です。

2 はなす
愚痴、ぼやきも言い合える話し相手を持ちましょう。独り言や日記に 書くのも一つの方法です。

3 うごく
じっとしていないで体を動かしましょう。散歩やスポーツなどだけでなく、新しい経験や出会いの機会を積極的 にもちましょう。

4 あそぶ
職場や家庭などでの立場を離れることができる別の世界(趣味など)をもちましょう。童心に帰ってゲームを楽しんだり、旅行に出るなど日常を脱するのも効 果的です。

5 こころ
定期的にこころの状態を振り返りましょう。心が疲れていると感じた ときは、無理をせず休むことも大切です。

イ 積極的方法

1 セルフコントロール
自分で自分の行動をコントロールしながら、よりよい方向に自分の 生活と自分自身を変えていくことが有効です。日常行動のまずい点、よくない癖を直すことでライフスタイルを変え、ストレスを管理します。

2 タイム・マネージメント
時間の使い方がストレスと大きく関係があります。上手な時間の使 い方が、生活全体の余裕を生み出します。

3 ストレス・マネージメント
一定の理論と方法に基づき、自分自身の心身をコントロールすることにより、積極的なリラックスを図り、ストレスにうまく対処しようとするものです。
     以下のものをはじめ様々な方法があります。
     a 自律訓練法
     b 筋弛緩法
     c 気功
     d ヨーガ
     e アロマテラピー


■自律訓練法
 ドイツの精神科医シュルツ博士が開発した心身をリラックスさせる方法です。
 一種の自己暗示により、意識的に副交感神経の作用を高め、自律神経の働きを整え、ストレスによる心と体の緊張を解きほぐすものです。
 習得するための心構えとして、
1. 何のために身につけたいのか(例えば、人前であがらないようにしたいとか、
  注意力や 集中力の増強を図りたいなど)という目標を明確にする
2. 技法を十分理解する
3. 毎日練習を積み重ねることが大切です。

【効 果】
◆自分自身をコントロールしやすくなる。
◆体の痛みや精神的な苦痛を軽減する。
◆疲労が回復する。
◆穏やかな気持ちになる。
◆仕事の能率があがる。

【基本的な行い方】
◆段階的に第6公式までマスターしていきますが、家庭や職場で行う場合は、第一段階の 重感(重さを感じる)訓練と第二段階の温感(暖かさを感じる)訓練までで十分です。
◆1回の訓練時間は10分程度で、朝昼晩と1日3回行うのが適当です。
◆週に1度くらいのペースで1か月ほど個人指導を受けてから、家庭や職場で実施するこ とが望ましいでしょう。身につくまで通常3カ月くらいかかると言われていますが、訓練 の効果には個人差があります。

【具体的な訓練法】
◆部屋を薄暗くして、静かな場所で行う。
◆メガネや時計、ベルトなどをはずして、服装も楽なものにする。
◆仰向けになるか、椅子にすわるかして、体全体の力を抜き、自分が最も楽な状態になる。
 
枕は軽く肩に接する程度。両腕は肘のところでやや曲げて力を抜く。両足はやや開いて扇 形にする。 椅子は、足裏が床につく高さのもの。深く腰をかけ、頭部と背筋を伸ばして深く息を吸い 込んだあと、全身の力を抜く。両手はやや開きぎみにして太ももの上に乗せる。

◆第1公式に入る前の準備として、安静練習(背景公式=気持ちが落ちついたという暗示)を行う。
・静かに目を閉じ深呼吸を2〜3回して、「自分はとてもリラックスしている」と念じる。気持ちが落ち着いたら、次の公式を練習する。

◆第一段階の公式(第1公式=両手、両足が重たいという暗示)に入る。
全身の力を抜き、利き腕に意識を集中させる。右手であれば、「右手が重たい、右手が重 たい」と何度も頭の中で繰り返す。重たさを感じるまでには数日はかかるので、初めは3〜5分くらいでやめておく。
次に、左手、右足、左足と暗示をかけていく。大事なのは、右手を重くしようと思うのではなく、右手が重く感じるようになるまで待つこと。右手が重たく感じられたら左手へ。そして次に右足、左足の順に重感を得ていく。

◆第二段階の公式(第2公式=両手、両足が温かいという暗示)に入る。

・第1公式同様、利き腕から順番に
「右手が温かい」と暗示をかけていく。
・お湯に手や足がつかっているところを想像するのもよい。

【訓練中の注意事項】
・練習中は一種の催眠状態になるので、突然目をあけたり、急に立ち上がるなど急激な動 作をすると、めまいやふらつきが起こることがあります。
・訓練を終わるときは、下図の取り消し動作(消去動作)を必ず行いましょう。ただし、 寝る直前に行うのであればしなくてもかまいません。
1.両手を胸元で固くにぎり、5〜6回開いたり閉じたりする。 2.ひじの屈伸運動を3〜4回行う。 3.両足の屈伸運動を3〜4回行う。 4.大きく背伸びをし、深呼吸してから目をあける。


■ 筋弛緩法
 アメリカの神経生理学者ジェイコブソン博士によって創案された“斬新的リラクセーシ ョン”がもとになっている方法です。
 自律神経系の働きによって起きた緊張は、意識的にとろうとしてなかなかもとれるもの ではありませんが、この方法は意識的に緊張をとる方法として工夫されているものです。

【基本的な行い方】
◆身体各部位の筋肉をまず数秒間緊張させ、つぎにそれを一挙に弛緩(脱力)させること により、不随意な緊張が意識的な脱力につられてゆるんできます。これを繰り返すことに より、単に筋肉を弛緩させるだけよりも深い弛緩が得られます。
◆力を入れる大きさは70〜80%の力で、力を入れる時間は5〜6秒ぐらいです。力を入れ たあとで、脱力してゆるめている時間は少なくとも10秒は必要です。
◆コツは、力をいれている時のその部位の感覚と、力を抜いて休めている時のその部位 の感覚の違いを味わうようにすることです。
◆自律訓練法と同じく毎日続けることが大切であり、日常生活のなかで自動的に緊張が出 たときに気づき、とることができるようになります。
◆全身の筋肉を順番にリラックスさせるものですが、オリジナルの方法はかなり長いので、体でリラックスした感じを覚える要点だけでも習得しましょう。
     

【具体的な行い方】
◆まず仰向けになって、全身の力を抜く。
◆手足を伸ばして、手を両わきに置く。
◆目を閉じて両手に握りこぶしをつくり、こぶしがブルブルふるえるまで強く力を入れる。 (5秒間)
 
◆そのあと、パッと力を抜き、手をダランとし、緊張した状態と完全に力が抜けた状態と の違いを感じ取る。(10秒間)
 
◆これを2回繰り返す。筋肉が弛緩した状態になったときに、体に暖かさを感じた場合が あるが、それは十分にリラックスしている証拠である。
◆両手のあと、両腕のつけ根、顔、首とあご、肩・胸・腹、右足、左足と順番に、筋肉を5秒間緊張させ、その後一挙に緊張を解き、10秒間弛緩状態を続けることを各部位 2回ず つ繰り返す。
 
◆最後は、体をリラックスした状態から普通の状態に戻す動作を行う。
 一つ、二つと数を数えながら、1手と腕を十分に動かす、2足を十分に動かす、3頭と 首を十分に動かす、4目をあける。
 そして、立ち上がり、全身を動かせば、体の状態は元に戻る。

 自律訓練法や筋弛緩法についての詳細は、富山県心の健康センターなどの専門機関でおたずねください。
 心身に強い症状がある場合や病気療養中の場合は、主治医との相談が必要です。



■気功法

 中国医学では、人の生命活動を支えている「気」(生命エネルギー)、「血」(血液)、「水」(体液)の3つのバランスがうまく保たれていることが大切と考えられています。
 なかでも気功法は、気を整えることにより、心身を自己コントロールし、調和と安定を図るものです。「調身」(気を入れやすい正しい姿勢)、「調息」(呼吸を整える)、「 調心」(心を整える)の3つを要素とし、呼吸法を中心にゆったりとした運動法を加えた
健康法です。ここでは、リラックスを主眼とした最も基本的な方法の例を紹介します。

【基本的な行い方】
◆静かなところで、衣服はゆったりしたものにし、時計や装備品は外します。
◆練習(練功)のあいだは、余計なことを考えず、練習に没頭しましょう。
◆練功を終わるときは、収功の動作(腹の前で両手をこすり、目にあて、顔もこする)を必ずゆっくりと行いましょう。
◆一度は指導者について習い、自分に合ったものを見つけることが大切です。

【具体的な行い方】
◆呼吸法(横隔膜と腹筋を使う腹式呼吸)を覚える。
 下腹をゆるめながら、宇宙のエネルギーをもらうような気持ちで鼻から徐々に息を吸う。 次に下腹をしぼませながら鼻か口からゆっくり息を吐ききる。つぎのような動作をつける ときは、呼吸のリズムに動作を合わせる。
◆「スワイショウ(前後の手ぶら)」をする。
 腕、肩、腰などの筋肉・関節をほぐす運動である。手を前後に振るが、どちらかといえ ば「後ろに引く」ことを意識して、振り子運動にまかせる。足の裏のことを考えて、1〜 2秒間に1往復のペースで15分ほど行う。


◆「吊頂式(ちょうちょうしき)」で立つ。
 足を肩幅に開き、膝をわずかに曲げ、尻をたらし、腰をゆるめる。肩が緊張せず、頭の てっぺんが上から吊られたような感じで、全身の重みを感じながら立つ。腕は、その重さで肩から垂れている。あやつり人形になった気分で行う。


■ヨーガ

 インドで生まれ、五千年の歴史がある方法で、体操(ポーズ)と呼吸法、瞑想の三本柱からなっています。
 ここでは、心身のリラックスに役立つと言われているポーズの例と呼吸法を簡単に紹介します。

【体操(ポーズ)】
◆動物や植物など自然界にあるさまざまな形をまね、曲げたりねじったりしてポーズをとることで、身体をしなやかにし、骨格のゆがみを正し、自律神経を調和しようとするものである。
◆ポーズは、10〜15秒ぐらいをかけゆっくりとなめらかに行い、動作中はその動作に関係する筋肉の部分に注意を向ける。呼吸と動作のペースを合わし、バラバラにならないようにする。
◆体位(姿勢)は5秒以上続ける。最初は5秒から始め、徐々に増やす。
◆最後には、完全弛緩のポーズ(下図右のポーズ)を1分以上行う必要がある。
◆気功法同様さまざまなやり方があるので、一度は指導者について習う。

(例)魚のポーズ
1両足をそろえて仰向けになり体の脇をしめるようにして肘を立てる。 2大きく息を吸い、その息を吐きながら肘を床に押しつけるようにし、胸を持ち上げ頭を 床につける。

完全弛緩のポーズ
ヨガのさまざまなポーズの間に入れるリラックスのためのポーズ。
3手のひらを上に向け、足を肩幅くらいに開いて投げだし、仰向けに寝る。1.このままの 姿勢でゆっくりと呼吸し、気持ちが鎮まるまで待つ。2.両手に力を入れて緊張させ、スト ーンと力を抜く。(「死体のポーズ」とも言われている)

【呼吸法】
◆ヨーガの呼吸は、まず「吐ききる」ことである。体を折り曲げながら、体内の汚れを吐
き出すつもりで意識的に思い切り息を吐くことを覚える。
◆次に、静かな腹式呼吸を練習する。下腹がへこんでいくのを意識しながら、ゆっくりと 鼻から息を吐く。吐ききったら、腹の力をふっと緩めると、息は自然に入ってくる。これ をゆっくり繰り返す。

 気功法やヨーガについての詳細は、厚生省認定の「健康増進施設」などの教室の専門家 におたずねください。
 心身に強い症状がある場合や病気療養中の場合は、主治医との相談が必要です。


【芳香浴】
◆植物の香りは、気分をよくするだけでなく、脳に働きかけてリラックスを図ると言われています。
◆日本でも菖蒲や柚、檜など香りのある植物が、古くから生活に利用されてきていますが、これをより積極的に活用したものです。
◆植物から抽出した純粋な精油(エッセンシャルオイル)を使って、心身のバランスを整えるようにすることを、アロマテラピー(芳香療法)とも言います。
◆暮らしの中のちょっとした工夫で、手軽に利用してみるとよいでしょう。

 ・ティッシュやハンカチに2〜3滴しみこませる。
 ・カップの熱湯に数滴たらす。
 ・お風呂に2〜3滴入れて、よくかきまぜる。
 ・アロマポット(水に精油を垂らし、熱で暖める容器)を使えば、
  部屋中に香りがただよう。

       

◆どんな香りがいいのかわからない人は、下の表を参考にしてみましょう。
ストレス、イライラがあるとき ラベンダー、ローマンカモミール、マージョラム など
精神的な疲れがあるとき ローズマリー、ペパーミント、レモン、バジル など
自信をなくしたり、
落ち込んだとき
グレープフルーツ、ジャスミン、クラリセージ など
情緒不安定なとき ベルガモット、ローズウッド、ゼラニウム など
不眠のとき ラベンダー、ローマンカモミール、オレンジ など

◆精油は植物の有効成分を濃縮して作られたものなので、取り扱いについては精油につい ている「使用上の注意」をよく読む必要があります。特に直接、皮膚につけたりする場合 は、専門家の指導を受けることが大切です。



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