統計情報ライブラリー/生活・環境全国消費実態調査
6.全国(地域別)の概況−消費支出
(1)消費支出は石川県が最も多い
 全世帯の1か月平均消費支出を都道府県別にみると、全国平均を100とした場合、石川県が115.0で最も高く、神奈川県、茨城県、富山県、滋賀県、東京都と続いている。
 一方、最も低いのは沖縄県の74.7で、宮崎県、鹿児島県、高知県、長崎県、青森県と続いている。(図1)(富山県;111.7)

  図1 都道府県別1か月平均消費支出(全世帯)
 
 
 
(2)消費支出の名目増加率は28県で全国平均を上回る
 全世帯について、平成元年から6年までの5年間の消費支出の名目増加率をみると、鹿児島県が28.7%と最も高く、石川県、長崎県、熊本県、新潟県、富山県と続いており、28県で全国平均(12.7%増)を上回っている。
 一方、名目増加率が最も低いのは高知県の6.2%で、京都府、神奈川県、和歌山県、埼玉県、千葉県と続いている。(富山県;19.5%増加)


 
(3)消費支出の都道府県間格差は縮小
  全世帯の1か月平均消費支出の都道府県間格差を、全国平均消費支出を100とした指数の標準偏差(ばらつき)でみると、昭和34年の12.6から縮小傾向 が続き、54年には6.9となったが、その後、59年は10.2、平成元年は10.9と拡大した。しかし、バブル崩壊後の平成6年は9.9と再び縮小して いる。


 
(4)都道府県間格差の大きい教育と住居
  全世帯について、全国平均を100とした費目別指数の都道府県間標準偏差をみると、教育が25.3と最も大きく、以下、住居が23.2、教養娯楽が 14.7などとなっている。これに対して、光熱・水道は7.7、食料は8.3と小さくなっている。この順位は、前回調査の平成元年とほぼ同じである。
 教育の指数についてみると、最も大きい奈良県が141.9であるのに対し、最も小さい島根県は47.0となっており、大都市圏で大きくなっている。これは、教育施設の整備状況等によるものと考えられる。 (富山県;78.9)
 次に、住居の指数についてみると、最も大きい東京都が170.2であるのに対し、最も小さい高知県は53.9となっている。住居のうち家賃・地代の指数をみると、最も大きい東京都が229.0なのに対し、最も小さい富山県は24.8となっている。これは、東京都の持家率が59.4%と最も低く、富山県が92.0%と最も高いことや、家賃の格差が影響していると考えられる。


 
(5)費目別の特徴
ア 西日本では魚介類、肉類の割合とともに全国平均より高い県が多く、首都圏ではともに低い県が多い

 1か月平均消費支出のうち、食料に占める魚介類、肉類の割合についてみると、魚介類は、秋田県が16.3%と最も高く、高知県、石川県、青森県、佐賀 県、山形県と続いている。一方、最も低いのは沖縄県の9.7%で、岐阜県、愛知県、埼玉県、群馬県、栃木県、宮崎県と続いている。
 肉類についてみると、和歌山県が13.1%と最も高く、奈良県、鹿児島県、大分県、滋賀県、兵庫県と続き、おおむね近畿、九州地方の各県で高くなってい る。一方、最も低いのは新潟県の6.9%で、岩手県、群馬県、栃木県、山形県、福島県と続き、おおむね東北、関東地方の各県で低くなっている。
 各都道府県の食料に占める魚介類と肉類の割合について全国平均と比較すると、西日本では魚介類、肉類とも全国平均より高い県が多く、首都圏では魚介類、肉類とも低い県が多くなっている。 (富山県;食料に占める魚介類の割合13.7%、肉類の割合8.5%)
 
イ 外食の割合は関東、中部地方で高い県が多い

 1か月平均消費支出のうち、食料に占める外食の割合についてみると、東京都が18.2%と最も高く、愛知県、千葉県、埼玉県、岐阜県、群馬県と続き、お おむね関東、中部地方で高い県が多くなっている。一方、最も低いのは山形県の11.8%で、秋田県、和歌山県、島根県、山口県、青森県と続いている。(富 山県;14.8%)
 
ウ 家賃・地代の割合は東京都が最も高い

 1か月平均消費支出に占める住居の割合のうち、家賃・地代についてみると、東京都が6.7%と最も高く、大阪府、神奈川県、沖縄県、兵庫県、北海道と続 き、持家率の低い県で高くなっている。一方、最も低いのは富山県の0.7%で、秋田県、福井県、三重県、滋賀県、山形県、新潟県と続き、持家率の高い県で 低くなっている。

エ 交通費の割合は大都市圏で高く、自動車等関係費の割合は大都市圏以外で高い傾向

 1か月平均消費支出に占める交通・通信の割合のうち、電車代、バス代、タクシー代などの交通費についてみると、神奈川県が3.2%と最も高く、千葉県、 東京都、兵庫県、埼玉県、奈良県と続いている。一方、最も低いのは徳島県の1.0%で山梨県、山形県、群馬県、栃木県、島根県と続いている。
 交通費は、公共交通機関の整備されている大都市圏の各県で高く、大都市圏以外の各県で低くなっている傾向がうかがえる。
 自動車の購入及び維持費などの自動車等関係費の割合は、三重県と鹿児島県がともに8.6%と最も高く、滋賀県、岐阜県、山口県、茨城県、宮崎県と続いて いる。一方、最も低いのは東京都の3.8%で、以下、大阪府、神奈川県、愛媛県、京都府、奈良県と続いている。自動車保有率の高い都市圏以外の各県で高 く、公共交通機関の整備されている大都市圏の各県で低くなっている傾向がうかがえる。
 各都道府県の消費支出に占める交通・通信の割合のうち、交通費と自動車等関係費の割合について全国平均と比較すると、大都市圏では交通費の割合が全国平 均よりも高く、大都市圏以外では自動車等関係費の割合が高くなっている。しかし、北海道、四国地方及び沖縄では、交通費、自動車等関係費ともに全国平均を 下回っている。(富山県;交通費1.4%、自動車等関係費7.0%)

オ 教育の割合はおおむね都市圏及び近畿圏で高い

 1か月平均消費支出に占める教育の割合は、奈良県が7.4%と最も高く、埼玉県、大阪府、東京都、沖縄県、神奈川県、京都府と続き、おおむね大都市圏の 各県で高くなっている。一方、最も低いのは秋田県と島根県の2.7%で山形県、鳥取県、山口県、香川県、岡山県と続いている。(富山県;3.8%)

カ 教養娯楽サービスの割合は関東地方で高い

 1か月平均消費支出に占める教養娯楽の割合のうち、パック旅行費、月謝類などの教養娯楽サービスについてみると、東京都が6.1%と最も高く、以下、群馬県、千葉県、神奈川県、岐阜県と続き、おおむね関東地方の各県で高くなっている。
  一方、最も低いのは青森県と沖縄県の3.6%で、以下、秋田県、岩手県、愛媛県、高知県と続き、おおむね東北、四国地方で低くなっている。(富山県;4.6%)

キ 交際費と仕送り金の割合は大都市圏以外で高い傾向

 1か月平均消費支出に占める「その他の消費支出」の割合のうち、交際費と仕送り金についてみると、交際費は福島県が11.9%と最も高く、青森県、岩手県、島根県、山梨県、茨城県と続いている。
 一方、最も低いのは神奈川県の6.9%で、愛知県、埼玉県、千葉県、大阪府、東京都と続き、大都市圏以外の各県で割合が高く、大都市圏では低い傾向がみられる。
 仕送り金は愛媛県が6.6%と最も高く、長野県、徳島県、石川県、高知県、山口県と続いている。
 一方、最も低いのは東京都と神奈川県の1.0%で、埼玉県、大阪府、千葉県、奈良県、京都府と続き、交際費と同様、大都市圏以外の各県で高く、大都市圏 では低い傾向がみられる。これは、大都市圏以外の各県では、仕送り金のうち遊学仕送り金の多いことが要因と考えられる。 (富山県;交際費、9.4%、仕送り金5.3%)