行財政


 本県財政については、歳入では国の「経済・財政再生計画」において、平成30年度までに国・地方を通じた基礎的財政収支赤字の対GDP比マイナス1パーセントを達成するため、地方の歳出改革・効率化を図るとされた一方で、歳出では公債費や福祉・医療などの義務的経費が高い水準で推移しており、平成28年度予算編成前の時点で財源不足は約46億円となる見込みとなった。

 このため、平成28年度予算編成にあたっては、歳入の確保に努めるとともに、人件費の抑制、事務事業の徹底した見直し、マイナス・シーリングの設定等により、引き続き行財政改革に真摯に取り組む一方で、北陸新幹線の開業効果を持続・深化させる施策に積極的に取り組むとともに、先に策定した「とやま未来創生戦略」に基づき、人口減少に歯止めをかけ、将来にわたって持続的に活力を生み出すことのできる地域社会を構築し、本県の新たな未来を切り拓いていく施策を推進していくこととした。また、「とやま未来創生戦略」に定める計画期間(5年間)のさらに先となる、10年、20年、あるいは30年先の本県の将来を見据えた施策のほか、新・元気とやま創造計画の活力、未来、安心の3つの基本政策についても、その着実な推進に向けて、積極的かつ戦略的に取り組んでいくこととした。

 歳出については、要求上限を設けない「とやまの未来創生戦略等推進枠」を設定し、「とやま未来創生戦略」を推進するための施策や、北陸新幹線の開業効果の持続・深化を図るうえで効果の高い施策を盛り込むことに加え、産官学金労等の関係機関や幅広い県民との連携・協力により、政策効果をより高める工夫を行うこととしたほか、「経済・文化長期ビジョン枠」(概ね10億円)により、今後策定する「富山県経済・文化長期ビジョン」のとりまとめの方向性を踏まえ、技術革新をはじめとした新たな時代の流れへの対応や、本県の産業や文化等の分野を担っていく人材の育成に向けた息の長い取組みなど、未来への種蒔きとなるようなモデル的又は先行的な施策を推進することとした。さらに、「新・元気とやま創造計画枠」(概ね20億円)を設け、新計画の重点戦略に位置付けられた事業に優先配分するとともに、各般の施策について、重点的に取り組んでいくこととした。

 また、国の平成27年度補正予算について、地方創生や人口減少対策、TPPを見据えた農林水産業の体質強化対策などに国と地方が歩調を合わせて取り組んでいくことが重要であることから、国の補正予算を最大限に活用して編成した平成27年度2月補正予算と平成28年度当初予算を一体的に編成し、積極的に施策を推進することとした。特に、国の平成27年度補正予算に盛り込まれた「地方創生加速化交付金」については、平成28年度当初予算事業との一体的な活用を図り、本県の地方創生に向けた取組みをさらに加速化させることとした。

 歳入については、企業の収益動向等を踏まえて税収の見積もりを行うとともに、特定目的基金の活用、受益者負担の適正化等に取り組んだ。

 これらの結果、平成28年度一般会計予算は、総額では5,582億16百万円余となり、前年度比0.4%の減となったが、2月補正予算(先行提案分)を含めた14か月予算での比較では、前年度比+0.2%増、また、人件費、公債費、新幹線負担金を除いた比較では前年度比+1.0%となった。また、経済・産業の振興、雇用対策、子育て、教育、医療、福祉や公共事業・主要県単独建設事業等の政策経費(当然減※を除く)は、前年度比0.5%増となったが、一体的に編成した平成27年度2月補正予算を合わせた14ヶ月予算での実質規模の比較では、1.8%の増と、相当程度積極的な予算となった。また、これまで行財政改革にスピード感をもって積極的に取り組んだ結果、平成17年度予算編成時に約400億円あった構造的財源不足が平成28年度当初予算編成時には解消されることとなったほか、近年の県債新規発行額の抑制等が奏功し、平成28年度末の県債残高が約半世紀ぶりに前年度比で減少する見込みとなった。予算全体の姿としては、引き続き、人件費や県債の新規発行額の抑制など、「財政健全化」に留意しながら、新幹線開業を追い風に地方創生や人口減少対策に向けて積極的に取り組む、「未来とやま かがやき予算」としたところである。(※新幹線整備事業負担金、経済変動に係る緊急融資)

一般会計歳入・歳出予算額 (平成28年度)
5,582億1,652万円
 富山県財政課