統計情報ライブラリー/産業商業統計調査
立地環境特性(小売業)

1.商店数 −シェアは小さいが工業地区で増加− 

・ 商店数は、商業集積地区が6,047店(前回比▲9.6%減)と最も多く、次いで住宅地区が5,112店(同▲6.7%減)、その他地区が4,475店(同▲6.8%減)の順となっている。前回と比べると工業地区では増加しているが、オフィス街地区、商業集積地区、住宅地区、その他地区では減少している。
・ 構成比をみると、商業集積地区が35.7%、住宅地区が30.2%、その他地区が26.4%となっている。中心市街地の活性化、再開発が進展しているものの、小売業全体の減少に対し商業集積地区が約4割の寄与となっている(表−12)。      
  表−12 特性地区別の主要指標
特性地区別 商店数(店) 従業者数(人) 年間販売額(百万円) 売場面積(u)
11年 9年 前回比(%) 11年 9年 前回比(%) 11年 9年 前回比(%) 11年 9年 前回比(%)
小売業   16,947 構成比 16,091 ▲ 7.6 77,298 構成比 70,476 1.5 1,303,140 構成比 1,376,267 ▲ 11.6 1,454,298 構成比 1,415,044 ▲ 2.4
  商業集積地区 6,047 35.7 6,313 ▲ 9.6 28,053 36.3 28,078 ▲ 4.3 471,298 36.2 534,244 ▲ 16.5 632,333 43.5 663,035 ▲ 9.3
オフィス街地区 657 3.9 674 ▲ 12.3 2,663 3.4 2,739 ▲ 10.1 35,604 2.7 42,408 ▲ 21.1 34,582 2.4 35,520 ▲ 7.5
住宅地区 5,112 30.2 4,754 ▲ 6.7 24,531 31.7 20,900 7.8 384,688 29.5 390,122 ▲ 7.5 427,953 29.4 390,803 3.6
工業地区 656 3.9 527 8.7 4,555 5.9 3,411 26.3 93,258 7.2 90,812 ▲ 2.8 85,207 5.9 62,807 32.1
その他地区 4,475 26.4 3,823 ▲ 6.8 17,496 22.6 15,348 0.2 318,292 24.4 318,682 ▲ 9.4 274,223 18.9 262,879 ▲ 1.2
(注) 平成11年調査において事業所の捕捉を行っており、前回比については時系列を考慮したもので算出している。

【特性地区別区分の例示】
  原則として、都市計画法に基づき立地環境を区分しているが、例示は次のとおりである。
商業集積地区 概ね30店舗以上ある一つの商店街を一つの商業集積地区とする。また、ショッピングセンターや多事業所ビル(駅ビル、寄合百貨店等)は、一つの商業集積地区とする。
オフィス街地区 上記商業集積地区(概ね30店舗以上の商店街)以外の商業地区。
住宅地区   住宅の環境を守るための地区(小中学校や病院、大学、事務所、ホテルなども建築可能)。
工業地区   どんな工場でも建てられる地区(住宅や商店は建築可能だが、小中学校や病院、ホテルなどは建てられない)。
その他地区  農漁山村地区。
 

2.従業者数 −工業地区、住宅地区で増加− 

・ 従業者数は、商業集積地区が28,053人(前回比▲4.3%減)と最も多く、次いで住宅地区が24,531人(同7.8%増)、その他地区が17,496人(同0.2%増)の順となっている。前回と比べるとオフィス街地区、商業集積地区は減少したものの、工業地区、住宅地区、その他地区は増加している。
・ 構成比をみると、商業集積地区が36.3%、住宅地区が31.7%、その他地区が22.6%となっている(表−12)。
 

3.年間販売額 −全ての地区で減少− 



・年間販売額は、商業集積地区が4,713億円(前回比▲16.5%減)と最も高く、次いで住宅地区が3,847億円(同▲7.5%減)、その他地区が3,183億円(同▲9.4%減)の順となっている。前回と比べると全ての地区で減少したが、シェアは小さいがオフィス街地区は大きく減少している。
・ 構成比をみると、商業集積地区が36.2%、住宅地区が29.5%、その他地区が24.4%となっている(表−12)。
 

4.売場面積 −住宅地区、工業地区で増加− 



・ 売場面積は、商業集積地区が632,333u(前回比▲9.3%減)と最も多く、次いで住宅地区が427,953u(同3.6%増)、その他地区が274,223u(同▲1.2%減)の順となっている。前回と比べると住宅地区、工業地区は増加したが、商業集積地区、オフィス街地区、その他地区で減少している。
・ 構成比をみると、商業集積地区が43.5%と売場面積の約5割を占めているものの、前回に比べその割合は縮小となった(表−12)。
 

5.1商店当りの売場面積 −工業地区、住宅地区で増加− 



・ 小売業の1商店当たりの売場面積は86u、前回比▲2.3%の減少となった。これを地区別にみると、工業地区が130u(前回比9.2%増)と前回に引き続き拡大した。次いで商業集積地区が105u(前回と同じ)となっており、小売業平均の86uを上回り、商店の大型化がみられる(図−34)。
          
  図−34 1商店当りの売場面積の推移
 
特性地区別 1商店当りの売場面積(u)
11年 9年 前回比(%) 全国の前回比(%)
小売業 86 88 ▲ 2.3 5.7
商業集積地区 105 105 0.0 5.1
オフィス街地区 53 53 0.0 2.4
住宅地区 84 82 2.4 6.1
工業地区 130 119 9.2 14.0
その他地区 61 69 ▲ 11.6 7.6

 

5.単位当たりの年間販売額 −全地区で減少− 


1商店当たり年間販売額は、小売業平均で7,690万円、前回比▲10.1%の減少となり、全国の前回比(小売業全体▲1.8%減)を大きく上回る減少となった。
・これを地区別にみると、工業地区が14,216万円(同▲17.5%減)と最も高く、次に、商業集積地区が7,794万円(同▲7.9%減)、オフィス街地区が5,419万円(同▲13.9%減)と、すべての地区で減少となった(表−13、図−35)。
 

表−13 特性地区別単位当りの年間販売額


 
 

図−35 1商店当りの年間販売額と前回比

従業者1人当たりの年間販売額は、小売業平均で1,686万円、前回比▲13.7%と2桁の減少となった。
これを地区別にみると、工業地区が2,047万円(同▲23.1%減)と最も高く、次いで、その他地区が1,819万円(同▲12.4%減)、商業集積地区が1,680万円(同▲11.7%減)と、すべての地区で減少となった(表−13)。
売場面積1u当たりの年間販売額は、小売業平均で90万円、前回比▲7.9%の減少となった。
これを地区別にみると、その他地区が116万円(同▲4.3%減)と最も高く、次いで、工業地区が109万円(同▲24.3%減)、オフィス街地区が103万円(同▲13.8%減)となっており、すべての地区で減少となった。これは、低価格化の進展と消費者の節約志向を背景とした売上げの減少に加え、大型店を中心に多様化する消費者ニーズに対応したショッピングの楽しめる買い物空間などゆとりのある店舗造りが取り入れられていることなどによると考えられる(表−13)。