統計情報ライブラリー/経済富山県産業連関表
生産波及の大きさは60年に比べて縮小
 各産業の生産活動が全産業にもたらす生産波及の大きさは1.3599倍で昭和60年よりも縮小した。

 生産波及効果は、ある産業に生じた新たな需要が、県内の生産活動に与える影響を見る指標であり、これが大きいほど生産1単位当たりの波及効果は大きくなる。昭和60年の生産波及の大きさは1.3790倍で平成2年はこれより縮小した。
 産業別に生産波及の大きさを見ると製造業、鉱業、運輸業、建設業が高く、公務、金融・保険業、不動産業が低い。
 産業全体の生産拡大を考える場合は、生産波及の大きさの大きい製造業、鉱業、運輸業、建設業への需要増大を考えればよい。
 なお、産業連関表を用いて経済波及効果を考えたり、分析したりする場合は、次ページの前提条件があるので注意が必要である。

図
産業連関表を用いて経済波及効果を分析する際の前提条件
1 投入係数は一定であり、技術革新は行われない。
2 県内産品自給率は県内需要が増加しても一定である。
3 生産の波及過程において在庫の使用は行われない。
4 需要に対する供給不足は起こらない。
5 消費性向とその消費項目構成比は所得が変化しても変化しない。
6 経済波及効果の実現時期は特定できない。
 実体経済においては、技術革新はおこりうるし、県内需要が急激に増えた場合は、県内企業の生産で対応できず供給不足となり、移輸入が増大して自給率は変化する。さらに、生産を増加する前に在庫を取り崩すのが通常である。また、所得が増大した場合、消費性向は増加し、さらに消費品目も上級品にシフトするのが普通である。
 これらの制約要因はあるものの、この特性を理解して波及効果分析を実施すれば高い分析効果が得られる。