平成16年小規模事業所の賃金、労働時間及び雇用の概要から
(毎月勤労統計調査特別調査結果) 
  
 毎月勤労統計調査には、常用労働者5人以上の事業所を対象に毎月行う全国調査及び地方調査と、常用労働者1〜4人の事業所を対象に年1回行う特別調査がある。本稿は、厚生労働省が平成16年12月に公表した 「平成16年毎月勤労統計調査特別調査の結果概況」に基づき富山県分の特別調査結果の概要をとりまとめたものである。
1賃金
(1)きまって支給する現金給与額
7月におけるきまって支給する給与は、調査産業計で198,762円(対前年比0.2%減)となった。
これを男女別にみると、男性は267,613円(同1.0%増)、女性は154,550円(同0.4%減)となっている。
主な産業についてみると、建設業が261,748円,製造業200,546円、卸売・小売業は171,469円、飲食店,宿泊業は150,407円、サービス
業は202,395円となった。(第1表,図1)

(2)特別に支払われた現金給与額支給割合は1.57ヶ月分−
平成15年8月から平成16年7月までの1年間に、賞与など特別に支払われた現金給与額は、調査産業計で311,723円(対前年比7.5%減)となった。
これを男女別にみると、男性は393,534円(同8.6%減)、女性は260,442円(同5.5%減)となっている。
主な産業についてみると、建設業290,412円(同7.8%増)、製造業189,694円(同34.7%減)、卸売・小売業206,640円(同16.7%減)、飲食店,宿泊業68,773円(同16.2%増)、サービス業299,000円(同11.2%減)となった。
また、年間特別給与支給割合(7月のきまって支給する現金給与額に対する年間の特別に支払われた現金給与の割合)は、調査産業計で 1.57ヶ月分(前年1.69ヶ月分)となった。(第2表,図2)

2 出勤日数と労働時間

(1) 出勤日数 − 卸売・小売業が最高22.8日 −
1ヶ月間の出勤日数は、調査産業計で22.0日(前年差0.1日減)となった。 (第3表,図3)
これを男女別にみると、男性は22.8日(同0.5日増)、女性は21.5日(同0.5日減)となった。

(2)実労働時間− 建設業が最高7.7時間 −
通常日の実労働時間数は7.3時間(前年同時間)となった。
これを男女別にみると、男性は7.9時間(前年同時間)、女性は6.9時間(前年同時間)となった。(第3表,図3)



3 雇用

常用労働者数 − 常用労働者の約6割が女性 −
「規模1〜4人の事業所」の常用労働者数を県全体で推計すると、調査産業計で28,333人となった。
これを男女別にみると、男性は11,079人、女性17,254人となり、女性常用労働者の割合は60.9%となっている。
 (第5表,図4,図5)


        

常用労働者構成割合
規模1〜4人の事業所の調査産業計常用労働者を100として常用労働者構成割合を産業別にみると、卸売・小売業27.6%と最も多く、次いでサ ービス業23.5%、建設業14.5%、飲食店,宿泊業6.9%、製造業6.3%の順となっている。
男性常用労働者を100とすると、建設業の常用労働者が最も多く26.7%で、次いで卸売・小売業が25.5%、女性常用労働者を100とすると卸売・小売業の 常用労働者が最も多く29.0%で、次いでサービス業が27.4%であった。(図6)


(注)「その他」とは、鉱業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業、金融・保険業、不動産業、
医療,福祉、教育,学習支援業、複合サービス業の合計である。

4 全国との比較

(1)きまって支給する現金給与額
きまって支給する現金給与総額は、全国は192,588円であったのに対し、富山県は198,762円で全国を6,174円上回った。
(2) 特別に支払われた現金給与額
年間の特別に支払われた現金給与額は、全国は225,303円であったのに対し、富山県は311,723円で全国を86,420円上回り、年間特別給与支 給割合でも全国1.17ヶ月に対し、富山県1.57ヶ月で全国を0.4ヶ月上回った。
(3)出勤日数
月間出勤日数は、全国は21.4日、富山県は22.0日で、全国より0.6日多かった。
(4)実労働時間数
通常日の実労働時間数は、全国は7.2時間、富山県は7.3時間で、全国より0.1時間多かった。(第5表)


5 用語の定義

(1)常用労働者
   調査期日現在、該当事業所に在籍している労働者で、次のいずれかに該当する者をいう。
ア 期間を定めず、又は、1ヵ月を超える期間を定めて雇われている者。
イ 同一事業所に日々又は1ヶ月以内の期間を限って雇われていた者のうち、5月と6月にそれぞれ18日以上雇われた者。
なお、いわゆる重役や理事などの役員でも、部長、工場長あるいは支店長などのように、常時事業所に出勤して、雇用者として一定の職務に従事し、  一般雇用者と同じ基準で毎月給与が算定されている者は常用労働者に含める。
また、いわゆるパートタイム労働者で上記ア、イの条件を満たしている者も常用労働者に含める。

(2)きまって支給する現金給与額
 労働契約、労働協約、就業規則等によってあらかじめ定められている支給条件、算定方法に基づき、毎月きまって現金で支給される給与額(超過勤務手当を含む。)のことをいう。所得税、各種社会保険料を差し引く以前の金額である。

(3)特別に支払われた現金給与額
  平成15年8月1日から平成16年7月31日までの1年間分の一時的又は臨時的に支払われた現金給与額及び3ヵ月を超える期間ごとに支払われた現金給与額のことをいう。主なものとして、夏季、年末の賞与がこれに該当する。特別調査においては、勤続1年以上の者1人当り平均を算出している。

(4)実労働時間
労働者が実際に働いた労働時間をいい、休憩時間を含まない。7月中の通常日1日について調査しており1時間未満の端数については、労働者ごとに30分以上は切上げ、30分未満は切捨てとしている。


毎月勤労統計調査特別調査の概要

(1)調査の目的

 この調査は、常用労働者1〜4人を雇用する事業所の賃金、労働時間及び雇用の状況を明らかにし、労働行政施策の基礎資料を得ることを目的としている。

(2)調査の期日・内容
平成15年7月分の賃金、労働時間及び雇用の状況(ただし、特別に支払われた給与については、平成14年8月から平成15年7月までの1年について集計したもの)。
(3)調査の対象業種
鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業の9業種(家事サービス業及び外国公務を除く)について調査している。
(4)調査事業所数
毎月勤労統計調査特別調査の指定調査区36区の432事業所(全国約25,000事業所)。