平成15年小規模事業所の賃金、労働時間及び雇用の状況
(毎月勤労統計調査特別調査結果) 

毎月勤労統計調査には、常用労働者5人以上の事業所を対象に毎月行う全国調査及び地方調査と、常用労働者1〜4人の事業所を対象に年1回行う特別調査がある。 本稿は、厚生労働省が平成15年12月に公表した「平成15年毎月勤労統計調査特別調査の結果速報」に基づき富山県分の特別調査結果の概要をとりまとめたものである。
      1 賃金
(1)きまって支給する現金給与額
ア 規模1〜4人の事業所 - 建設業が最高253,897円 - 
「規模1〜4人の事業所」の月間きまって支給する給与は、調査産業計で199,087円(対前年比6.03%増)となった。 
これを男女別にみると、男性は264,769円(同3.78%減)、女性は155,143円(同12.23%増)となっている。
 次に産業別にみると、建設業が253,897円(同15.19%減)で最も高く、次いで製造業207,843円(同21.93%増)、サービス業200,779円(同13.93%増)、卸売・小売業,飲食店166,499円(同7.46%増)の順となった(表1,図1)。 
イ 「規模30人以上の事業所」との比較「規模30人以上の事業所」の定期給与額を100とすると、「規模1〜4人の事業所」の調査産業計は、67.7(前年63.7)となった (表1,図1)。 

(2)特別に支払われた現金給与額 -  支給割合は1.69ヶ月分 -
平成14年8月から平成15年7月までの1年間に、賞与など特別に支払われた現金給与総額は、調査産業計で336,648円(対前年比15.6%増)となった。
これを男女別にみると、男性は429,946円(同3.8%増)、女性は275,513円(同24.1%増)となっている。
次に産業別にみると、サービス業が409,038円(同11.2%増)、次いで製造業359,739円(同130.9%増)、建設業269,356円(同3.9%増)、卸売・小売業,飲食店198,378円(同8.0%減)の順となった。
また、年間特別給与支給割合(7月のきまって支給する現金給与額に対する年間の特別に支払われた現金給与の割合)は、調査産業計で1.69ヶ月分(前年1.55ヶ月分)となった(表2,図2)。

(注)1)「特別に支払われた現金給与額」は、勤続1年以上の常用労働者を対象にしており、賞与のほかベースアップ差額追給分等を含む。
      2)規模5人以上、規模30人以上の特別に支払われた給与は、毎月勤労統計調査地方調査(平成14年平均及び平成13年平均)による。
      3)支給割合は、7月の「きまって支給する現金給与額」に対する「特別に支払われた現金給与額」の割合である。

2 出勤日数と労働時間
(1) 出勤日数 − 卸売・小売業,飲食店が最高23.0日 −
1ヶ月間の出勤日数は、調査産業計で22.1日(前年差0.0日)となった。
これを男女別にみると、男性は22.3日(同△0.8日)、女性は22.0日(同0.5日)となった。
次に産業別にみると、卸売・小売業,飲食店が23.0日(同0.7日)で最も多く、次いで建設業が22.0日(同△0.7日)、製造業21.8日(同△0.1日)、サービス業21.6日(同0.0日)の順となっている。
なお、規模30人以上の事業所と比較すると、出勤日数は1.4日(前年1.2日)多くなっている(表3)。
(2) 実労働時間 − 建設業が最高7.7時間 −
通常日の実労働時間数は7.3時間(前年差0.1時間)となった。
これを男女別にみると、男性は7.9時間(同△0.1時間)、女性は6.9時間(同0.1時間)となった。
次に産業別にみると、建設業が7.7時間(同0.1時間)で最も長く、サービス業7.2時間(同△0.2時間),卸売・小売業,飲食店7.2時間(同0.2時間)、製造業7.1時間(同0.4時間)の順となっている。 なお、規模30人以上の事業所と比較すると、実労働時間は0.7時間(前年0.7時間)短くなっている(表4)。

    3 雇用
(1)常用労働者数 − 常用労働者の約6割が女性 −
「規模1〜4人の事業所」の常用労働者数を県全体で推計すると、調査産業計で30,819人となった。
これを男女別にみると、男性は12,354人、女性18,465人となり、女性常用労働者の割合は59.9%となっている。
また、女性常用労働者の割合を産業別にみると、サービス業の71.0%が最も高く、次いで卸売・小売業,飲食店の69.0%となっている(表5,図4,図5)。
(2)常用労働者構成割合
規模1〜4人の事業所の調査産業計常用労働者を100として常用労働者構成割合を産業別にみると、サービス業が35.1%と最も多く、次いで卸売・小売業,飲食店33.5%、建設業15.0%、製造業8.1%の順となっている。
男性常用労働者を100とすると、建設業の常用労働者が最も多く28.7%で、次いで卸売・小売業,飲食店が25.9%、女性常用労働者を100とするとサービス業の常用労働者が最も多く41.6%で、次いで卸売・小売業,飲食店が38.6%であった(図6)。

(注)「その他」とは、鉱業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、金融・保険業、不動産業の合計である。
4 全国との比較
(1)きまって支給する現金給与額
きまって支給する現金給与総額は、全国は193,570円であったのに対し、富山県は199,087円で全国を5,517円上回った。
(2) 特別に支払われた現金給与額
年間の特別に支払われた現金給与額は、全国は241,577円であったのに対し、富山県は336,648円で全国を95,071円上回り、年間特別給与支給割合でも全国1.25ヶ月に対し、富山県1.69ヶ月で全国を0.44ヶ月上回った。
(3) 出勤日数
月間出勤日数は、全国は21.5日、富山県は22.1日で、全国より0.6日多かった。
(4) 実労働時間数
通常日の実労働時間数は、全国、富山県とも7.3時間で、同水準であった(表6)。
毎月勤労統計調査特別調査の概要
 
(1)調査の目的
この調査は、常用労働者1〜4人を雇用する事業所の賃金、労働時間及び雇用の状況を明らかにし、労働行政施策の基礎資料を得ることを目的としている。
(2)調査の期日・内容
平成15年7月分の賃金、労働時間及び雇用の状況(ただし、特別に支払われた給与については、平成14年8月から平成15年7月までの1年について集計したもの)。
(3)調査の対象業種
鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業の9業種(家事サービス業及び外国公務を除く)について調査している。
(4)調査事業所数
毎月勤労統計調査特別調査の指定調査区36区の432事業所(全国約25,000事業所)。