平成12年小規模事業所の賃金、労働時間及び雇用の状況
(毎月勤労統計調査特別調査結果)
 

はじめに

  毎月勤労統計調査には、常用労働者5人以上の事業所を対象に毎月行う全国調査及び地方調査と、常用労働者1〜4人の事業所を対象に年1回行う特別調査とがある。
本稿は、労働省が平成12年12月に公表した「平成12年毎月勤労統計調査特別調査の結果速報」に基づき、富山県分の概要をとりまとめたものである。

(1)調査の目的
この調査は、常用労働者1〜4人を雇用する事業所の賃金、労働時間及び雇用の状況を明らかにし、労働行政施策の基礎資料を得ることを目的としている。
(2)調査の期日・内容
平成12年7月分の賃金、労働時間及び雇用の状況(ただし、特別給与については、平成11年8月から平成12年7月までの1年間について集計したもの。)。
(3)調査の対象業種
鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業の9業種(家事サービス業及び外国公務を除く。)について調査している。
(4)調査事業所数
毎月勤労統計調査基本調査区から抽出した331事業所(全国約26,000事業所)

  
1 賃金

(1) きまって支給する現金給与額
  ア 規模1〜4人の事業所 −前年に比べわずかに増加−
「規模1〜4人の事業所」の月間きまって支給する給与は、調査産業計で187,688円となり、前年に比べ0.6%の増加となった。
これを男女別にみると、男子は264,338円、女子は141,234円となっている。
次に産業別にみると、建設業が271,598円で最も高く、次いで製造業191,832円、卸売・小売業、飲食店171,157円、サービス業162,489円の順となった(表1、図1)。
  イ  「規模30人以上の事業所」との比較 −格差△32.2ポイント−
「規模30人以上の事業所」の定期給与額を100とすると、「規模1〜4人の事業所」の調査産業計は、67.8となった。
これを男女別にみると、男子は78.0、女子は75.9となっている。
次に産業別にみると、卸売・小売業,飲食店が93.9で最も高く、次いで建設業87.8、製造業70.0、サービス業55.7の順となった(表1)

(2) 特別に支払われた現金給与額  −建設業、卸売・小売業、飲食店で大きく減少−
  平成11年8月から平成12年7月までの1年間に、賞与など特別に支払われた現金給与総額は、調査産業計で291,609円となり、前年に比べ5.1%の減少となった。
これを男女別にみると、男子は411,333円、女子は217,676円となっている。
次に産業別にみると、製造業が317,282円で最も高く、次いで建設業294,572円、サービス業293,346円、卸売・小売業,飲食店229,076円の順となった。
さらに、年間特別給与支給割合(7月のきまって支給する現金給与額に対する年間の特別に支払われた現金給与の割合)は、調査産業計で1.55ヶ月分となった(表2、図2)。


2 出勤日数と労働時間 (1) 出勤日数 −続く減少傾向−
平成12年7月における出勤日数は、調査産業計で21.6日となり、前年に比べて0.4日の減少となった。
これを男女別にみると、男子は22.4日、女子は21.1日となった。
次に産業別にみると、建設業と製造業が22.3日で最も多く、次いで卸売・小売業,飲食店21.8日、サービス業20.9日の順となっている。
なお、規模30人以上の事業所と比較すると、出勤日数は0.9日多くなっている(表3)。 (2) 実労働時間  −「規模30人以上の事業所」との格差△0.8時間−
通常日の実労働時間数は7.0時間となり、前年と比べて0.2時間の減少となった。
これを男女別にみると、男子は7.8時間、女子は6.6時間となった。
次に産業別にみると、建設業が7.7時間で最も多く、次いで卸売・小売業,飲食店7.1時間、製造業7.0時間、サービス業6.5時間の順となっている。
なお、規模30人以上の事業所と比較すると、実労働時間は0.8時間少なくなっている(表4)。
3 雇用 (1) 常用労働者数    −労働者の6割が女性−
「規模1〜4人の事業所」の常用労働者数を県全体で推計すると、調査産業計で27,878人となった。
これを男女別にみると、男子は10,520人、女子17,358人となり、女子常用労働者の割合は62.3%となっている。
また、女子常用労働者の割合を産業別にみると、サービス業の77.0%が最も高く、次いで卸売・小売業,飲食店の65.9%となっている(図4,5,6)。

(2) 常用労働者構成割合 −卸売・小売業、飲食店の労働者が4割以上−
「規模1〜4人の事業所」の調査産業計常用労働者を100として常用労働者構成割合を産業別にみると、卸売・小売業,飲食店が41.2%と最も多く、次いでサービス業26.3%、建設業13.3%、製造業12.0%の順となっている(図7)。
4 全国との比較

(1) きまって支給する現金給与額
  きまって支給する現金給与総額は、全国は196,688円であったのに対し、富山県は187,688円で、全国を9,000円下回った。

(2) 特別に支払われた現金給与額
  年間の特別に支払われた現金給与額は、全国は284,772円であったのに対し、富山県は291,609円で、全国を6,837円上回り、年間特別給与支給割合でも全国1.45ヶ月分に対し、富山県1.55ヶ月分で全国を0.1ヶ月分上回った。

(3) 出勤日数
  月間出勤日数は、全国は21.7日、富山県は21.6日で、全国より0.1日少なかった。

(4) 実労働時間数
  通常日の実労働時間数は、全国7.3時間、富山県は7.0時間で、全国より0.3時間少なかった(表5)。