統計情報ライブラリー/労働毎月勤労労働調査
調査の説明及び利用上の注意
1.調査の目的
 厚生労働省が所管する毎月勤労統計調査は、統計法に基づく指定統計第7号の調査として実施され、賃金、労働時間及び雇用について、毎月の変動を明らかにすることを目的としている。
 この調査は、「全国調査(第一種、第二種)」、「地方調査(第一種、第二種)」、「特別調査」からなっており、この報告書はそのうち各都道府県の状況を明らかにする「地方調査」の結果をとりまとめたものである。
 
毎月勤労統計調査 全国調査…事業所規模5人以上事業所を調査
(全国の結果を出すことを目的)
毎月実施
地方調査…事業所規模5人以上事業所を調査
(都道府県別の結果を出すことを目的)
特別調査…事業所規模1〜4人事業所を調査 毎年7月実施
 
2.調査の対象
調査の対象は、日本標準産業分類(平成14年3月改訂)に定める鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業、卸売・小売業、金融・保険業、不動産業、飲食店,宿泊業、医療,福祉、教育,学習支援業、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)(ただし、その他の生活関連サービス業のうち家事サービス業及び外国公務を除く。)に属する事業所の中から、5人以上の常用労働者を雇用する事業所約660を抽出して調査対象とした。(厚生労働大臣指定)
 また、調査対象事業所の規模は、平成元年までは規模30人以上であったが、平成2年1月から規模5人以上に拡大された。
 なお、平成5年1月からパートタイム労働者の調査項目を新設した。
 
3.調査期日
   毎月末現在(給与締切日の定めがある場合には、毎月最終給与締切日現在)。


4.用語の説明
 
   (1)常用労働者
 「常用労働者」とは、次のいずれかに該当する労働者のことである。
  ア 期間を定めずに又は1ヶ月を越える期間を定めて雇われている者
  イ 日々雇われている者又は1ヶ月以内の期間を定めて雇われている者のうち、前2ヶ月の各月にそれぞれ18日以上事業所に雇い入れられた者
    なお、(i)重役、理事などの役員でも、部長、工場長などのように、常時勤務して、一般の労働者と同じ給与規則で毎月給与が支払われている者及び(ii)事業主の家族でも、常時その事業所に勤務し、他の労働者と同じ給与規則で毎月給与が支払われている者は、常用労働者に含める。
  
  「常用労働者」のうち「パートタイム労働者」とは、次のいずれかに該当する労働者のことである。
  ア 1日の所定労働時間が一般の労働者よりも短い者
  イ 1日の所定労働時間が一般の労働者と同じで1週間の所定内労働日数が一般の労働者より短い者

  「一般労働者」とは、「常用労働者」のうち、「パートタイム労働者」を除いた労働者のことをいう。

(2)出勤日数

  「出勤日数」とは、調査期間中に労働者が業務のため実際に出勤した日数である。有給であっても事業所に出勤しない日は出勤日とならないが、1日のうち1時間でも就業すれば1出勤日となる。

(3)実労働時間

 実労働時間数とは、調査期間中に労働者が実際に労働した時間数のことである。休憩時間は給与が支給されると否とに関わらず除かれるが、運輸関係労働者等の手待時間は含まれる。また、本来の職務外として行われる宿日直の時間は含まない。
  「総実労働時間」とは、「所定内労働時間」と「所定外労働時間」の合計である。
  「所定内労働時間」とは、事業所の就業規則等で定められた始業時刻と終業時刻の間の、休憩時間を除いた実際に 労働した時間である。
   「所定外労働時間」とは、早出、残業、臨時の呼び出し、休日出勤等による労働時間である。

(4)現金給与額

 現金給与額とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対価として使用者が労働者に支払ったもので、所得税、社会保険料、組合費、購買代金等を差し引く以前の金額である。
  「現金給与総額」とは「きまって支給する給与」と「特別に支払われた給与」との合計である。
  「きまって支給する給与」とは、労働協約、就業規則等によってあらかじめ定められている支給条件、算定方法によって算定され支給される給与のことであり、基本給、家族手当、通勤手当、職務手当、超過勤務手当等を含む。
  「所定内給与」とは、決まって支給する給与のうち、超過労働給与以外のものをいう。ここで超過労働給与とは所定の労働時間を超える労働に対して支給される給与や、休日労働、深夜労働に対して支給される給与のことであり、時 間外手当、早朝出勤手当、休日出勤手当、深夜手当等である。
  「特別に支払われた給与」とは、次のいずれかに該当する給与のことである。
  ア 労働時間、就業規則等によらないで、一時的又は突発的理由に基づいて労働者に支払われた給与
  イ 労働協約、就業規則等の定めにより支払われた給与のうち、次のいずれかに該当するもの
      ・ 夏・冬の賞与、期末手当等の一時金
      ・ 3ヶ月を超える期間で算定される手当等
      ・ 支給事由の発生が不確定なもの(結婚手当等)
      ・ 労働協約、就業規則等の改訂によるベースアップ等が行われた際の差額追求分

 (5)賞与

 夏期(6〜8月)及び年末(11〜1月)の「特別に支払われた給与」のうち、一般的に賞与、ボーナスと呼ばれている給与(以下「賞与」という。)を抜き出して特別に集計したもので ある。
    「支給労働者1人平均支給額」とは賞与を支給した事業所の1人平均支給額である。
  「支給事業所数割合」とは賞与を支給した事業所の全事業所に占める割合である。
  「支給労働者数割合」とは、賞与を支給した事業所における全常用労働者の全事業所における全常用労働者に占める割合である。
    「平均支給率」とは賞与を支給した事業所における賞与の所定内給与に対する割合の平均である。

 

    (6)労働異動率

    「入(離)職率」とは、調査期間中に採用、転勤等で入職(離職)(同一企業内の事業所間の異動も含まれる。) した常用労働者数を前調査期間末の全常用労働者数で除したものをいう。


5.結果の算定方法


 産業、規模別の1人平均月間現金給与額、実労働時間数及び出勤日数(以下「各種平均値」という。)は、調査票の現金給与額、実労働時間数、出勤日数の各々の合計を前月末労働者数の合計と本月末労働者数の合計との平均で除して求める。
 産業計、規模計の各種平均値は、調査票の産業、規模別における現金給与額、実労働時間数、出勤日数のそれぞれの合計に当該産業、規模の推計比率を乗じたものを産業あるいは規模について合計して各推計値を作り、次に同様な方法で推計した前月末推計労働者数と本月末労働者数の平均で除して求める。
  労働者数については、産業及び規模別に推計比率を調査労働者数に乗じ、全体を推計(母集団に復元)している。

  

6.抽出替えと調査結果の接続方法(ギャップ修正)
(1)抽出替え

 この調査では、調査精度の維持向上を図るため、「事業所・企業統計調査」の結果を用いて、原則として3年毎に調査対象事業所の抽出替え(平成19年1月実施)を行っている。
 抽出替え時点においては、調査結果に時系列的連続性を持たせる必要があることから、新標本(調査対象)事業所と旧標本(調査対象)事業所の両者について調査(重複)をしている。

(2)調査結果の接続(ギャップ修正)
 抽出替えの結果、実数値において通常若干の標本誤差が生じることから、指数については接続調整を行っている。(実数値については調整を行っていないので、時系列比較の場合は、原則として指数により比較していただきたい。)
 

7.指数の基準時改定
指数の基準時は、経済、社会の変化に対応させるため、原則として5年毎に改訂を行うことにしており、現在は「平成17年度基準」(平成17年=100)となっている。
8.調査結果の増減率
 対前年増減率については、指数により算出している。そのため、実数により算出した結果と一致しない場合がある。
 (基準改訂時)
 基準時改訂に伴う増減率の再計算は行わず、基準時改訂以前に公表されたものを固定し、基準時改訂以降も引き続き使用している。
9.標本の抽出と標本設計
  毎月勤労統計調査は、総務庁統計局が行う「事業所・企業統計調査」の結果に基づいて標本の抽出を行っている。地方調査(富山県分)では「事業所・企業統計調査」による事業所リストを抽出のための母集団フレームとする。
   抽出率の決定は、地方調査の場合、常用労働者一人平均「きまって支給する給与」の産業、規模別の標本誤差率を一定限度内にすることを主眼としている。その目標精度は次の表のとおりである。

目標精度
産業 規模5人以上 規模500人以上 規模100〜499人 規模30〜99人
産業大分類(製造業を除く) 5% 0% 10% 10%
製造業大分類 3% 0% 7% 7%
製造業中分類 7% 0% 10% 10%
サービス業中分類 10%
注) 1.地方調査のサービス業中分類については、規模別の標本設計を行っていない。
2.規模500人以上の事業所は悉皆調査調査である。

10.統計表
 (1)鉱業、不動産業は、調査対象事業所が少ないため表章していないが、調査産業計に含めて表章している。
  (2)製造業中分類及びサービス業中分類にも調査対象事業所が少ないため表章していない産業があるが、それぞれの合計には含めて表章している。
  (3)実質賃金指数は、各名目賃金指数を富山県内9市平均の消費者物価指数で除したものである。
  (4)統計表の産業名のうち、製造業中分類及びサービス業中分類については、次頁の略称を用いている。

製造業中分類
略称 製造業中分類
食料品,たばこ 食料品,飲料・たばこ・飼料製造業
繊維 繊維工業(衣服,その他の繊維製品を除く)
衣服 衣服・その他の繊維製品製造業
木材 木材・木製品製造業(家具を除く)
家具 家具・装備品製造業
パルプ・紙 パルプ・紙・紙加工品製造業
印刷 印刷・同関連産業
化学 化学工業
プラスチック プラスチック製品製造業
窯業・土石 窯業・土石製品製造業
鉄鋼 鉄鋼業
非鉄金属 非鉄金属製造業
金属製品 金属製品製造業
一般機械 一般機械器具製造業
電気機器 電気機械器具製造業
情報通信機器 情報通信機械器具製造業
電子デバイス 精密機械器具製造業
輸送用機器 輸送用機械器具製造業

サービス業中分類
略称 サービス業中分類
専門サービス 専門サービス業(他に分類されないもの)

11.表彰産業変更に伴う取り扱い
 日本標準産業分類の改訂(平成14年3月)に伴い、平成17年1月分調査から、改訂後の日本標準産業分類(以下「新産業分類」という。)に基づき集計結果を公表している。平成16年以前の集計に用いた産業分類(以下「旧産業分類」という。)との接続については別表1のとおりである。
 表彰産業変更に伴い、平成16年1月〜12月分を新産業分類で再集計したため、下記の点に注意を要する。
 (1) 「建設業」及び「電気・ガス・熱供給・水道業」は、分類内容の変更がなくそのまま接続ができる。
 (2) 「調査産業計」及び「製造業」については、分類内容が変更されて改訂前の産業分類と産業の範囲としては厳密には接続しないが、再集計結果の平均と旧産業分類に基づく平成16年平均との補正比により新たに基準数値を作成し、指数及び前年比を算出して接続を図っている。
 (3) その他の産業については、指数を作成していないので、再集計結果を基に実数値により前年比を算出している。
 


別表1  新旧産業分類及び接続の可否                
旧産業分類(大分類) 新産業分類(大分類) 旧産業との接続の可
TL 調査産業計
D  鉱業
E  建設業
F  製造業
G  電気・ガス・熱供給・水道業
H  運輸業・通信業
I  卸売・小売業,飲食店
J  金融・保険業
K  不動産業
L  サービス業





TL 調査産業計
D  鉱業
E  建設業
F  製造業
G  電気・ガス・熱供給・水道業
H  情報通信業
I   運輸業
J  卸売・小売業
K  金融・保険業
L  不動産業
M  飲食店, 宿泊業
N  医療,福祉
O  教育,学習支援業
P  複合サービス事業
Q  サービス業(他に分類されないもの)





×
×
×
×
×
×
×
×
×
×

   ◎  完全接続
   △  接続処理を行い接続
   ×  接続しない



別表2  新産業分類に基づく集計結果等の取扱い
区分 平成15年12月以前 平成16年1月〜12月 平成17年1月以降
完全接続産業
(別表1 ◎)
実数 旧産業集計による数値 旧産業集計による数値 集計結果
指数 旧産業集計による数値 旧産業集計による数値 旧産業の基準数値により指数化
前年比 旧産業集計による数値 旧産業集計による数値 指数により算出
接続処理を行い
接続させる産業
(別表1 △)
実数 旧産業集計による数値 旧産業集計による数値 集計結果
指数 旧産業集計による数値 旧産業の基準数値を新旧産業の
平成16年平均結果によって補正
した基準数値により指数の接続を図る(旧産業の結果を新産業結果に修正する)
旧産業の基準数値を新旧産業の平成16年平均結果によって補正した基準数値により指数の接続を図る
前年比 旧産業集計による数値 旧産業集計による数値
(修正しない)
指数により算出
接続しない産業
(別表1 ×)
実数 なし 再集計結果 集計結果
指数 なし なし なし
前年比 なし なし 再集計結果と比較して算出
(実数比較)