統計情報ライブラリー/生活・環境家計調査報告書
利用者のために

1 調査目的
 
 家計調査は、国が行う重要な統計として統計法(平成19年法律第53号)による基幹統計に指定されており、総務省統計局が毎月実施している統計調査である。
 この調査は、世帯の得た収入がどのようなものにいくら支出されたか、その支出の仕方が収入、世帯人員、年齢、職業など世帯の属性によってどのように異なっているかなど、国民生活における家計収支の実態を把握して、国の経済政策・社会政策の立案のための基礎資料を得ることを目的としている。


2 調査の対象

 
 家計調査は、施設等の世帯及び学生の単身世帯を除いた全国の世帯を調査対象としている。なお、下記に掲げる世帯等も、世帯としての収入と支出を正確に計ることが難しいことなどの理由から除外している。

(1)料理飲食店、旅館又は下宿屋(寄宿舎を含む。)を営む併用住宅の世帯 
(2)賄い付きの同居人がいる世帯 
(3)住み込みの営業上の使用人が4人以上いる世帯 
(4)世帯主が長期間(3か月以上)不在の世帯 
(5)外国人世帯 


3 調査世帯の選定


  
 調査対象世帯が全国の世帯の縮図となるよう、統計理論に基づいて世帯を選定している。具体的には、層化三段抽出法により、全国で約9,000世帯を無作為に抽出している。
 層化三段抽出法とは、3段階に分けて調査世帯を選ぶ方法である。まず、第1の段階では、全国の市町村をいろいろな特性によりグループ(層)に分け、それぞれのグループから一つずつ合計168市町村を選ぶ。次に第2の段階では、各市町村から調査単位区を無作為に選ぶ。第3の段階では、乱数表を用いて調査単位区内のすべての世帯から調査世帯を無作為に選んでいる。
 調査単位区は1年間継続して調査し、毎月12分の1ずつが新たに選定した単位区と交替する。調査世帯は、二人以上の世帯については6か月、単身世帯については3か月継続して調査され、順次、新たに選定された世帯と交替する仕組みになっている。
 なお、全国及び富山県の調査世帯数は次のとおりである。

表1 家計調査 調査世帯数(平成22年)
 区      分
全  国 富   山   県

富 山 市


射 水 市


魚 津 市
総    世    帯 8,821 104 26 13 143
   二人以上の世帯 8,076 96 24 12 132
 単 身 世 帯 745 11
                (注)この報告書では、富山市分についてとり上げる。


4 調査世帯の区分


  
 調査世帯は、世帯主(家計上の主たる収入を得ている人)の職業により、次のように区分している。
    「勤労者世帯」 : 世帯主が会社、官公庁、学校、工場、商店などに雇われて勤めている世帯。
                 ただし、世帯主が社長、取締役、理事など会社・団体の役員である世帯は
                 「勤労者以外の世帯」に含める。
     「勤労者以外の世帯」:上記の「勤労者世帯」以外の世帯。例えば、世帯主が自営業者、個人経営者など
                    上記の使用者側にある世帯。
     「無職世帯」 : 「勤労者世帯以外の世帯」のうち、世帯主が無職である世帯。               
              

5 調査事項


  
 調査は、4種類の調査票を用いて行う。
  
「世帯票」:世帯構成、世帯員の年齢、職業、住居に関する事項
「家計簿」:日々の収入・支出(勤労者以外の世帯(無職世帯を除く。)は支出のみ)、購入数量(二人以上の世帯のみ)
      ※家計簿の記入は6か月間(単身世帯は3か月間)。
「年間収入調査票」:過去1年間の収入
「貯蓄等調査票」(二人以上の世帯のみ):貯蓄・負債の保有状況、住宅などの土地・建物の購入計画


6 本書の利用上の留意点
 
(1)本書は富山市分についての調査結果をまとめたものであるが、調査世帯数が少ないため、標本誤差が大きいことに留意する必要が ある。
   なお、標本誤差の影響を少しでも避けるため、項目別、品目別支出額等を全国あるいは他都市と比較する際にはできるだけ3年平均
 値を、時系列比較においては3年移動平均を用いた。


(2)本書の中で表示した数値は、表章単位未満を四捨五入しているため、内訳を足し上げても必ずしも合計とは一致しない。
 
 
7 用語の説明

    (1)収支項目
       
       家計の収支は消費構造の分析に有効なように、収入については収入源別に、支出については用途別に区分されている。

   ア 収入

・ 実収入 …… いわゆる税込み収入であり、世帯全員の現金収入を合計したもの。
・ 実収入以外の受取
 (繰入金を除く)
…… 言わば「見せかけの収入」であり、現金が手元に入るが、一方で資産の減少、負債の増加を伴うもの。
・ 繰入金 …… 前月から持ち越した世帯の手持ち現金。
・ 受取 …… 「実収入」のほか、「実収入以外の受取(繰入金を除く)」、前月からの「繰入金」を含み、「支払」と一致している。

   イ 支出

・ 実支出 …… 「消費支出」と「非消費支出」を合計した支出。
・ 消費支出 …… いわゆる生活費のことであり、日常の生活を営むに当たり必要な商品やサービスを購入して実際に支払った金額。
・ 非消費支出 …… 税金や社会保険料など、原則として世帯の自由にならない支出。
・ 実支出以外の支払
 (繰越金を除く)
…… 言わば「見せかけの支出」であり、預貯金、投資、財産購入、借金返済など、手元から現金が支出されるが、一方で資産の増加あるいは負債の減少を伴うもの。
・ 繰越金 …… 当月末における世帯の手持ち現金。
・ 支払 …… 「実支出」、「実支出以外の支払(繰越金を除く)」、翌月への「繰越金」から成り、「受取」と一致している。

    ウ その他

・ 可処分所得 …… 「実収入」から税金、社会保険料などの「非消費支出」を差し引いた額で、いわゆる手取り収入のこと。これにより購買力の強さを測ることができる。
    可処分所得=実収入−非消費支出
・ 黒字 …… 「実収入」と「実支出」との差であり、マイナスの場合は赤字ということになる。これは「可処分所得」から「消費支出」を差し引いた額とも同じである。
    黒字=実収入−実支出=可処分所得−消費支出
・ 貯蓄純増 …… 「預貯金」と「保険掛金」の合計から「預貯金引出」と「保険取金」の合計を差し引いたもの。
    貯蓄純増=(預貯金+保険掛金)−(預貯金引出+保険取金)

   (2)各種比率
             

・ エンゲル係数 …… 消費支出に占める食料費の割合であり、生活水準の高低を表す一つの指標となる。
    エンゲル係数(%)=食料費÷消費支出×100
・ 黒字率 …… 可処分所得に対する黒字の割合
    黒字率(%)=(黒字÷可処分所得)×100
・ 平均貯蓄率 …… 可処分所得に対する貯蓄純増の割合
    平均貯蓄率(%)=貯蓄純増÷可処分所得×100
・ 平均消費性向 …… 可処分所得に対する消費支出の割合
    平均消費性向(%)=消費支出÷可処分所得×100
・ 実質増減率 …… 名目増減率から消費者物価変動の要素を除いたもの。
  消費支出の各項目ごとの対前年実質増減率は、次式により求めている。
  なお、実収入、可処分所得及び消費支出は、消費者物価指数の持家の帰属
  家賃を除く総合指数の変化率を用いている。

 ※持家の帰属家賃…持家の住宅を借家とみなした場合、支払われるべき家賃




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