統計情報ライブラリー/生活・環境家計調査報告書
富山市の勤労者世帯の家計の特徴

U 勤労者世帯の家計

 1 実収入の概況
  ―実収入は1か月平均 726,991円(5年連続全国1位)、対前年比実質2.2%の増加―
 
 富山市勤労者世帯(平均世帯人員3.40人、世帯主の平均年齢47.9歳)の実収入は、1世帯当たり1か月平均726,991円(全国平均538,277円)で、前年に比べ名目で1.1%の増加、実質では2.2%の増加(全国実質1.2%減少)となり、5年連続全国1位となった。
 実収入は全国平均では減少しているが、富山市平均では逆に増加している。富山市の1世帯当たりの実収入が多くなった要因は、富山市の調査世帯の世帯主平均年齢が前年に比べ1.3歳大幅に上昇(全国+0.1歳)したことに加え、1世帯当たりの有業人員が1.87人(全国1位)と高くなり、配偶者、他の世帯員の収入についても全国1位となったことが考えられる。
 近年の動きをみると、平成6年(-1.7%)、7年(-4.8)と2年連続の実質減少となった後、8年、9年は回復して実質 2.8%、2.2%の増加、 10年には実質12.6%の大幅な増加となったが、11年、12年は実質5.9%、4.6%の減少に転じ、13年は実質0.1%増加した。
 14年も世帯主の定期収入が増加となったことなどから名目で1.1%増加し、消費者物価指数が(−1.1%)下落したことにより、実質でも2.2%の増加となった。 (図16)
図16 実収入の対前年増加率(富山市勤労者世帯)
 2 実収入の内訳
  ―世帯主収入、世帯主の配偶者収入、他の世帯員収入いずれも増加―
 世帯主の勤め先収入は1か月平均487,569円となり、定期収入の増加により前年に比べ名目で3.3%、実質で4.5%の増加となった。実収入に占める割合は67.1%となり、前年より1.5ポイント上昇した。
 一方、世帯主の配偶者の収入は94,404円で、名目7.0%、実質で8.2%の増加となり、実収入に占める割合は前年より0.7ポイント上昇し13.0%となった。 
 また、他の世帯員の収入は67,656円で全国平均(10,685円)を大幅に上回り全国1位であるが、前年に比べ名目で6.7%、実質で5.7%と4年連続で減少し、実収入に占める割合は9.3%となって、前年より0.8ポイント低下した。(図17、表10)

図17 実収入内訳の推移(富山市勤労者世帯)
            表10  実収入内訳の推移(富山市勤労者世帯)                (単位:人、円)
年次 世帯人員 有業人員 世帯主の年齢 実収入 勤め先
収入 
世帯主
収入
配偶者の収入 他の世帯員収入 事業・内職収入 他の経常収入 特別
収入
可処分
所得
昭和 55年 3.91 1.56 42.9 374,407 351,414 305,787 26,962 18,665 5,939 6,553 10,500 326,206
昭和 60年 3.93 1.66 44.9 452,163 419,437 339,334 52,957 27,146 7,674 16,957 8,095 386,531
平成2年 3.74 1.86 47.7 603,289 546,931 427,960 59,351 59,620 4,571 33,367 18,420 517,031
平成7年 3.51 1.76 47.9 674,909 600,474 469,291 60,545 70,638 10,263 44,518 19,654 579,047
平成 10年 3.45 1.95 49.5 814,226 688,807 503,488 75,380 109,939 4,066 63,251 58,102 701,906
平成 11年 3.63 1.97 48.7 766,451 660,341 484,274 87,859 88,208 4,212 60,765 41,134 663,666
平成12年 3.56 1.85 46.8 727,871 649,971 496,090 73,558 80,324 7,107 47,417 23,376 619,633
成13年 3.73 1.84 46.6 718,949 632,566 471,862 88,191 72,513 4,708 61,893 19,782 617,000
平成14年 3.40 1.87 47.9 726,991 649,629 487,569 94,404 67,656 9,389 53,100 14,873 616,444
平成2年以前は、配偶者収入=妻の収入

 3 可処分所得の概況
  ―可処分所得は前年に比べ、実質で1.0%の増加―
 可処分所得(実収入から社会保険料、税等の非消費支出を差し引いた、いわゆる手取り収入)は1か月平均616,444円(全国平均452,501円)で、前年に比べ名目で0.1%減少、実質1.0%の増加(全国平均実質1.5%減少)となって、実収入と同様全国1位(6年連続)である。
 4 消費支出の概況
  ―消費支出は対前年実質4.6%の増加―
 
  ア 消費支出
 勤労者世帯の1か月平均消費支出は428,877円で、前年に比べ名目で3.5%増加、実質 で4.6%の増加(全国平均実質0.2%減少)となった。 
 近年の動きをみると、平成7年以降5年連続の増加となった後、平成12年に減少に転じたが、13年は物価の下落により実質増加となって、14年は名目・実質とも大幅に増加となった。(図18)
図18 消費支出の対前年増加率(富山市勤労者世帯)
 費目別にみると「家具・家事用品」、「被服及び履物」、「交通・通信」、「教養娯楽」、「その他の消費支出」が増加となった。
 一方、「食料」、「住居」、「光熱・水道」、「保健医療」、「教育」は減少となった。
  イ 非消費支出
 税金、社会保険料などの非消費支出は、1か月平均110,547円(全国平均85,776円)で、前年に比べ名目8.4%の増加(全国平均名目0.8%減少)となった。
 5 平均消費性向、黒字率、平均貯蓄率等の推移
  ―平均貯蓄率は全国4位―
 平均消費性向(可処分所得に占める消費支出の割合)は69.6%(全国平均 73.1%)となり、前年より2.4ポイント上昇した。
 富山市の近年の動きをみると、増減を繰り返しながら低下傾向がみられ、平成10年は一段と低下し全国最下位となったが、11年からは可処分所得の落ち込みにより上昇してきた。
 黒字(可処分所得−消費支出)は、187,567円(全国平均 121,850円)で、前年に比べ名目で、7.4%の減少(全国平均6.0%減少)となり、全国3位である。
 黒字率(可処分所得に占める黒字額の割合)は30.4%(全国平均26.9%)となり、前年より2.4ポイント低下した。
 黒字のうち貯蓄純増は151,982円(全国平均79,913円)で、前年に比べ名目で16.7%の減少(全国平均7.3%減少)となった。この結果、平均貯蓄率(可処分所得に占める貯蓄純増の割合)は24.7%(全国平均17.7%)で、前年より4.9ポイント低下した。(図19)
図19 平均消費性向の推移(勤労者世帯)




家計収支バランス(勤労者世帯)   
                    消費支出の内訳(消費支出=100%)

 6 全国からみた富山市の勤労者世帯の特徴
  ―実収入 5年連続全国1位、消費支出 2年連続全国1位―

 平成14年富山市勤労者世帯の1世帯当たりの実収入(726,991円)は、全国平均(538,277円)の1.4倍にもなり、2位の福島市の659,827円からも大きく乖離し、5年連続全国1位となった。
 これは、世帯主の勤め先収入が全国6位と高く、世帯の中の有業人員も1.87人(全国1位)と多くなったことに加え、配偶者の収入は全国1位他の世帯員の収入も全国1位となったことが大きく貢献していることによる。
 また、世帯内に65歳以上の人員も多いことから、他の経常収入の中の公的年金給付が多い(47,263円:全国1位)ことも見逃せない要因のひとつとなっている。
 一方、消費支出も平成9、10年は全国3位、11年1位、12年2位、13年(414,457円)全国1位、14年(428,877円)も全国1位と常に全国トップレベルに位置している。
 しかし、平均消費性向は低く、消費にまわらない残りは、貯蓄と住宅ローンの返済等に向けられ、平均貯蓄率は前年より低下して全国4位となった。また、黒字の中の土地家屋借金純減*(37,067円)は全国平均(32,858円)より高い水準となった。(表11、表12)
 (* 土地家屋借金純減=土地家屋借金返済―土地家屋借入金)
 
表11     世 帯 構 成               (単位:人、歳)
  富 山 市 平 均 全 国 平 均
世帯人員 有業人員 世帯主の
年齢
65歳以上人員 世帯人員 有業人員 世帯主の
年齢
65歳以上人員
平成11年 3.63 1.97 48.7 0.36 3.52 1.65 45.9 0.24
12年 3.56 1.85 46.8 0.31 3.46 1.65 46.2 0.22
13年 3.73 1.84 46.6 0.38 3.47 1.66 46.3 0.22
14年 3.40 1.87 47.9 0.35 3.46 1.64 46.4 0.23

表12 1世帯当たり1か月間の主な収入の推移      (単位:円)
  富 山 市 全 国
実収入 うち勤め先収入 うち他の経常収入 実収入 うち勤め先収入 うち他の経常収入
世帯主収入 配偶者収入 他の世帯員収入 収入 うち社会
保障給付
世帯主収入 配偶者収入 他の世帯員収入 収入 うち社会
保障給付
平成11年 766,451 484,274 87,859 88,208 60,765 59,968 574,676 468,310 55,943 13,208 20,775 19,300
12年 727,871 496,090 73,558 80,324 47,417 44,911
(38,889)
560,954 460,436 53,645 12,250 20,010 18,691
(16,244)
13年 718,949 471,862 88,191 72,513 61,893 60,330
(53,904)
551,160 449,310 52,949 12,070 21,780 20,359
(17,790)
14年 726,991 487,569 94,404 67,656 53,100 52,109
(47,263)
538,277 438,613 55,154 10,685 19,008 17,656
(15,037)

   (   )書きは、社会保障給付のうち公的年金

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