統計情報ライブラリー/生活・環境家計調査報告書
勤労者世帯の家計
1.実収入の概況
―実収入は1か月平均 814,226円(全国1位)、対前年実質(+)12.6%の増加―

 勤労者世帯(平均世帯人員3.45人、世帯主の平均年齢49.5歳)の実収入は、1世帯当たり1ヵ月平均814,226円(全国平均588,916円)で全国1位となり、前年に比べ名目で(+)13.2%の増加、消費者物価の上昇分を除いた実質で、(+)12.6%の増加(全国平均実質(-)1.8%減少)となった。
 これは、1世帯当たりの有業人員が1.95人(全国2位)と高く、勤め先収入のうち他の世帯員の収入が実質(+)23.1%の伸びがあったことによる。
 近年の動きをみると、平成7年は6年に引き続き実質(-)4.8%の減少、8年、9年は回復して実質(+)2.8%、(+)2.2%の増加、平成10年には実質(+)12.6%の大幅な増加となった。(図4―1)
図4−1

2.実収入の内訳
―実収入に占める世帯主の勤め先収入の割合は2.8ポイント低下して61.8%に―

 世帯主の1ヶ月平均の勤め先収入は503,488円で、前年に比べ名目で(+)8.3%、実質(+)7.7%の増加となった。また、実収入に占める割合は61.8%となり、前年より2.8ポイント低下した。
 一方、世帯主の配偶者(妻)の収入は75,380円で名目(+)12.8%、実質(+)12.2%と大幅な増加となり、実収入に占める割合は前年と同じ9.3%となった。
 また、他の世帯員の収入は109,939円となり、配偶者の収入を大幅に上回ったほか、実収入に占める割合も13.5%となり、前年より1.2ポイント上昇した。(図4―2、表2)
図4−2

表2 実収入内訳の推移(富山市勤労者世帯)
年次 世帯
人員
有業
人員
世帯主
の年齢
実収入
a+b+c+d
勤め先
収入
事業・内職
収入
他の経常
収入
特別
収入
可処分
所得
小計
世帯主
収入
妻の
収入
他の
世帯人員
収入
昭和55年 3.91 1.56 42.9 374,406 351,414 305,787 26,962 18,665 5,939 6,553 10,500 326,206
昭和60年 3.93 1.66 44.9 452,163 419,437 339,334 52,957 27,146 7,674 16,957 8,095 386,531
平成2年 3.74 1.86 47.7 603,289 546,931 427,960 59,351 59,620 4,571 33,367 18,420 517,031
平成5年 3.80 2.00 47.7 719,581 653,476 476,317 84,523 92,636 3,580 46,633 15,892 612,803
平成6年 3.70 1.94 47.7 706,375 655,584 463,754 107,142 84,687 4,494 36,780 9,517 603,148
平成7年 3.51 1.76 47.9 674,909 600,474 469,291 60,545 70,638 10,263 44,518 19,654 579,047
平成8年 3.30 1.68 47.7 691,476 629,132 491,734 76,462 60,936 2,700 38,779 20,865 586,654
平成9年 3.40 1.80 47.3 719,534 621,079 464,978 66,840 88,843 8,086 60,438 29,931 615,578
平成10年 3.45 1.95 49.5 814,226 688,807 503,488 75,380 109,939 4,066 63,251 58,102 701,906

3.可処分所得の概況
―可処分所得は前年に比べ名目(+)14.0%、実質(+)13.5%の増加―

 可処分所得(実収入から社会保険料、税等の非消費支出を差し引いた、いわゆる手取り収入)は1ヶ月平均701,906円(全国平均495,887円)で、前年に比べ名目で(+)14.0%の増加、実質で(+)13.5%と大幅な増加(全国平均実質(-)0.9%減少)となり、実収入と同様全国1位である。

4.消費支出の概況
―消費支出は対前年実質(+)1.1%で4年連続の増加―

ア 消費支出
 勤労者世帯の1ヶ月平均消費支出は412,159円で、前年に比べて名目で(+)1.6%増加、実質で(+)1.1%の増加(全国平均実質(-)1.8%減少)となった。
 近年の動きをみると、平成6年は実質(-)7.9%の減少だったが、7年以降は4年連続の増加となった。(図5)
図5

 費目別にみると食料、光熱・水道、家具・家事用品、被服及び履物、保健医療、教育、その他の消費支出が増加となった。
 一方、住居、交通・通信、教養娯楽は減少となった。

イ 非消費支出
 税金、社会保険料などの非消費支出は、1ヶ月平均112,320円(全国平均93,029円)で、前年に比べ名目(+)8.0%の増加(全国平均名目(-)5.2%減少)となった。

5.平均消費性向、平均貯蓄率の推移
―平均消費性向は全国最下位、平均貯蓄率・黒字・黒字率は全国1位―

ア 平均消費性向
 平均消費性向(可処分所得に占める消費支出の割合)は58.7%(全国平均71.3%)となり、前年より7.2ポイント低下した。
 富山市の近年の動きをみると、昭和58年からは増減を繰り返しながら低下傾向がみられたが、平成10年は一段と低下し、全国平均を12.6ポイントと大きく下回る結果となり、全国最下位となった。
 実収入額が全国平均より極めて高いが、住宅取得や将来に備えて貯蓄を優先して、消費に対しては慎重である。(図6)
図6

イ 平均貯蓄率、黒字率
 黒字(可処分所得−消費支出)は、289,747円(全国平均142,335円)で、前年に比べ名目で、(+)38.1%の増加(全国平均(+)2.1%増加)となった。
 黒字率(可処分所得に占める黒字額の割合)は41.3%(全国平均28.7%)となり、前年を(+)7.2ポイント上回った。黒字のうち貯蓄純増は222,302円(全国98,723円)で、前年に比べ名目で(+)23.7%の増加(全国平均0.6%増加)となった。この結果、平均貯蓄率(可処分所得に占める貯蓄純増の割合)は31.7%で、前年より(+)2.5ポイント上昇し、全国1位(前年3位)となった。(図7―1、図7―2)
図7−1

図7−2