統計情報ライブラリー/生活・環境家計調査報告書
全世帯の家計
1.消費支出の概況
―消費支出は、対前年比実質(+)0.6%の増加―

 平成10年の富山市全世帯(平均世帯人員3.27人、世帯主の平均年齢54.7歳)の消費支出は、1世帯当たり1ヶ月平均373,148円(全国平328,186円)で、前年に比べ名目(+)1.1%の増加(全国平均(-)1.5%減少)となった。なお、消費者物価(+)0.5%(全国平均(+)0.7%)上昇したことから、実質では(+)0.6%の増加(全国平均(-)2.2%減少)となった。
 全世帯の近年の動きをみると、全国平均の対前年増加率は、景気の低迷の影響を受けて平成5年以降6年連続の実質減少となったのに対し、富山市の消費支出額は平成6年に低下が見られるが、7年以降はゆるやかな増加傾向を示している。(図1)
図1

2.消費支出の内訳と対前年実質増加率
―家具・家事用品、被服及び履物、教育などが実質増加、住居、教養娯楽などが実質減少―

ア 食 料
 1世帯当たり83,204円で、名目(+)3.9%、実質(+)2.4%の増加となった。穀類、乳卵類、果物、菓子類、調理食品、酒類、外食が実質増加となる一方、魚介類、肉類、野菜・海藻、油脂・調味料、飲料が実質減少となった。
 なお、全国は平成3年以降8年連続して実質減少となっているのに対し、富山市は平成5年以来5年ぶりの増加となった。

イ 住 居
 1世帯当たり16,091円で、名目(-)42.8%、実質(-)44.1%の大幅減少となった。家賃地代、設備修繕・維持がいずれも大幅な実質減少し、特に設備・修繕費等の落ち込みは大きく実質(-)52.5%となり、住居費は平成6年以来4年ぶりの減少となった。

ウ 光熱・水道
 1世帯当たり22,161円で、名目(-)0.2%、実質(+)2.5%の増加となった。ガス代が減少となったものの、それ以外の電気代、灯油などの他の光熱、上下水道料が増加となり、実質増加となった。

エ 家具・家事用品
 1世帯当たり16,294円で、名目(+)36.6%の大幅増加となった。家具・家事用品の物価上昇率が(-)3.6%と平成5年以降、6年連続して下落しており、実質は(+)41.7%の増加となった。家事サービスだけが実質減少となったが、家庭用耐久財、室内装備装飾品、寝具類が大幅増加となり、全体を引上げた。
 これは、調査世帯に特別要因(婚礼家具の購入)が含まれ、影響を受けたものと思われる。

オ 被服及び履物
 1世帯当たり19,167円で、名目(+)11.2%、実質(+)9.4%の増加となった。シャツ・セーター類、生地・糸類が減少となったものの、それ以外のすべてで増加となった。特に和服は婚礼用を含むため、実質(+)154.1%の増加となり、この費目の増加に大きく寄与し、平成5年以来6年ぶりの実質増加となっている。

カ 保健医療
 1世帯当たり11,067円で、名目(+)3.7%の増加、実質(-) 2.6%の減少となった。医薬品、保健医療用品・器具が実質減少、保健医療サービスは実質増加となった。

 キ 交通・通信
 1世帯当たり35,216円で、名目(-) 0.2%の減少、実質(+)2.6%の増加となった。自動車等関係費が実質減少となったものの、鉄道運賃などの交通、通信機器や電話通信料などの通信が増加となったため、全体としては実質増加となった。

ク 教 育
 1世帯当たり11,274円で、名目(+)19.2%、実質(+)16.7%の増加となった。教科書・学習参考教材が大幅な実質減少となったものの、授業料等、補習教育が増加となり、全体で実質増加となった。

ケ 教養娯楽
 1世帯当たり31,093円で、名目(-)3.5%、実質(-)3.7%の減少となった。パソコン・ワープロやテレビなどの教養娯楽用耐久財、教養娯楽用品、書籍・他の印刷物が実質増加となったものの、ウエイトが大きいパック旅行費などの教養娯楽サービスで実質減少となり、全体として実質減少となった。
 なお、教養娯楽は平成6年以来4年ぶりの実質減少となった。

コ その他の消費支出 
 1世帯当たり127,581円で、名目(+)4.5%の増加となった。内訳をみると、諸雑費は実質(+)10.3%の増加、こづかいが名目(-)15.3%の大幅減少、交際費が実質(+)4.9%の増加、仕送り金が名目(+)55.2%の大幅増加となった。
図2

表1 費目別対前年実質増加率(富山市全世帯)
項目 6年 7年 8年 9年 10年 平成10年
月平均額
(円)
構成比
(%)
消費支出 -10.6 4.1 -0.1 2.4 0.6 373,148 100.0
食料 -5.5 -5.8 -1.5 -1.6 2.4 83,204 22.3
  穀類 -6.8 -6.9 -8.7 -4.3 3.6 8,522 2.3
  魚介類 -0.4 -12.8 -4.3 -3.3 -0.8 12,011 3.2
  肉類 -8.6 -5.4 -8.3 -1.0 -2.1 5,922 1.6
  乳卵類 -2.5 -3.6 15.1 -6.2 11.6 4,037 1.1
  野菜・海藻 -7.1 -3.4 -8.5 9.9 -5.5 11,220 3.0
  果物 -12.9 -9.5 7.1 -1.6 4.8 3,592 1.0
  油脂・調味料 1.1 0.8 -4.0 10.7 -3.4 2,993 0.8
  菓子類 -10.8 -2.8 -6.4 2.2 1 5,042 1.4
  調理食品 -5.6 1.8 1.0 4.8 2.8 8,405 2.3
  飲料 9.0 -1.8 11.1 0.3 -7.4 3,289 0.9
  酒類 15.1 -1.0 -7.9 -12.7 12.6 4,339 1.2
  外食 -12.6 -7.1 12.4 -9.0 10.4 13,841 3.7
住居 -7.6 42.9 38.8 16.1 -44.1 16,091 4.3
  家賃地代 10.2 16.9 47.0 16.3 -24.5 6,540 1.8
  設備修繕維持 -15.5 59.3 35.4 16.3 -52.5 9,550 2.6
光熱・水道 -5.4 -2.0 3.6 1.0 2.5 22,161 5.9
  電気代 -4.7 -5.0 4.3 2.3 1.1 9,654 2.6
  ガス代 -7.1 5.9 12.4 -8.5 -2.1 5,354 1.4
家具・家事用品 -13.5 12.3 0.4 -5.8 41.7 16,294 4.4
  家庭用耐久財 -25.5 31.4 -21.9 17.9 52 6,215 1.7
被服及び履物 -6.8 -10.2 -0.8 -13.8 9.4 19,167 5.1
  洋服 -14.6 -8.4 2.5 -18.3 4.2 6,668 1.8
保健医療 5.0 12.4 -4.6 24.9 -2.6 11,067 3.0
交通通信 -6.2 21.4 7.9 -2.4 2.6 35,216 9.4
  交通 -8.7 -10.4 25.9 -5.7 15.4 5,947 1.6
  自動車等関係費 -8.2 34.8 2.0 0.3 -5.0 21,062 5.6
  通信 4.4 7.7 18.2 -7.7 19.4 8,206 2.2
教育 -3.1 -5.5 -23.6 0.1 16.7 11,274 3.0
教養娯楽 -20.7 12.7 7.3 2.6 -3.7 31,093 8.3
  教養娯楽用耐久財 -14.6 84.8 60.1 -14.1 1.2 3,540 0.9
  教養娯楽サービス -17.9 6.4 -1.9 11.2 -7.5 15,473 4.1
その他の消費支出※ -15.5 5.2 -6.8 8.4 4.5 127,581 34.2
  諸雑費 -25.9 -2.4 51.4 -3.3 10.3 28,367 7.6
  こづかい※ -17.8 -12.0 -15.4 30.0 -15.3 39,708 10.6
  交際費 -11.3 -4.4 17.0 -4.1 4.9 37,601 10.1
  仕送り金※ -2.5 81.9 -53.1 0.5 55.2 21,905 5.9
(注)1.※印は名目増加率
   2.交際費の実質増加率は、消費者物価指数上昇率で実質化した

3.消費支出の構成比推移
―住居、教養娯楽が減少、食料、被服及び履物が増加―

 平成10年の消費支出の費目別構成比をみると、食料の占める割合(エンゲル係数)は0.6ポイント上昇して22.3%となったほか、家事・家具用品が1.2ポイント、被服及び履き物が0.4ポイント、保健医療0.1ポイント、教育0.4ポイント、その他の支出が1.2ポイント上昇した。その他の消費支出はこづかい、交際費、仕送り金と諸雑費に分類されるが、平成10年はこづかいが低下したものの、交際費以下は増加になり消費支出全体に占める割合も上昇した。
 一方、前年に比べ住居が3.3ポイント、光熱・水道が0.1ポイント、交通・通信が0.2ポイント、教養娯楽が0.4ポイント低下した。
 また昭和55年以降の推移をみると、保健医療、交通通信、その他の消費支出などが大筋で上昇し、食料、被服及び履物、教育が低下している。(図3―1、3―2)
図3−1

図3−2