特集

学校基本調査からみる中学生及び高校生の進学及び就職状況について

統計調査課 経済動態係

 

学校基本調査は、学校に関する基本的事項を調査し、学校教育行政上の基礎資料を得ることを目的として、文部科学省が昭和23年から毎年実施している基幹統計調査です。

本稿では、中学生と高校生の進学及び就職状況について、平成10年度から平成29年度までの20年間の推移をご紹介します。


【学校基本調査】
調査期日
毎年5月1日
調査対象
幼稚園、幼保連携型認定こども園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校並びに市町村教育委員会
調査項目
学校数、在学者数、教員数、卒業者数、進学者数、就職者数等

1 中学校卒業者の高等学校等進学率の推移


平成29年度の富山県の中学校卒業者の高等学校等進学率は99.3%で、全国平均の98.8%を上回り、全国第5位でした。そして、調査開始以来、過去最高の進学率となりました。


※学校基本調査における卒業者に関する統計値は、例えば、平成29年度調査による数値であれば、平成29年3月に卒業した者について、同年5月1日現在の状況をとりまとめたものです。(年度途中(平成28年4月1日〜平成29年3月31日)に卒業を認められた者も含みます。)


※高等学校(又は大学)等進学率
高等学校(又は大学)等進学者÷中学校(又は高等学校)卒業者総数×100
進学者には、就職しながら進学している者を含みます。


※高等学校等進学者
中学校卒業者のうち高等学校の本科(全日制、定時制及び通信制)及び別科、中等教育学校後期課程の本科及び別科、高等専門学校、特別支援学校高等部の本科及び別科へ進学した者


※大学等進学者
高等学校卒業者のうち大学(学部)、短期大学(本科)、大学・短期大学の通信教育部及び放送大学、大学・短期大学(別科)、高等学校(専攻科)及び特別支援学校高等部(専攻科)へ進学した者



男女別にみると、富山県では平成28年度以前は女子の進学率が男子を上回っていましたが、平成29年度は男女ともに99.3%と同率となりました。全国平均においては、男女とも進学率は上昇しており、女子の進学率が男子を上回る状況が続いていますが、その差は小さくなってきています。

全国の状況と比較すると、男子、女子いずれも富山県の方が高く推移しています。しかし、平成10年度は富山県が全国平均に比べ1.8%高かったものの、平成20年度は0.8%、平成29年度は0.5%となり、その差は小さくなってきています。(図1)

図表

また、富山県の全国順位は、平成12年度から平成14年度は第1位となるなど、高い水準で推移しています。しかし、近年は全国平均が上昇してきたこともあり、わずかな差で順位が変動しています。(図2)

図表

2 中学校卒業者の就職率の推移


平成29年度の就職者と就職進学者を加えた全就職者数は17人で、中学校卒業者に占める割合は0.2%となり、調査開始以来、過去最低となりました。平成10年度と比較すると、全国平均、富山県とも低下しています。そして、富山県は全国平均を下回っており、この20年間は0.7%以下で推移しています。また、男女別にみると、女子の就職率は0.4%以下で推移しており、男子を下回っています。(図3)

※就職率
就職者総数÷中学校(又は高等学校)卒業者総数×100
就職者には、進学しながら就職している者及び専修学校・各種学校等へ入学しながら就職している者を含みます。

図表

また、平成29年度の県内就職者数は14人で、就職者総数の82.4%を占めています。平成29年度の県内就職率はこの20年間では過去最低となりましたが、80%以上の高い割合となっています。(図4)

図表

3 高等学校卒業者の大学等進学率の推移


平成29年度の富山県の高等学校卒業者の大学等進学率は52.2%で、全国平均の54.7%を下回り、全国第20位でした。

男女別にみると、男子が48.4%、女子が56.1%であり、平成14年度以降は女子の大学等進学率が男子を上回っています。その差は平成29年度は7.7ポイントとなりました。なお、過去最高は平成22年度の55.2%であり、男女別では男子は平成22年度の52.5%、女子は平成21年度の58.0%でした。

全国の状況と比較すると、平成23年度までは全国平均より高く推移してきましたが、平成24年度以降は全国平均を下回っています。男子は平成21年度以降、女子は平成25年度以降、全国平均を下回る状況が続いています。(図5、図6)

図表

図表

また、富山県の全国順位は、平成10年度は第8位でしたが、平成20年度は第14位、平成29年度は第20位と順位が低下しています。(図7)

図表

つづいて、大学学部への進学率は、平成29年度は男子が46.2%、女子が42.6%となり、男子が女子を上回っています。平成10年度と比較すると、男子は6.4ポイント上昇、女子も14.6ポイント上昇しています。また男子と女子の差は平成10年度は11.8%でしたが、平成29年度は3.6%となり、その差は小さくなっています。

一方、短期大学本科への進学率は、平成29年度は男子が1.9%、女子が12.3%となり、女子が男子を上回っています。平成10年度と比較すると、男子は3.3ポイント低下、女子も10.3ポイント低下しています。(図8)

図表

4 高等学校卒業者の就職率の推移


平成29年度の就職者と就職進学者を加えた全就職者数は2,034人で、高等学校卒業者に占める割合は22.3%でした。全国の状況と比較すると、平成11年度以降は富山県の就職率が全国平均を上回っています。また、男女別にみると、平成29年度は男子が28.9%、女子が15.7%で、男子が女子を上回っています。(図9)

図表

また、平成29年度の県内就職者数は1,868人で、就職者総数の91.8%を占めています。県内就職率は、この20年間は90%以上の高い割合となっており、平成29年度は全国第6位でした。

図表

おわりに


これまで、平成10年度から平成29年度までの20年間の中学生と高校生の進学及び就職状況についてご紹介しました。

学校基本調査は、幼稚園から大学まで全国すべての学校を対象とし、昭和23年度から毎年実施されていることから、全国や他の都道府県との比較もできるほか、長期間の推移を追うことも可能であり、教育行政等において大変重要な統計資料となっています。

平成30年度も、只今、各学校と市町村のご協力をいただきながら調査を実施中です。全国と県の速報は毎年8月上旬に、確報は、全国は12月下旬、県は1月〜2月頃にそれぞれホームページでの公表を予定していますので、ぜひご覧ください。



とやま経済月報
平成30年6月号