特集

経済センサス-基礎調査の結果について

統計調査課 人口労働係

 

●経済センサスとは


経済センサスの「センサス」とは、「全数調査」の訳語であり、すべての対象をもれなく調査することを意味します。経済センサスは、日本全国にあるすべての事業所及び企業を対象として実施される調査であり、「経済の国勢調査」といわれています。経済センサスは、事業所・企業の基本的構造を明らかにする「経済センサス‐基礎調査」と事業所・企業の経済活動の状況を明らかにする「経済センサス‐活動調査」の二つから成り立っています。

●平成26年経済センサス-基礎調査の概要


(1)調査の目的

事業所及び企業の活動状態を調査し、すべての産業分野における事業所及び企業の従業者規模等の基本的構造を全国及び地域別に明らかにすること、各種統計調査の基礎となる母集団情報の整備を図ることを目的としています。

(2)調査の法的根拠

経済センサスは「統計法(平成19年法律第53号)」という法律に基づき基幹統計として指定されており、国の重要な統計に位置付けられています。

(3)調査の時期

平成26年7月1日現在 で実施。

(4)調査対象

全国すべての事業所及び企業が対象となります。

※農林漁業に属する個人経営の事業所、家事サービス業及び外国公務に属する事業所は除きます。

(5)調査結果の利用
  • 地方消費税の清算
  • 地方消費税の市町村に対する交付
  • 国民経済計算(GDPなど)の推計
  • 経済政策、環境政策、雇用政策、中小企業政策、男女共同参画
  • 中小企業白書等における分析

●平成26年経済センサス-基礎調査の結果について


平成27年11月及び平成28年2月に結果が公表されましたので、その内容について、 全国との比較を交え、また、富山県分の概要(平成27年12月1日公表)で取り上げていない事項も含めて紹介します。


T 事業所に関する集計
1 事業所数、従業者数の状況

平成26年7月1日現在の富山県の事業所数は5万6,188事業所(全国構成比0.9%)、従業者数55万1,401人(全国構成比0.9%)でした。うち民営事業所についてみると、事業所数は5万4,370事業所(全国構成比0.9%)、従業者数は51万210人(全国構成比0.9%)で前回「平成24年経済センサス-活動調査」(以下「前回調査」という。)に比べ事業所数は1,027事業所の減(▲1.9%)、従業者数は3,051人の増(+0.6%)でした。

また、全国では、事業所数は592万6,804事業所、従業者数は6,178万8,853人で、うち民営事業所については、事業所数は577万9,072事業所で前回調査より1万583事業所の増(+0.2%)、従業者数は5,742万7,704人で前回調査より159万452人の増(+2.8%)でした。

表1 事業所数及び従業者数(富山県、全国)

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表

※前回調査(平成24年経済センサス-活動調査)は、国、地方公共団体の事業所を除いた民営事業所が調査対象であることから、前回調査との比較は民営事業所の値で行った。

※「事業内容等不詳の事業所」とは、事業所として存在しているが、記入不備等で事業内容が不明の事業所をいう。


2 産業大分類別事業所数及び従業者数の状況
(1)産業大分類別事業所数

富山県の事業所数を産業大分類別にみると、最も多いのが「卸売業、小売業」で1万4,340事業所(構成比26.0%)、次いで「建設業」6,078事業所(構成比11.0%)、「宿泊業、飲食サービス業」5,957事業所(構成比10.8%)の順となっており、この3産業で富山県の全事業所数の5割弱を占めています。

全国では、最も多いのが「卸売業、小売業」で140万7,414事業所(構成比24.7%)、次に「宿泊業、飲食サービス業」72万8,027事業所(構成比12.8%)、「建設業」51万5,080事業所(構成比9.1%)の順となっており、富山県と同様にこの3産業で全国の全事業所数の5割弱を占めています。

図1 産業大分類別事業所数構成比(富山県、全国)

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図

※グラフは富山県の構成比が多い順に、左から富山県と全国の産業大分類を並べた。
①から⑧は産業大分類別の構成比順位である。
必要な事項の数値が得られた事業所を対象として集計した。


(2)産業大分類別従業者数

富山県の従業者数を産業大分類別にみると、最も多いのが「製造業」で12万8,943人(構成比23.4%)、次いで「卸売業、小売業」9万6,161人(構成比17.4%)、「医療、福祉」6万8,038人(構成比12.3%)の順となっており、この3産業で富山県の全従業者数の5割を超えています。

全国で、最も多いのが「卸売業、小売業」で1,203万2,863人(構成比19.5%)、次いで「製造業」918万8,932人(構成比14.9%)、「医療、福祉」793万2,400人(構成比12.8%)の順となっており、この3産業で全国の事業所の5割弱を占めています。

図2 産業大分類別従業者数構成比(富山県、全国)

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図

※グラフは富山県の構成比が多い順に、左から富山県と全国の産業大分類を並べた。
①から⑧は産業大分類別の構成比順位である。


(3)富山県の産業大分類別従業者数の男女別構成比

富山県の男女別従業者数は、男性が30万1,673人(構成比54.7%)、女性が24万8,403人(構成比45.0%)でした。

産業大分類別にみると、男性は「製造業」が8万6,166人で最も多く、次いで、「卸売業、小売業」4万8,311人、「建設業」3万3,688人の順となっています。一方、女性は、「医療、福祉」が5万3,180人で最も多く、次いで「卸売業、小売業」4万7,757人、「製造業」4万2,306人の順となっています。

また、男女の構成比をみると、男性は、「電気・ガス・熱供給・水道業」(86.9%)、「運輸業、郵便業」(81.0%)、「建設業」(80.9%)などで高くなっています。女性は、「医療、福祉」(78.2%)、「宿泊業、飲食サービス業」(63.6%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(59.5%)などで高くなっています。

うち民営事業所について、前回調査と比較すると、従業者数の増加数が最も大きい産業は、男性では「複合サービス業」(1,332人増)、女性では「医療、福祉」(4,034人増)でした。また、増加率で見ると、男女とも「複合サービス業」で最も高く(男性+76.3%、女性+33.0%)なっています。

表2 産業大分類別男女別従業者数(富山県)

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表

※前回調査(平成24年経済センサス-活動調査)は、国、地方公共団体の事業所を除いた民営事業所が調査対象であることから、前回調査との比較は民営事業所の値で行った。

※男女別は不詳の従業者がいるため、男性と女性の合計は総数と一致しない場合がある。


図3 産業大分類別男女別従業者数の割合(富山県)

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図

※男女別は不詳の従業者がいるため、男性と女性の構成比の合計は100%にならない場合がある。


3 従業上の地位別従業者数の状況

富山県の従業上の地位別に従業者数を見ると、「雇用者」は49万774人(構成比89.0%)、「有給役員」3万3,459人(構成比6.1%)、「個人事業主、無給の家族従事者」2万7,168人(構成比4.9%)となっています。「雇用者」の内訳をみると、「正社員・正職員」が32万4,322人(構成比58.8%)、「正社員・正職員以外」14万6,573人(構成比26.6%)、「臨時雇用者」1万9,879人(3.6%)となっています。うち民営事業所について前回調査と比較すると、「正社員・正職員」が1.8%増、「正社員・正職員以外」が7.5%増、臨時雇用者が23.6%減となっています。

全国では、「雇用者」は5,549万8,485人(構成比89.8%)、「有給役員」366万3,152人(構成比5.9%)、「個人業主・無給の家族従業者」が262万7,216人(構成比4.3%)となっています。「雇用者」の内訳をみると、「正社員・正職員」が3,347万2,571人(構成比54.2%)、「正社員・正職員以外」1,946万2,607人(構成比31.5%)、「臨時雇用者」256万3,307人(構成比4.1%)となっています。このうち民営事業所について前回調査と比較すると、「正社員・正職員」が4.7%増、「正社員・正職員以外」が7.0%増、臨時雇用者が19.9%減となっています。

表3、4 従業上の地位別従業者数(富山県、全国)

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表

※前回調査(平成24年経済センサス-活動調査)は、国、地方公共団体の事業所を除いた民営事業所が調査対象であることから、前回調査との比較は民営事業所の値で行った。


図4 従業上の地位別従業者数構成比(富山県、全国)

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図

※「正社員・正職員以外の雇用者」とは、「正社員・正職員以外」と「臨時雇用者」を合算したものである。


4 存続・新設・廃業事業所の状況(民営事業所)

富山県の民営事業所について、事業所の異動状況をみると、存続事業所は4万7,156事業所(総数に占める割合86.7%)、新設事業所は7,214事業所(同13.3%)、廃止事業所は8,241事業所でした。

全国では、存続事業所は475万6,371事業所(同82.3%)、新設事業所は102万2,701事業所(同17.7%)、廃止事業所は101万2,118事業所でした。

都道府県別に、新設事業所の割合をみると、東京都が24.3%と最も高く、次いで宮城県が21.2%、神奈川県が20.4%となっています。

表5 都道府県異動状況別民営事業所数
表

U 企業等に関する集計
1 企業等数の状況

平成26年7月1日現在の富山県の企業等(民営のうち会社企業、会社以外の法人及び個人経営で本社等が県内に所在)数は4万306企業(前回調査より▲2.4%)でした。また、全国では409万8,284企業(前回調査より▲0.7%)でした。

表6 企業等数(富山県、全国)
表

経営組織別に企業等数をみると、富山県では「個人企業」が2万2,260企業(構成比55.2%)で最も多く、次いで「会社企業」1万4,688企業(構成比36.4%)、「会社以外の法人」3,358企業(構成比8.4%)となっています。

全国でも、「個人企業」が208万9,716企業(構成比51.0%)で最も多く、次いで「会社企業」175万71企業(構成比42.7%)、「会社以外の法人」25万8,497企業(構成比6.3%)となっています。

表7 経営組織別企業等数(富山県、全国)

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2 産業大分類別企業等数の状況

産業大分類別に富山県の企業等数をみると、最も多いのが「卸売業、小売業」で9,800企業(構成比24.3%)、次いで「建設業」5,469企業(構成比13.6%)、「製造業」4,625企業(構成比11.5%)の順となっており、この3産業で富山県の全企業等数のほぼ5割を占めています。

全国でも、最も多いのが「卸売業、小売業」で90万7,857企業(構成比22.2%)、次に「宿泊業、飲食サービス業」で54万6,717企業(構成比13.3%)、「建設業」で45万6,312企業(構成比11.1%)の順となっており、この3産業で全国の全企業等の5割弱を占めています。

図5 産業大分類別企業等数構成比(富山県、全国)

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図

※グラフは富山県の構成比が多い順に、左から富山県と全国の産業大分類を並べた。
①から⑤は産業大分類別の構成比順位である。


3 産業大分類別企業等の売上(収入)金額の状況

富山県の企業等について、産業大分類別の売上(収入)金額が最も多いのは「製造業」で、2兆6,431億円でした。次いで「卸売業、小売業」1兆9,770億円、「建設業」7,189億円となっています。

全国では、「卸売業、小売業」が425兆6,913億円で最も多く、次いで「製造業」347兆7,042億円、「金融業、保険業」116兆4,550億円の順となっています。

表8 産業大分類別企業等売上(収入)金額

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表

※必要な事項の数値が得られた企業等を対象として集計。
xは秘匿情報。


●参考資料


上記で掲載しました表やグラフは こちら(1_table_chart.xlsx) をクリックしてください。

また、用語の解説については こちら(1_terminology.pdf) をクリックしてください。

●おわりに


本稿では、富山県についての主な集計結果について要約していますが、詳細なデータや全国の結果につきましては、総務省統計局HPの経済センサス−基礎調査のページをご覧ください。

総務省統計局HP 「平成26年経済センサス-基礎調査」
http://www.stat.go.jp/data/e-census/2014/index.htm
とやま経済月報
平成28年5月号
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