特集

「薬都とやま」のさらなる飛躍に向けて

富山県 厚生部 くすり政策課

はじめに


富山県は、江戸時代から始まる配置薬業から続く国内でも有数の医薬品製造拠点であり「くすりの富山」として全国的に知られてきました。美しく豊かな自然、地震や台風などの自然災害の少ない地理、陸海空にわたり整備された交通網などの強みにより、近年、医薬品の研究開発・製造拠点としてさらに注目が高まり、医薬品生産額は過去最高額を更新しています。富山県では、医薬品産業のさらなる飛躍のため、世界に羽ばたく「薬都とやま」の実現に向けた様々な施策に取り組んでいます。

1 富山県の医薬品産業


「くすりの富山」として有名な、富山県の医薬品産業の興りは諸説ありますが、広く全国に名を知らしめたのは、江戸時代(文化13年(1816年))に、半官半民の形で「反魂丹役所」が設けられ、①富山藩から全国へ流通していく配置薬の品質等の統制が行われたこと、②売薬の旅先領との交渉において藩権力によるバックアップが行われたことなども寄与していると考えられています。

優良な原料を使い、安定した品質を有する富山の配置薬は、「売薬さん」(配置販売業者)の手により富山藩から全国へその販路を広げるとともに、得られた利益は富山の地場産業活性化に投資され、明治以降、製薬企業の設立、薬業学校の開設、電力会社の設立、銀行の設立など現在の富山県の発展の礎を築いてきました。

県内製薬企業は着実に配置薬の生産量を伸ばし、高度成長期を経て導入されていった国民皆保険制度などの医療制度の流れにあわせ、医療用医薬品(新薬やジェネリック医薬品)の製造、一般用(OTC)医薬品の製造、配置薬製造で培った高度な製剤技術を活用した特殊製剤の製造などに、各社の強みを生かしながら取り組んできました。

特に平成17年施行の薬事法改正では、医薬品製造の完全委受託が可能となり、富山県内の製薬企業はその高い品質管理・製剤技術を武器に、大手国内医薬品企業からの受託製造を伸ばしていきました。都道府県別医薬品生産金額が平成18年に前年の全国第8位から第4位に躍進した後も好調に推移し、平成25年は過去最高の6,089億円と、埼玉県、静岡県に次いで全国第3位を維持しています。また、人口1人当たりの生産金額は56.6万円と、全国平均の5.4万円を大きく上回り、引き続き全国1位となっています。また、富山県の産業分類別出荷額のうち、医薬品製造業は12.3%を占めており、富山県経済を牽引している基幹産業の一つと言えます。

1人当たりの医業品生産金額(平成25年)(単位:万円)

出典:平成25年薬事工業生産動態統計(厚生労働省)を基に富山県で集計

富山県の産業分類別製造出荷額

出展:平成25年富山県の工業

県内製薬企業による積極的な設備投資も行われており、平成27年以降も900億円を超える設備投資が行われる予定となっています。さらには、製薬企業とともに、印刷業や容器製造業等の関連産業が集積・発展しているなど、県内で医薬品製造を一貫して行える環境が整っており、他県から富山県に生産拠点を全面移転することを決めた企業も出てきています。

学術の関係では、薬学系教育機関として、明治期に配置薬業者からの出資により設立された共立富山薬学校を母体とする国立大学法人富山大学薬学部があります。共立富山薬学校は、富山県立薬学専門学校への改組などを経て、昭和24年に旧・富山大学の薬学部に引き継がれました。さらに、他の国立の医科大学とは異なる特色を打ち出した教育及び研究の機関として、旧・富山大学の薬学部を移行させて、全国初の、医学と薬学の2学部からなる国立大学として富山医科薬科大学が昭和50年に開学しました。その後、平成17年に富山医科薬科大学と旧・富山大学は統合され、現在の富山大学になっています。富山大学には、医薬品の研究開発関係では、医学部及び工学部に加えて、日本唯一の伝統医薬学の研究所である和漢医薬学総合研究所も設置されています。さらに、平成29年4月には富山県立大学に、医薬品工学科が設置されることになっています。また、県立高校2校に薬業関係学科が設置されています。行政機関では、富山県厚生部くすり政策課内に富山県の医薬品産業の振興を主務とする振興開発班が設置されているとともに、医薬品の開発研究や技術指導を行う全国唯一の公設研究所である、富山県薬事研究所が設置されています。

2 くすりの富山のさらなる飛躍に向けて(富山県医薬品活性化懇話会報告書)


「くすりの富山」のさらなる飛躍を目指し、富山県では、平成21年度と平成25年度に富山県医薬品産業活性化懇話会を設置し、富山県及び本県薬業界がとるべき施策展開等の方向性について議論を重ねてきました。懇話会で示された論点はそれぞれ、平成22年3月及び平成26年3月に報告書として取りまとめられています。

2つの報告書において、今後予想される課題は、①医薬品製造・製剤開発に関する企業間競争、②工場・研究所誘致に関する地域間競争、③国内医薬品市場の飽和とシェア競争の3点であるとされています。これに対して、今後目指すべき方向は、①確かな製造技術に基づく高い医薬品生産能力を有する拠点、②高い製剤開発力及び関連産業が一体となった開発・生産体制を有する拠点、③世界に通用するスペシャリティファーマの集積する拠点といった「くすりの生産拠点」に向けた取組みであるとされ、国内医薬品生産金額の日本一、さらには世界に羽ばたく「薬都とやま」の実現に取り組んでいくこととされました。

また、具体的な戦略的取組みとして、①製剤技術力等の強化と関連産業等との連携、②情報発信と企業立地しやすい環境づくり、③国際化の推進、④人材の確保・育成を挙げています。

現在、富山県及び本県薬業界では、これら報告書の内容に基づき産学官連携した各種取組みを進めているところであり、これらの取組みについて以下順に説明します。

3 戦略的取組みT:製剤技術力の強化と関連産業等との連携


県内製薬企業の医薬品生産能力や製造技術を伸ばしていくため、製造管理・品質管理技術の向上や製剤開発を含めた医薬品研究開発をさらに推進していくとともに、県内の小規模な医薬品製造所の生産効率化等を図ることとしています。また医薬品関連産業との連携を強化し、医薬品産業と関連産業が一体となった医薬品の開発・生産体制の構築に向けた取組みを進めています。

現在、進行している具体的な取組み(施策)は以下のとおりです。

1)製剤開発・創薬研究支援ラボの整備

平成26年度の政府交付金を活用して、県薬事研究所に「製剤開発・創薬研究支援ラボ」を整備しました。具体的には、製剤開発に関する研究を支援する機器として味覚試験装置、レーザー回折式粒子径分布測定装置及びヘッドスペース分析装置などを、創薬支援機器としてin vivoイメージング装置及び共焦点レーザー顕微鏡を整備しています。また、27年度には製剤開発を支援する機器として分子間相互作用解析装置、創薬支援機器として半自動型PTP包装機を追加整備しています。

これらの機器や設備を県内製薬企業の研究者・技術者に供することにより、製剤等開発に係る試作品の一貫製造及びその製品検査など開発機能の充実を図り、県内製薬企業が有する高い製剤技術力を活かした特殊製剤やDDS(ドラッグデリバリーシステム)を利用した製剤等の開発を推進します。また、県内大学の学生の実習等にも活用することで、人材の育成等も図ります。

2)産学官連携による新規ワクチンアジュバントの開発研究

県薬事研究所及び富山県並びに薬業界が共同で設置している富山大学大学院医学薬学研究部寄附講座「免疫・バイオ創薬探索研究講座」では、平成24年度から国内ワクチン製薬企業と共同で、ワクチン用新規アジュバント(効果増強剤)の開発研究を行っています。さらに、平成26年度からは、経鼻粘膜投与型ワクチンの有効な剤形、投与法等の研究も行っています。本プロジェクトにより、免疫応答機能を利用した富山発の医薬品開発シーズの探索研究を推進しています。

3)フォーラム富山「創薬」の開催

平成12年より、富山県における医薬品研究開発に関する産学官交流の場として、フォーラム富山「創薬」が富山大学を事務局として設置されています。本フォーラムでは、毎年2回の研究会と、富山オリジナルブランド医薬品開発研究会及び富山医薬品化学研究会(トメックス)の2分科会が開催されています。本フォーラムでは、県内の産学官の研究を互いに紹介し、情報交換や交流を促進しています。これまでの成果として、全国初の産学官による富山オリジナルブランド医薬品「パナワン」の開発や、富山大学、富山県立大学、薬事研究所と県内製薬企業との共同研究や受託研究員の受入れなどに繋がっています。

4)臨床の薬剤師と製薬企業製剤開発研究者との意見交換会

富山県の薬業関係団体である一般社団法人富山県薬業連合会が平成23年から、県の支援を受けて、県内製薬企業の製剤開発研究者と、県内の公的病院等で医療に携わる薬剤師等との意見交換会を行っています。本意見交換会では、医薬品製剤に関する臨床現場の要望について、県内製薬企業の製剤開発研究者及び医薬品関連企業の担当者、県内病院及び薬局の薬剤師、大学研究者等が意見交換することにより、医療現場のニーズに対応した、患者や医療従事者にとって使いやすい製剤などの開発に繋げています。平成27年度は、小児医療の国の代表的な研究機関である国立成育医療研究センターの研究者も交えて、小児用医薬品などの付加価値の高い医薬品の開発に取り組んでいます。

5)富山大学和漢医薬学総合研究所に設置した寄附講座を通じたオリジナルブランド医薬品の開発

富山県は、平成16年度から県内薬業界と共同で、富山大学和漢医薬学総合研究所に寄附研究部門「和漢薬製剤開発分野」を設置し、歴史ある和漢薬の技術を現代に生かした新しい和漢薬製剤の研究・開発を産学官で進めています。これまでの成果として、産学官による富山オリジナルブランド医薬品「パナワン」及び「エッセン」(越撰)の開発に繋がっています。

6)県薬事研究所、県薬用植物指導センター及び富山大学医薬学総合研究所の連携による「富山ブランドシャクヤク」の開発

県薬事研究所及びその付設機関の薬用植物指導センターは、県内での薬用植物の栽培促進を目指して、代表的な生薬の一つであるシャクヤクについて、富山県での栽培に適し、かつ、高品質な生薬を産する優良品種を選定し、「富山ブランドシャクヤク」としてのブランド化を図る取組みを、富山大学和漢医薬学総合研究所の協力も得ながら進めています。

本プロジェクトにより、県内での薬用植物の栽培を振興するとともに、富山で生産された薬用植物を活用した医薬品等の開発・製造の促進を目指しています。

7)富山県薬用作物実用化研究会

富山県は平成26年度に富山県薬用作物実用化研究会を設置し、県内における薬用作物の栽培振興や関連商品の開発及び医療への応用等の促進に係る調査検討を行っています。本研究会では、県内における薬用植物の栽培から医薬品等への活用に至るまでの課題と県及び県内関係者が取り組むべき施策について、農業者・医薬品等のメーカー、研究者等の関係者が集まり、検討を行っています。平成27年度には「富山県薬用作物実用化研究会 幹事会」を設置し、「医薬品等」「健康食品」「生産」の各テーマ別に検討を行い、薬用作物の効率的な栽培・収穫方法の検討や、海外販路開拓のための検討などを行っています。

8)製造管理に関する実地研修の開催

一般社団法人富山県薬業連合会は県の支援を受け、県内製薬企業の製造管理担当者向けの実地研修を実施しています。また県薬事研究所が事務局を務める富山県薬事研究会等を中心に、医療現場からの意見や市場動向の分析結果等を踏まえ、製剤技術や分析技術に関する県内製薬企業の共通課題について、県内製薬企業及び県薬事研究所による共同研究が実施されています。この他、富山県の医薬品産業がさらに発展するために必要な取組みについて、県内の製薬企業関係者、大学等研究者、行政関係者が連携して、随時検討を行っています。

9)薬都とやまヘルスケア創造プロジェクト

県内の大学や企業にある県内の優れた「シーズ」(新しい医薬品などの開発につながる優れた基礎的研究成果)の実用化を促進し、県内産業の振興と県民・国民の疾病予防・未病対策の推進、健康寿命の延伸を図るため、国の交付金を活用して、平成27年度より(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)との相談費用の一部助成、コンサルタントなどによる相談会等を行っています。

※図をクリックすると大きく表示されます

4 戦略的取組みU:情報発信と企業立地しやすい環境づくり


富山県は、地震や台風などの災害が少なく、また、豊富な水資源や安価な電力があるなど、医薬品産業の拠点として優れた特長を有しており、富山県の医薬品産業を更に発展させるため、このような特徴を全国に発信していくこととしています。また、高い製剤開発力、製造技術力、生産能力等を有する製薬企業が立地していることに加え、包装・印刷等の製薬関連産業も集積している特性などの情報発信を積極的に行っています。そのほか、企業に対しての立地支援、薬事に関する相談・指導体制の充実や、物流面も含めた企業サポート体制の整備を図り、企業立地しやすい環境づくりを行っています。

現在、進行している具体的な取組み(施策)は以下のとおりです。

1)県内製薬企業等出展支援事業

富山県には、個々の規模は大きくないが、それぞれに特徴のある高い技術力を有する製薬企業が複数存在しています。このような企業が他の企業からの製造受託等の獲得を促進する目的で、首都圏で行われている大規模な見本市において富山県の中小規模の企業が連合した展示ブースを設置するための支援を行っています。併せて、このようなブースでは、自然災害が少ない環境であることや、関連産業の高度な集積によるビジネス上の利便性、北陸新幹線開業等を含む陸海空の交通の利便性などをアピールしています。

2)受託製造推進等事業

富山県の製薬企業の製剤技術・品質管理等の更なる向上を目指して、富山県外の製薬企業関係者等を招聘した講習会を開催するとともに、講習会を通じた招聘企業と県内企業の関係者の交流により、県外製薬企業関係者が富山県内の製薬企業をより深く知ってもらう機会となるよう、支援を行っています。

3)医薬品物流共同化事業

富山県の製薬企業の工場から首都圏等に向けて出荷する医薬品の流通コストやCO2排出量を削減するため、複数の企業が共同して発送する共同物流事業に対する支援を行っています。

このほかに、富山県に工場や研究所を立地する企業に対する助成金の交付等を行っているほか、県内の製薬企業が受託製造できる剤型、生産能力や共同開発できる製剤技術等に関する企業情報について、県薬業連合会を通じて収集し、ホームページや冊子による情報発信を行うとともに、団体商標「富山のくすり」のシンボルマークや、置き薬の箱をイメージしたキャラクター「くすりん」を活用したPR活動を推進し、富山県の薬業のイメージアップとブランド力の強化を行っています。また、消費者に対して、「富山のくすり」をより広く、深く認知してもらうよう、首都圏地域等において、富山県の医薬品に関する展示会や販売会を開催する補助を行っています。

5 戦略的取組みV:国際化の推進


国内の医薬品市場は緩やかに拡大していますが、国内人口の減少傾向や国の医療費抑制策等を踏まえて、県内の医薬品産業がより一層発展するためには、研究開発力を強化し、海外に展開して新興国市場の成長を取り込むことが重要です。そのため、富山県は、世界的な製薬産業の集積地であるスイス・バーゼル地域と交流協定を締結し、医薬品研究開発に関する富山・バーゼル間の交流促進に取り組んでいます。また、県内製薬企業の国際展開を促進するため、県内の薬業界の欧州やアジア地域との交流に対して支援を行っています。

現在、進行している具体的な取組み(施策)は以下のとおりです。

1)富山・バーゼル医薬品研究開発シンポジウム開催事業

平成21年10月に締結された交流協定に基づき、両地域の医薬品分野における交流を一層推進するため、平成22年度より隔年で、富山・バーゼル地域で交互に合同シンポジウムを開催しています。平成26年8月には、富山県において、「第3回富山・バーゼル医薬品研究開発シンポジウム」を開催し、両地域の研究者が最新の研究成果等について発表し、交流を深めました。平成28年8月には、スイス・バーゼル地域において、第4回目となるジョイントシンポジウムを開催する予定となっています。

2)若手研究者等バーゼル地域ネットワークづくり支援事業

平成21年の交流協定に基づき医薬品分野における交流を一層推進するため、平成27年度には県内企業等の若手研究者が、スイス・バーゼル地域において開催される医薬品開発と生命科学研究に関するイベント(Basel Life Science Week 2015)に参加し、ポスター発表を行うとともに、現地の製薬企業や研究機関を訪問し交流することを支援しました。平成28年においては、ジョイントシンポジウムの開催にあわせて県内企業等の若手研究者をスイス・バーゼル地域に発表者として派遣するとともに、現地の製薬企業や研究機関を訪問し交流することを支援することとしています。

3)県内薬業界による海外交流の支援

富山県の製薬企業の国際展開を促進するため、県内薬業団体による国際交流アドバイザーの設置を支援するとともに、富山県の薬業界が海外に派遣する交流訪問団に県職員も同行し、富山県の優れた医薬品産業のアピールを行っています。これまでに、イタリア、ベトナム、タイ、インド、インドネシア、ロシアへの交流訪問団に県職員が同行しています。平成27年度においてはトルコへの薬業訪問団へ職員を派遣しており、現地製薬企業の訪問、工場見学、政府投資促進機関との懇談を行いました。

この他、独立行政法人国際協力機構(JICA)の支援で行われている海外の薬事行政官の研修の一部を県内で受け入れており、富山県の医薬品産業の説明や県内の製薬企業の見学等を通じて、国際的な交流を図っています。

6 戦略的取組みW:人材の確保・育成


富山県の医薬品産業が将来にわたって発展していくためには、富山県の医薬品産業を担っていく薬剤師などの技術者や研究者を確保することが重要です。そのため、中高生を対象とした薬剤師業務体験や薬学生を対象とした工場見学、製薬企業セミナーの開催などの取組みに対する支援を行い、高度化・複雑化していく医薬品の製造・開発技術に対応した研修等への支援をしています。

現在、進行している具体的な取組み(施策)は以下のとおりです。

1)薬剤業務体験学習事業

県内の中学生・高校生を対象に、病院、薬局、県薬事研究所において、薬剤師の仕事の体験学習を実施し、医薬品に関する正しい知識の習得と医薬品の専門家としての薬剤師の仕事への興味と理解を深めています。

2)薬剤師等人材確保事業

県内の製薬企業において薬剤師等の人材の確保を図るため、就職活動を行っている学生を対象とした富山県の製薬企業セミナーの開催、全国薬科大学生向けPRパンフレットの作成・配布に対する支援を行っています。また、県内の中・高校生やその両親を対象に、薬の専門家である薬剤師の仕事への興味と理解を深め、薬学部への進学を促すことを目的とした「未来の薬剤師発掘セミナー」を平成27年11月に初めて開催しました。

このほか、県薬事研究所において、富山大学薬学部生等を対象とした製剤実習を行うことや、世界に通用する専門技術者の養成等を目指して富山大学に設置された「次世代スーパーエンジニア養成コース」の「医薬製剤産業特論」において、県職員等も講師に参画し、県内製薬企業の技術者等に講義することにより支援を行っています。

おわりに
世界に羽ばたく「薬都とやま」を目指して


現在、県内の医薬品業界では、国のジェネリック医薬品(※)の使用促進策を受けて、ジェネリック医薬品を自ら製造・販売するメーカーや、受託製造するメーカーを中心に業績が伸びています。しかしながら、ジェネリック医薬品は、今後、価格面での競争が激しくなることが予想されています。県内の医薬品メーカーは、自らの技術力を高めて、付加価値の高い医薬品の製造・販売に取り組むことが求められています。

富山県では、今後とも、本県の強みを活かした“国際競争力を有する「くすりの生産拠点」の確立”を目指し、県内の産学官の関係者が連携して、製剤技術力の一段の強化等に努めるとともに、画期的な新薬の研究開発力の強化や、富山県の医薬品産業の礎となった配置薬業の再興などの様々な課題に対する取り組みを着実に行っていきます。

(※)新しい医薬品(先発品)の特許などの期間が過ぎた後に販売される、先発品と同等の医薬品のこと。先発品と比較して安価なことが特徴。

とやま経済月報
平成28年3月号