特集

女性の活躍推進と男女共同参画の取組みについて

富山県 生活環境文化部 男女参画・県民協働課

 

1 はじめに


近年、少子高齢化、人口減少が進展し、労働力人口の減少が懸念されるなか、活力ある地域づくりを進めるためには、男女がともに協力し合いながら、家庭・地域・職場など社会のあらゆる分野で個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会を実現することが大変重要です。

このため、富山県では、平成24年3月に「富山県民男女共同参画計画(第3次)」を策定し、「政策・方針決定過程への女性の参画の促進」「働く場における男女共同参画の推進と女性のチャレンジ支援」などを基本目標に掲げ、女性の管理職への登用促進や人材育成、再就職支援、男性の家事・育児参画推進などに取り組んでいます。

2 富山県の現状と課題


本県では、女性の就業率や平均勤続年数、正社員比率は、全国トップクラスとなっており、女性の職場への参画が進んでいます。一方で、ものづくり産業の比率が全国的に高い本県においては、民間事業所も含めた女性の管理職比率は比較的低い状況にあります。

また、平成25年に県が実施した「子育てサービスに関する調査」によると、第1子出産を機に常勤者の43.9%が離職しており、離職者の26.9%が就業の継続を希望しながらも、「仕事と育児の両立が難しいため離職した」と答えています。

さらに、女性の活躍推進のためには、男性の家事・育児への参画が大変重要ですが、本県における男性の育児休業取得率は、平成26年度は1.5%で、全国の2.3%を下回っています。また、本県の6歳未満の子どもがいる夫の1日あたりの育児・家事時間は、全国平均を上回っているものの、妻に比べて非常に短いことから、県内における男性の家事・育児参画は普及しているとは言えない状況となっています。


【富山県の女性の就業をめぐる状況】
①女性の就業率 [H22] 49.9%(全国 47.1%:7位)
②女性の平均勤続年数 [H26] 11.4年(全国9.3年:2位)
③女性雇用者に占める正社員の割合 [H24] 50.3%(全国 41.1%:1位)
④民間事業所を含めた管理的職業従事者に占める女性の割合
  [H22] 5.7%(全国 7.3%:44位)
⑤共働き率 [H22] 54.7%(全国 45.4%:5位)

【富山県の男性の家事・育児参画の状況】

3 課題解決に向けた施策の紹介


このような課題に対応するため、「富山県民男女共同参画計画(第3次)」において、「女性の活躍促進による経済社会の活性化」や「男性、子どもにとっての男女共同参画」などを、特に重要な視点と位置付け、各種施策に取り組んでいるところです。

(1)女性活躍の推進について

①煌めく女性リーダー塾

県では、県内企業等で働く女性の相互交流と自己研鑽を図り、企業等における女性社員の活躍をより一層推進するため、平成25年度より「元気とやま働く女性ネットワーク『煌めく女性リーダー塾』」を開講しています。毎年7月から翌年3月まで、月1回の日程で実施しており、現在、第3期生として県内29の事業所等から推薦された29名の塾生が参加しています。

これまで、ロールモデルとの交流、知事とのランチトーク、グループで取り組む課題研究などに取り組んできました。プレゼンテーション発表会では、「ワーク・ライフ・バランス」や「リーダーシップの発揮」などをテーマに塾生がこれまでの研究成果を発表します。


②富山県女性の活躍推進連携協議会

富山県の女性が様々な分野で持てる力を十分に発揮し活躍できるよう、経済団体、関係機関等が連携し、女性活躍推進に向けた取組みを推進するため、平成27年8月に富山県女性の活躍推進連携協議会(会長:富山県経営者協会 稲垣会長)を設置しました。

第1回協議会では、今後の取組みの方向性を確認し、今後、各団体や関係機関において、男性が家事・育児参画しやすい環境整備や意識改革、仕事と家庭の両立を可能とする環境整備、長時間労働の是正などに取り組むこととしています。


(2)女性の再就職について

①ママたちの再チャレンジ応援塾

県では、女性の高い就業意欲を踏まえ、「ママたちの再チャレンジ応援塾」を平成25年度より開講しています。この事業は、結婚・出産を機に一旦離職し再就職を目指す女性が、再就職に必要な知識やコミュニケーション力などの実践的な能力を習得することによって、再就職への不安の解消を図り、子育てをしながら安心して働き続けることができる環境づくりを支援することをねらいとしています。

今年度は、前期、後期それぞれ4回の連続講座とし、対象を前期は「再就職して自分の能力を発揮したい女性」、後期は「子育てしながら仕事を始めてみたい女性」と分けることで、受講者の多様な働き方のニーズに対応できるようにしています。


(3)男性の家事・育児参画促進について

①ファザーリング全国フォーラムinとやま

本県における男性の主体的な家事・育児参画の機運を醸成するため、平成27年11月6日、7日の両日、富山県民共生センター(サンフォルテ)において、「ファザーリング全国フォーラムinとやま」を開催いたしました。

開会式では富山県知事による「イクボス(※)のすすめと宣言」が行われ、男性の家事・育児参画やワーク・ライフ・バランス等をテーマに2日間で14の分科会が開催され、全国から延べ約2,000人の方が参加しました。

メインシンポジウムでは、イクボスをテーマとしたパネルディスカッションを行い、模範的なイクボスを増やすためのノウハウなどを話し合いました。また、メインシンポジウムの最後には、会場内参加者にも幅広く呼びかけ、登壇者及び参加者有志がステージに登壇し、声を合わせて「イクボス宣言」をしました。

※イクボス…部下の仕事と家庭の両立を応援する上司


②男性の働き方改革セミナー

男性の家事・育児参画は、女性のみならず、男性、企業、社会にとっても多くの効果をもたらすことを啓発し、男性の仕事と生活の調和の実現及び家事・育児に参画しやすい職場環境づくりを推進するため、平成25年度より企業・大学へ出向いて、イクメン(育児を楽しむ男性)・カジダン(家事に積極的な男性)やイクボスに関する講座を実施しています。

今年度、企業や大学で開催している「男性の働き方改革セミナー」の受講者からは、「管理者が意識を変えなければならない」(企業)、「男性の家事・育児参画の意義が分かった」(大学)などの意見が聞かれ、今後とも取組みを進めてまいります。

4 おわりに


今回は、男女共同参画に関する取組みの一部をご紹介しましたが、このほか、女性の登用や能力開発に積極的で、女性が職場でいきいきと活躍している企業に県知事賞を授与する「女性が輝く元気企業とやま賞」や、県内事業所の役員クラスの方に、チーフ・オフィサー(CGEO = Chief Gender Equality Officer)にご就任いただき、事業所内の核となって職場における男女共同参画を推進していただく「男女共同参画チーフ・オフィサー設置事業」など、様々な取組みを行っています。

今後も、「富山県民男女共同参画計画(第3次)」の目標である「男女がともにつくる未来とやま」を実現するため、積極的な取組みを行ってまいります。

とやま経済月報
平成28年2月号