特集

「第35回全国豊かな海づくり大会〜富山大会〜」
の開催結果について

富山県 農林水産部 水産漁港課

 

1 はじめに


昨年10月24日(土)、25日(日)に、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、「第35回全国豊かな海づくり大会〜富山大会〜」が射水市の海王丸パークなどで開催されました。

この全国豊かな海づくり大会は、水産資源の保護・管理や海・河川等の環境保全の意識啓発を図るとともに、つくり育てる漁業の推進を通じて漁業の振興・発展を図ることを目的に、毎年、都道府県の持ち回りで開催されており、富山県では初めて開催されたものです。

また、天皇皇后両陛下の御来県は、「第55回国民体育大会(2000年とやま国体)」以来、15年ぶりの御来県となり、大会の各行事に御臨席いただくとともに、県内事情のご視察をいただきました。

このほか、この大会には、大会会長である大島衆議院議長をはじめ、森山農林水産大臣、丸川環境大臣など、県内外の大会関係者約2,000人の参加を得て、盛大に開催されました。

2 式典行事


10月25日(土)の午前中に射水市の高周波文化ホールで、全国から1,117人の参加を得て、式典行事が行われました。

式典の前のプロローグでは、本県出身の女優「室井滋」さんによる語りを交えながら、富山県の高度差4,000mのダイナミックで美しい自然やそこで育まれた伝統・文化などを大型スクリーンでの映像や県内団体による創作舞踊、伝統芸能などで表現し、富山県の特徴や魅力を全国からの参加者にアピールしました。

その後、式典では、高岡市立野村小学校5年生の岡本春希君による最優秀作文の発表、オペラ歌手の澤武紀行さんや高野百合絵さんによる越中万葉の朗唱、中学生の皆さんによる漁業体験や国際環境協力の活動発表や、ホールの壁面や天井を使っての富山県の四季を代表する美味しい魚を紹介した迫力ある映像、そして地元の若い漁業後継者夫妻による決意表明など、富山らしい演出で、来場者を魅了しました。

天皇皇后両陛下が御退席になる際、作文発表者の岡本君の近くにわざわざ歩み寄られ、皇后陛下から「とても良い作品でしたね」と温かい励ましのお言葉をおかけになる場面もあり、感動のうちに式典行事が終了いたしました。

また、式典行事終了後、両陛下には、高周波文化ホール内で、午後からお手渡しや御放流いただく予定の稚魚などを御覧いただきましたが、両陛下には県農林水産部長のご説明を大変興味深くお聞きになるとともに、天皇陛下からアワビが緑色になった理由やキジハタの生存率が上昇した理由など専門的な内容についてもお聞きになるなど、富山県の栽培漁業の取組みに大変関心を持たれた様子でした。

3 海上歓迎・放流行事


10月25日(土)の午後には、好天に恵まれた射水市の海王丸パークで、865人の参加を得て、総帆展帆した帆船海王丸や新湊曳山全13基が勢ぞろいする絶好のロケーションのもと、海上歓迎・放流行事が行われました。

まず、両陛下のご到着とともに、地元射水市の下地区に伝わる伝統行事である「国指定重要無形民族文化財 稚児舞」の歓迎演舞が披露され、両陛下は大変熱心に御覧になっておられました。演舞が終わると、皇后陛下からは「お上手でしたね」とのお声かけがあり、天皇陛下も、出演者の方々に「ありがとうございました」とお声をかけておられました。

続いて、全国的にも珍しい地元新湊地区に伝わる海上神事「ボンボコ舞」や、富山湾で操業される様々な漁法を紹介した漁船パレードが披露されましたが、漁船上でも漁具を展示するなど、来場者に富山県の水産業をわかりやすく紹介しました。両陛下もそれぞれの漁船等にお手を振りながら、大変興味深く御覧になっておられました。

その後、両陛下には、本県の栽培漁業対象種であるクロダイ、アワビ、サクラマス、アマモの稚魚などを県内の漁業後継者にお手渡しいただくとともに、会場の招待者や子供たちとともに、ヒラメやキジハタの稚魚を御放流いただきました。

両陛下には、稚魚等を受けられた若い漁業後継者の方々や介添えされた高校生の皆さんに終始優しく微笑みかけられ、大変気さくにご質問されたり、温かい激励の言葉をかけていただきました。また、行事の終了後も、伝統芸能など披露された地元の皆様の近くまで足を運ばれ、それぞれ労いのお言葉をかけていただくなど、細やかなお心遣いをいただきました。

4 その他行事


大会では、式典行事の前日の24日(土)に、ANAクラウンプラザホテルにおいて、両陛下には、大会を記念した絵画・習字コンクールの優秀作品の展示をご覧いただき、受賞した子どもたちや保護者の皆様に温かいお言葉をかけていただきました。

同じく24日(土)には、両陛下の御臨席を仰ぎ、県内外の関係者261人の参加を得て、富山の美味しい「食」や地酒でおもてなしをするとともに、両陛下には、県内の漁業関係者などと親しく御懇談いただきました。

このほか、10月24日(土)、25日(日)の2日間にわたり、海王丸パークで3万3,000人の来場を得て、関連行事が行われ、富山の水産業や環境保全活動などを紹介する企画展示をはじめ、ステージイベント、物産販売など多彩な催しが行われました。

5 おわりに


北陸新幹線の開業の年に、全国から多くの関係者をお迎えして開催されたこの大会を通じて、立山連峰や富山湾をはじめとした豊かで美しい自然、優れた伝統・文化、新鮮で美味しい富山の魚など本県が誇る様々な魅力を全国にアピールするとともに、県民参加の森づくりや国際環境協力など先駆的な活動を全国に発信する機会となりました。

平成29年春には、「全国植樹祭」の開催も予定されていることから、この大会を契機として、今後とも、森や川や海などの環境保全を一体のものとして捉え、県民総ぐるみの豊かな海づくりや森づくりを一層推進していきます。

とやま経済月報
平成28年2月号