特集

平成24年度富山県民経済計算推計結果について

統計調査課 廣澤 史徳

1 はじめに


富山県では、平成27年2月に平成24年度富山県民経済計算の推計結果を公表しましたが、ここでは、今回の推計結果をご紹介するとともに、この「県民経済計算」の使い方や今後の課題について、若干の説明をさせていただきたいと思います。

2 県民経済計算とは


「県民経済計算」とは、本県を含め各都道府県・政令指定都市といったある特定の地域内において、さまざまな経済活動により生み出された物やサービスの付加価値がどの程度であったかを網羅的に把握し(生産面)、その生み出された付加価値が報酬、利益といったかたちでその地域の住民や企業にどのように分配され(分配面)、その分配を受けた住民や企業などがその報酬や利益をどのような割合で消費や貯蓄、投資などに使用し、その使用した結果がどのように次の新たな物やサービスの生産につながっていっているか(支出面)といった経済サイクルを包括的に把握する数少ない経済統計のひとつです。

また、その推計方法は内閣府の「県民経済計算標準方式・推計方法」に準拠した形になっていますので、各県(市)どうしの値を直接比較することが可能になっています。

3 富山県経済の概況


まず、平成24年度の富山県経済の概況を前年度と比較した表1を見ていきます。

表1

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表

平成24年度の本県の県内総生産は、名目で4兆3,840億円、実質では4兆7,016億円となりました。これは名目でみると、国内総生産額の約0.93%を占めています。


また、経済成長率は、名目・実質ともに1.5%の減少となりました。一方、国においては名目で0.2%の減少、実質では0.7%の増加となっています。

なお、県民経済計算では、平成24年度値の推計と併せて、平成13年度から23年度までの各年度値についても遡及して推計を行っております。

各年度の経済成長率と国の経済成長率を併せて時系列で示したものが図1です。

図1

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図

本県の経済成長率は、平成14年度から平成20年度まではおおむね国のそれと同じ動きを示していることがみてとれるかと思います。なお、平成20年度に県・国ともに大きく落ち込んでいるのは、いわゆる「リーマンショック」によりもたらされた世界同時不況によるものです。翌平成21年度は、国は依然マイナス成長ではあったものの景気は幾分回復傾向を見せておりましたが、本県経済はさらに一段の落ち込みを示しています。

これは、本県産業における製造業の割合が高いことに加え、その内訳として電気機械、化学、一次金属、一般機械などリーマンショックの影響を大きく受けた分野の比率が高かったことに起因しているものと思われます。


経済成長率は、「名目成長率」と「実質成長率」の2つが示されていますが、「名目成長率」は、その年の製造品やサービスの実際の取引価格(市場価格)に基づいて推計した生産額により計算した成長率であり、地域の現在の経済状況を判断するのに適しています。

一方、「実質成長率」は、一定の基準年(生産面では前年度)を基準として物価の変動を排除した実質的な生産額を推計し、これに基づいて計算した成長率であり、その年の製造品やサービスの生産量自体の増減を示していることから、複数年度にわたる推移を比較する場合に適しています。


平成24年度の本県の県民所得は、3兆3,307億円であり、1.6%の減少となりました。

また、これを本県の総人口で除した「1人当たり県民所得」は307万7千円となり、1.1%の減少となっています。

この「県民所得」とは、賃金・給与等の「県民雇用者報酬」だけではなく、金融資産からの利子・配当などの「財産所得」や「企業所得」も含まれています。「1人当たり県民所得」というと、よく「個人の所得水準」を示すものであると誤解されがちなのですが、実際には「県としての経済水準」を示すものであるということに注意が必要です。

4 経済活動別県内総生産(名目)について 【生産面】


次に、県民経済計算を構成する主要系列表のうち、物やサービスの生産により1年間で生み出された付加価値を示した「経済活動別県内総生産(名目)」から、直近の2年間のデータを比較した表2により、平成24年度の県内の各産業の生産状況を見ていきます。

表2

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表
(1)農業

農業の総生産額の約6割を占める基幹産業である米の作況指数が前年度の「やや良」から「平年並み」となって収穫量が減少したものの、米価の上昇などにより生産額が増加したことなどから、農業全体では6.4%の増加となりました。


(2)林業

林業の総生産額の約5割を占める育林業は増加したものの、約4割を占める栽培きのこ類、木材生産が減少したことなどから、林業全体では1.2%の減少となりました。


(3)水産業

水産業の総生産額の大部分を占める海面漁業において、ぶり類などの漁獲量が減少したものの、えび類、いか類などの単価が上昇したことなどから、水産業全体では3.9%の増加となりました。


(4)鉱業

採石業の大部分を占める陸砂利、山土砂採取数量が減少したことなどから、鉱業全体では9.6%の減少となりました。


(5)製造業

化学は、医薬品の受託製造や後発医薬品の増加などにより9.2%増加し、県内総生産に占める割合が5.3%と、製造業の中では最も大きなものでした。電気機械は、電子部品の減少などにより11.0%減少しました。一般機械は、海外向け工作機械、自動車部品関連の需要減などにより23.2%減少しました。金属製品は、建築用金属製品の減少などにより1.5%減少しました。非鉄金属は、アルミニウム再生地金やアルミニウム合金の減少などにより13.5%減少しました。鉄鋼は、工作機械や自動車向けの減少などにより22.1%減少しました。

これらのことから、製造業全体では4.0%の減少となりました。


(6)建設業

建設業の総生産額の約3割を占める民間建築工事が増加したものの、建設業の総生産額の約4割を占める公共土木工事の治山治水工事、鉄道軌道工事がともに大きく減少したことなどから、建設業全体では8.4%の減少となりました。


(7)電気・ガス・水道業

電気・ガス・水道業の総生産額の約7割を占める電気事業において、県内水力発電量が減少したことや、県内火力発電量が増加したものの、燃料費が前年度に引き続き大きく増加したことなどから、電気・ガス・水道業全体では1.9%の減少となりました。


(8)卸売・小売業

卸売業は、機械器具などの販売額が減少し、全体の販売額は減少したものの、卸売業全体のマージン率が上昇したことから1.1%の増加となりました。小売業は、飲食料品などの販売額が増加し、全体の販売額は増加したものの、小売業全体のマージン率が下降したことから3.5%の減少となりました。

これらのことから、卸売・小売業全体では1.5%の減少となりました。


(9)金融・保険業

金融業は、受取手数料が増加したものの、低金利の影響などにより8.0%の減少となりました。保険業は、民間生命保険などが減少したものの、損害保険が増加したことから0.6%の増加となりました。

これらのことから、金融・保険業全体では4.1%の減少となりました。


(10)不動産業

不動産業の総生産額の大部分を占める住宅賃貸業(持ち家の帰属家賃(※)を含む)において、住宅床面積が増加したことなどから、不動産業全体では0.9%の増加となりました。

(※)実際の住宅賃貸料だけでなく、個人が所有している住宅についても、所有者があたかもその住宅を賃借しているかのように仮定して賃借料を推計し、それをサービス生産額として計上するという考え方。


(11)運輸業

運輸業の総生産額の約6割を占める道路貨物業が増加したことなどから、運輸業全体では3.2%の増加となりました。


(12)情報通信業

通信業は、情報通信業の総生産額の約4割を占める電信・電話業の減少により4.4%の減少となりました。情報サービス・映像文字情報制作業は、情報通信業の総生産額の約3割を占める情報サービス業の減少などから5.9%の減少となりました。

これらのことから、情報通信業全体では4.8%の減少となりました。


(13)サービス業

公共サービス業は、医療・保健・介護が増加したことから3.4%の増加となりました。対事業所サービス業は、広告業が増加したことなどから0.6%の増加となりました。また、対個人サービス業は、旅館・その他の宿泊所、娯楽業が増加したことなどから1.1%の増加となりました。

これらのことから、サービス業全体では1.8%の増加となりました。

なお、サービス業の表章は、「公共サービス業」、「対事業所サービス業」、「対個人サービス業」の3分類となっておりますが、推計作業上はさらに下記の細分類により推計を行っています。


・公共サービス業
教育、研究、医療・保健、介護、その他の公共サービス業
・対事業所サービス業
広告業、業務用物品賃貸業、自動車・機械修理業、その他の対事業所サービス業
・対個人サービス業
娯楽業、飲食店、旅館・その他の宿泊所、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の対個人サービス業
(14)政府サービス生産者

政府サービス生産者は、電気・ガス・水道業、国公立教育、学術研究などのサービス業、公務により構成されますが、それらがともに減少したため、政府サービス生産者全体では1.5%の減少となりました。


(15)対家計民間非営利サービス生産者

対家計民間非営利サービス生産者(※)は、14.2%の増加となりました。

(※)他の方法では効率的に提供し得ない社会的、公共的サービスを、利益追求を旨とすることなく家計へ提供する団体であり、その活動は通常、会員の会費や家計、企業、政府からの寄付、補助金によってまかなわれているもの。財団法人、社団法人、労働組合、政党、宗教団体、私立学校などが該当します。

5 県民所得(分配)について 【分配面】


次に、各産業の生産活動により1年間で生み出された付加価値がどのように家計・政府・企業に分配されるかを示した「県民所得(分配)」から、同じく直近の2年間のデータを比較した表3を見ていきます。


表3

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表
(1)県民雇用者報酬

雇用者報酬とは、生産活動から発生した付加価値のうち労働を提供した雇用者への分配額を指します。

雇用者とは、県内に居住し、あらゆる生産活動に従事する就業者のうち、個人業主と無給の家族従業者を除くすべての者であり、法人企業の役員、特別職の公務員、議員等も含みます。

雇用者報酬は、具体的には以下のような項目から構成されています。

(ア)賃金・俸給
  • 一般雇用者の賃金、給料、手当、賞与として現金で支払われるもののほか、自社製品、食券、通勤定期券等の支給など、現物で支給されるものも含みます。
(イ)雇主の現実社会負担
  • 健康保険、厚生年金等の社会保障基金(※)への負担金(雇主の強制的現実社会負担)
  • 厚生年金基金等の年金基金への負担金(雇主の自発的現実社会負担)
(ウ)雇主の帰属社会負担
  • 退職一時金、社会保障基金によらない業務災害補償などの負担金

(※)@社会全体あるいは大部分を対象として社会給付を行うことを目的としていること、A加入が法律により義務づけられていること、B資金が積立方式以外の方法で運営されていること、といった条件を満たす組織で、具体的には国の年金や雇用保険特別会計、地方の国民健康保険や介護保険事業、公務員の共済組合など。

県民雇用者報酬は、県民雇用者報酬のうち全体の約8割を占める賃金・俸給は、最も大きな割合を占める製造業が給与の増加により4.4%増加したものの、その他の産業では賃金の低下や雇用者数の減少などにより、サービス業が5.4%の減少、卸売・小売業が6.8%の減少、政府サービスが2.1%の減少、建設業が8.6%の減少となり、全体で0.7%の減少となりました。また、雇主の社会負担は、健康保険、年金などの増加により0.4%の増加となりました。

これらのことから、県民雇用者報酬全体では0.5%の減少となりました。


(2)財産所得

財産所得とは、ある経済主体が他の経済主体の所有する金融資産、土地及び無形資産(著作権・特許権など)を賃借する場合に、この賃借を原因として発生する所得の移転であり、利子及び分配所得(配当など)、保険契約者に帰属する財産所得、地代(土地の純賃貸料)、著作権、特許権の使用料等が該当します。

財産所得は、家計部門で個人預金残高の増加により、受取利子、受取配当が増加したことなどから、財産所得全体では0.6%の増加となりました。


(3)企業所得

企業所得とは、営業余剰・混合所得に財産所得の受取を加え、財産所得の支払を除いたものであり、いわゆる経常利益に相当する概念に近いものといえます。

営業余剰とは企業会計でいう営業利益にほぼ相当するものであり、また混合所得は個人企業における営業余剰に相当するものですが、個人業主の所得には雇用者報酬の性格も含んでいることから、このように呼んでいます。

企業所得は、民間非金融法人企業で主力産業である製造業などの企業所得が減少したことなどから、企業所得全体では4.1%の減少となりました。

6 県内総生産(支出側)(名目)について 【支出面】


最後に、分配された所得がどのような割合で家庭や政府、企業などで消費や投資に充てられたのかを示した「県内総生産(支出側)(名目)」から、直近の2年間のデータを比較した表4を見ていきます。


表4

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表
(1)民間最終消費支出

民間最終消費支出とは、家計最終消費支出と対家計民間非営利団体最終消費支出からなり、そのうち家計最終消費支出は、居住者である家計が一定期間に行う新たな財貨・サービスに対する支出をいいます。また、対家計民間非営利団体最終消費支出は、対家計民間非営利サービス生産者(対家計民間非営利団体)の産出額から家計に対する商品・非商品販売額を控除したものです。

民間最終消費支出は、0.7%増の2兆4,761億円となりました。これは、民間最終消費支出の大部分を占める家計最終消費支出において、娯楽・レジャー・文化、家具・家庭用機器・家事サービス、教育などが減少したものの、約3割を占める住居・電気・ガス・水道や食料・非アルコール飲料、交通などが増加したことによります。


(2)政府最終消費支出

政府最終消費支出とは、一般政府(※)の財政、サービスに対する経常的支出である政府サービス生産者の産出額から、国公立学校授業料等の他部門に販売した額(商品・非商品販売額)を差し引いたものに医療保険・介護保険による給付分、教科書購入費等(現物社会給付等)を加えたものです。

政府最終消費支出は、0.9%減の8,552億円となりました。

(※)国や地方を含めた公的部門をいい、国や独立行政法人などの「中央政府」、地方公共団体や地方公営企業などの「地方政府」、「社会保障基金」の3つに区分されています。


(3)総資本形成

総資本形成とは、民間及び公的企業、一般政府、対家計民間非営利団体、家計(個人企業)の生産者としての支出(購入及び自己生産物の使用)のうち中間消費(=中間投入)とならないものであり、総固定資本形成と在庫品増加からなります。

総固定資本形成は、民間法人、公的企業、一般政府、対家計民間非営利団体及び家計(個人企業)が新規に購入した有形または無形の資産であり、「有形固定資産」、「無形固定資産」、「有形非生産資産の改良」が該当します。

なお、それぞれの内訳は以下のとおりです。


・有形固定資産
住宅、住宅以外の建物及び構築物、輸送機器、機械設備、育成資産(種畜、乳牛、果樹、農園等)、民間転用が可能な防衛関係設備等なども含む
・無形固定資産
鉱物探査、コンピューターソフトウェア(生産者が1年を超えて使用するコンピューターソフトウェアのうち受注型、パッケージ型及び自社開発ソフトウェア)、プラントエンジニアリングなど
・有形非生産資産の改良
土地の造成・改良、鉱山・農地等の開発、拡張など

在庫品増加は、企業が所有する製品、仕掛品、原材料等の棚卸資産のある一定期間における物量的増減を市場価格で評価したものです。

これは民間企業の在庫品増加と公的企業の在庫品増加に分けられますが、このうち公的企業の在庫品増加は、国有林野などの原材料、資材、貯蔵品等の増減です。

総資本形成は、9,670億円となり、前年度とほぼ同額(0.0%増)となりました。

これは、民間住宅が減少したものの、民間企業の設備投資が増加したことによります。



(4)財貨・サービスの移出入(純)

財貨・サービスの移出入(純)とは、県内居住者と県外居住者の間の財貨・サービスの取引をさします。この中には、居住者(非居住者)による県外(県内)での財貨・サービスの直接取引である直接購入も含まれています。

財貨・サービスの移出入(純)は、397億円の移出超過となり、49.5%の減少となりました。


(5)統計上の不突合

県内総生産(生産側)と県内総生産(支出側)は概念上一致すべきものですが、推計方法や基礎資料が異なることにより、推計値に不一致が生じることがあります。この不一致を統計上の不突合といい、勘定体系のバランスを図るために表章されます。

なお、この「統計上の不突合」は、県内総生産の場合は支出側に表章されますが、国内総生産の場合は生産側に表章されています。

7 県民経済計算の使い方と今後の課題


さて、ここまで生産・分配・支出それぞれの側面から「平成24年度富山県民経済計算」の推計結果について見てきましたが、県民経済計算の持つ意味としては、大きく以下の4つの考え方があるとされています。

1経済力の総合指標
2経済的な豊かさの総合指標
3産業構造の総合指標
4景気動向の総合指標

1の「経済力の総合指標」については、県内総生産がそれを示すものであり、その水準(総額)によって、各県の経済力を比較することが重要であり、国内総生産に占める県内総生産のシェアをみることで、県の経済力の大きさを知ることができるという考え方です。

2の「経済的な豊かさの総合指標」としては、「1人当たり県民所得」がわが国ではよく用いられていますが、前記のとおり、「1人当たり県民所得」の解釈については、誤った概念で理解されている側面もありますので、利用する際には注意が必要です。

3の「産業構造の総合指標」については、主要系列表の「経済活動別県内総生産」を用いることによって把握することが可能です。

たとえば、ある産業の県内総生産全体に占める構成比を、同じ産業の国内総生産に占める構成比で除することにより「特化係数」が求められますが、この特化係数が1より大きい場合には、県はその産業に特化しており、その産業は移出産業であるということができるかと思います。

4の「景気動向の総合指標」として県民経済計算を利用する際には、現状では大きな課題があるといえるかと思います。というのも、国民経済計算においては、四半期ごとにGDP速報値が公表されており、現在の景気動向を把握することが可能ですが、県民経済計算の場合、推計対象年度から2年以上経過してから公表されるため、速報性に欠けているのは否めません。

これは、県独自で入手できる各種経済統計資料に限りがあるため、県民経済計算の推計では、国民経済計算確報(平成24年度版の国公表は平成25年12月)の推計結果の数値も利用することから、推計作業の開始が国民経済計算公表後、約1年遅れとなっていることが主な要因としてあげられます。


上記以外にも、県民経済計算では、主要系列表の「経済活動別県内総生産」の統計表において、産業の表章に平成16年度と平成17年度の間に不連続が生じているため、この不連続を解消するという課題があります。

ここでは、主要系列表の「経済活動別県内総生産(名目)」を見ていきます。

表5

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表

表5を見ていただくと、平成16年度と平成17年度との間で、明らかに統計表が2つに分かれています。「経済活動の種類」欄で2つの表を比較すると、平成16年度以前の表では「(9)運輸・通信業」と表章されていますが、平成17年度以降の表では、「(9)運輸業」、「(10)情報通信業」と別々になっており、これが統計表が不連続になっている要因であることが分かります。

これは、平成16年度までと平成17年度以降との間で、推計に用いられる基礎的資料である産業連関表(平成12年表→平成17年表)と日本産業分類(H5.10月改定版→H14.3月改定版)の変更において、産業分類の見直しが行われた結果、産業の表章に平成16年度と平成17年度との間で不連続が生じたためです。

そのため、変更のあった産業においては、生産額の増減の推移を把握することが困難となっており、ユーザーにとっては大変使いづらい形になってしまっています(※)。

現在、統計調査課では「平成25年度富山県民経済計算」の推計作業を行っていますが、内閣府の指針に基づき、今回の平成25年度推計分からこのデータの断層を解消することになっています。

(※)上述した「運輸業」「情報通信業」部門のほか、「製造業」「サービス業」の各部門についても、表章自体の変更はないものの、産業分類の見直しに伴い、それぞれの部門を構成している産業細分類の入れ替え等が行われたため、平成16〜17年度間の生産額の増減率が表示されていませんでした。

8 おわりに


「県民経済計算」は、その地域の生産、分配、支出を循環する経済サイクルとしてとらえた総合経済指標であり、その結果は地域経済全体を包括的に把握することができる唯一の統計として、多様な経済指標が取り出せる大変有意義なものではありますが、一方で、前記のとおり、なお多くの課題があることも確かです。

統計調査課では、今後とも、工夫と改善を重ねながら、この富山県民経済計算がユーザーの皆様にとって、より使いやすいものとなるよう、推計精度の向上に努めていきたいと考えています。



出典:
「平成24年度富山県民経済計算報告書(平成27年3月)」(富山県経営管理部統計調査課)
「県民経済計算標準方式(平成17年基準版)(平成27年3月)」(内閣府経済総合研究所国民経済計算部)
大平 純彦氏(静岡県立大学准教授)「県民経済計算の概要(平成26年7月)」(総務省統計研修所)
とやま経済月報
平成27年6月号865