特集

経済センサス-活動調査の結果について(その4)

統計調査課

 

はじめに


経済センサス-活動調査の結果については、平成25年8月に産業横断的集計(基本編)及び製造業、11月に産業横断的集計(詳細編)及び卸売業、小売業、平成26年2月に産業別集計(サービス関連産業等)と3回に分けて公表され、平成25年11月及び平成26年2月にはそれ以前に公表されたデータの訂正数値も併せて公表されています。

今回は、平成25年11月公表の「卸売業、小売業に関する集計」及び平成26年2月公表の「卸売業、小売業の業態別集計」を基に卸売業、小売業についてその概要を紹介します。

留意点


(1)
本稿は調査結果のうち、産業大分類が「I−卸売業,小売業」に格付けられた事業所につ いて、次の通り集計した。
1表−1
産業大分類「I-卸売業,小売業」に格付けられた事業所を全て集計対象としたが、年間商品販売額及び売場面積は、数値が得られた事業所について集計した。
2表−2以降(上記1表−1以外の表)
産業大分類「I-卸売業,小売業」に格付けられた事業所のうち、以下の全てに該当する事業所(以下「比較可能な事業所」という。)について集計した。
  • 管理、補助的経済活動のみを行う事業所ではないこと
  • 「事業別売上(収入)金額」の「商業」に金額があり、かつ産業細分類の格付に必要な事項の数値が得られた事業所であること
このため、上記@とAの事業所数、就・従業者数、年間商品販売額は一致しない(表−1, 表−2)。
なお、商品手持額と売場面積については、当該調査項目の数値が得られた事業所が同じであることから、同値となっている(表−1、表−2)
集計表における卸売業及び小売業の合計の比較
表
(2)
本稿において、「平成24年」の数値は経済センサス-活動調査、「平成19年」以前の数値は注記がある場合を除き「商業統計調査(経済産業省)」(以下「商業統計」という。)である。
なお、「商業統計」との比較にあたっては、上記(1)@、Aのように集計対象が異なることに留意する必要がある。
調査結果のうち、売上(収入)金額、費用等の経理事項は、経済センサス-活動調査は平成23年1年間、商業統計調査は調査年の前年4月1日から翌年3月31日までの1年間の数値である。
(3)
本稿表中の各項目の金額は、四捨五入により内訳の計と合計が一致しない場合がある。
また、該当数字がないもの及び計算できないものは「−」とされている。
「X」は、集計対象となる事業所が1又は2であるため、集計結果をそのまま公表すると個々の報告者の秘密が漏れるおそれがある場合に該当数値が秘匿された箇所である。

1 概況


経済センサス-活動調査による「卸売業,小売業」を営む事業所数は14,645事業所で、その従業者数及び年間商品販売額はそれぞれ91,075人、2兆9,010億円となっている。(表−1)


表−1 事業所数、就・従業者数、年間商品販売額、商品手持額、売場面積の推移

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表

このうち、比較可能な事業所数は11,854事業所で、その従業者数及び年間商品販売額はそれぞれ71,489人、2兆7,840億円となっている。(表−2)

また、商品手持額は、1,613億円、売場面積は1,414,661m2となっている。(表−2)


以下は、比較可能な事業所について述べる。


表−2 事業所数、就・従業者数、年間商品販売額、商品手持額、売場面積の状況

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表

2 卸売業


(1)事業所数
事業所数は2,744事業所で、前回に比べ586事業所減少(前回比▲17.6%減)となった(表−2)。
業種別にみると、産業機械器具卸売業310事業所(構成比11.3%)、食料・飲料卸売業287事業所(同10.5%)、農畜産物・水産物卸売業256事業所(同9.3%)の順となっている(図−1、表−3)。
図−1 事業所数の業種別構成比
図
表−3 卸売業の業種別事業所数

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(2)就業者数
就業者数は21,983人で、前回に比べ7,202人減少(前回比▲24.7%減)となった(表−2)。
1
業種別にみると、食料・飲料卸売業2,690人(構成比12.2%)、農畜産物・水産物卸売業2,509人(同11.4%)、産業機械器具卸売業2,229人(同10.1%)の順となっている(図−2、表−4)。
2
就業者数内訳をみると、正社員、パートなどの常用雇用者が17,552人と79.8%を占めるが、前回に比べ6,172人減少(前回比▲26.0%減)となった。また、個人事業主及び無給家族従業者は768人で構成比は3.5%であるが、前回に比べ454人減少(同▲37.2%減)と大幅に減少している。一方、臨時雇用者は609人で2.8%と構成比は小さいが、前回と比べ151人増(同33.0%増)となっている(表−5)。
図−2 就業者数の業種別構成比
図
表−4 卸売業の業種別就業者数

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表−5 卸売業の就業者数内訳

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(3)年間商品販売額
年間商品販売額は1兆8,599億円となった(表−2)。
1
業種別にみると、非鉄金属卸売業 2,326億円(構成比12.5%)、食料・飲料卸売業 2,277億円(同12.2%)、鉄鋼製品卸売業 1,978億円(同10.6%)の順となった(図−3、表−6)。
図−3 年間商品販売額の業種別構成比
図
表−6 卸売業の業種別年間商品販売額

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(4)販売効率(単位当たりの年間商品販売額)
1
1事業所当たりの年間商品販売額は6億7,782万円で、前回に比べ4,042万円増加 (前回比6.3%増)となった(表−7)。
業種別にみると、鉄鋼製品卸売業が22億7,397万円と最も多く、次いで非鉄金属卸売業19億5,422万円、石油・鉱物卸売業15億7,049万円、各種商品卸売業の12億3,234万円の順となっている(表−7)。
2
就業者1人当たりの年間商品販売額は8,461万円で、前回に比べ1,188万円増加(前回比16.3%増)となった(表−8)。
業種別にみると、非鉄金属卸売業3億9,821万円、鉄鋼製品卸売業の2億2,304万円、石油・鉱物卸売業の1億4,748万円、各種商品卸売業1億738万円の順となっている(表−8)。
表−7 卸売業の業種別にみた1事業所あたり年間商品販売額

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表−8 卸売業の業種別にみた就業者1人あたり年間商品販売額

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3 小売業


(1)事業所数
事業所数は9,110事業所で、前回に比べ3,969事業所減少(前回比▲30.3%減)となった。(表−2)。
1
業種別にみると、その他の小売業3,347事業所(構成比36.7%)、飲食料品小売業2,717事業所(同29.8%)、織物・衣服・身の回り品小売業 1,334事業所(同14.6%)となっている。その他の小売業の中では、他に分類されない小売業901事業所(同9.9%)、医薬品・化粧品小売業656事業所(同7.2%)、燃料小売業479事業所(同5.3%)の順となっている(図−4、表−9)。
図−4 事業所数の業種別構成比
図
表−9 小売業の業種別事業所数

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(2)就業者数
就業者数は53,719人で、前回に比べ18,066人減少(前回比▲25.2%減)となった(表−2)。
1
業種別にみると、その他の小売業19,874人(構成比37.0%)、飲食料品小売業18,552人(同34.5%)、機械器具小売業6,520人(同12.1%) の順となっている。その他の小売業の中では、書籍・文房具小売業4,910人(同9.1%)、医薬品・化粧品小売業4,334人(同8.1%)、他に分類されない小売業3,952人(同7.4%)の順となっている(図−5、表−10)。
2
就業者数内訳をみると、正社員、パートなどの常用雇用者が39,724人(構成比75.6%)と多数を占め るが、前回比は▲26.5%の減少となった。一方、臨時雇用者は3,028人(同5.5%)と大きくはないが、前 回比105.1%増と大きく増加した(表−11)。
3
パート・アルバイト等の数は、22,771人(構成比43.9%)であり、平均的な1日当たりの労働時間であ る8時間換算した値をみてみると、15,412人となっており、前回(20,308人)と比較すると24.1%の減少となった。また、小売業におけるパート・アルバイト等の1日当たりの平均労働時間は5.4時間となった(全国5.3時間)(表−11)。
4
「臨時雇用者」と「他からの出向・派遣従業者」を合わせた数は3,507人となっている(表−11)。
図−5 就業者数の業種別構成比
図
表−10 小売業の業種別就業者数

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表−11 小売業の就業者数内訳

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(3)年間商品販売額
年間商品販売額は9,240億円となった(表−2)。
業種別にみると、その他の小売業3,317億円(構成比35.9%)、飲食料品小売業2,563億円(同27.7%)、機械器具小売業1,779億円(同19.3%)の順となった。その他の小売業の中では、燃料小売業1,201億円(同13.0%)、医薬品・化粧品小売業748億円(同8.1%)、他に分類されない小売業552億円(同6.0%)の順となっている(図−6、表−12)。
図−6 年間商品販売額の業種別構成比
図
表−12 小売業の業種別年間商品販売額

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(4)売場面積
売場面積は141万4,661m2で、前回に比べ207,503m2の減少(前回比▲12.8%減)となった(表−2)。
1
業種別にみると、その他の小売業620,585m2(構成比43.9%)、飲食料品小売業323,286m2(同 22.9%)、織物・衣服・身の回り品小売業203,611m2(同14.4%)の順となっている。その他の小売業の中では、他に分類されない小売業224,352m2(同15.9%)、医薬品・化粧品小売業140,900m2(同10.0%)、家具・建具・畳小売業82,606m2(同5.8%)の順となっている(表−13)。
2
1事業所当たり売場面積は、192.9m2で前回(155.7m2)に比べ37.2m2の増加(前回比23.9%増)となった(表−14)。
3
これを業種別にみると、各種商品小売業が4,846.2m2と最も大きく、次いで、その他の小売業235.7m2、機械器具小売業175.9m2の順となっている。その他の小売業の中では、家具・建具・畳小売業603.0m2、スポーツ用品・がん具・娯楽用品・楽器小売業287.8m2、他に分類されない小売業254.1m2、書籍・文房具小売業238.5m2の順となっている(表−14)。
表−13 小売業の業種別売場面積

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表−14 小売業の業種別にみた1事業所当たり売場面積

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(5)販売効率
1
1事業所当たりの年間商品販売額は1億143万円で前回に比べ1,156万円の増加(前回比12.9%増)となった(表−15)。
業種別にみると、各種商品小売業が最も高く19億9,971万円、次いで機械器具小売業の1億6,056万円、その他の小売業9,911万円の順となっている(表−15)。
2
就業者1人当たりの年間商品販売額は1,720万円で前回に比べ83万円の増加(前回比5.1%増)となった(表−16)。
業種別にみると、各種商品小売業が最も高く2,931万円、次いで機械器具小売業の2,729万円、その他の小売業の1,669万円の順となっている(表−16)。
3
売場面積1m2当たりの年間商品販売額は46万円で前回に比べ4万円の減少(前回比▲8.8%減)となった(表−17)。
業種別にみると、飲食料品小売業が最も高く79万円、次いで機械器具小売業の54万円、各種商品小売業の41万円と続いている。その他の小売業の中では、燃料小売業64万円、農耕用品小売業62万円、医薬品・化粧品小売業53万円の順となっている(表−17)。
表−15 小売業の業種別にみた1事業所当たり年間商品販売額

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表−16 小売業の業種別にみた就業者1人当たり年間商品販売額

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表−17 小売業の業種別にみた売場面積1m2当たり年間商品販売額

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表

4 業態別小売業の状況


(1)事業所数
事業所数が最も多いのは、専門店の4,798事業所(小売業に占める構成比52.7%)であり、その内訳は住関連専門店が3,078事業所(同33.8%)、食料品専門店が1,143事業所(同12.5%)、衣料品専門店が577事業所(同6.3%)となっている。なお、住関連専門店から分離され独立した業態になった家電大型専門店は20事業所(同0.2%)となった。
次いで多いのは、中心店の2,377事業所(同26.1%)で、内訳では住関連中心店が1,087事業所(同11.9%)、食料品中心店が696事業所(同7.6%)、衣料品中心店が594事業所(同6.5%)となっている。専門店及び中心店(非セルフ方式)の2業態で小売業全体の78.8%を占めているが、いずれも住関連店が多く、小売業の半数近く(家電大型専門店を含めた住関連店が小売業に占める割合45.9%)が住関連店となっている。(表−18)
表−18 小売業業態別事業所数
表
(2)就業者数
就業者数が最も多いのは、専門店の20,520人(小売業全体に占める構成比38.2%)で、内訳は住関連専門店が15,183人(同28.3%)、食料品専門店が3,798人(同7.1%)、衣料品専門店が1,539人(同2.9%)であった。次に多いのは専門スーパーの10,691人(同19.9%)で、内訳は食料品スーパーが7,110人(同13.2%)、住関連スーパーが2,535人(同4.7%)、衣料品スーパーが1,046人(同1.9%)であった。(表−19、図−7)
表−19 小売業業態別就業者数
表
図−7 業態別就業者数の構成比
図
(3)年間商品販売額
年間商品販売額が多いのは、専門店の3,228億円(小売業全体に占める構成比34.9%)、専門スーパーの2,136億円(同23.1%)、中心店の 1,520億円(同16.4%)で、この3業態で小売業の74.4%を占めている。(表−20、図−8)
表−20 小売業業態別年間商品販売額
表
図−8 業態別年間商品販売額の構成比
図
(4)売場面積
1
売場面積が最も多いのは、専門スーパーの466,758m2(小売業全体に占める構成比33.0%)で、内訳をみると住関連スーパーが216,252m2(同15.3%)、食料品スーパーが176,760m2(同12.5%)、衣料品スーパーが73,746m2(同5.2%)であった。次に多いのは専門店の352,281m2(同24.9%)で、内訳は住関連専門店が265,357m2(同18.8%)、食料品専門店が44,151m2(同3.1%)、衣料品専門店が42,773m2(同3.0%)であった。(表−21、図−9)
2
1事業所当たりの売場面積が大きいのは、家電大型専門店(2,578m2)、専門スーパー(1,235m2)、広義ドラッグストア(615m2)となっている(図−10)。
表−21 小売業業態別売場面積
表
図−9 業態別売場面積の構成比
図
図−10 業態別1事業所当たりの売場面積
図
(5)販売効率
1
1事業所当たりの年間商品販売額
2
1事業所当たりの年間商品販売額は、数値が秘匿されていないもののうちでは家電大型専門店が16億9,164万円と最も高く、次いで専門スーパーの5億6,508万円、広義ドラッグストアの2億1,429万円、コンビニエンスストアの1億4,288万円の順となっている。(表−22、図−11)
表―22 小売業の業態別単位当たり年間商品販売額

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表
図−11 業態別1事業所当たりの年間商品販売額

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図
2
就業者1人当たりの年間商品販売額
就業者1人当たりの年間商品販売額は、家電大型専門店が7,339万円と最も高く、次いで専門スーパーの2,548万円、広義ドラッグストアの2,494万円、無店舗販売の1,811万円などとなっている。(表−22、図−12)
図−12 業態別就業者1人当たりの年間商品販売額

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図
(注)
「業態別就業者1人当たりの年間商品販売額」は、パート・アルバイト等について平均的な1日当たりの労働時間である8時間に換算した就業者数で算出している。
3
売場面積1m2当たりの年間商品販売額
売場面積1m2当たりの年間商品販売額は、コンビニエンスストアが128万円(うち、終日営業店は138万円)と最も高く、次いで家電大型専門店66万円、その他のスーパー63万円、専門スーパー46万円、専門店43万円、中心店40万円となっている。(表−22、図−13)
図−13 業態別売場面積1m2当たりの年間商品販売額
図

おわりに


本稿では、富山県の「卸売業、小売業」についての主な集計結果の概要について掲載していますが、産業細分類別、都道府県別等の詳細なデータについては、総務省統計局のホームページ内の経済センサスのページをご覧ください。

総務省統計局ホームページ「経済センサス」
http://www.stat.go.jp/data/e-census/index.htm
とやま経済月報
平成26年9月号