特集

渋谷ヒカリエを活用した富山の魅力発信について

富山県観光・地域振興局地域振興課

 

1 はじめに


北陸新幹線がいよいよ1年後に開業しますが、その開業効果を最大限に高めるためには、首都圏等において富山県の魅力ある地域資源(観光資源、工芸品など)等を強く発信していく必要があります。

富山県は、勤勉で進取の気性に富む県民性、立山連峰や黒部峡谷といった美しく豊かな自然、ものづくりの伝統など、国内外に誇りうる優れた基盤が数多くあり、また、このような富山の地で生まれる産品についても、新鮮でおいしい海の幸や山の幸、卓越したものづくり技術に裏打ちされた工芸品や工業製品など、全国に誇ることができる優れたものが数多くあります。

写真

しかし、残念ながら、まだ全国的に十分知られていなかったり、県民自身がその価値に気付いていなかったりするなど、すばらしい地域の魅力が十分に発掘されていない状況にあります。

そこで、本年度、全国的に著名なデザイナーであるナガオカケンメイ氏と協働して、富山県の新たな魅力(観光資源、工芸品など)を発掘するとともに、こうして発掘した富山県の魅力を渋谷ヒカリエを活用して首都圏をはじめ全国に向けて強力に発信していくこととしました。

2 富山県の新たな魅力の発掘


(1)地域資源発掘ワークショップの開催
今回の取組みのキックオフイベントとして、昨年6月に高志の国文学館で富山の魅力について考えるワークショップを開催しました。
県内各地で地域づくりなどに取り組む約80名の県民の方々に参加いただいたこのワークショップでは、ナガオカ氏のコーディネートのもと、参加者が6つの分野ごとにグループに分かれて活発な議論を交わした後、それぞれが魅力的だと思う富山県の「観光スポット」、「レストラン」、「カフェ」などについて提案を行いました。
写真
(2)書籍「d design travel 富山」の発刊
そうしたワークショップで得られた情報やワークショップに参加された県民の方々との人的ネットワークを活用しながら、ナガオカ氏が発行人を務める「d design travel」編集部の方々が約2カ月間という長期間にわたり富山県に滞在し、県内各地域での徹底取材を経て、昨年10月、書籍「d design travel 富山」が発刊されました。
この「d design travel」は47都道府県それぞれにある、「個性」や「らしさ」をデザインの視点から選び出してまとめたガイドブックで、毎号、一つの都道府県を特集し、観光、レストラン、ショップ、カフェ、宿泊施設、人の6つのカテゴリーごとに4つずつ厳選して紹介する「dマークレビュー」をメインに、各地域ならではの特集記事が掲載されています。
今回が11冊目となった富山号では、観光では瑞龍寺、金岡邸など、レストランではセイズファーム、ますのすしミュージアムなど、ショップでは池田屋安兵衛商店、桂樹舎など、カフェではスターバックスコーヒー富山環水公園店、石坂善商店など、宿泊施設ではリバーリトリート雅楽倶、庄七などがそれぞれ紹介されたほか、特集記事として、立山黒部アルペンルートや世界ポスタートリエンナーレ富山などが紹介されました。
図
図

3 渋谷ヒカリエを活用した富山の魅力発信


(1)企画展「d design travel TOYAMA EXHIBITION」の開催
書籍「d design travel 富山」の発刊に併せて、渋谷ヒカリエ8階では、昨年10月から約1ヶ月半にわたり、五箇山合掌造集落の茅葺屋根の茅や瑞龍寺の屋根瓦、水墨美術館の水墨画など、書籍で紹介されたスポットの「実物」を展示する企画展を開催しました。
期間中は、約22,000人の方が訪れ、書籍から飛び出したような臨場感ある展示品の数々から、誌面だけでは伝えきれない富山の魅力を感じてもらいました。
写真
(2)富山定食の提供
また、企画展のほか、渋谷ヒカリエ8階にあるカフェレストラン「d47食堂」では、食堂スタッフが実際に富山を訪れて、県内各地の名物や伝統料理を食べ歩き、また、富山湾に漁に出るなどして考案していただいた「富山定食」が新メニューとして提供されました。
シロエビのかき揚げをメインに、高岡昆布飯、フクラギのあら汁、五箇山豆腐の煮物、よごしなどからなる「富山定食」(1日限定40食)は、連日完売するほどの人気で、10月、11月の約2ヶ月間で2,360食が提供されました。
写真
(3)書籍出版記念トラベルトークショー 「d design travel show in TOYAMA & TOKYO」
書籍「d design travel 富山」の発刊を記念して、10月には高志の国文学館、11月には渋谷ヒカリエにおいて、ナガオカ氏と「d design travel」編集長が富山での取材期間中の裏話や制作秘話を、スライドショー形式で語るトークショーを開催しました。
渋谷ヒカリエで開催したトークショーには、首都圏を中心に約120名の方が集まり、誌面に掲載しきれなかった写真のスライドショーや編集者による取材中の裏話などを通じて、富山への関心を深めました。
会場では、富山のお菓子や日本酒がお土産として配付されたほか、休憩時間には、ます寿しの食べ比べも行われるなど、富山を堪能できるイベントとなりました。
また、高志の国文学館でのトークショー終了後、場所を移して開催された書籍出版記念パーティでは、世代、ジャンルを越えた県民の方々が参加し、夜遅くまで富山の魅力について語り合い、交流の輪を広げました。
写真

4 おわりに


昨年6月のワークショップに始まった今回の一連の取組みにより、これまであまり知られていなかった新しい富山の魅力を発掘するとともに、それを県内はもとより首都圏をはじめとする全国の方々にアピールできたのではないかと考えています。

また、取組みを通じ、書籍「d design travel 富山」に取り上げられた方々をはじめ、イベントに参加いただいた県内で観光振興、特産品開発など地域活性化のために頑張っておられる県民の方々同士のネットワークが築かれたこともその成果であると考えています。

北陸新幹線の開業に向け、今後は、こうした県民のネットワークの輪を更に広げていくことで、富山県の一層の魅力向上につなげていくとともに、引き続き、富山の魅力を首都圏はじめ全国に発信していきたいと考えています。

参考
とやま経済月報
平成26年3月号