特集

経済センサス-活動調査の結果について(その2)

統計調査課

 

はじめに


経済センサス-活動調査の結果については、平成25年8月に産業横断的集計(基本編)及び製造業、11月に産業横断的集計(詳細編)及び卸売業、小売業、平成26年2月に産業別集計(サービス関連産業等)と3回に分けて公表され、平成25年11月及び平成26年2月にはそれ以前に公表されたデータの訂正数値が公表されています。

今回は、平成26年2月に公表されたデータ(確定版)を基に前回(平成25年12月号「経済センサス-活動調査の結果について(その1)」)に引き続き県内産業について概況を述べた後、製造業について掘り下げて紹介します。

なお、経済センサス-活動調査は、農林漁家に属する個人経営の事業所、家事サービス業、外国公務、国及び地方公共団体に属する事業所を除くすべての事業所及び企業を調査の対象としており、平成24年2月1日現在で調査が実施されています。(ただし、売上(収入)金額、付加価値額等の経理事項は平成23年1年間の数値であり、調査は24年に実施されたことから図表上の表記は「24年」で統一し、表記がない場合は24年調査の数値を掲載しています。)

1 概況

1 事業所数及び従業者数の状況
 平成24年の富山県の事業所数は53,524事業所(平成21年経済センサス‐基礎調査(※1)と比べると▲7.8%)、従業者数は507,159人(同▲5.0%)となっている(表1−1)。

(1)産業大分類別に事業所数をみると、「卸売業,小売業」が14,645事業所(全産業の28.7%)と最も多く、次いで「建設業」が6,311事業所(同12.2%)、「製造業」が5,480事業所(同9.7%)などとなっており、上位3産業で全産業の50.6%を占めている(表1−1)。

2)従業者数をみると、「製造業」が130,657人(全産業の25.8%)と最も多く、次いで「卸売業,小売業」が95,609人(同18.9%)、「医療、福祉」が52,236人(同10.3%)などとなっており、上位3産業で全産業 の55.0%を占めている(表1−1)。

 ※1 平成21年7月1日に実施。以下「21年基礎調査」という

表1−1 富山県の産業大分類別事業所数及び従業者数

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2 企業数、売上(収入)金額及び付加価値の状況
 平成24年の富山県の企業等(※2)の数は41,276企業(平成21年基礎調査と比べると▲8.2%)、売上(収入)金額(以下「売上高」という。)は7兆8,057億円、付加価値額(※3)は1兆7,002億円となっている(表1−2)。

※2 事業・活動を行う法人(外国の会社を除く。)及び個人経営の事業所をいう。以下「企業」という。同一の経営者が複数の事業所を経営している場合は、それらはまとめて一つの企業となる。以下「企業」という。

※3 本調査における付加価値額は、以下の計算式を用いている。
付加価値額=売上高−(費用総額(売上原価+販売費及び一般管理費))+給与総額+租税公課


(1)産業大分類別に企業数をみると、「卸売業,小売業」が10,216企業(全産業の24.8%)と最も多く、次いで「建設業」が5,691企業(同13.8%)、「製造業」が4,847企業(同11.7%)などとなっており、上位3産業で全産業の50.3%を占めている(表1−2)。

(2)売上高をみると、「製造業」が26,583億円(全産業の34.1%)と最も多く、次いで「卸売業,小売業」が21,175億円(同27.1%)、「建設業」が6,665億円(同8.5%)などとなっており 、上位3産業で全産業の69.7%を占めている(表1−2)。

(3)1企業当たり売上高をみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」が6336,875万円と最も多く、次いで「複合サービス業」が62,603万円、「金融業,保険業」が57,516万円などとなっている(表1−2)。

(4)付加価値額をみると、「製造業」が5,267億円(全産業の31.0%)と最も多く、次いで「卸売業,小売業」が2,551億円(同15.0%)、「医療,福祉」が1,641億円(同9.7%)などとなっており、上位3産業で全産業の55.7%を占めている。また、第三次産業(※4)で全産業の59.0%を占めている(表1−2)。

※4 日本標準産業分類における大分類「電気・ガス・熱供給・水道業」、「情報通信業」、「運輸業,郵便業」、「卸売業,小売業」、「金融業,保険業」、「不動産業,物品賃貸業」、「学術研究,専門・技術サービス業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「教育,学習支援業」、「医療,福祉」、「複合サービス事業」及び「サービス業(他に分類されないもの)」をいう。


(5) 1企業当たり付加価値額をみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」が1132,700万円と最も多く、次いで「金融業,保険業」が22,864万円、「複合サービス業」が17,133万円などとなっている(表1−2)。
表1−2 富山県の産業大分類別企業等数、売上(収入)金額及び付加価値額

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3 従業者の状況
 (1) 従業上の地位別
 平成24年の富山県の事業所の従業者数を従業上の地位別にみると、「雇用者」が440,784人(従業者全体の86.9%)、「有給役員」が36,356人( 同7.2%)、「個人業主・無給の家族従業者」が30,019人(同5.9%)となっている。
 このうち、「雇用者」の内訳をみると、「正社員・正職員」が288,133(雇用者全体の65.4%)、パート・アルバイトなどの「正社員 ・正職員以外」が127,415人(同28.9%)、日々雇用などの「臨時雇用者」が25,236人(同5.7%)となっており、「正社員・正職員以外」と「臨時雇用者」で雇用者全体の34.6%を占めている(表1−3)。
表1−3従業上の地位別従業者数

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 富山県の産業大分類ごとの雇用者に占める「正社員・正職員」の割合をみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」(96.7%)が最も高く、次いで「情報通信業」(87.4%)、「鉱業,採石業,砂利採取業」(83.8%)などとなっている。
 一方、雇用者に占める「正社員・正職員以外の雇用者」(※5)の割合は、「宿泊業,飲食サービス業」(76.6%)が最も高く、次いで「教育、学習支援業」(53.8%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(53.6%)などとなっている(表1−4)。

※5 「正社員・正職員以外の雇用者」とは、「正社員・正職員以外の常用雇用者」と「臨時雇用者」を合算したものをいう。

表1−4 産業大分類別従業者の内訳

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 都道府県別に雇用者に占める「正社員・正職員」の割合をみると、富山県(65.4%)が最も高く、次いで福井県(63.8%)、山形県(63.7%)などとなっている(表1−5)。

表1−5 都道府県の正社員・正職員割合

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 (2) 出向・派遣従業者
平成24年の全国の事業所の正社員・正職員数は2,876万9千人で21年 基礎調査と比べると6.3%減少し、「他からの派遣従業者数」(※6)は204万6千人で21年基礎調査と比べると22.5%増加している。
富山県の事業所の正社員・正職員数は28万8千人で21年基礎調査と比べると6.0%減少し、「他からの出向・派遣従業者」数は1万6千人で21年基礎調査と比べると17.6%増加している(表1−6)。

※6 「他からの出向・派遣従業者」とは、労働者派遣法にいう派遣労働者、在籍出向など出向元に籍がありながら当該事業所に来て働いている人をいう。

表1−6 都道府県別正社員・正職員数及び他からの出向・派遣従業者数

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 全国の事業所の主な産業分類別の「正社員・正職員」数は21年基礎調査と比べると「建設業」、「製造業」、「卸売業小売業」でそれぞれ10.2%、7.8%、8.3%減少し、「正社員・正職員以外の雇用者」数は21年基 礎調査と比べると「建設業」、「卸売業小売業」でそれぞれ8.3%、4.6%減少し、「製造業」で2.9%増加している。
 また、富山県の事業所の主な産業分類別の「正社員・正職員」数は21年基礎調査と比べると「建設業」、「製造業」、「卸売業小売業」でそれぞれ11.4%、2.5%、12.6%減少し、「正社員・正職員以外の雇用者」数は21年基礎調査と比べると「建設業」、「卸売業小売業」でそれぞれ7.1%、3.8%減少し、「製造業」で13.7%増加している(表1−7)。
表1―7 主な産業分類別の正社員・正職員数及び正社員・正職員以外の雇用者数

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  次に全国の事業所の主な産業分類別の「他への出向・派遣従業者」(※7)数は21年基礎調査と比べると「製造業 」、「卸売業小売業」、「宿泊業飲食サービス業」で それぞれ12.8%、16.7%、27.8%減少し、「他からの出向・派遣従業者」は21年基礎調査と比べると「建設業」、「製造業」、「卸売業小売業」でそれぞれ6.8%、32.8%、58.3%増加している。
 
また、富山県の事業所の主な産業分類別の「他への出向・派遣従業者」は21年基礎調査と比べると「建設業」、「卸売業小売業」でそれぞれ26.7%、54.5%減少し、「宿泊業飲食サービス業」で118.9%増加し、「他からの出向・派遣従業者」数は21年基礎調査と比べると「建設業」、「製造業」でそれぞれ30.6%、33.5%増加し、「卸売業小売業」で29.4%減少している(表1−8)。

※7 「他への出向・派遣従業者」とは、従業者のうち、いわゆる労働者派遣法にいう派遣労働者、在籍出向など当該事業所に籍がありながら、他の会社など別経営の事業所で働いている人をいう。

表1―8 主な産業分類別の他への出向・派遣従業者数及び他からの出向・派遣従業者数
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2 製造業の状況


1 事業所、従業者及び売上(収入)金額の状況

 (1) 富山県の「製造業」の事業所数は5,324事業所となっている。   産業中分類別に事業所数をみると、「金属製品製造業」が914(製造業全体の17.2%)と最も多く、次いで「食料品製造業」が599(同11.3%)、「生産用機械器具製造業」が594(同11.2%)などとなっている(表2−1)。

 (2)  富山県の「製造業」の従業者数は105,766人となっている。

 産業中分類別に従業者数をみると、「金属製品製造業」が18,634人(製造業全体の17.6%)と最も多く、次いで「生産用機械器具製造業」が13,018人(同12.3%)、「プラスチック製品製造業」が9,713人(同9.2
)などとなっている(表2−1)。


 (3)  富山県の「製造業」の売上高は2兆6,583億円となっている。
   産業中分類別に売上高をみると、「生産用機械器具製造業」が4,294億円(製造業全体の16.2%)と最も多く、次いで「金属製品製造業」が4,071億円(同15.3%)、「非鉄金属製造業」が2,532億円(同9.5%)などとなっている(表2−1)。
表2―1 製造業中分類別事業所数及び売上(収入)金額等(売上金額上位10産業)

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 富山県の「製造業」は、産業大分類別の企業数全体の11.7%を占めているにすぎないにもかかわらず、売上高はが26,583億円(全産業の34.1% )と最も多く、また、付加価値額についても、5,267億円(同31.0%)と最も多くなっている(前掲表T―2)。次に「製造業」の付加価値額について詳しくみることとする。

 
2 製造業の付加価値額の状況

 (1) 製造業の付加価値額をみると、5,267億円となっている。
 産業中分類別に付加価値額をみると、「生産用機械器具製造業」が830億円(製造業全体の15.8%)と最も多く、次いで「金属製品製造業」が806億円(同15.3%)、「化学工業」が570億円(同10.8%)などとなっている(表2−2)。

 (2) 製造業の1企業当たり付加価値額をみると、1億1,921万円となっている。
 産業中分類別に1企業当たり付加価値額をみると、「化学工業」が最も多く6億1,938万円、次いで「電子 部品・デバイス・電子回路製造業」が4億6,177万円、「飲料・たばこ・飼料製造業」が3億1,100万円などとなっている(表2−2)。

 (3) 製造業の従業者1人当たり付加価値額をみると、498万円となっている。
 産業中分類別に従業者1人当たり付加価値額をみると 、「飲料・たばこ・飼料製造業」が917万円と最も多 く、次いで「非鉄金属製造業」が 717万円などとなっ ている(表2−2)。
  表2−2 製造業中分類別売上金額及び付加価値額等(付加価値額上位15産業)

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  3 製造業の付加価値額上位3業種の状況
 
 (1) 生産用機械器具製造業
 富山県の生産用機械器具製造業の付加価値額をみると 830億円(全国順位12位)、1企業当たり付加価値額は1億6,175万円(同5位)であるが、付加価値率(付加価値額÷売上(収入)金額)は19.3%(同40位)となっている(表2−3)。

 (2) 金属製品製造業
 富山県の金属製品製造業の付加価値額をみると806億円(全国順位11位)、1企業当たり付加価値額は1億1,245万円(同5位)であるが、付加価値率は19.8%(同45位)となっている(表2―3)。
 
  (3) 化学工業
 富山県の化学工業の付加価値額をみると570億円(全国順位12位)、1企業当たり付加価値額は6億1,938万円(同9位)であるが、付加価値率は22.7%(同14位)となっている(表2―3)。

   表2−3 生産用機械器具製造業等の売上金額及び付加価値率等

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おわりに


富山県の製造業は、経済の低成長期にあっても県の経済において雇用や売上高の点で重要な位置を占めています。しかしながら、付加価値などをいっそう高めて他の地域との競争で生き残る力も求められています。

今回は触れませんでしたが、非製造業については、次回以降、経済センサス-活動調査の公表データを基に改めて紹介します。

とやま経済月報
平成26年4月号