次世代の観光を担う人材育成

１　はじめに

　平成26年度末の北陸新幹線開業に向けて、本県が観光客から「選ばれ続ける観光地」となるため、本県観光の未来を担う人材の育成をめざし、平成23年６月から「とやま観光未来創造塾」がスタートしました。

　今回は、この「とやま観光未来創造塾」の具体的な取組みについてご紹介します。

２　富山県観光の現状

　観光旅行の形態が団体旅行から個人旅行にシフトするとともに、求められるサービスも多様化・高度化してきており、観光客と接する機会は、ホテル･旅館はもちろんのこと、旅先の飲食店や土産店、タクシーやバス等の交通機関、さらには、ガソリンスタンド、商店街など様々な場面で広がっています。

　北陸新幹線の開業により、北陸地域に多くの観光客が訪れることが期待される一方で、観光地を巡る地域間競争も激化することが見込まれることから、本県が「選ばれ続ける観光地」となるためには、観光事業者等のおもてなし力を向上し、観光客の満足度を高める必要があります。

※平成２２年度版「観光の実態と志向」（社団法人日本観光協会）

※(株)リクルート｢じゃらん宿泊旅行調査｣における来訪者の満足度
宿泊を伴う国内旅行についてのインターネット調査（20〜79歳の男女）

３　とやま観光未来創造塾について（Ｈ２３）

（１）設置コース

　おもてなし力の向上、お客様に満足いただける観光ガイドの育成、魅力ある観光地域づくりをリードする人材の育成をめざし、下記の３コースを設置しています。

（２）支援体制

　塾長をはじめ、観光ガイドコース及び観光魅力アップコースには主任教授を配置し、きめ細やかな指導を実施するとともに、県内外で活躍する一流の講師陣による、実務的、実践的な講座を行っています。

（３）塾生

　平成23年度（第一期生）は、85名の方が修了されました。

（４）カリキュラム

　全コース共通によるおもてなし・接遇に関する講義のほか、全国で活躍する講師陣による講義や２泊３日の観光地域づくり先進地での特別研修、料理の実演講習など、各コースの活躍の場に合わせたさまざまな実践的なカリキュラムを組んでいます。

　約６ヶ月間にわたり、講義や体験・視察、ワークショップなどを通じて、塾生それぞれが、今後の取組みの方向性や課題の解決策を学ぶことを目的としています。

　観光地づくりの先進地である三重県鳥羽市で、２泊３日の鳥羽特別研修を実施し、海島遊民くらぶ主催の「49時間ガイド講習・ツアー構築基礎プログラム」を受講しました。講義のほか、フィールド研修やグループ発表など、朝から晩までみっちりと、ガイドやコーディネータとしてのスキルや計画立案について学びました。

　また、この研修を通じて、塾生それぞれが個々の課題解決へのヒントをつかむとともに、塾生どうしのコミュニケーションを深め、連帯感が高まりました。

　観光ガイドコースの塾生は、10月下旬にガイド実技試験を行いました。

　知識ではなく、お客様に楽しんでいただくことをポイントに審査を行い、今年度は11名が「とやま観光未来創造塾認定ガイド」として認定されました。認定された方は、富山県観光公式サイト「とやま観光ナビ」で、ガイド申込先や案内地域とともに紹介しています（http://www.info-toyama.com/kankomirai/activity/guide.html）。

　観光魅力アップコースの塾生によるプラン発表会を行いました。塾生は、これまでの受講を通じてヒントを得た課題解決のための方策や今後の取組み等について自身のプランを作成し、ブラッシュアップしてきました。代表８名による発表が行われ、審査の結果、下記のプランが受賞しました。

４　おわりに

　今年度修了された第一期生には、本県観光の輝く未来に向けて、このとやま観光未来創造塾で培われた有形無形の多くの貴重な財産と、同じ熱い思いを持った塾生どうしのネットワークを武器に、観光や地域づくりのリーダーとして大きく羽ばたいてほしいと思っています。

　本県には豊かな自然、豊かな生活文化、豊かな産業があり、観光はこれからの成長産業として期待されるだけではなく、富山の魅力やブランド力を高め、他産業や地域づくりなどに大きな波及効果をもたらします。

　観光がもたらす未来には大きな可能性があり、未来を切り開くのは「人」です。

　観光でとやまの未来を創造しようとする意欲ある塾生の集結を期待します！

富山県観光公式サイト　とやま観光ナビ
・http://www.info-toyama.com/