特集

節電・省エネ対策の推進について

富山県生活環境文化部環境政策課

1 はじめに

県では、これまで、地球温暖化防止など環境保全の観点から、様々な省エネルギー対策や地球温暖化対策を実施してきました。

こうした中、昨年の東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所の事故を契機に、全国的に電力需給がひっ迫したことから、県として率先的に節電に取り組むとともに、県民、事業者、行政が一体となって、節電の取組みを強化してきました。

本年もまた、国の「今夏の電力需給対策」において、北陸電力管内に節電を要請することとされ、北陸電力も節電への協力を要請されたことから、引き続き、県として節電に取り組むとともに、県民、事業者のみなさんへの節電の呼びかけを実施しています。

2 平成23年度の取組み

◇とやま節電・省エネキャンペーン2011

とやま節電・省エネキャンペーン2011ポスター

節電・省エネ行動を全県的な運動として継続し、県民一人ひとりのライフスタイルの転換につなげるため、「環境とやま県民会議」(構成団体117団体)において、統一活動として取り組むとともに、エコライフ・アクト大会(6月)、とやま環境フェア(10月)、地球温暖化防止県民大会などで節電の呼びかけを実施しました。

また、節電・省エネの具体的な行動メニュー等を紹介する県民向けホームページ「みんなで節電アクション!」を開設し、情報提供を行いました。

<キャンペーンの具体的な取組み>

・「我が家のエコチャレンジ コンテスト」の実施
・「うちエコ診断」の実施
・「昼も夜もライトダウン2011」への参加呼びかけ
・エコドライブ実践の呼びかけ など

◆我が家のエコチャレンジ コンテスト

各家庭で、節電などの取組みを実践してもらい、電力消費量の削減率や節電等の効果的なアイデアを評価するコンテストを開催し、約1,200世帯(約4,500名)に参加していただきました。

優秀賞(知事賞)を受賞した5世帯の電力消費量(8月分)の削減率は、平均で前年比23.2%と、参加世帯の平均値11.4%の約2倍となりました。

また、優秀賞等の賞品提供やコンテストのPRには、花王株式会社のご協力をいただきました。

<優秀賞受賞世帯が実践した節電アイデアの一例>

区分 節電アイデア
エアコン
エアコンと扇風機を併用した。
西側窓に「よしず」と「すだれ」、南側窓にヘチマのグリーンカーテンを設置した。
テレビ
見たい番組だけを視聴した。
テレビを見る時以外は、コンセントを抜いた。
冷蔵庫
設定温度を「弱」にし、ものを詰め込まないようにした。
扉の開閉時間を短くした。
照明
常夜灯のナツメ球を消した。
蛍光灯を間引きし、照明器具の傘の内側にアルミシートを貼って光量を確保した。
その他
炊飯器の保温を止めた。
暑い日は、図書館や児童文化センターを利用した。

エコチャレンジコンテストポスター

◆うちエコ診断

財団法人とやま環境財団と連携して、県内168世帯の電気等のエネルギー使用状況等の診断を実施しました。専門知識を有する診断員が各家庭を訪問し、専用の診断ツール(ソフト)を使って、各家庭に応じた有効な省エネ対策を、費用対効果とともに分かりやすく提案しました。

<診断ツールによる診断イメージ>

CO2排出分析 効果的な対策の提案

◇県庁節電アクション

平成23年度からの3年間で、本庁における年間電力消費量を10%程度削減することを目標に、ピーク電力のカットや1日あたりの電力消費量を抑えるため、次の取組みを実施しました。

取組項目 実施内容

◇平成23年度の取組みの効果

県民、事業者及び行政による節電・省エネの取組みや、北陸電力による供給面での対策により、県内では電力需給面での支障はありませんでした。昨年夏については、北陸電力によれば、気温が平成22年に比べて低く推移したことによる影響を除くと、平成22年に比べて最大電力が30万kW程度低くなり、その大半が節電による効果と推定されています。

また、県庁節電アクションによる本庁の電力使用量の削減効果は、23年8月から24年3月までの期間では、平成22年比で月平均△11.7%となりました。

3 平成24年度の取組み

昨年度に引き続き、「とやま節電・省エネキャンペーン2012」による県民、事業者への節電・省エネの呼びかけ、県の率先取組みである「県庁節電アクション」を実施するほか、県民、事業者向けの普及啓発事業として、新たに次の2つの事業に取り組みます。

◆とやまメガ節電所プロジェクト(新規)

家庭や事業所における節電の定着と継続を目指して、「節電所」(節電による余剰電力の積み重ねにより、発電所に相当する「節電所」が作ることができる、という考え方)をキーワードに、県民参加型の節電プロジェクトを本年7月2日から実施しています。

メガ発電所イメージ   県民、事業者のみなさんが節電行動(省エネ電球や省エネ型の家電製品への買い替え、高効率な生産設備への更新等)をWebサイトに登録すると、節電の積み重ねが1MW(メガワット)に達する毎に、Webサイト上に仮想の「メガ節電所」が1基稼働します。優れた節電効果を上げ、メガ節電所の建設に「貢献」していただいた家庭には、県産品ギフトカードや洗剤ギフトセットなどをプレゼントすることにしています。

このほか、Webサイトには、省エネ設備の導入の実例や経済的なメリットなど、節電に役立つ情報も掲載しています。

なお、プレゼントの提供やプロジェクトのPRには、昨年度実施した「我が家のエコチャレンジ コンテスト」に引き続き、花王株式会社のご協力をいただいています。


(詳しくは、とやまメガ節電所Webサイト http://toyama-megasetsudensho.com


※1MWは、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の最小の発電出力に相当します。

とやまメガ発電所プロジェクトポスター とやまメガ節電所プロジェクト チラシ ポスター とやまメガ節電所プロジェクト 稼動イメージ

◆とやま省エネ電球普及促進キャンペーン(新規)

家庭の電力消費量の中で大きな割合を占める照明の節電を促進するため、簡単・安価で節電効果の高い「白熱電球から省エネ電球への交換」を、家電販売店等と連携して呼びかけるキャンペーンを実施します。

実施時期は、大掃除で電球を交換することが多い12月から開始する予定です。

家庭における電気の消費構造

電球の場合 蛍光灯器具の場合
(政府等の照明の節電キャンペーンHP「あかり未来計画」より転載)

4 おわりに

現在の我が国の電力供給状況を踏まえると、当面は、継続して節電に取り組んでいく必要があると考えられます。

また、家庭やオフィスの電力消費等に伴う温室効果ガスの排出量が増加してきていることから、地球温暖化防止の観点からも、節電・省エネの一層の推進が必要です。

しかしながら、無理をする節電や省エネは継続が困難であることから、快適性や利便性を確保しながら、無駄を抑える、「無理なく、楽しく続けられる節電」が必要であると考えられます。

今後とも、節電がライフスタイルやワークスタイルとして定着し、継続的な取組みとなるよう、県民、事業者、行政が一体となって、効果的な節電・省エネ対策を着実に進めていきたいと考えています。

とやま経済月報
平成24年7月号