特集

富山県の職業能力開発施策について

富山県商工労働部職業能力開発課

1 はじめに

県では、「職業能力開発計画」に基づき、職業能力開発促進法に定める公共職業訓練(学卒者・離職者・在職者に対する職業訓練)、ものづくり県である本県産業の特性や企業のニーズに応じた「ものづくり人材」等の育成を行うとともに、その環境整備として、技能振興や技能を尊重する気運の醸成を図るための施策の推進等に努めています。

事業の概要

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事業の概要

2 公共職業訓練の実施

県の職業能力開発校(富山県技術専門学院)において、職業能力開発促進法に基づく体系的な職業訓練(学卒者訓練、離職者訓練、在職者訓練)を実施しています。

また、技術専門学院に、

  • 職業意識の向上、キャリア形成を支援するためのキャリアコンサルタント
  • 求人企業の開拓、就職支援等を行うジョブ・コーディネーター
等を配置し、訓練生の就職支援を実施しています。
(1)学卒者訓練
高校卒業者等に対し、技術専門学院本校(富山市)に普通課程(期間:2年、自動車整備科、メカトロニクス科、電子情報科の3科)を設置し職業訓練を実施
施設名 訓練科名 定員 訓練期間 入校時期
富山県技術専門学院(本校) 自動車整備科 20 (40) 2年 4月
 〒930-0916 富山市向新庄町一丁目14-48 メカトロニクス科 20 (40)
 Tel(076)451-8802 Fax(076)451-8842 電子情報科 20 (40)
  60 (120)    
(  )内の数字は年間延べ定員

自動車整備科
【自動車整備科】
メカトロニクス科
【メカトロニクス科】
電子情報科
【電子情報科】
(2)離職者訓練
離職者等に対し、施設内及び民間教育訓練機関において短期課程(期間:2ヶ月〜1年間)を設置し職業訓練を実施

<具体的には>

1
平成20年秋以降の世界的な金融・経済危機後の雇用情勢の急激な悪化に対応するため、平成21年以降、民間教育訓練機関における離職者訓練の定数を大幅に拡大
※定員総数:H20:273人 →  H21:1,158人 →  H22:1,441人 →  H23:1,682人
(H20の6.16倍)
2
求人ニーズの高い職種に対応した職業訓練の実施(介護サービス科、医療事務科等の設置・受講者枠の拡大)
3
求職ニーズの高い職種に配慮した情報系・事務系の訓練コースの拡大
4
いつでも、どこでも受講できる訓練の機会の確保(20人前後で2〜3月の訓練コースを全県的、通年で開講するとともに、2年度にわたるコースも設定)
◆施設内での職業訓練
技術専門学院本校、新川センター(黒部市)及び砺波センター(南砺市)において、平成21年度から受入枠を定員の1.2倍に設定し、平成22年度からは技術専門学院本校において電気工事科を新設し、職業訓練を実施

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施設内での職業訓練
金属加工科
【金属加工科】
造園管理科
【造園管理科】
OA事務科
【OA事務科】
木材加工科
【木材加工科】
配管設備科
【配管設備科】
住宅リフォーム科
【住宅リフォーム科】
ビジネス実務科
【ビジネス実務科】
  パソコン事務科
【パソコン事務科】
簿記・会計科
【簿記・会計科】
介護サービス科
【介護サービス科】
◆民間の教育訓練機関に委託して行う職業訓練
多様なニーズに機動的に対処するため、専修学校などの民間教育訓練機関等を活 用した委託訓練を実施
(2)在職者訓練
1
能力開発セミナーの実施・・・県内企業の在職者に対する短期の職業訓練
  • 予め県が設定したカリキュラムによるレディメイド型訓練の実施
  • 企業の要望に応じカリキュラム等を調整して行うオーダーメイド型訓練を充実
  H20 H21 H22 H23
レディメイド型訓練 665人 565人 650人 450人
オーダーメイド型訓練 300人 400人 800人 1,000人
965人 965人 1,450人 1,450人
2
熟練技能者出前講座事業の開催(H23〜)
個別企業が自ら企画・立案した従業員のスキルアップや生産技術向上のための教育訓練に対し専門家を派遣

3 ものづくり人材の育成

県内工業高校生に対するものづくり技能の指導、企業の若手技能者の意欲向上のための取組みや技能レベルに応じたスキルアップのための講座・講習を開催しています。

(1)高校生ものづくり技能人材育成塾の開催(H23〜)
工業高校とものづくり企業の仲介を行う技能ナビゲーター(1名)を配置し、「とやまの名匠」等を活用した技能指導等を実施
※「とやまの名匠」は、4(1)参照
(2)若手技能者「やる気塾」の開催(H22〜)
ものづくり企業の担い手である若手技能者の仕事に対する“やる気”を引き出す研修会を開催
※年2回(6月・10月)開催、1泊2日/回、主な内容:県内企業の経営者による講話や受講者相互の交流・情報交換
(3)とやま技能継承塾の開催
ものづくり企業の技能者のレベルに応じたスキルアップ指導を実施
※「とやまの名匠」等の高度熟練技能者が指導
◆スタンダードコース(若手技能者対象:技能検定2級レベル)
       6コース(普通旋盤、フライス盤、溶接、機械保全、機械検査、金型仕上げ)
◆ハイレベルコース(中堅技能者対象:技能検定1級レベル)
      4コース(普通旋盤、フライス盤、溶接、金型仕上げ)
(4)技能アドバイザーの派遣(H22〜)
県技能アドバイザー(3名)を企業に派遣し、各社の技能に関する現状、従業員訓練の取組み状況と課題を把握するとともに、県の多様な職業訓練事業の中から各社に応じたメニューを紹介
(5)テクニカル・エンジニア育成塾の開催(H23〜)
設計部門(技術者)と製造部門(技能者)との調整を担うテクニカル・エンジニア(生産技術者)育成のための研修会を実施
※年2回(8月・12月)開催、2日/回、内容:専門家や大手企業の生産技術部門の責任者によるQCDS(品質、コスト、納期、安全)向上方策、デザインレビュー(設計審査)の重要性と効果、演習
(6)熟練技能者出前講座事業の開催(H23〜、再掲)

4 技能振興・技能尊重気運の醸成

(1)「とやまの名匠」の認定
後継者育成に意欲のある熟練技能者を「とやまの名匠」に認定し、ものづくり人材育成事業の講師として派遣
(認定数:H14〜 4人/年→H23〜 4名の枠の拡大、平成22年度までに19職種36人を認定)
(2)技能検定の実施
労働者の有する技能の程度を検定し、これを公証する国家検定である技能検定試験を実施
(県から富山県職業能力開発協会に委託)
(3)ものづくり技能エキスパートデータベースの構築・提供(H22年度末51職種262名)
技能検定1級以上で後継者育成に意欲のある技能者に関するデータベースを構築・提供し、技能伝承や後継者育成の指導者としての活用を図る。
(4)ものづくり競技力向上支援事業の実施
技能に関する全国競技大会(※)への参加勧奨、参加する選手を派遣する学校・企業等に対する支援(選手強化、派遣費補助)を実施
全国大会の上位入賞者への表彰制度も新設(H23〜)
※「若年者ものづくり競技大会」、「技能五輪全国大会」、「技能グランプリ」、「アビリンピック(障害者技能競技大会)」

5 おわりに

県では、ひきつづき、雇用のセーフティネットとしての職業訓練を円滑に実施できるよう、国(富山労働局)や関係機関と連携していくとともに、企業のニーズに応じた職業訓練の推進を図り、一人ひとりの職業能力開発をすすめるための機会の確保に努めてまいります。

とやま経済月報
平成23年9月号