特集

世界遺産のふるさと南砺市

〜さきがけて 緑の里から 世界へ〜
南砺市産業経済部観光課

1.はじめに

 平成16年11月1日、8つの町村(城端町、平村、上平村、利賀村、井波町、井口村、福野町、福光町)が合併し、「南砺市」が誕生しました。

 南砺市は、人口は約56,000人。富山県の南西端に位置し、面積は668.86平方キロメートル(東西約26キロメートル、南北約39キロメートル)で、そのうち約8割が白山国立公園等を含む森林であるほか、岐阜県境に連なる山々に源を発して庄川や小矢部川の急流河川が北流するなど、豊かな自然に恵まれています。山間部は、白山国立公園や県立自然公園に指定され、すぐれた自然景観を残しており、また、庄川や小矢部川に沿った平野部は、豊富な水に恵まれ、良質な米を生産する水田地帯で、春先の強風や台風、冬の雪、夏の暑い日差しを遮るため、「カイニョ」と呼ばれる屋敷林で守った家屋が点在する散居村の風景がみられます。

 気候は、典型的な日本海側気候で、冬は寒く、降水・降雪量が多い地域です。中でも、城端、平、上平、利賀、福光の各地域は、特別豪雪地帯に指定されており、山間部では最大積雪深が3メートルを超えることもあります。 


  < 散居村の風景 >

2.南砺市の産業

 産業別就業人口の構成は、富山県全体と比較すると、第1次産業、第2次産業が高くなっていますが、近年は就業率が低下しており、一方第3次産業の就業者人口は、平成12年に第2次産業を逆転して以来、増加傾向にあります。

 市内の産業構造は、平野部と山間部で異なり、平野部はアルミニウム、橋梁・建築建材、工作機械等を中心とした製造業、山間部では建設業や観光産業などサービス業の就業割合が高くなっています。

 農業は、良質な米の産地であるほか、干柿、里芋、そば、赤かぶ、チューリップ球根などの特産品づくりに取り組んでおり、市場性の高い農畜産物の生産・安定供給と、地産地消を基本とした流通・販売体制の構築に努めています。林業は、木材価格の低迷と林業従事者の高齢化などから厳しい状況にありますが、緑資源幹線林道や森林基幹道の整備などによる経営基盤強化の推進に努めています。

 商工業は、各商工団体を支援するとともに、若手経営者の育成や中小企業支援、TMOが行う事業の支援を推進し、市内商店街の賑わい創出に努めています。また、安土桃山時代から続く絹織物、300人の彫刻師を抱える木彫刻、手作りの風合いが暖かい良質の和紙、そしてプロ野球選手が愛用する木製バットの製造といった伝統ある地場産業の振興はもちろん、ブロードバンド環境を活用したアニメ制作や次世代ロボットの生産などの新産業創出、起業家支援にも力を入れています。

※TMO タウンマネージメント機関
市街地のまちづくりをマネージメント(運営・管理)する機関で、商工会、商工会議所、NPO法人等がなることができる。


< 井波彫刻 >

< 五箇山和紙 >

3.南砺市の観光資源と観光振興

(1)観光資源

1 日本の原風景南砺


< 五箇山 合掌造り集落 >

 南砺市には、東海北陸エリアで唯一ユネスコの世界文化遺産に登録されている、五箇山の国指定史跡「相倉合掌造り集落」、「菅沼合掌造り集落」があり、フランスの「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」では三ツ星を獲得し、「わざわざ訪れる価値がある」観光地として最高評価を得ています。近年は、多くの欧米の方々にもお越しいただき、日本の原風景として大変注目されています。

 また、古い街並みのそこかしこから木槌の音が響く「信仰と木彫りの里・井波」、美しい街並みが心を癒す「越中の小京都・城端」には歴史と伝統に裏打ちされた、どこか懐かしい日本が豊かに息づいています。

 上の写真にある「井波彫刻」や「五箇山和紙」は、国の伝統的工芸品に指定されており、伝統技術の継承を進めていますが、観光客向けの豊富な体験メニューも大変人気を集めています。

2 伝統と個性あふれる祭・イベント

 360年の心意気が蘇る「福野夜高祭」、国の無形民俗文化財「城端曳山祭」をはじめ、「城端むぎや祭」、「こきりこ祭り」、「五箇山麦屋まつり」など歴史・伝統ある文化的祭りや、世界の演劇人が山村に集う「利賀フェスティバル」、スチールパンの音色が街にあふれる民族音楽の祭典「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」、「いのくち椿まつり」、「福光ねつおくり七夕祭り」、「利賀そば祭り」、「いなみ太子伝観光祭」など個性と魅力あるイベントが多数あります。また、五箇山の「こきりこ唄」や「麦屋節」「といちんさ」等30曲あまりの民謡は国の無形文化財に選定されており、音楽の教科書にも採用され民謡愛好家の話題になっています。


< 福野夜高祭 >

< 城端曳山祭 >

3 多彩な名所、観光施設


< 井波別院 瑞泉寺 >

 井波彫刻発祥の地とされ、秀作逸品が建物の至るところにみられる「井波別院瑞泉寺」など多数の深い歴史を持つ寺院、世界的版画家・棟方志功が疎開生活した「鯉雨画斎(りうがさい)」や志功の多くの作品が展示されている「愛染苑」、スイスのアローザ村と提携しておりスイスの雰囲気が感じられる「IOX-AROSA」やインターハイ競技が開催された「たいらスキー場」など特徴ある5つのスキー場、そのほか東海北陸自動車道サービスエリアから気軽に利用できる「桜ヶ池クアガーデン」や美術館が隣接し美肌効果の高い「天竺温泉」ほか点在する人気の温泉も多く、時代の求める観光ニーズに応える観光資源が多くあります。

 南砺市では、このような多くの文化遺産や歴史的施設・観光施設・祭りやイベントを活用しながら、素朴な人情でもてなす「一流の田舎」、そして「世界水準の観光都市」を目指しています。

(2)南砺市観光協会設立

 南砺市の観光事業をより一体的に推進するため、平成22年4月1日に南砺市内の観光協会を一本化し「南砺市観光協会」を設立しました。JTBから観光プロデューサーを招聘し、新たな観光メニューの開発、観光資源の相互連携による体験型・滞在型観光を促進しており、誘客活動、情報発信と観光プロモーションなどのPR事業及び受入れ体制の整備を進めるなど、民間主導型の観光振興体制の強化を図っています。

南砺里山博2010より
< 立野原じゃがいも作り >

< 自然解説 >

 また、南砺市観光協会設立記念事業として、昨年7月24日(土)から10月31日(日)までの100日間、南砺市全体を屋根のない博覧会場として、「南砺里山博2010」を初めて開催しました。7つの地域をパビリオンに見立て、癒しの「い」、農業の「の」、知恵の「ち」の「いのち」の3つのテーマを掲げ、官民一体となって南砺市の魅力をブラッシュアップし、南砺市を訪れる方々に里山文化を満喫していただくとともに、今までにない壮大な南砺市の魅力を再発見していただきたいと考えて開催しました。市民が企画した里山体験プログラムを用意し里山文化に楽しく触れていただく他、市民や観光客の方々が多くのイベントに訪れていただけるように、7月24日(土)のオープニングと25日(日)に 同時開催された「福光ねつおくり七夕祭り」、「いなみ太子伝観光祭」、そして「城端別院善徳寺虫干法会」の3会場を結ぶ市営バスを初めて臨時運行しました。さらに、9月18、19、20日の三連休にも、「城端むぎや祭」、「寺のまちアートinいなみ」の同時開催に合わせて、各イベント会場を周遊していただけるように市営バスを運行しました。更に、金沢発着の南砺市のイベントと里山博体験のバスツアーも企画し、多くの金沢市民の方々に参加いただきました。

 平成23年度も4月1日から年間を通して「南砺里山博2011」を開催する予定です。南砺市の市民や団体から募集する体験企画を盛り込んだ多彩なイベントを開催いたしますので、ぜひご参加ください。

(3)広域観光連携事業

1 越中・飛騨観光圏協議会(会長:高岡市長、事務局:高岡市)

 平成22年3月に富山県西部6市(高岡・射水・氷見・砺波・小矢部・南砺)と岐阜県2市1村(高山・飛騨・白川)が県境を越えて「越中・飛騨観光圏協議会」の設立に至り、4月には国土交通省の観光圏認定を受けました。「ものづくり」「景観」「食」「祭・歴史」「温泉」の5つのキーワードをもとにした事業の展開と、これらを有機的に結び付ける交通体系の整備や情報発信を行うとともに、特徴を生かした事業を複合的に実施することで、いつ、だれが、どこに訪れても、2泊3日以上楽しむことが出来る圏域、効果的で魅力ある通年型の観光圏を目指して事業を推進しているところです。特記事項としては、11月5日に圏域内の観光拠点として、築200年の合掌造りの1階部分を改修し整備を進めてきた「五箇山総合案内所」が完成し、年中無休の観光案内をはじめ圏域内の情報コーナーを設置しました。今後の観光圏事業の活動としては、国の補助体制が変わりますが、各市の負担金により、更なる事業展開を推進していく予定です。

2 各地域との観光連携事業

 隣接する砺波市とは、民間ホテル・旅館経営者等が中心となって「富山県観光連盟砺波地区会」を組織しており、出向宣伝やポスター・パンフ、ホームページの作成、マスコミや旅行雑誌編集者の招聘事業等を行い、積極的に誘客活動を展開しているほか、一部事務組合である砺波広域圏事務組合では、東海北陸自動車道の全線開通に伴い、平成21年度から富山県名古屋事務所に職員1名を「砺波地域情報センター所長」として派遣し、中京方面の観光・商工の窓口として情報発信と情報収集を行っています。

 また、加賀藩の繋がりで歴史的にも深いご縁のある金沢市とは、毎年「金沢・南砺ゆかりの集い」を開催し親しく交流をさせていただいていますが、平成22年9月には、金沢市近江町いちば広場にて「南砺の秋まつりin金沢」を開催し、南砺の味覚・物産・体験・民謡披露など丸ごと南砺を体感していただき、金沢市の方々に南砺市の魅力を再認識・再発見していただきました。

 さらに平成23年度には、昨年から毎日定期観光バスが運行されており、観光交流をより深めている高山市において、「なんと観光博in高山」を計画しているところです。

 一方、インバウンド(海外から日本に来る観光客)に対する広域連携では、「富山市・南砺市・飛騨市観光都市連合」を組織し、韓国に特化しての観光プロモーションやマスコミ等の招聘事業を行っているほか、「高岡南砺郡上台湾誘致協議会」では台湾に特化した誘客事業を展開しています。

4 おわりに 〜南砺市の更なる魅力アップを目指して〜

 南砺市の豊かな自然や歴史・文化あふれる多くの観光資源については、まだまだ紹介しきれないところですが、これら観光資源のそれぞれの個性を活かした「南砺市ならでは」の魅力あふれる体験型・滞在型の観光を推進するために、積極的な情報発信や魅力のアピールを行っていくとともに、南砺市を訪れた人が再び訪れたくなるようなサービスの提供やガイド・インストラクターの育成等によるおもてなしの心の醸成を展開していきたいと考えております。

 4年後にはいよいよ北陸新幹線が開業します。南砺市という地名ブランドの更なるアップを目指し、個々の商品や固有の資源のブランドを広め、南砺市の産品を買いたい、南砺市を訪れたい、そして南砺市に住みたいと感じていただけるような地域づくりに取り組んでいき、北陸新幹線の開業という大きなチャンスに対応したいと考えております。

南砺市HP
http://www.city.nanto.toyama.jp

観光情報はこちら〜南砺市観光協会〜
http://www.tabi-nanto.jp/
とやま経済月報
平成23年3月号5027