特集

東海北陸自動車道全線開通!!
―砺波市からの期待―

砺波市商工農林部商工観光課・企業地産推進室



はじめに


「チューリップフェアを見に行くのにどういけばいいんですか?」

「そうですね、名古屋からですとお車の場合、名神高速の米原ジャンクションから北陸道に入られ、砺波インターチェンジで降りてください。約3時間30分かかりますね」

「もう少し短い時間のルートはないんですか」

「今のところはこのルートが一番短いですね」

例年、年明け頃から、チューリップフェアに関する問い合わせが多くなり、これまではこのようなやりとりをしていたものでした。

しかし、今年は東海北陸自動車道の全線開通は間に合いませんでしたが、これまでとは違って、

「東海北陸自動車道を利用されますと、一部一般道になりますが、約3時間で来ることができますよ。来年は更に30分ほど短縮されます」

「3時間で行けるの? 富山はもっと遠いと思っていましたよ」 というやりとりが新たに加わりました。



待望の全線開通


7月5日、待望の、東海北陸自動車道が全線開通しました。これにより、中京圏との時間的距離が非常に近くなり、人・物の流れが活発となっていろいろな交流が深まることが期待されます。

砺波市では、全線開通に伴う中京圏への観光PR、観光・経済交流として、これまでも様々な取り組みをしており、また、これからも強力に展開していきますが、今回はその一例をご紹介したいと思います。

 

(1)チューリップフェアキャンペーン2008フェア地域別入場者

みなさんには、砺波市の観光といえば、まず「チューリップフェア」が思い浮かばれるのではないかと思います。

フェアには期間中、県内外から約30万人の観光客が訪れますが、アンケートによれば、その8割近くが自家用車での来場となっています。また、地域別入場者は、県内を含む北陸の約4割に続いて東海が約3割を占めており、このことは、北陸自動車道や東海北陸自動車道を使っての来場者が多いということを示しているといえます。


東名高速上郷サービスエリアでの観光キャンペーン

このため、当初、東海北陸自動車道の全線開通は3月ということで、フェアへの効果を非常に期待していましたが、残念ながら7月となってしまいました。

しかし、今年のチューリップフェアには間に合いませんでしたが、砺波市では来年以降のチューリップフェアの開催に向けてはもちろん、フェア以外のイベントも含め、高速道路全線開通により富山が近くなったことをPRしてきました。

 

  • 高速バス利用によるチューリップフェア名古屋キャンペーン
    高速バス名古屋線を利用して名古屋市内でPR。
  • 中京圏内の高速道路SAでの観光物産キャンペーン
  • 富山県・岐阜県共同観光PR(名古屋中日ビル)
    東海北陸自動車道全線開通直前に全線開通を記念して観光PR。
  • 2009チューリップフェアキャンペーン
    8月と秋の3大都市圏での旅行エージェント訪問。
    併せて10月開催の「となみ夢の平コスモスウォッチング」のPR。
  • 富山県観光連盟砺波地区会による観光キャンペーン
    中京方面の「道の駅」を中心とした宿泊推進観光キャンペーン。

この他、時間の短縮によりこれまでと同じ時間で訪れることができる範囲が拡大されることから、近隣だけでなく、県境を越えた連携も必要になってきます。北陸広域観光推進協議会、金沢・富山県西部広域観光推進協議会等各種団体の共同事業として、東海北陸自動車道全線開通を意識した広域的な事業を推進していきます。



(2)愛知県安城市*1との相互交流安城市産業フェスティバルへの出店

砺波市と愛知県安城市は平成18年に「災害時相互応援協定」を締結しました。これまでの米原経由での北陸自動車道ルートに東海北陸自動車道全線開通による新ルートが加わったことにより、災害時の「安心」が増したことになります。

 

更に、この締結を機に交流が始まり、これまで砺波商工会議所、砺波市観光協会が中心となって安城市産業フェスティバルや安城七夕まつりに参加しました。一方、安城市からは砺波市の花しょうぶまつり、となみ夜高まつりに観光大使が訪問するなど相互交流が図られています。

また、砺波市は安城市の市民保養事業*2の指定保養地区にもなっており、安城市において観光キャンペーンも行っています。

今後は、行政、関係団体だけでなく市民の交流も推進されるものと期待しています。

 

*1 安城市(URL:http://www.city.anjo.aichi.jp/
愛知県のほぼ中央に位置し、人口は約17万人。明治用水の豊かな水にはぐくまれ「日本のデンマーク」と呼ばれるほど農業先進都市として発展してきましたが、中部経済圏の中心である名古屋市から30キロメートルという近い距離や、豊田市などの内陸工業都市や碧南市などの衣浦臨海工業都市に隣接するという地理的条件にも恵まれ、自動車関連企業をはじめとする大企業の進出、住宅団地の建設が盛んになり、急速に都市化が進んできました。
高速道路を利用すれば砺波市とは約4時間という距離になります。

 

*2 安城市市民保養事業
安城市民が指定保養地区内の宿泊施設に宿泊された場合に、宿泊代金の一部を補助(1人1泊1,500円)する事業です。

 

 

(3)企業等への立地環境説明

東海北陸自動車道全線開通により、中京圏の企業から北陸は注目されています。特に砺波市では東海北陸自動車道と北陸自動車道、能越自動車道が交わり、また、富山市と金沢市の両県庁所在地のほぼ中間にも位置しており、地理的にも非常に有利にあります。

これまで、富山県及び(財)富山県新世紀産業機構主催の「富山県立地環境説明会」において、参加企業の方々へ砺波市の地理的優位性を説明しました。併せて、砺波市内に本支店のある金融機関のうち、名古屋市内にも支店のある金融機関を訪問し、中京圏の企業立地動向情報の収集などにも努めています。

 



さいごに


最近、岐阜県白川村の方とお話をする機会がありました。この方は、「家族が病気で入院となったが、高速道路を使っていち早く砺波へ来ることができ、治療を受けることができた。助かった」と喜んでおられました。

白川村からは、以前は当然、高速道路はなく、国道も未舗装の狭くてカーブの連続でした。五箇山までは庄川に沿った崖の縁を、さらにその後、通称「人喰い谷」の斜面を通り、手に汗をにぎりながら数時間かけなければならないものでした。

ところが今は高速道路を使えば30分程度です。道路整備はモノ・人・情報の流れを円滑化させ、社会経済活動を支えるという重要な役割を果たしますが、何よりも病気やけが、災害等万が一の際には、特に高速道路は一刻を争う「命の道=血管」となり、今、人々が最も求める「安心・安全」にはなくてはならないものです。

今夏、全国各地で局地的集中豪雨が発生し、土砂崩れで道路が寸断される等の被害も出ました。この時も高速道路や他の一般道が迂回路として機能し、人々の命と生活が確保されました。

道路のあり方がいろいろ議論されているところですが、白川村の方のお話しにもあるように、道路は「安心・安全」にはなくてはならないものということを実感した次第です。

(執筆:赤坂 昌彦)



追伸


10月4日から19日の16日間、夢の平スキー場ゲレンデにおいて「となみ夢の平コスモスウォッチング」を開催します。

秋のとなみを彩る100万本のコスモスがメルヘンの世界を演出します。

会場とその近くの「散居村展望台」からは「日本の原風景 砺波平野の散居」の風景もご覧いただけますので、みなさんのお越しをお待ちしています。

詳細についてはこちらをご覧ください。






とやま経済月報
平成20年10月号
図9 地方自治体のHP開設率の推移(%) 図8 情報消費量の推移(平成7年=100)