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国等への要望

Ⅱ 日本海に関する国際交流と総合的開発・利用・保全の推進

国際交流・協力の推進

 環日本海交流圏の形成は、わが国全体にとって、これからの新たな国土の発展を展望するに当たり極めて重要なテーマであるとともに、とりわけ日本海沿岸地域にとって、太平洋側との格差を是正し、活力ある地域として発展していくためには不可欠な視点である。

 ついては、日本海に関して国際的な理解と関心を醸成するとともに、 貿易の振興をはじめ、 多面にわたる国際交流の推進を図り、 環日本海交流圏を形成するための施策について格段の配慮を願いたい。

1 交流・協力体制の整備

(1) 幅広い国際情報の収集機能強化と地方への情報提供の充実
(2) 国内通商関係機関の整備拡充及び対岸諸国における情報収集・発信、 交流の拠点となる関係機関等の海外事務所の設置
(3) 環日本海諸国との貿易見本市等の相互開催をはじめとする環日本海交流推進のための事業推進と国の積極的な関与
(4) 国際交流を担う青年やシニア層の確保・育成事業の促進
(5) 環日本海地域における国際複合一貫輸送網の構築など、日本海沿岸地域における物流ネットワークの構築

2 交流・協力事業推進のための財源措置

 地方において自治体や各種団体が行う国際交流・国際協力事業に対する政府開発援助(ODA)資金の活用、地方交付税措置の拡大など財政措置の充実

3 交流・協力基盤等の整備

(1) 日本海沿岸地域と対岸諸国との定期航路・航空路の開設及び拡充
(2) 国内外輸送貨物の日本海沿岸地域の港湾の利用促進、内航航路の充実等
(3) 外航クルーズ船の日本海沿岸地域への誘致及び寄港数増加
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日本海の総合的開発利用及び研究の促進

 日本海は、沿岸諸国にとって豊かな自然や漁業資源など数多くの恵みをもたらす貴重な共有財産であり、その美しく豊かな環境・資源を開発・利用するとともに将来世代に継承していくことは極めて重要である。

 ついては、日本海沿岸の地域振興を総合的に進めるために、 日本海における海洋資源の開発利用に関する研究、開発機能の整備並びに日本海に関する学術研究の推進等について格段の配慮を願いたい。

1 日本海の環境保全と有効利用に関する国際的共同研究組織の設置

2 日本海の流動と生態系の変動等に関する基礎的学術調査と資源探査調査の実施

3 深層水(日本海固有水)の多目的利用研究に対する助成・支援

4 日本海沿岸域における総合的開発と利用に関するプロジェクトの積極的導入と推進

5 日本海とその周辺及び関連地域全体を一つのまとまりとしてとらえ、海との関わりを軸にその自然・文化・歴史・経済などを総合的に研究するとともに、地域間の交流を促進する「日本海学」の推進

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「緑の国土軸」の推進

 日本海沿岸地帯は、豊かな自然や美しい景観、固有の文化などに恵まれ、さらに無限の魅力を秘めた日本海に面するなど、豊富な地域資源を有している。

 しかし、農山漁村においては、近年、過疎化や高齢化などの進行により、これらの保全が難しくなってきており、このような空間を地域が一体となって次世代に継承していくことが課題となっている。

 21世紀は、「環境の世紀」と呼ばれ、地球環境の維持・保全が叫ばれる中、日本海沿岸地帯は、この地域資源を活用し、循環型社会のモデル圏域として自然環境を保全・再生していくことが求められている。

 また、都市住民には「田舎暮らし」や「週末居住」等に対する関心が高まってきている。

 このため、日本海沿岸地帯の主軸をなす「日本海国土軸」について、さらに自然・文化・産業が調和した「緑の国土軸」として推進するため、農林漁業者のみならず、地域住民など多様な主体の協働により、地域資源を活かした農山漁村の生活環境基盤及び生産基盤の整備・保全等を行う新たな公共事業やグリーン・ツーリズム等の都市との交流・連携、さらには都市住民の移住促進を図る施策等を推進していくことが必要である。

 ついては、「緑の国土軸」を推進するための諸施策について格段の配慮を願いたい。

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日本海を取り巻く環境保全の推進

 日本海は、その沿岸諸国にとって、漁業資源、海上交通、レクリエーションの場等の恩恵をもたらしている共有財産である。しかしながら、近年、沿岸地域では、工業化の進展や都市部への人口集中、漁業や海上交通による利用の拡大等に伴い、今後の海洋環境の悪化が予想されるほか、石油タンカーの沈没等の海難事故が増加傾向にあり、豊かな漁業資源や沿岸地域の観光等に重大な被害を及ぼすことが懸念されているところである。また、海外からの漂流ごみについても、漁業被害、有害物質の拡散等が懸念される。

 環日本海時代の到来を迎え、海洋汚染を防止し、環境の保全を図っていくことは、沿岸に居住する者にとって共通の使命であり、そのためには、沿岸諸国や地域、各種団体等が連携協力し、すべての主体の参加のもとに国際的な取組みとして各種の事業を展開していく必要がある。

 また、自然状態を保持した海岸は魚介類の繁殖及び生息の場や観光資源として重要であるばかりでなく、水質浄化等地球環境の再生にも貢献している。

 ついては、環日本海地域の環境保全を推進するための施策について格段の配慮を願いたい。

1 環日本海諸国間における多様な環境問題に対処するための、自治体・民間団体による技術移転や人事交流などの現地即応型の環境協力への支援

2 「北西太平洋地域海行動計画 (NOWPAP)」 などを通じた、 環日本海諸国の連携、 協力による海洋汚染防止のための共同監視、 防除体制などの充実

3 漂着物等対策の確立

(1) 対岸諸国から漂着する信号弾、プラスチック製薬品容器等日本海沿岸への漂着ごみの実態把握、発生源対策、除去対策等の総合的な対策の推進
(2) NOWPAPにおける漂着ごみプロジェクトや、漂着ごみの処理費用の負担を国際的に調整する国レベルの漂着物対策調整機関の設立など、国際的な協力体制による取組みの推進
(3) 対岸諸国からの漂着の未然防止や、海岸管理者等による回収・処理等に要する経費について、海岸漂着物処理推進法第29条第1項の規定により国は海岸漂着物対策を推進するために必要な財政上の措置を講じなければならないことを踏まえ、恒久的に必要な財政措置を講じること
(4) 海底に沈下しているコンテナ等の処理において、地方自治体等による原因者特定並びに当事者が外国にいる場合における解決に向けた取組みに対する国の支援体制の整備、並びに沈下コンテナ等の撤去を原因者に義務づけるための国際条約の早期批准及び法制度の整備
 また、法制度が整備されるまでの間、コンテナ等の処理に要した経費に対する支援制度の採択基準の緩和及び早期採択

4 地方公共団体と協調した国レベルでの藻場・干潟の保全及び再生等、自然海岸の保持

5 日本海沿岸でも影響を受けている黄砂等について、早期に物理的、化学的な性質や人体への影響を解明するとともに観測体制の充実を図るほか、有害大気汚染物質の汚染評価を行うこと。また、ODAの活用などにより黄砂発生源対策を推進すること

6 大陸からの寄与を含めた酸性雨(雪)の自然環境への影響の実態解明を促進すること

7 日本海沿岸の砂丘海岸は、冬期風浪等により侵食が進行しており、国土保全とともに観光資源の観点からも国レベルでの広域的な調査及び保全対策を講じること

8 近年、日本海沿岸地域でも顕在化しつつある大気中のオキシダント濃度の広域的な上昇について、大陸からの移流等の影響も指摘されていることから、原因究明を行うとともに、広域的な観測体制の充実を図るほか、大陸諸国への協力要請を含め、必要な対策に取り組むこと

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日本海沿岸地域の安全確保

 日本海沿岸地域における地震など自然災害の発生、重油・木材等の流出事故、難民等の漂着、その他工作船等の領海侵犯問題、近年多発している国際組織犯罪、更には北朝鮮による核実験、ミサイル発射等は、日本海沿岸地域の安全、安定を脅かすのみならず、北東アジア地域全体の環境や平和を脅かす可能性もある。

 特に震災対策に関しては、東日本大震災において、事前に想定し防災対策を講じていた規模を超える「想定外」の規模で地震が発生し、甚大な被害を招いたことから、地震・津波対策を検証するための科学的な調査などを緊急に実施する必要があるとともに、近年日本海沿岸地域でも頻繁に地震が発生しているにも拘わらず、南海トラフの巨大地震や首都直下型地震に向けた対策・取組みのみが注目され、東海地方などと比べ財政支援措置に格差が生じている。
 災害に強い国土づくりを目指すためには、太平洋側における地震・津波研究だけでは不十分であり、日本海側で発生する地震・津波研究に対しても、更なる支援や、制度拡充が必要である。

 また、船舶油濁損害賠償保障法により保険未加入の外航船舶の国内港湾への入港が禁止されているものの、依然、サブスタンダード船(国際条約等の基準に適合しない船舶)による海難事故が多発しており、引き続き国による外航船舶への検査等の体制強化について取り組む必要があると考える。

 ついては、日本海沿岸地域における地震など各種災害の発生防止及び発生した場合の適切な対応、並びに日本海沿岸諸国との国家間安全保障問題等について格段の配慮を願いたい。

1 船舶等からの危険物等流出事故対策の推進

(1) 環境対策、海洋汚染防止のための共同監視・防除体制等の確立
(2) 油流出事故における油の漂流・漂着予測システムの確立および情報提供システムの導入
(3) 木材等の流出事故における国による回収の代執行制度や、関係自治体による回収費用の補填制度の創設、並びに油濁損害賠償保障法に準じた法制度の整備
(4) 国における事故防止対策及び応急対策の強化、防除作業経費の負担制度の創設

2 東日本大震災等を踏まえた日本海沿岸地域における震災対策の強化

(1) 日本海側における地震活動及び津波の発生メカニズムの解明、予知技術の向上に関する調査研究の推進
(2) 地震・津波対策を検討するための前提となる、日本海側のプレート境界、未確認の断層を含めた陸上や海底活断層の実態などの科学的調査のすみやかな実施と調査結果の情報提供
(3) 地震常時観測システムの設置や観測機器の増設など地震予知及び津波予報のための観測体制の整備充実
(4) 津波による被害の発生を防止し、又は軽減するための津波観測体制の整備充実とともに、甚大で広範囲な津波被害を想定した防潮堤等の防災施設、避難路、防災行政無線等のハード整備及び迅速な避難を可能にするソフト施策を組み合わせた総合的な防災対策の推進に対し、全面的な支援と財政措置
(5) 液状化危険度分布について、今回の震災を踏まえた国の考え方や、調査項目等の見直し及び液状化危険度分布や人的・物的被害予測について地域防災計画の見直しに活用できる詳細なデータの提供
(6) 災害時の避難所や災害対策の拠点となる公共施設・公的施設の耐震化の促進や、中・長期間にわたる防災機能の維持を確保するための各種事業への起債充当、償還費に対する交付税措置の拡充、及び支援の創設または充実
(7) 地震防災緊急事業五箇年計画に係る事業や防災対策事業の実施など、総合的な地震防災対策の充実・強化を図るための財政的支援
(8) 災害廃棄物処理に係る国庫補助制度の特別措置
(9) 日本海側における基幹的広域防災拠点の整備
(10) 日本海側における地震・津波に関する調査・研究空白域の早期解消、および、日本海(特に、佐渡島付近の東縁部)で発生し得る地震や津波の全体像の早期提示
(11) 津波防災地域づくりに関する法律に基づき、都道府県知事が行う浸水地域等の設定に必要な日本海側の地域に係る断層モデルの速やかな提示

3 集中豪雨等による洪水・土砂災害対策の推進

(1) 効果的・効率的な洪水・土砂災害対策の推進
(2) 洪水予測及び土砂災害予測等の充実
(3) 総合的な治水対策の推進

4 日本海沿岸地域で発生する高波対策の推進

より精度の高い波浪うちあげ高の予測技術の早期開発

5 豪雪に伴う雪処理事故等への対策の推進

(1) 除雪体制維持に必要な経費に係る財政的支援
(2) 住宅の雪処理担い手確保及び効果的な除排雪活動に対する支援

6 日本の国権を脅かす国籍不明不審船領海侵犯問題等について、 漁業者の操業の安全はもとより、 国民の生命と安全を確保する観点から、再発防止のための外交努力、不審船・工作船対応の高速高機能巡視船の配備等必要かつ適切な対策の推進

7 外国船舶に対する指導監視等の強化

外国船舶監督官の増員などPSC(ポートステートコントロ-ル)体制の強化及びPSCによる改善命令の履行を担保するための関係各国との連携の強化

8 港湾の保安対策

SOLAS条約(海上人命安全条約)により義務付けられた港湾保安対策の実施(管理・運営・施設の設置、更新を含む)に対する財政的支援

9 テロ等に対し住民の安全を守る危機管理の強化

(1) 地方公共団体の危機管理体制への総合的な支援
(2) 国民保護のための財源措置の拡充と平常時からの関係機関との連携体制の整備
(3) 住民避難のための交通基盤の整備
(4) 武力攻撃や大規模テロにおいて、府県境を越えた住民避難等が円滑に行われるよう、国における広域的な体制の整備
(5) 緊急時に、地方公共団体に対し的確かつ迅速に情報提供が行われるよう、危機事案に関する緊急情報の迅速かつ確実な伝達手段として、J-ALERTの適正な運用体制の早期確立を図ること

10 難民漂着事案等に対する体制とマニュアル等の整備

(1) 着岸する前に対処できるよう国の体制整備及び水際対策の強化
(2) 漂着事案が発生した場合に、国、都道府県、市町村、関係機関が緊密に連携し、迅速な初動対応が実施できるよう、国として連絡体制や情報共有体制の整備を図ること
(3) 武装している可能性のある難民等の漂着事案に迅速かつ的確に対応するために、国の役割の明確化及び対処マニュアル等の策定
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