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国等への要望

Ⅲ 新しい豊かさ実現のための産業の展開

新しい時代の地域農業の展開

 日本海沿岸地域は古くから、日本海側特有の気象条件を活かして米等を中心にわが国の食料安定供給に大きな役割を果たしてきたが、近年、農村の過疎化の進行等による担い手の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加や水利施設の老朽化に加え、輸入農産物の増加など国際化の進展に伴い、農業・農村及び関連する産業分野をめぐる環境は極めて厳しい局面にあり、今後とも国際化に対応し得る農業の構築、活力ある農村の整備、食料供給力の向上が不可欠となっている。

 ついては、地域の自主性と創意工夫が生かされる実効性のある施策の着実な推進に格段の配慮を願いたい。

1 地域農業の安定的発展の基本となる関税等の国境措置を確保するため、WTO農業交渉及びEPA交渉等においてわが国の主張を強力に展開すること
  特に、TPP協定については、農林水産物や工業製品などの物品市場アクセスやサービス分野のみならず、金融、労働など幅広い分野にわたっており、国民生活に大きな影響を及ぼすことが懸念されることから、食料安全保障の観点も含め、国益に十分留意するとともに、その経過、内容について、国民にわかりやすい形での十分な情報提供を行い、国民的議論を十分尽くし、広く国民の理解と合意を得たうえで、協定への参加の是非を総合的かつ慎重に判断すること

2 世界の食料需給のひっ迫が予想されるなか、国民への食料の安定供給を将来にわたって確保するという視点に立った農業・農村の食料供給力強化による食料自給率の向上への支援策を強化すること

3 農業者戸別所得補償制度については、食料自給率の向上はもとより、地域農業の持続的発展がなされるよう地方の裁量が十分発揮できる制度とするとともに、財源の効果的な活用や法制化を含め、安定的・継続的な制度とすること
  また、認定農業者、集落営農組織、新規就農者などの担い手の育成・確保や担い手への農地集積など地域農業の再生に向けた実効性ある施策の推進とそのための財源を確保すること

4 非主食用米や麦・大豆等の戦略作物及びそれ以外の特色ある地域振興作物の生産振興を図るため、産地資金の継続・拡充や、地方の裁量発揮が可能な支援策など、多様な地域農業の維持・発展を支える方策の確立すること

5 地域資源を活用し、農業者の所得向上と雇用確保に繋がる農業の6次産業化を促進するため、事業の発展段階に応じた支援策を充実すること

6 米の生産数量目標の配分時期については、担い手の営農計画に十分配慮すること

7 農業・農村の多面的機能の発揮、美しく住み良い農村空間の創造、農村への都市住民の移住対策を推進すること

8 野生生物の適正管理を含めた実効性ある鳥獣被害防止対策を推進すること

9 食料自給率の向上に不可欠な農業生産を支える基盤の整備や農業水利施設等の保全管理、集落間道路の整備に係る実効性ある施策の推進とそのための財源を確保すること

10 地域共同による農地・農業用水等の資源の基礎的な保全管理活動や施設の長寿命化のための活動等への支援として、地域農業の継続に大きな役割を果している「農地・水保全管理支払交付金」の恒久化及び必要額を確保すること

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食の安全と安心の確保に関する施策の積極的な展開

 食品の表示偽装問題、輸入食品による健康被害の発生、食品への放射性物質の影響など国民の「食」の安全性に対する不安が増加している状況である。

 ついては、国民の不安を解消し、食の安全・安心を確保するために地方自治体が行う農畜水産物などの放射性物質検査に係る財政的支援を充実させるとともに、国と地方自治体がより合理的な連携体制を構築し、食品等の規格基準の充実や適正表示の徹底、輸入食品の監視・検査体制の強化、トレ-サビリティシステムの確立、食の安全・安心等に関するリスクコミュニケーションの充実、さらに食品ロスの低減及び企業の負担軽減のため、食品回収に係る法令上の運用解釈の明示等実効性の高い施策の推進について格段の配慮を願いたい。

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健全な森林の整備と林業・木材産業の振興

森林は水資源のかん養、国土の保全、優れた自然環境の創出等様々な公益的機能を有しているが、森林を守り育ててきた林業・山村は、林業生産基盤整備の立ち遅れ、林業採算性の悪化、林業労働力の減少等が進み、一段と厳しい状況におかれている。

こうした状況を踏まえ、森林の有する多面的機能の持続的発揮、林業・木材産業の地域資源創造型産業への再生、木材利用・エネルギー利用拡大による森林・林業の低炭素社会への貢献に加え、担い手の育成・確保や林業公社の経営に対する財政支援について一層の充実を願いたい。

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新海洋時代に対応した水産業の振興

 水産業を取り巻く環境は、国連海洋法条約の批准に伴う排他的経済水域の設定並びに漁獲可能量制度の導入など大きく変化しており、日本海沿岸地帯においても輸入水産物の増大による魚価の低迷、漁業従事者の高齢化、後継者の不足に加え、大型クラゲの来遊、燃油価格の高騰など益々厳しさを増している。

 水産業は、国民の健康で安全な食生活を維持する上からも、 重要な地位を占めており、 今後とも安定した漁業生産の確保と水産業の振興のための施策について格段の配慮を願いたい。

1 新たな政策理念と基本的な施策方向を定める水産基本法に基づき、担い手の確保・育成対策の拡充など漁業地域の活性化と加工・流通業等を含めた水産業全体の発展を図るための具体的施策を早急に講じること

2 竹島の領土権を確立し、排他的経済水域の境界画定により暫定水域を撤廃すること。それまでの間、日韓・日中漁業協定に基づく暫定水域での資源管理体制の確立、協定の影響を今なお受ける漁業者に対する支援の継続実施、外国漁船の入漁に関する規制強化並びに取締り体制の強化などによる漁業秩序の早期確立をおこなうこと
 特に、我が国排他的経済水域と日韓暫定水域との境界付近で、多発している韓国のバイかご、アナゴ筒、ズワイガニ底刺網漁業の違反操業の根絶については特段の措置を講じること

3 府県が行う広域回遊種の資源管理や栽培漁業などについては、その効果は1府県にとどまらず広範囲に及ぶものであり、国が責務を有するものであるといったことも踏まえ、国の積極的な関与による資源管理や栽培漁業の発展を考慮した水産業振興諸施策の推進並びに財政支援措置を講じること

4 日本海沿岸に大量に出現し、漁業に大きな影響を及ぼす大型クラゲについて、日中韓3ヶ国共同の調査研究による大量発生原因の早期解明と発生海域における3ヶ国が連携した駆除体制の構築及び漁業被害の防止と漁業経営の安定を図るための対策を講じること
また、クラゲが発生する海域に近い九州から日本海西部沿岸海域での小型サイズ時の徹底駆除や、海底清掃によるクラゲの回収・処理方法の確立、大型クラゲを資源として有効活用できるよう地方の研究機関等と連携した積極的な研究・開発を推進すること

5 平成14年度以降、日本海西部海域で頻発している有害赤潮についても、沿岸の水産資源に重大な影響を及ぼしていることから、対岸諸国も含む広域的な課題として、漂着の予測や、事前防除等の究明等について国レベルでの対策を講じること

6 漁業用燃油価格については、新興国の石油需要の急増や投機資金の流入などにより、予断を許さない状況にあり、漁業生産の安定的な確保と水産業の振興を図るため、長期的な展望に立って、省エネ型漁業転換への支援や金融措置等の緊急燃油高騰対策を講じること

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産業基盤の充実・強化等

 日本海沿岸地域は、 製造部門のウエイトが高く、 また、 経営基盤の脆弱な中小企業が数多く立地しているため、 近年の経済のグローバル化の進展やアジアの発展を背景とした新たな国際分業構造の形成等の構造変化の中で、 産業の空洞化等による地域経済への影響が懸念されている。

 また、東日本大震災により甚大な人的、物的被害が発生し、現在、国を挙げて被災地の復興に取り組んでいるが、一日も早い復興を図るためには、復興を支える日本海沿岸地域の経済の活性化や新たな成長を目指した戦略的な取組みが必要不可欠である。

 さらに、太平洋側に集中していた産業施設が広範囲にわたり被災したため、電力供給や石油燃料等の不足、サプライチェーンの寸断を引き起こし、産業活動の停滞に繋がった。

 一方、福島第一原子力発電所事故の影響から全国の原子力発電所の運転が停止したことに伴い、原子力発電所立地地域における経済の停滞や雇用環境の悪化が懸念される。

 こうした状況に鑑み、日本海沿岸地域の経済の活性化を図り、リスク分散と相互補完のための企業立地を戦略的に推進するため、日本海側へ産業基盤施設や企業等の進出を誘導・支援する対策を講じるとともに、 新産業創出に向けた地域の特長を生かした研究開発などへの支援や、技術の高度化にも即応できる産業基盤の強力な整備推進と併せ、中小企業への資金繰り対策、雇用の維持や創出のための施策について格段の配慮を願いたい。

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