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富山県こころの健康プラン

最終更新日:2005年4月1日

第2章 プランの基本的考え方

1 心とストレス

(1)健康な心とは

「健康とは、身体的にも精神的にも社会的にもよい状態を意味するものであって、ただ単に病気や虚弱でないというだけでない。」と1946年の世界保健機関(WHO)憲章で定義されている。

精神的によい状態、あるいは健康な心の特徴として、次の3つがあげられる。

ア 柔軟な心

まず、心の働きに柔軟性があることである。人間はさまざまな考えをもつ。それは、現実に合っていることもあれば、合っていないこともある。自分の考えが現実に合っているかどうか吟味(現実吟味)し、違っていれば訂正する柔軟性がなければならない。これは「現実をあるがままにみる」ということにつながる。また、物事は必ずしも自分の思いどおりに順調に運ぶとはかぎらない。誰にでも弱点や欠点はあり、失敗することも、時には病気をすることもある。このように自分を含めて人間の弱さや欠点を受け入れ、許すこと、そして思いどおりにならない事態は受け入れること、いいかえれば、『ゆとり』をもって、「現実を受容する」ことが大切である。孔子は「六十にして耳順(したが)う」と述べているが、耳順うとは何を聞いても素直に受け入れるということである。

イ 前向きな心

現実をすべて受容しているだけでは、あきらめになってしまうため、受容しながらも、希望をもって、解決できることは解決していく前向きな心が大切である。多くのことわざ(例えば、「失敗は成功のもと」、「禍いを転じて福となす」、「転んでもただでは起きぬ」、「雨降って地固まる」など)はそのことを教えている。ストレスのない人生はない。生きるということは、ストレスを前向きに解決し、克服していくということでもある。ストレスをバネに大きく発展する場合も少なくない。解決困難と思われたことでも、本気になって取り組めば、案外うまく解決することもある。ストレスをどれだけ前向きに解決できるかが、健康な心の目安の一つといえる。物事や人々の悪い点や欠点には目がいきやすい。しかし、その欠点が良い点ともつながっていることが少なくない。そこにある良い側面もみることが大切である。人間は生涯にわたって絶えず発展し得る存在であることから、いつも新鮮な気持ちで、物事に取り組み、自己の発展・成長を心がけるとともに、他人にもそのような可能性を認めていることが健康な心のあり方と思われる。

ウ 開かれた心

人間はそれぞれ独自の世界を持っている。それはかけがえのないものであり、だからこそ個人個人が尊重されなければならない。しかし、人間としての共通性もあり、相互の交流が可能である。自分の殻だけに閉じこもらないで、他人、社会、そして世界に対して開かれた心が健康な心といえる。大災害のように個人を超えた共通のストレス状況では、人々の心の扉が自然に開かれ、お互いに助け合い、それまでなかったような充実感を体験することにもなる。このように、自他が力を合わせて、よりよい生を実現するということが、人間としての深い喜びにつながるのである。教育においても個人個人の能力を伸ばすだけでなく、このように開かれた心を養うことが重要である。障害者のノーマライゼーションとは「障害をもつ人も共に生きる地域社会こそノーマル」という理念である。これは人間の多様性を容認し、障害をもつ人々のみならず、自分以外の人を尊重し、受け入れることができるということである。つまり、自分と異なる立場にある人々をお互いにサポートできるということが、真に健康な心の姿といえる。

(2)心の健康とストレス

心の働きは、知・情・意の3つに分けることができる。これらは、実際にはまとまって働いているが、脳をはじめとする身体の働きとも大きく関連している。心の健康の障害、言い換えれば精神の障害は、脳や身体の疾患から生じることもあれば、環境の変化やストレスから引き起こされることもある。原因がまだよく分かっていない精神疾患もあるが、多くは、素因と生後の環境やストレスの総和が、健康維持の許容範囲を越えた時に、心の健康が障害されると考えられている。現代社会で問題になるのは、社会的、心理的な要因によるストレスである。心理的ストレスは、「ある個人にとって負担になるような、あるいはそのもてる力を超えるようなものと感じられる要求や状態」と定義される。これは、個人の受け止め方にも大きくかかわっている。例えば、運動会は、運動の得意な子どもにとっては楽しみであるが、運動の苦手な子どもにとってはかなりのストレスとなる。ストレスに耐える力やそれを克服する仕方も個人によって異なる。心身症とは、ストレスが身体面に現れた状態である。ストレスは、身体疾患へのかかりやすさやその回復力にも影響を及ぼす。<図−3>

したがって、ストレスが過度になることを避けるように工夫するとともに、ストレスを解決する能力を養うことが心身の健康にとって大切である。

ストレスによってからだに表れる症状図−3 ストレスによってからだに表れる症状

2 心の健康づくりのあり方

心の健康づくりにおいては、家庭、学校、職場、そして地域社会において、心の健康についての理解を深め、次のことに留意しながら取り組むことが望まれる。

(1)子どもの頃から健やかで豊かな心を育てる。

妊娠中の母体へのストレスは、生まれてくる子どもにも影響を与える。幼児期においての親との良好な人間関係は、子どもの心に基本的安心感と人間への信頼感を育むうえで重要である。家庭でも、学校でも、子どもは『相互尊重』の精神を十分に培われることが望まれる。家庭での団らん、そして共通の話題で話し合うことは、コミュニケーション能力や協調性を身につける基礎となる。また、子どもが何かを達成することで自尊心を保つことは、後に出会うさまざまなストレスを積極的に克服していく力ともなる。人間を狭い画一的な価値観で測ることは、戒めなくてはならない。人間を画一化することは、個性を殺すことにつながり、人間尊重の精神に反することである。そこでは、個人としての価値は重んじられず、単にマス(mass=集団)として扱われることになる。圧殺された個性は、別のはけ口を求め、それがさまざまな問題行動となって現れてくる場合もあろう。したがって、個性を尊重し、それぞれの特長を認めることが大切である。さらに、このような個人的側面だけでなく、身近な人々への思いやりや社会への貢献という社会的側面、言い換えれば公的な精神を培うことも重要である。人間は、個人を超えた存在であり、どこかでよりよいものをめざしているということを認識することが必要である。

(2)心のゆとりをもつ。

現代社会における心理社会的ストレスには、これまでの生活環境が変化するような生活上のできごととしてのストレスと、日常生活における摩擦としての日常的ストレスがある。生活上のできごと(ライフイベント)としては、結婚、別 居、引っ越し、転職、配置換え、退職などがあり、これらに共通することとして、慣れ親しんだ環境や人々との別れと新しい環境への適応ということがある。日常的なストレス(デイリーハッスルズ)は、夏目漱石の草枕の冒頭の言葉、「智に働けば角がたつ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくこの世は住みにくい。」という文章によく表現されている。夫婦間の不和や上司とのトラブルは日常の持続的なストレスとなり得る。どのようなことをストレスと感じるかは、その人の価値観や目標によっても左右される。人は気づかないで、他の人にストレスを与えることもある。このようなさまざまなストレスに対処し、心の健康を保っていくためには、『心のゆとり』が必要である。心のゆとりは、自動車のハンドルの遊びにも例えられる。それによってスムーズに運転することが可能となる。包容力をもって自他を受け入れ、長い目で物事をみていくためにも、心のゆとりが必要である。対象との間に「間」がなく、あまりに一体化していると、それが失われた時の打撃も大きい。

(3)自分に合ったストレス対処法を見つける。

ストレス対処の仕方にはさまざまな方法があり、一概にこれがよいということは言えない。問題によっても効果的な対処法は異なるであろうし、その個人個人に合った方法がある。人と話したり、話をよく聞いてもらうことはよく用いられている方法である。理解者がいるということだけでも心の支えになるし、話すことによって問題解決の糸口をつかんだり、ストレスによる不快感を解消することにもなる。大きな声で思いっきり笑うことも、ストレス解消に役立つと言われている。何もかも忘れて、自分のために遊ぶこともよい。また、なにか他のことをして気分転換をはかったり、リラックスする時間をもつのもよい。ストレスとなった問題から距離をおいてみるのもよい。睡眠もよい。自然と調和した緑の多い街は、人々の心にうるおいと安らぎを与えると思われる。散歩したり、自然散策したりするのも、心のリラックスによい。緊張しやすい場合には、自律訓練法や筋弛緩法など自己コントロール法を利用する方法もある。いずれにしても、自分に合ったストレス対処法を見つけ、実践することが大切である。

(4)心の病気も早期相談・早期治療に心がける。

心の病気も、身体の病気と同様に、早期に治療を開始するほど改善しやすい。したがって、早期に受診することが大切である。病気かどうか分からない段階では、保健所や「心の健康センター」で相談することも1つの方法である。地域社会における精神障害者との交流や新聞記事、講演、学校教育などを通じて、健常者が心の病気についての理解を深めることは、精神科の敷居が低くなり、人々が受診しやすく、早期発見・早期治療につながることになる。また、地域におけるメンタルヘルスへの取り組みを強化すること、例えば、検診の中で、疾病を早期に発見し、治療のルートにのせることによって、かなり予防できると思われる。

3 プランの体系と推進

このプランは、次の3つを柱とし、県民総ぐるみで推進する。

(1)県民自らの心の健康づくり

県民一人ひとりが、自覚と意欲をもって、積極的に自ら心の健康づくりを実践する。

(2)心の健康づくりの推進と支援

県や市町村、関係機関・団体等の連携システムを確立し、県民の心の健康づくりを支援する体制を整備・強化する。そのうえで、保健・医療・福祉、教育、労働、生活環境などの各種施策の総合的な展開を図り、県民の心の健康づくりの推進と支援を行う。なお、心の健康には人をとりまく身体的要因と社会的要因
<表−1>
が複雑に絡み合って、さまざまな影響を及ぼしていること、自然災害や犯罪などの人的災害に遭った人達の心の傷が大きな問題となってきていることなどから、心の健康づくりの推進と支援は次の観点から展開する。

○ライフステージに応じた心の健康づくり
○各生活場面における心の健康づくり
○災害時等における心のケア
○心の健康づくり支援体制の整備

表−1 身体的要因と社会的要因
身体的要因 ・保健・医療の向上により我が国の平均寿命は、平成8年で男性77.0歳、女性83.6歳と伸びてきており、男女とも世界有数の長寿国となっている。
・発育や体位の向上などに伴い、第二次性徴発現が低年齢化していることや身体的老化が遅延化していることなどが起きている。
社会的要因 ・戦後、高齢化や高学歴化、少産化などが進み、ライフサイクルが大きく変化してきている。<図−4>
・電化やOA化が進むに伴い、家事の省力化や業務のスピード化などが起きており、ライフスタイルも変化してきている。

ライフサイクルの変化図−4 ライフサイクルの変化

(3)心の病をもつ人々への支援

ノーマライゼーションの理念の実現をめざして、県民の心の病気や精神障害を持つ人への理解を深め、心の病を持つ人々が的確な医療を受け、社会復帰できるようにするための支援を積極的に推進する。

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