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「あいさつにまつわる いい話」優秀作品のご紹介

最終更新日:2016年7月6日

平成20年度「あいさつにまつわる いい話」最優秀賞受賞作品

【小学生の部】最優秀賞

題名「あいさつは大きな声で」
 富山県砺波市 5年 斉藤 瑞希

「おはよう。」
「おはようございます。」
 朝5時、あいさつの声で一日が始まります。
 わたしは、今年の夏休み「となみ野100キロ徒歩の旅」に参加しました。これは、小学4年生から6年生が、ボランティアスタッフの人といっしょに4泊5日をかけて、となみ野を歩いて回る旅です。この旅に参加して、わたしは、あいさつの大切さを改めて知り、大きな声であいさつができるようになりました。
 あいさつのことを気にするようになったのは、最初の研修会の時です。お父さんといっしょに受付に行くと、スタッフの人に、
「こんにちは、名前を言ってください。」
と、とても大きな声で言われました。わたしは、少し小さな声で、
「こんにちは、斉藤瑞希です。」
と答えました。わたしは、はずかしくなりました。そしてこの時、「あんな大きな声であいさつできたらいいのにな。とても気持ちがいいのにな。」と思いました。次の研修会では、前より少し大きな声を出せました。
 8月6日、いよいよ100キロの旅がスタートしました。わたしは、できるだけ大きい声を出したいと思っていました。暑い夏の日に歩くというのは、そんなにかん単なことではありません。おたがいに声をかけ合いがんばります。また、歩いているといろんな人が声をかけてくれます。
「こんにちは。」
「がんばってね。」
「いってらっしゃい。」
その声にわたしたちも答えます。
「こんにちは。」
「ありがとうございます。」
こうしてあいさつを交わすと、今まで知らなかった人とも心が通じ合います。そして、つかれてへとへとになっていても、元気が出てきます。あいさつにはそんな力があります。わたしは、この旅に出て、改めてあいさつの大切さを知りました。
 この100キロの旅のスタッフの人は、みんな気持ちのいい元気なあいさつをしているのだけれど、その中に特に大きな声であいさつをする人がいます。その人はいつも笑顔で、みんなに大きな声であいさつをしてくれます。だから、みんなの人気者です。わたしも大好きです。いつか、その人のように元気にあいさつができるようになりたいです。
 でも、たまに、わたしがあいさつをしてもかえしてくれない人もいます。そんな時、わたしは少し悲しい気持ちになります。もう、この人にあいさつするのはやめようか、と思ったりします。だけど、わたしはあきらめません。もしかしたら、前のわたしみたいにはずかしいのかもしれません。いつか心が通じると思います。その人にも、あいさつのよさを分かってほしいからです。
 もう一つ、100キロの旅で教えてもらったことがあります。あいさつの「あ」は「明るく」、「い」は「いつも」、「さ」は「先に」、「つ」は「つねに」ということです。わたしたちは、歩きながらいつもそのことを思っていました。自分からあいさつをするというのは、勇気がいります。だけど、できた時にはとてもうれしい気持ちになります。これからも、自分からあいさつできるよう、がんばりたいです。
 100キロの旅が終わってから、みんながわたしのことを
「大きな声でよかったよ。」
と言ってくれました。わたしの大きな声がみんなをはげますことができたのだと思うと、うれしくなりました。目標だった、「大きな声であいさつする」ことができるようになっていました。わたしのあいさつがみんなを元気にできるよう、そして、自分も元気になれるよう、大きな声であいさつしていきたいと思います。

【中学生の部】最優秀賞

題名「心をつなぐ一言」 
 富山県射水市 3年 秋穂 星

 私の家では、9歳になるトイ・プードルを飼っています。名前は「クー」。私はこの9年間、朝晩クーの散歩をしています。散歩をしていると、いろんな人に出会います。年齢や性別も様々で、時間帯によっても会う人は全然違います。
 そんな中、毎朝登校前に散歩していると、ビーグル犬を連れた60歳くらいのおじさんとよく顔を合わせるようになりました。ある日、私は思い切って、そのおじさんに
「おはようございます。」
とあいさつをしました。しかし、おじさんは私を無視して通り過ぎてしまったのです。普通、あいさつをしたら返すものだと思っていた私は、「いい大人なのに、あいさつもできないなんて。」と、少し腹立たしい気持ちになりました。
 これまで、道で会う人にあいさつをして返事をしてくれなかった人はいません。無視されて少し意地になっていた部分もありましたが、「このおじさんだって、そのうちきっとあいさつを返してくれるはずだ。」と信じて、私はそのおじさんに、めげずにあいさつをし続けました。
 1週間くらいしたころでしょうか、私がいつものようにおじさんに
「おはようございます。」
と声をかけると、おじさんは初めて私に頭を下げてくれたのです。私は嬉しくて、なぜ今まであいさつをしてくれなかったのかを尋ねたくなりました。しかし、私が尋ねようと声をかけても、またおじさんは無視して行ってしまいました。頭を下げてくれたのは良かったけれど、また無視されたことに私は大きなショックを受けました。それからは、そのおじさんと顔を合わせないように、私は散歩の時間を少しずつずらすようになりました。
 ある日、私は部活動の遠征で家を空けることになり、何日かクーの散歩を母に頼んだことがありました。母が散歩をしていると、ビーグル犬のおじさんと一緒に、今度はおばさんも散歩をしていたそうです。母があいさつをすると、
「今日、娘さんはどうされたんですか。」
と、おばさんは母に尋ねたそうです。おじさんは、毎朝散歩の時に出会う私のことをおばさんに話していたのです。
 おじさんは、聴覚障害者でした。毎朝あいさつをする私の声が聞こえず、無視しているようになってしまったと、おばさんに話していたそうです。おじさんは、おばさんに
「今日も娘さんと会った。」
と言っては、毎日喜んで話をしたそうです。でも、私が散歩の時間をずらしたせいで、私と会えなくなったことを「自分が何か娘さんに不愉快な思いをさせたのではないか。」と、とても気に病んでいたというのです。
 私は、母からその話を聞き、これまでおじさんがなぜあのような行動をとっていたのかが分かり、心の中のモヤモヤしたものが一気に晴れていくのを感じました。と同時に、おじさんが、そんなふうに私のことを思っていてくれたことを本当に嬉しく思いました。
 その日から私は、散歩の時間を元に戻しました。そして、おじさんとあいさつが交わせるように、手話でのあいさつを覚えたのです。今では、おじさんと手話であいさつをすることが、私の日課になっています。性別も年齢も違い、住んでいるところもどこか知らない、あいさつを交わすだけのおじさんに、朝会わないと一日が始まりません。
 私の声はおじさんの耳に聞こえなくても、私が伝えたかった気持ちは、この手話を通しておじさんの心にしっかりと届いています。「おはようございます」――このたった一つの言葉が、私とおじさんをつなぎ、私を温かい気持ちにさせてくれるのです。
 おじさんの笑顔と、右手で交わす「おはようございます」のあいさつを楽しみに、私は今日も、クーとの散歩に出かけます。


 

【一般の部】最優秀賞

題名「握手という名のあいさつ」
 愛知県豊田市 長谷川 知子

 私は、ずっと気にしてきました、娘のことを。生まれつき短い、娘の左手の指のことを。
 現在9歳になる娘が、まだ赤ちゃんだった頃、ベビーカーに乗せて、よく散歩に出掛けました。
「こんにちは。かわいいわねぇ。」
「今、何ヶ月? 」
行った先々で、優しく声を掛けてくれた人々。中には、ベビーカーにちょこんと座った娘の手と手をとって、
「握手! 握手! 」
と、あやしてくれる方も。しかし、今まで触れていた娘の指を、改めて見た瞬間、数秒前まで穏やかだった表情が、急に驚きの表情に変わる。そんな瞬間を、私は幾度となく目にしてきました。
 実は、娘は生れつき、左手の小指が人より短いのです。私も、初めて気付いた時は、正直驚きました。けれども、指が短いほかに娘は先天性の心臓病を患っていたため、「指ぐらい、短くたって・・・・・・。」という気持ちでいた、当時の私。しかし、娘が成長するにしたがって、その思いの浅はかさを、たびたび垣間見る出来事に出くわしました。握手をしようとすると、まるで指が4本しかないように見えたのか、つないだ手を振りほどかれたこともあります。悪気はないのだと、分かってはいるものの、「どうして、みんなビックリするの? 」と、きょとんとした表情で私に問いかけてくる幼い娘に、なんと言ってやればいいのか・・・・・・。動揺した大人の表情を冷静に見つめる娘に、親として掛けてやる言葉が、あの時はまだ、見つかりませんでした。
 2度の心臓の手術を無事乗り越え、初めて自宅に帰れたのは、生後3ヶ月半を過ぎた頃でした。小さな小さな胸には、深く刻まれた手術跡がいくつもあります。検診などで隣り合わせになった方に、
「あら・・・・・・、かわいそうに・・・・・・。」
と、手術跡を指差して言われたことも何度もあります。でも、そう言われるのが、親としては一番辛かった。「娘を、かわいそうな身体で産んでしまったのは、私なんだ。」と、懸命に、真っ直ぐ前に進んで行こうとしている足が、後ずさりしてしまいそうになるから。
 でも、そんな弱い私の心を支えてくれる言葉に出会うことができました。それは、散歩の途中、雪がちらつき始めたので、歩道橋の下で雪が止むのを待っていた際、偶然居合わせたおばあちゃんに掛けてもらった一言でした。雪が止むまで世間話をしていた私と、そのおばあちゃん。すると突然、娘がそのおばあちゃんに向かって「握手! 握手!」と、もみじのような小さな手を差し出したのです。まだ言葉の出ない娘にとっては、あいさつのつもりなのでしょう。一見、何の変哲もないかわいらしい光景も、私の心中は複雑でした。「短い指に気付かれ、また手を振りほどかれたら、どうしよう・・・・・・。」私がそう思いかけた、その次の瞬間、
「かわいらしい小さなお手手だけど、これから、たくさんのものを、つかまえられそうな手ね。」
と、娘の手をさすりながら言ってくれたそのおばあちゃん。娘の指が短いのに気付きながらも、そう言ってくれたそのおばあちゃんの優しい眼差しは、真っ直ぐ娘の瞳に向けられていました。そして次の瞬間、私に優しい笑みを浮かべながらこっくりと頷いてくれたのです。「大丈夫! 大丈夫! 」まるで、そう言ってくれているようなその温かな眼差しに、これから先の娘の将来への希望の光を見出すことができた私。娘の短い指のことを、「これも、一つの個性」と、やっと思えるようになった私の姿が、そこにはあったのでした。

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