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知事の県政レポート【〜平成17年度】

2016年10月24日

知事室 目次

県政レポート第11号 [平成17年7月15日]

 こんにちは、富山県知事の石井隆一です。

 7月13日(水)、14日(木)の両日、徳島市の「アスティとくしま」において開催された全国知事会議に出席しました。今回の知事会議の中心議題は、「三位一体の改革」で行う国から地方への3兆円の税源移譲のうち、昨年11月26日の政府・与党合意において先送りとなった6,000億円の税源移譲に結びつく「国庫補助負担金等に関する改革案」を取りまとめることです。今回の会議への知事本人の出席は43人に上るなど、多くの知事がこの会議を重要視していることが分かります。

 既に、前週の7月6日(水)、私も委員として参加している全国知事会の地方分権推進特別委員会で、改革案について協議を行い、施設整備費約5,200億円と経常的補助金約4,770億円を盛り込んだ、総額約9,970億円の国庫補助負担金改革案を委員会案として決定していました。しかし、次に述べますように、全体会議では様々な意見が述べられ、委員会案を若干修正の上、知事会案とすることについて了承が得られたのは夜の10時近くとなっていました。会議が始まったのは午前11時ですから、休憩を挟みながらも10時間以上も会議を開いていたことになります。

義務教育費国庫負担金の扱い

 議論の前半では、義務教育費国庫負担金が焦点となりました。昨年8月の地方六団体の改革案では、中学校分として8,500億円の一般財源化を求めていましたが、11月の政府・与党合意では「義務教育制度については、その根幹を維持し、国の責任を堅持する。その方針の下、費用負担についての地方案を活かす方策を検討する」こと、この問題については「平成17年秋までに中央教育審議会において結論を得る」ことが明記され、当面は暫定措置を講ずることとされました。これに対し、今回の改革案では、昨秋設けられた「国と地方の協議の場」における地方側(地方六団体代表)と国側(官房長官、総務大臣、財務大臣、経済財政担当大臣)との協議が「三位一体の改革」を推進する上で重要な役割を果たしていることを踏まえ、義務教育費国庫負担金等の個別事項についても最終的には「国と地方の協議の場」において協議・決定するよう求めています。

 この点については、中央教育審議会の議論を見守り、尊重する立場からの慎重論、さらに、義務教育費国庫負担金の一般財源化そのものに対する慎重論も述べられました。国庫補助負担金の廃止・縮減を行う際の優先順位については様々な考え方が成り立ち得ると思います。しかしながら、昨年6月4日の「骨太の方針2004」(閣議決定)に明記された政府の要請を受けて、昨年8月24日に取りまとめられた地方六団体の「国庫補助負担金等に関する改革案」において既に中学校分の義務教育費国庫負担金は税源移譲対象補助金として明記され、政府に提出されていること、また、この地方六団体の改革案を受けて、昨年11月の政府・与党合意において平成17年度予算、平成18年度予算において地方向け国庫補助負担金について3兆円程度の廃止・縮減等の改革(この中には義務教育費負担金が暫定としてではありますが8,500億円程度含まれています)を行うとともに、税源移譲は概ね3兆円規模を目指すとされたほか、同年12月の与党税制改正大綱において、「3兆円の税源移譲」について、「個人住民税の比例税率化」といった具体的な方法まで含めて明記されていることを踏まえれば、地方側でこれを後戻りさせるような動きは避けるべきものと考えます。仮に、義務教育費国庫負担金の一般財源化に賛成しないのであれば、3兆円の税源移譲の実現に対応して、他のどの国庫補助負担金を廃止・縮減すべきなのか、具体的な対案を示すことが必要ですが、今回の議論でもそのような提案はなされませんでした。

第二期改革のあり方

全国知事会議で発言する知事 議論の後半では、平成19年度以降のいわゆる第二期改革はどうあるべきかについて、意見交換を行いました。昨年8月の地方案においては、第一期と第二期を合わせて総額8兆円の税源移譲を行い、9兆円の国庫補助負担金改革を進めることとしています。そのため、第二期改革の税源移譲案として、国の消費税から地方に地方消費税として約3.6兆円(税率1.5%に相当)を移譲するという案が盛り込まれています。しかしながら、私は、地方分権を真の意味で推進していくための第二期改革の進め方については、第一期改革の現実の姿を総合的に評価し、これを踏まえて、第二期改革のあり方自体を十分議論した上で検討すべきものと考えています。

 また、昨年8月の地方案のような考え方で税源移譲を行った場合の各自治体への影響についても試算してみる必要があります。そこで徳島での全国知事会の席上、私から一定の仮定の下での試算結果を示し、問題提起を行うこととしました(関連ファイル(図)参照)。地方消費税は地方税の中でも比較的、偏在度の少ない税目ですが、それでも約3.6兆円という大きな規模で税源移譲を行った場合、各都道府県別にみると税の増収額と国庫補助負担金の廃止額との差引きでは、大きな格差が生じることは避けられません。地方消費税の増収額が国庫補助負担金の廃止額を下回る団体は三十二道県となり、最も多額の団体では六百〜七百億円台となります。また、当該下回る額の三十二道県分をあわせた累計額は約七千五百億円に達しますが、これは、地方消費税の増収額が国庫補助負担金の廃止額を上回る十五都府県の当該上回る額の累計額に一致するものです(このうち、最大の東京都分は約三千億円に達します。)。これにより、元来、地方交付税の不交付団体である東京都はもとより、数府県が不交付団体となることも考えられ、都道府県間の財源格差は一層拡大することになります。

 現行制度の下では、地方交付税による財源調整・財源保障等の機能にも自ずから限界もありますから、国から地方への税源移譲にあわせて、税収の地域間格差の拡大を抑止するための地方税体系の見直しなどの対策が必要不可欠であると考えられます。

 国から地方への税源移譲を巡るこれまでの議論では、ややもすると税源移譲の額の大きさを競うようなムードもありましたが、現実の地方団体の安定的な財政運営を確保し、住民生活にしわ寄せがなされることのないようにするためには、もう少し冷静な議論が必要です。そもそも、分権改革の趣旨は、国民の幸せの充実のためにどのような国のかたちを創るべきかを根本から考え、そのために明治期以来の中央集権体制を改革しようとすることにあるわけですから、国庫補助負担金の廃止・縮減額や税源移譲の額が大きいほどよい、と考えているかのような議論には非常に違和感を覚えます。

 税源移譲が進めば、地方自治体の自主性、自立性が高まることは一般論としてはそのとおりですが、それによってすべての地域が自立できるわけではないことに十分留意する必要があります。地域間の財政力格差は厳然としてあり、経済産業振興、社会資本整備等の面で地方団体が最大限努力するとしても、これを基本的に解消することは例外的なケースを除いて極めて困難です。

 こうした考え方に基づいて、第二期改革の検討の方向性として、
(1) 地方税への移譲額の大きさばかりに目を奪われるのではなく、偏在性の少ない地方税体系を構築することを重視し、地方交付税や地方譲与税を合わせた地方一般財源を充実するという観点から、バランスのとれた改革案を検討すべきこと
(2) 財政力格差の拡大に対応するため、地方交付税による財源保障、財源調整は不可欠であり、その必要総額を確保していくことが改革の大前提となること
(3) 国庫補助負担金については、廃止・縮減の額が大きければよいというものではなく、例えば、防災・危機管理の分野など事業の性格によっては、国と地方の明確な役割分担の下に国が全国的な観点からその責任にふさわしい負担を行うとすることが適切ではないかと考えられること
などを主張しました。
(こうした考え方の詳細は、近く刊行される予定の「分権型社会の創造ー希望の明日に向けて」において説明することとしています。この県政レポートではやや専門的になりますので、説明は省略しますが、ご関心のある方はご一読いただければ幸いに存じます。)

 第二期改革のあり方について、こうした具体的な提案がなされたのは初めてではなかったか、と思います。全国の知事さん方からは、これを受けて、国庫補助負担金ばかりでなく、地方団体の歳入の中心である地方税のあり方自体についてもよく検討する必要があるなどの意見が出され、地方分権推進特別委員会の下に、地方税小委員会を設けて引き続き十分議論することが決定されました。

 この議論は、地方分権本来の目的と目指すべき二十一世紀の「国のかたち」を議論、確認することに繋がります。議論は始まったばかりですが、富山県政における課題、県民生活の現実などを踏まえて、第二期改革が適切な方向に進むよう、私もさらに研鑚し、必要な発言も行ってまいりたいと考えています。

【 情報発信元 】
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