平成14年度富山県水墨美術館運営委員会議事録
 
日  時

平成14年7月24日(水) 午前10時30分から
場  所

富山県水墨美術館 映像ホール
出 席 者

(委  員)

 委 員 長 平田  純

 副委員長 森  政雄

 委  員 牛窪  正、内山 武夫、押田 雅次、経田 博子、郷倉 祀子、堀内 道子、水尾 比呂志、山口 昌広


計10名(全員出席)

(県関係者)

 教育委員会文化財課 課長 伊藤 清江

 富山県水墨美術館 館長 加藤  淳、副館長 福井 文夫、主任 浅地  豊
主任 水口  仁               計5名
次  第

(1)開  会

  ◇あいさつ 加藤水墨美術館長

当美術館の昨年の入館者数は11万6千人で、開館から約3年と1月余りとなる去る6月13日に累計で40万人を達成することができた。

し かしながら、開館の4〜5年目は、徐々に新鮮味が薄れ、往々にして入館者数が停滞から減少傾向に陥る時期でもあり、気を引き締めて運営に取組みたい。例え ば、現在開催中の「斎藤博之展」のように、学校週5日制に対応した児童・生徒向けの企画展の開催など、企画面で工夫を凝らしたい。

本日は、13年度の実績、14年度の計画等についてご説明いたしますので、委員各位から忌憚のないご意見を伺いたい。

(2)議  事

平田委員長が司会として議事を進行。

議題@〜Bについて、「平成12年度富山県水墨美術館年報」に基づき、事務局から一括説明(説明者:福井副館長、奥村総務課長)。

 ア報  告

  @平成13年度事業報告

  (展覧会の開催)


企画展を6展開催し、入館者数は116,808人。12年度(125,710人)より約7%減少。


企画展の中では、「特別展 正宗−日本刀の天才とその系譜」が予想を超える人気があった。絵画のみならず幅広い分野への目配りの必要性を認識させられた。


(作品収集活動)


13年度の購入作品は33点、寄贈作品は29点、他の所属からの移管作品は2点、合計64を新たに収蔵した。その結果、当館の収蔵作品点数の合計は411点となった。


(教育普及活動)


学 芸員数が少ない分、やれることがどうしても限られてしまう。通常の映像ホール、情報コーナー、図書室、インターネットホームページ等の運用、美術館ニュー ス等の広報印刷物の発行等に加え、企画展関連の講演会の開催、熊澤南水氏のひとり語り公演のほか、富山県水墨美術館友の会によるコンサート、研修旅行等を 実施した。

  A平成14年度事業計画


(展覧会の開催)


企画展を7展開催する予定。6月末時点で入館者数は約2万人と出だしは鈍くなっているが、この後、「現代中国水墨画展」「川合玉堂展」「上村松園・鏑木清方展」と目玉の企画展が控えているので、最終的には12万人程度を予想している。


(作品収集活動)


14年度の購入作品としては、村上華岳、加山又造等を候補に、約20点を見込む。


(教育普及活動)


昨 年の運営委員会における牛窪委員からの提案に基づき、来る7月29日(月)に、水墨画家の岩崎巴人氏を講師に児童・生徒を対象とした水墨画のワークショッ プを開催する予定にしている。当初の50名の定員に対し、応募はそれを大きく上回り、64名でうち切らざるを得ないほどの人気となっている。来年度以降の 継続も検討していきたい。

B今後の事業計画


(展覧会の開催)


今後の企画展の主なものとしては、平成15年度では、「下保昭」「小野竹喬」「高村光太郎」「高村智恵子」、16年度では「上村松篁」「山辰雄」、17年度では「村上華岳」等に関するものを計画している。

C学校教育との連携


(観覧料免除の拡大)


学校週5日制の開始に対応し、本年4月1日から、小・中・高校、盲・聾・養護学校の児童・生徒の観覧料免除について、「毎月の第2土・日曜日の観覧」から 「土・日曜日、祝日の観覧」へ、「常設展示のみの観覧」から「常設展示及び企画展示観覧」へ、教育活動等による観覧の場合には「県内の児童・生徒」から「すべての児童・生徒」へ、それぞれ対象を拡大した。


(中・高校生の体験学習受入)


中学2年生を対象に県内公立中学校が実施する社会体験学習事業「社会に学ぶ14歳の挑戦」に協力し、平成11年度から毎年、3〜5人の生徒を受入れ、清掃、除草等の館内業務を体験してもらっている。今年度では、2校から計7名を受入れた。


県内県立高校が実施する高校生の社会体験学習事業「インターン・シップ事業」については、今年度に初めて受入れの依頼があり、8月に2名の生徒を受入れる予定である。


(高校教師の体験研修受入)


県立高校の教師を対象に今年度から県教育委員会が実施する社会体験研修事業「社会に学ぶ先生の挑戦」に協力し、今年度、5名の先生を受入れる予定である。

Dその他


館が抱える以下の課題について、事務局より報告。


(前売り券)


現在、前売り券は、新聞社やテレビ局等のマスコミと実行委員会をつくって開催している企画展では販売しているが、館独自の企画展では販売していない。今後、 館独自の企画展へ対象を拡大していくことを検討しているが、「割引価格によるサービスの向上」「来館者の新規開拓」「展覧会の早期周知化」等のメリットに 対し、「事務量・経費の増大」「(来館者が増加しなかった場合の)観覧料収入の減少」等のデメリットも考えられ、慎重な検討が必要と考えている。


(開館時間の延長)


現 在の開館時間は、午前9時30分から午後5時までであるが、仕事帰りの人も観覧できるように閉館時刻を繰下げることによる時間延長が検討課題となってい る。これについても、来館者へのサービスが向上する反面、人件費や光熱費等の経費も確実に増加することから、費用対効果の面から十分な検討が必要と考えて いる。

 イ協  議(意見交換)


委  員 児童・生徒に対する観覧料免除の拡充による入館者数増加の効果はどのように出ているか。


事 務 局 4〜6月の免除者の延べ人数実績は、常設展・企画展合計で、小学生が295人、中学生が168人、高校生が116人、盲・聾・養護学校生が0人となっている。期間中の土・日・祝日の日数は28日なので、1日平均21人である。


委  員 結論として、効果は出ているのか。


事 務 局 まだ、3か月と期間が短いことから、免除の拡充についての周知が十分でなかった可能性もあり、また、期間中の企画展の全体的な人気によって児童・生徒の観覧数もかなり影響されので、この段階では何とも言えない。少なくとも1年間のデータを取らないとその判断は難しい。


委  員 短大で幼児教育学を学ぶ学生を教えている者の立場から言わせてもらうと、将来、児童・生徒の教育を担う教育系の学生にも観覧料の免除を拡大し芸術文化に関す る学習機会の増加を支援すれば、相乗効果で教育普及効果がより一層高まるのではないか。ヨーロッパでは、学生は自由に観覧できるようになっている。


事 務 局 ご意見はごもっともである。ただ、免除の対象範囲では、小・中学生までとしている国立の美術館を上回っていること、免除対象の学校の先生については、学校の 教育活動として児童・生徒を引率して観覧する場合は免除となること等、県としても精一杯努力している点をご理解いただきたい。なお、ご指摘の点は、将来的 な課題として今後、検討してまいりたい。


委  員 美術教育に興味・関心を持った学生たちが美術鑑賞を通じて研修する場として、友の会を活用できないか。


事 務 局 例えばボランティア会員の活動として支援することなど、友の会としてどのような支援、協力が可能か、今後の検討課題としていきたい。


委  員 県立の施設全体としての観覧料無料化が困難であれば、水墨美術館独自の館の運営方針として実施できないか。


事 務 局 館の教育普及業務の一部を手伝ってもらうような形での支援など、学芸課の中で検討してみたい。



無条件で一律というわけにはいかないが、それぞれの館が独自性を持って運営に取り組むことはある意味当然のことなので、様々なケースを想定して検討してみたい。


委  員 国公立の施設は、美術教育に関する取組みが私立に比べて遅れている。水墨美術館には率先して取り組んでほしい。


委  員 美術教育という点で言えば、人々は水墨画に対して「発見」「驚き」「感動」といった非日常的な体験、出会いを求めていると思われるので、近代美術館とも違う、水墨美術館独自のあり方を考えた取組みが必要ではないか。


委  員 夏休み中は、児童・生徒の観覧料は免除になるのか。


事 務 局 夏休みであっても、土・日曜日と祝日のみとなっている。


委  員 例 えば、夏休み期間中に2週間ほどの期間を設けて、幼児教育の学生などにボランティアで作品解説をさせ、代わりに観覧料を無料にすることも考えられるのでは ないか。京都国立近代美術館では、常設展や館独自の企画展、さらには共催展においても共催先との話し合いで、小・中学生はすべて無料化している。


事 務 局 委員のご意見を伺い、観覧料無料化の拡充に対する強い要望があることをあらためて認識させられた。いずれにしても、観覧料無料化の更なる拡充については、将来的な課題として取り組んでいきたい。


委  員 水 墨美術館を訪れるたびに感じるのだが、この美術館に来館される人の層は、ほぼ固定化しているのではないか。その人たちがリピーターとして繰り返し来館して いるのが現実ではないか。このままでは、じり貧にもなりかねないので、この点からも若い人を中心に新規に顧客を開拓していく必要があるのではないか。


委  員 企画展が開催される場合、画廊等の店舗でポスターが貼られるが、必ずと言っていいほど「前売り券はあるか」と尋ねるお客さんがいると聞く。できれば販売したほうが好ましい。


委  員 当 館(某美術館)でも以前、前売り券を販売したことがあるが、印刷代、販売委託手数料等の経費増や観覧料の前売り割引と、顧客の新規開拓等による増収を比較 した場合、少なくとも収益面から言えば、メリットはほとんどないと言ってよい。極端な言い方をすれば、10万人の入館者数が期待できるような大 規模な展覧会であれば意味があるが、1万人程度の小規模な展覧会ではデメリットの方が大きい。


事 務 局 他の都道府県県立美術館の状況を調べたところ、全60館のうち前売り券を実施している館は9館で、全国的には取り組みはあまり進んでいない。


委  員 水 墨美術館が人々に支持され、多くの入館者が訪れるのは、単に作品のすばらしさだけでなく、建物、庭園といった日本文化を感じることができる美術館全体の魅 力に理由があると思われる。特に、若い人は日本文化に触れることが、より少ないので、なんらかの勧奨を行うことは必要かもしれないが、一般の人に対してま で美術館の「安売り」をする必要はないのでは。文化芸術にはお金がかかるのだから、一般の人たちには自分たちがでは。文化芸術にはお金がかかるのだから、 一般の人たちには自分たちが


委  員 ミュージアム・ショップ、茶室、図書室等の施設に対するお客さんの評価はどうか。


事 務 局 茶 室「墨光庵」については、高い評価をいただいていると思っている。呈茶の際に出すお菓子が人気があり、また、建築関係の方が建物を見に来られることもあ る。13年度では、1万2千人が利用している。ミュージアム・ショップについても、6坪足らずの狭いスペースで横山大観展などの人気展では1日100万円 を売上げることもある。図録については、平均すると入館者の約3%の方が購入している。13年度では、正宗展が購入率が5%で最も高かった。ただ、今のま まではやがては飽きられるので、商品アイテムを適宜見直し、入替えも必要だろう。



喫茶につきましても、来館者のほぼ3割の人が利用していると聞いており、利用率としては、高い方ではないか。駐車場も多く、客席からの景観も良いことから、喫茶での昼食のみを目的に来館するお客さんも結構いると聞いている。


委  員 水墨美術館では、展示室以外の施設への入館が無料になっており、庭園や茶室等のすばらしい施設を無料で見られる点が人気の秘密ではないか。


委  員 企画展の観覧料はどのように設定しているのか。


事 務 局 企画展ごとに、それに要する経費の額に基づき決定している。個人の一般料金で言うと、900円の設定が最も多い。


委  員 先 ほど、若い世代への鑑賞機会の拡大策についての話しがあったが、展覧会の企画においては、これは子供向け、これは大人向けといった仕訳をするのではなく、 あくまでも内容において水墨美術館としての基本方針を貫いたうえで、観覧料や作品解説といった側面から支援するといった考えが必要ではないか。


委  員 水墨美術館の受付に備えてある「水墨のひみつ」という小冊子は、どこに配布しているのか。あれはマンガで書かれており、子供にも大変分かり易い内容で、子供への美術教育にはとても効果的な教材だと思う。


事 務 局 小・中・高校に数冊づつ配布したが、とても十分とは言えない。在庫を見ながら、希望する学校にはできるだけ対応していきたい。


委  員 こ れまでの議論の中で、水墨美術館は優れた面を持つ反面、多くの課題を抱えていることが分かった。水墨美術館におかれては、本日の議論を踏まえ、慎重に検 討、対応してもらいたい。本日は、熱心にご議論いただき、委員各位にお礼申しあげる。これにて、本日の委員会を終了いたします。

(4)閉  会

謝  辞 加藤水墨美術館長

 
(参考法令)
○博物館法(昭和26年12月1日法律第285号) −抜粋−
(博物館協議会)
第20条 公立博物館に、博物館協議会を置くことができる。
 博物館協議会は、博物館の運営に関し館長の諮問に応ずるとともに、館長に対して意見を述べる機関とする。
第21条 博物館協議会の委員は、学校教育及び社会教育の関係者並びに学識経験のある者の中から、当該博物館を設置する地方公共団体の教育委員会が任命する。
第22条 博物館協議会の設置、その委員の定数及び任期その他博物館協議会に関し必要な事項は、当該博物館を設置する地方公共団体の条例で定めなければならない。
○富山県水墨美術館条例(平成10年9月30日富山県条例第39号) −抜粋−
(富山県水墨美術館運営委員会)
第12条 博物館法(昭和26年12月1日法律第285号)第20条第1項の規定に基づき、美術館に富山県水墨美術館運営委員会を(以下「委員会」という。)を置く。
第13条 委員会は、委員10人以内で組織する。
 委員の任期は2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
 委員は、再任されることができる。
第14条 委員会に、委員長及び副委員長1人を置く。
 委員長及び副委員長は、それぞれ委員が互選する。
 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるときは、その職務を代理する。