地界とは、洋の東西を問わず、人間の住む地上からはるか下方にあって、罪により堕ち、様々な苦しみ
を受ける世界、地獄のことです。かつての立山禅定路はまず立山地獄を巡り、それから観音の導きにより
浄土すなわち登拝の最終目的地である立山山頂の社に詣でる道程でしたが、想念の世界を五感で体験す
るまんだら遊苑でも出発点としています。
 まんだら遊苑では、地獄の世界は多くの記述や伝承にあるような異次元の世界に展開するものではなく
現実の世界つまり俗世と表裏を成す、非常に近い、生々しい関係であるという観点から、地界を地下に埋
設せずに、地上に現しています。また、施設や造形の形態は、先達の絵画的世界を避け、現実すなわち地
獄という接近した世界を暗示するために、幾何形態を主として抽象表現に徹し、具象的な形態は、実物の
岩や植物そのものの形を用いて場を組み立てています。

地界の構成

閻魔堂入口 地界は、閻魔堂をその入口として八熱地獄、餓鬼道、八寒地獄の世界によ
って構成されています。導入部となる閻魔堂には、地界の主である音界閻魔地
獄の立体モデルである地獄百景があります。地界八熱地獄を表す音触鬼から
外部空間へと出ます。
 餓鬼道は、林立する餓鬼の針山、様々な形の岩が敷かれ、砂場を走る鬼の道
変換される音と映像で地獄を見る地唸鬼から構成されています。
 八寒地獄には、血の池に潜む水泡鬼、寒地獄を覗き込む水窟鬼があり、八寒
地獄の最終段階を表す精霊橋が常願寺川へと突き出しています。
 なお、瓦の敷き詰められた広場、象徴的な存在感を示す閻魔堂や精霊橋、
地唸鬼などを舞台として、常願寺川の川音や漠々たる雰囲気を背景とした異色
な劇場空間として構築されています。また、各所に仕掛けられた装置は、ビジュ
アルには姿を現していませんが、むしろその発するメッセージにより、受け手の
中で多様な鬼をイメージさせます。
                               
 餓鬼の針山から見た精霊橋 光や色彩、素材と共に地獄を描写しているのが、音と香りです。
地獄を想像させる様々な喚き、唸り、焦げた匂いや湿気、寒さを
感じさせる匂い。 まんだら遊苑では地界と俗世の関係を接近し
たものとしましたが、地界が発する音や香りは、全てが人間の身
体に近く聴覚、嗅覚と想像力とを結んで地獄の世界を体感する
媒体となっています。










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