富山県立近代美術館

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世界ポスタートリエンナーレトヤマ

第11回世界ポスタートリエンナーレトヤマ2015

IPT2015 第一次審査結果

IPT2015 the 1st screening English version

IPT2015第一次審査

富山県立近代美術館では、3年に一度開催するポスターの国際公募展「北陸新幹線開業記念第11回世界ポスタートリエンナーレトヤマ2015」(会期:2015年9月19日~11月23日)の入選作品を決定する第一次審査会を6月18日、19日に開催しました。

これまでの2部門制(A既発表作品、B未発表作品)をベースとしながら、今回はじめてB部門の中に2つの区分(B1 テーマ『LIFE』、B2 テーマなし)を設け、従来までのテーマなしの他に、『LIFE』というテーマのもと、募集を行いました。

その結果、A、B両部門あわせて57の国と地域から、総数3,845点の応募が寄せられ、厳正な審査の結果、351点が入選となりました。

なお、入賞作品を決定する第二次審査会は、9月中旬開催を予定しております。

「第11回世界ポスタートリエンナーレトヤマ2015」展覧会情報

IPT2015第一次審査 審査員コメント

勝井三雄

今回の「世界ポスタートリエンナーレトヤマ2015」は11回目を迎えた。前回の応募点数は世界最高の点数となったが、今回は参加国が57ヶ国に達したことが特徴的だった。特に日本に続く応募点数は中国、ポーランド、台湾、ドイツ、イラン、スイスと続き、韓国、メキシコ、アメリカ10位で、次にフランスとなった。アジア圏から西欧、アラブ圏へと世界の文化圏が質量共に均等化した表現力を持ち得たことは、デジタル化の深化を一層感じさせるものとなって現れた。それぞれが異質な文化と多様な表情を伴う審査は特に使用文字の違いによるメッセージの理解に、予想外の戸惑いを隠せない選考が行われた。B-1部門「LIFE」はテーマの理解度の違いのばらつきが目立ち、表現技術までいかず選考に至らないものが多かった。今後のテーマ選定に当たって十分に配慮されることが望ましい。今回の第一次審査を終えて、名実共に多様な文化圏の様相が、未来に明るい兆しを感じる豊かな競演となり、さらなる国際展への広がりを期待している。

松永 真

タイミングよろしく北陸新幹線開業記念と銘打った、「世界ポスタートリエンナーレトヤマ2015」は、本年第11回を迎え、ちょうど30年が経過した。当時50代の審査員は80代を迎え、40代は70代を迎えることになる。感慨深いことだ。
今回の総応募作品数は、3,845点と少し減少したけれど、参加国の数は何と57カ国で、文字通り世界最大規模の"国際ポスターコンクール"ということになる。日本を筆頭に、中国、台湾、韓国をはじめ、イラン、ポーランド、ドイツ、スイスなど多量の応募国からの作品は、質も高く多彩であることが誇りである。
雪山館長をはじめ、富山県立近代美術館のスタッフによる審査運営も完璧でスムーズ。これも世界に誇れるものである。現物を前にして何度となく行き来して、7人の審査員によって丁寧に議論して行われる審査にも満足し、快良い疲労感を持って終了した。
9月中旬から始まる展覧会が今から楽しみである。

浅葉 克己

エンジン01文化戦略会議が「女はつよいよ、男はつらいよ」のテーマで、奥田瑛二大会委員長の下、富山・高岡で北陸新幹線が開通した3月に開催された。その中で、館長の雪山さんと3年前のIPT2012で日本人として初のグランプリ受賞をした福島治君と浅葉克己で、「世界ポスタートリエンナーレ」と題して一般の人にも解るようにと、富山県立近代美術館が長年やってきたこのポスター展の重要性とその痕跡を伝えた。
2015年、11回目を迎えた世界ポスタートリエンナーレトヤマは、57カ国という国からポスターがやって来た。名前だけ聞いても解らない。世界地図に国旗を立ててほしかった。中国や中東からの応募も多く、アラビア文字は世界の3大文字のひとつだが、直接読めないのが残念だ。
やはり、ポスターは、その国のひとつひとつの表現になっていて、問題点を浮彫りにする表現が見事に抽出されていて面白い。
今回は、すべてのジャンルの入選作と、亀倉雄策国際賞を決定した(受賞者発表は、9月19日にIPT2015各賞とあわせて行う)。第二次審査でグランプリ、金、銀、銅の各賞が決定されるが、グラフィックデザインの表現の未来が見える作品が選ばれると思う。 表現の幅も広がり、これでOKだろうという作品が、それぞれの創造性により、抽象性と具象性が潔いところでからまって、見る人々に考えさせる時間が長くなったように感じた。 グラフィックデザインの雑誌「アイデア」でも特集されている「思想とデザイン」というテーマにも見られるように、デザインの思想性も増々重要な視点になってきた。 最近の好きな言葉は、「デザインの血肉化」だ。それと漢字の作り方。指事(※)から現れた、横棒の上もしくは下に点を置くことで「上」「下」を示す漢字など、凄いと思う。

  • ※指事(指示文字)=漢字の成立や用法に関する「六書」の一つ。数、位置、性質など、形で表すことのできない抽象的な概念を、点や線などの位置関係で示すために考案された漢字のこと。

佐藤 晃一

数ある世界のポスターコンペティションの中でも、この富山のコンペはとても有名です。その理由としては、(1)歴史がある、(2)審査が公平だ、(3)日本のデザインはすばらしい、などがあるのでしょう。日本がデザインの国だということは、ますます知られるようになっているようです。
今回の応募作品の内容も、多様な世界の人々の表現がますます充実して楽しく、新しい国々も成長してきています。それが見られるのは富山だけです。

福島 治

ポスターの国際審査会で楽しいことは、やはり世界中から作品が集まっていることです。普段は目にすることの無いポスターから、作者の住む国の文化や言語、歴史、生活習慣なども伝わってきて楽しい。気になった作品があると、ついつい裏返して作者の国籍を確認してしまう。僕の知っている知識の中からその国を思い出し、ポスターが貼ってある風景を想像する。作家が制作をしている場所を想像する。ポスターには時代や社会が確実に反映される。ポスターを見る時には、そうしたことも含めて楽しんでほしい。

長嶋 りかこ

「ポスターは死んだ」という言葉が、何カ国語かで左揃えでレイアウトされたポスターが出品されていた。入選しなかった。だが、この作者の問いかけの通り、ポスターは死んだと言える時代であることは間違いない。しかし、絶滅危惧種のように濃度を濃くして生きていることも事実である。
会場に並んでいたポスター達は「機能」と「詩」に分かれていた。前者は伝わるけれど退屈で、後者は美しくはあるけれど伝わらない。ただ幾つかのポスターは機能と詩が合体していて、それを見る審査員の巨匠方と私の年の差は約四十歳前後であったが、その年の差の壁をひょいと乗り越える、タフなものだった。そういうポスターは数枚であったが、出会えたことはとてもありがたい。
「ポスターは死んだ」と言われる時代に生きる私たちデザイナーは、どのように価値をつくり、自身で切り開いていくのか。それぞれに考え、その人にしかない答えを出していかなければ、たぶんグラフィックデザイナーという職業は消えてなくなっていくと思う。私はそんな危機感を感じている。私自身がポスター一枚に執着した仕事をしているかというと、そうではないけれど、まるで一枚のポスターをデザインするかのような緊張感を持って、ブランディングにしろエディトリアルにしろウェブデザインにしろ、機能する詩をうたいたいと思っている。
ここにある幾つかのポスターが悩めるデザイナーの解決の糸口に少しでも繋がりますように。

開館時間:9:30-17:00
休館日:毎週月曜日

美術館マスコットキャラクター「ミルゾー」
ミルゾーについて

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