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第10回世界ポスタートリエンナーレトヤマ2012

グランプリ 金賞 銀賞 銅賞 亀倉雄策国際賞
「第10回世界ポスタートリエンナーレトヤマ2012」展覧会情報はこちら
"Prize winners and their works" English version

入賞作品

グランプリ

グランプリ作品
福島治(日本)
オイディプス王
Yamanote Jijosha, Oedip Rege
A部門

金賞

金賞作品01
金賞作品02

ホー・ジャンピン(ドイツ)
キース・ゴダード
Keith Godard
A部門

ラルフ・シュライフォーゲル(スイス)
EVIL - LIVE 善人が行動しなければ悪がはびこる
EVIL - LIVE Evil prevails when good men fail to act
A部門

 

銀賞

銀賞作品01

銀賞作品02

ヤン・バイトリク(ポーランド)
忘れるな
REMEMBER
A部門


ラドヴァン・イェンコ(スロベニア)
ドゥブロヴニクの小さな劇場祭
LE PETIT FESTIVAL DU THEATRE/DUBROVNIK
A部門


銀賞作品03

 

クロード・クーン(スイス)
アニマル+カートゥン「羊をかぶった魚」展
SATIERISCHES / DER FISCH IN SCHAFSPELZ EXHIBITION
A部門


 

 

銅賞

銅賞作品01
銅賞作品02

マリオ・フェンテス(エクアドル)
悪いサイン
BAD SIGNS
A部門

マハディ・ファテヒ(イラン)
Alefpa 学生作品によるポスター展
Alefpa The Poster Exhibition of Students' Experiences
A部門


銅賞作品03
銅賞作品04

軍司匡寛(日本)
森山大道「記録」on the road
DAIDO MORIYAMA 「RECORD」 on the road
A部門

マティアス・ホフマン(スイス)
十戒
10 COMMANDMENTS
A部門



銅賞作品05
銅賞作品06

窪田新(日本)
HEARTLAND BEER
A部門

永井裕明(日本)
金子親一写真展“トルソ”
Shinichi Kaneko Photo Exhibition "TORSO"
A部門


銅賞作品07
銅賞作品08

立花文穂(日本)
デザイン 立花文穂
Design Fumio Tachibana
A部門

若岡伸也(日本)
100 STOOLS EXHIBITION
A部門


銅賞作品09
銅賞作品10

齋藤浩(日本)
タイポグラフィ・エクスプレス‐北陸
Typography Express-Hokuriku
B部門

竹智こずえ(日本)
At Sea
B部門

 

第5回亀倉雄策国際賞

第5回亀倉雄策国際賞作品

ロナルド・クルショ(フランス)
UN GEAIMISSEMENT カケスノナキゴエ ロナルド・クルショ個展
UN GEAIMISSEMENT PERSONAL EXHIBITION IN CALBET MUSEUM-GRISOLLES-FRANCE
A部門

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審査講評

永井一正 松永真 アラン・ル・ケルネ カリ・ピッポ

永井一正 (IPT2012第一次、第二次審査員/実行委員長) Kazumasa Nagai

 第10回展を迎えたポスタートリエンナーレは、53の国と地域からの4622点という、過去最高の応募点数があった。これは、昨年3月11日の東日本大震災や世界的な経済状況を鑑みれば大成功である。入選の398点は厳選されたものであり、内容も豊富でバラエティに富んだものとなったといえる。
 ポスターのデザインは、「時代を映す鏡」であるとともに、その内容も変化してきたように思う。この「時代を映す鏡」という点においては、今回は、先にも述べた東日本大震災、経済状況の変化とともに、環境問題などといったテーマを扱ったポスターが現在の状況を映していた。そして、応募作品全体の特徴としては、優れたコマーシャルポスターが影をひそめ、替わって、展覧会や劇場といった文化に関するポスターが増え、優れたポスターもまたこの領域に多く見られるようになった。例えば、企業ポスターでも、媒体としてのポスターが斜陽であるからこそ、広告媒体としてよりも、企業の文化性を高める手段としてポスターを考えるようになってきた。このようにポスターにおいて、経済性よりも、社会性、文化性に重点が置かれるようになったことは、世界的な傾向といえる。
 入選作品は、日本、スイス、ドイツ、ポーランド、フランスの作品の水準が高かった。そして、これまでのIPT審査員もこれらの国のデザイナーが多く、そして、今度は一人の応募者としてIPTに臨んでくれる。
 そのような作品の中からも、今回の受賞作が選ばれた。特筆しておかなければならないのは、グランプリと2点の金賞に輝いた日本、スイス、ドイツの作品は、それぞれレベルが高く、審査の結果は、僅差のものであったことだ。優劣付けがたい中から突出したのが、福島治「オイディプス王」であった。「オイディプス王」という演劇のストーリーを端的に表現しつつ、清潔な劇場空間とこれから始まるドラマが、優れたタイポグラフィとともに1枚のポスターに凝縮されていた。
 金賞のホー・ジャンピン(ドイツ)の「キース・ゴダード」は、アメリカのグラフィックデザイナーの中国での個展ポスターだ。顔のモンタージュがとてもユニークであるうえ、タイポグラフィも抜群であり、個展ポスターの新しい領域を切り開いた。
 同じく金賞の、ラルフ・シュライフォーゲル(スイス)の「EVIL-LIVE」は、堂々としたタイポグラフィだけで構成されているが、下から読めば LIVE そして上から読めば EVIL になり、善と悪が同じ文字に潜んでおり、'善人が行動しなければ悪がはびこる'という強いメッセージがある。シンプルでありながら極めて説得力のある能動的なポスターである。
 これら上位3点に象徴されるように、16点の受賞作は多彩なテーマと表現の集まりであり、同じものがない。これら受賞の結果でもわかるように、IPT2012の展覧会を通して、世界の多様性を示すことができたと思う。

松永真(IPT2012第一次、第二次審査員/実行委員) Shin Matsunaga

 肉体的にはたいへん疲れたが、爽快で気持ちがいい。国際審査員全員が率直な意見を言い合い、最終的に満足のいく結果となった。そういう充実したいい疲れだった。
 コンペティションは、全体の水準はもちろんだが、それ以上に選ばれた個々の作品のオリジナリティがビビッドに発信されているかどうかが重要である。その点で、今回のIPTは、量的にも質的にもたいへん充実したものであった。
 上位でいえば、ベスト3は三者三様にどれもレベルが高く、切迫した僅差の勝負だった。
 国際審査員全員が候補中のベスト3に挙げ、3点のうちどれがグランプリを獲ってもおかしくなかった。
 グランプリについては、作者の仕事はよく知っており、レベルの高い作品を作り続けているデザイナーである。舞台という難しいテーマに取り組み続け、象徴的で美しい空間を、瑞瑞しく表現した。
 本来、ポスターはロジカルなものではない。その審査というものは議論だけでは決まらない。しかし、ポスターについての内容や状況は、説明がなければ審査員全員がわかるものでもない。今回は、それぞれのポスターについて国際審査員同士が説明し合い、相互理解を得て充分に討議し、その上で感性を軸に判断した。国際審査員が思う存分に主張をし、満足のいくディスカッションができたという点で、まれに見る充実した国際審査だった。それがいい疲れにつながったのだと思う。
 ポスターが死に瀕してきていると異口同音に言われて久しい。たしかにメディアからポスターは少し遠ざかりつつあるといえる。しかし、それだけにデザイナー個人の責任が重くなりつつあり、その表現が問われるようになってきている。現代のポスターは、これまでのように物や表現の代理人という立場から、より自主的な表現をもったものへと発展しつつある。そういう意味から、第6回IPTから設けてきている自主制作部門が、本当の意味を持ち始めてきたといえよう。ポスターは、デザイナーの自画像になってきたのではないかと私がいうのは、個々の発言が益々重視されてきたということに他ならない。今回のIPTの審査にあたり、今後のポスターのあり様が見えたように思えた。

アラン・ル・ケルネ (フランス)(IPT2012第2次審査員)  Alain Le Quernec

 日本は私にとっていつでもグラフィックデザインの、注目すべきもうひとつの国であった。60年代『グラフィス』誌のあちこちの頁で、あるいはワルシャワのビエンナーレで、日本からの諸作品はデザイン・印刷の仕上げの確かさで他からは際立ち、見る者を魅了していた。
 日本のグラフィックデザインを賛嘆するなかで、文化の違いが私たちの目的と言葉の違いを生んでいるが、それは幸運なことだと思いあたった。西洋文化を背景とする私には、様々な作品の形式面以外でなにか理解できていないものがあるのではないかと考えている。と同時に日本の人たちもそれと同様、私たちのポスターの言葉に私たち自身が感じるのと同じ興味は持たないのではないか、と想像するのである。
 世界ポスタートリエンナーレトヤマの審査に協調して望むのは(日本人審査員二名、西洋からの審査員二名)、互いを尊重するのを越え、それ以上のものである。知性があってこそ、互いのやりとりが上質なものになる。
 初回から富山のトリエンナーレは、私にとってまさに参考書のような存在であり続けている。日本にふさわしいポスター・グラフィックデザインの一大イベントである。審査委員のひとりとして招かれたのは非常な名誉であり、円滑な運営と心温まる出会いは、本当にうれしいことであった。

カリ・ピッポ (フィンランド)(IPT2012第2次審査員)  Kari Piippo

 ヨーロッパのデザイナーである私は、アジア的・アラブ的美学に敬意を払っている。しかし審査して決定を下すには、作品の背景をなす情報がもう少し欲しいと感じるときもある。視覚的に美しくとも、なかなかそれだけでは何を伝えたいのか判ってもらえないものである。
 とくにこのような集まりにおいては、視覚的コミュニケーションは言葉に多く頼ることもある。
 富山のIPTは、多様性に富んでいる。入選作は、世界中の文化的・社会的空気を語っているし、まさにそこには最も優れた現代ポスター芸術が集合している。この展覧会に関われたことは、本当に名誉である。
 国際審査員による審査は二日間、非常に気分よく進められた。議論し、比較し、そのうえで決定したのである。高い評価を受けたポスターはみな、知的で自信を持ち独自の表現を持っていた。長々と語らず簡潔に要約したポスターである。
 賞を受けたポスターは、何をいかに表現するかがみごとなバランスで示されたすばらしいお手本である。

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