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第8回世界ポスタートリエンナーレトヤマ2006

グランプリ 金賞 銀賞 銅賞 亀倉雄策国際賞 審査講評

入賞作品

グランプリ

グランプリ作品
アニク・トロクスラー(スイス)
親交 ジャズ・フェスティバル・ウィリザウ 2005
A部門

金賞

金賞作品01 金賞作品02

新家春二(日本)
12th SAVE ME
A部門

ワビサビ(工藤ワビ良平/中西サビ一志)(日本)
フレッシュ アンド ブラッド
A部門

銀賞

銀賞作品01
銀賞作品03

クロード・クーン(スイス)
森のきのこの展覧会
A部門


三木 健(日本)
SUSTAINABILITY FOR EXPO 2005 AICHI JAPAN
A部門

銅賞

銅賞作品01 銅賞作品02

マルタン・ウートリ(スイス)
トリックルーム
A部門

新村則人(日本)
地球温暖化
A部門


銅賞作品03 銅賞作品04

ペテル・フレイ(スイス)
文化都市"3"
A部門

セヴァン・ドミルジャン(フランス)
シーズンチケット予約
A部門


銅賞作品05 銅賞作品06

ハルマン・リームブルク(オランダ)
2005秋 客員アーティストレクチュアー・シリーズ
A部門

ミハウ・ミノー(ポーランド)
夢と道化
A部門


銅賞作品07 銅賞作品08

リンファン=ソフィア・シ(台湾)
漢字 黒と白
A部門

齋藤 浩(日本)
ソウル・東京24時
A部門


銅賞作品09 銅賞作品10

山田英二(日本)
毛画
A部門

アネット・レンツ/ヴァンサン・ペロテ
(フランス)
アングレーム親と子のための演劇祭
A部門


第3回亀倉雄策国際賞

第3回亀倉雄策国際賞作品01 第3回亀倉雄策国際賞作品02 第3回亀倉雄策国際賞作品03

ヴィエスワフ・ロソハ(ポーランド)
殺してはならない
B部門

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審査講評

ラルフ・シュライフォーゲル

全体として今回のIPTは水準の高いものであった。回を追うごとに増える応募点数、あらかじめ行われた日本国内審査員による絞り込みのおかげであろう。
最終審査は、福田氏の手際よい先導のもと国際審査員が執り行ったが、その結論は審査員全員の総意と考えていただいてよいと信じている。

グランプリ作品「親交 ジャズ・フェスティバル・ウィリザウ 2005」

アニク・トロクスラー氏は、驚くべき方法でみごとなジャズ広告を作り上げた。一見すると、このポスターは珍しい花々や植物の図鑑を思わせる。楽器はみな柔らかな形のなかに隠れている−きっと音色もそのなかに吸収されているはずだ、だから音色もいっしょに隠れている。このポスターを見れば、どうしてもその音楽を聴きたくなる。ポスター自体が珍しい花のようである。

金賞作品「12th Save Me」

新家春二氏による、シンプルな内容をもっともぴったりな形で実現した環境ポスターである。たくさんの葉を用いて、作者の葉への思いを表現している。何かを 思う気持ちこそ、それを守りたいという心の前提である。この繊細なデザインのポスターのなかにある顔は、それにふさわしい作りで写実的にされすぎてはいな い。このデザイナーは、見るものに必要な正しいヒントを残らず渡してくれているのである。

金賞作品「フレッシュ アンド ブラッド」

一見すれば、ワビサビのポスターは、なにかのいたずら書きのようなのだが、少しだけ近づくと、さまざまな形を−きわめて巧みに−この作者ならではの表現で 描いているのに気づかされる。にぎやかで詩的なひとつの解答であろう。

ステファン・サグマイスター

IPTトリエンナーレ・トヤマのような、丁寧な準備と運営がされたイベントの審査を務めるのはうれしいことである。会場へ到着すればすでに400枚ほどのポスターが美しく飾られ、審査など苦どころか愉しみにさえなる。4人の国際審査員の意見が、国籍や年齢の違いにもかかわらずきわめて一致したのにも驚かされた。
審査結果には大変満足している。アニク・トロクスラー氏「親交 ジャズ・フェスティバル・ウィリザウ2005」のジャズ・フェスティバルのポスター(=グランプリ)には、ある種のジャズが持つ判りづらさがとても意外で革新的な構図を用いて視覚化されてい る。硬い楽器を包み込んでいるあの柔らかな生き物はウニだろうか、あのクラリネットはお気に入りの毛皮のコートを着て夜のお出かけでもするのだろうか?
金賞の「ワビサビ」ポスターは、作者自身のスタジオ広告であるがタイポグラフィーに雄弁に語らせて興味深い作品である−作品「フレッシュ アンド ブラッド」は、視覚的なエネルギーで脈打つ姿にも見える。
もうひとりの金賞を受賞した新家春二氏の「12th Save Me」は、ある日本のポスター展用に創作されたものである。このような形の表現があり得たか、と私自身思い至らなかったのを歯がみする。丁寧に影絵のような葉が色調の異なる緑色で印刷されているのに、それ以外の細部はまったく省略されている、それがみごとにある種、抽象化された顔を形作るのである。
質の高いコンクール、そして3人の素晴らしい受賞者である。

福田繁雄

今日、世界中の経済、文化、教育がアジアに注目している―――という実感を入選した作品から受けとることが出来た。そして、アジアのグラフィック界、コミュニケーションの波が、この世界ポスタートリエンナーレトヤマに押よせて来たのだと思う。―――
中国、韓国、台湾のそれは新鮮な白波なのだ。
そして、ポスター王国のスイスもその質の高さをたもっているのはたのもしい限りで、感動させられた。
日本の若い作家たちも、10倍という入選のハードルを越え、更に上位入賞をはたした。日本で唯一の国際ポスターコンクールの成果はますます日本のコミュニケーション文化の波頭を高め、アジアの更なる成果も期待される結果となった。
ありがとうトヤマ!

松永真

52カ国、3,632点の応募は過去最高。420点の入選は厳しいものだが、それだけに水準は高く、バラエティーに富んでいる。二次審査では、スイス、アメリカの審査員と国内2名の審査員が賞の選考にあたった。
賞の選考は難航が予想されたが、議論百出の中、ことの他スムーズに進行して2日間の日程でめでたく16の賞が決定した。
まず入選した420点の作品の中から、4人の審査員が1人でも推す賞候補が48作品選出され、その中から各自がベスト16点(賞の数)記名投票して第1日目を終了。
翌日の開票の結果、2票以上を得票した18作品を賞の対象とすることに決定。
それらを一堂に並べて投票と討論を繰り返し、グランプリ、金賞2点、銀賞3点、銅賞10点の順に決定していった。
まず、グランプリが満場一致で“INTIMITIES 2005”というJAZZのポスターに決定。スイスの若い女性デザイナー、アニク・トロクスラーさんだ。楽器の存在はコンサートそのものをまず確実に伝えているのだが、有機的な物質をからませて、演奏されるであろう微妙な音の世界を表現して期待感を盛り上げている。つまり、一元的なビジュアルではなかなか伝え切れない抽象的な音の世界を、複合的な視覚で見事に表現してみせたのだ。その上、それが造形的にも強いビジュアルショックとなって類型を脱した新鮮なアプローチを生んだ。まさにグランプリにふさわしいポスターとして我々を魅了した。
金賞のワビサビのポスターは、とにもかくにもユニークなタイポグラフィーの勝利。既成概念を打ち破った、まさに新しい血が注目された。そしてもう一つの金賞、新家春二のSAVE MEと訴える環境ポスターは、対称的に誰にも判り易い率直なポスターとしてその美しさが評価された。共に日本。
銀賞は、同じく日本の三木健。愛知万博のテーマ「自然の叡智」が知的に美しくそしてユニークな森羅万象として静かに迫ってくる。そして、スイスのクロード・クーンの森のきのこの展覧会ポスター。きのこのジョークは、絵本のように面白く美しい。中国のジョウ・リンのアート&デザインの作品展のポスターは、アイデアも素晴らしく、品よく内容をシンプルに伝えてくれる美しいポスターである。
あとは銅賞の10点だが、実はどれが上位と入れ替わってもおかしくない出色の作品が目白押しで、フランスのアネット・レンツ&ヴァンサン・ペロテの親と子のための演劇祭ポスターは、新鮮な空気と夢が伝わってくるようだし、スイスのマルタン・ウートリのトリックルームのイリュージョンはダイナミックだ。そして、新村則人の地球温暖化はビジュアルも素晴らしく、内容が的確。オランダのハルマン・リームブルクのアーティストレクチャーは変化が面白く飽きさせない。台湾のリンファン=ソフィア・シの黒&白はストレートなインパクト、日本の山田英二の不思議なシズル、フランスのセヴァン・ドミルジャンのダイナミックでカラフルな動きなどなど、とにかく多くの魅力を書ききれない。もっと言えば、1票のために賞の対象から残念ながらはずれていった作品の中に秀作がたくさんあった。
そして、今回のもうひとつの特徴は、亀倉雄策国際賞のロソハ氏の力作を除いて、全ての賞がA部門に集中したことである。このことは、デザインが荷負わされる現実のテーマとの闘いが、やはりディテールの中に滲み出てくるからなのだろうかと、改めてデザインの宿命を思うこととなった。
とにかく水準は高かった。

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