富山県立近代美術館

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企画展

ありがとう近代美術館 PART1 
マイ・ベスト×ユア・ベスト― わたしたちのコレクションMY BEST × YOUR BEST : OUR COLLECTION

富山県立近代美術館は1981年7月に開館し、積極的に「20世紀美術」の紹介をしてきました。来年富岩運河環水公園へ新築移転オープンするため、これが当館での最後の大規模なコレクション展になります。本展では、2014年に行った来館者アンケート「富山近美コレクション ここが聞きたいQ&A」の結果を活かし、作品の見どころやエピソードをお伝えするとともに、当館コレクションとゆかりのある方々のコメント「わたしの1点」を添えて、来館者の皆様に人気の高い作品約100点を選りすぐり展示します。

展覧会概要   ≫ここが聞きたいQ&A

「わたしたちの美術館」を目指して

雪山行二(富山県立近代美術館長)

 富山県立近代美術館は、1981年7月に開館し、積極的に「20世紀美術」の紹介を行ってきました。本年12月28日をもって閉館するにあたり、「ありがとう近代美術館 P A R T1 マイ・ベスト×ユア・ベスト―わたしたちのコレクション」展が、この建物での最後の大規模なコレクション展となります。
 富山県立近代美術館の、富岩運河環水公園への新築移転が決まったのは2013年の春。翌2014年には新しい建物などの設計が進み、以後急ピッチにハード面の準備がなされてきました。建物本体は今年の暮れに完成し、来年2017年の秋には「富山県美術館 アート&デザイン」の名の下に全面開館する予定です。
 その一方で、新しい美術館の基本計画の「県民とともに成長する美術館」という理念についても検討が重ねられてきました。建物の構造や展示室の形態も大きく変化するのに合わせ、新美術館では、毎回斬新な切り口の下にテーマを設けたコレクション展示を展開することにします。建物と名称は変わっても、美術館の“顔”であるコレクション展示は永遠に不滅です。
 2012年4月に館長に就任して以来、私は、来館者の皆さまに作品をもっと身近に感じていただこうと、“「わたしたちの美術館」プロジェクト”に取り組んできました。皆さまの声をもとに展示作品の選択や見せ方の工夫ができるようになるのではという期待から、2014年には、質問形式の「富山近美コレクションここが聞きたいQ&A」という来館者アンケートを行いました。
 「わたしたちの美術館」は皆さまひとりひとりの「わたしの好きな作品」の上に成り立っています。この展覧会は、美術館の作品という媒介者を通して、来館者の皆さまが新しい美術館に親しみを抱き、興味・関心を深めていただくための第一歩となるでしょう。
 本展を通して、当館のコレクションへの愛情をいっそう深めていただければ幸いです。

「わたしの一点」

「マイベスト」展リーフレットでの掲載順に掲載しました。
「マイベスト」展では、作品の横に「わたしの1点」を掲示しました。

美術館にて ぼくは家に  大岡 信

ぼくはうちに
美術館を持つてゐる

だれも だれもが
それぞれの美術館を持つてゐる

人のうちを訪ねれば
ぼくらはその場で
そのうちの美術館に
取巻かれてゐる

灰皿や茶碗を配したテーブルは
美術館の備品 そして
引つ掻き傷のひとつひとつが
無意識につくる作品そのもの
引つ掻き傷はテーブルの顔を
ほかのどんなテーブルとも
ちがつた唯一の顔にしてゐる

傷の底に溜まつたごみに
ともだちのうちの美術館の
独自性がある
そのごみの中に
ともだちのうちが
とりあへず 保存されてゐる

だからぼくらは
だれも だれも
私設の美術館館長なのだ

さうしてぼくらは ときどき
街の大きな美術館を
何食はぬ顔でのぞいてゐる

深夜のぬるい湯ぶねにつかつて
ふきげんになつてゐた女も
便所で聖書を拾ひ読みして
考へこんでゐた別の男も
美術館の好きな絵の前で
ふと我を忘れ
絵の中に保存されてゐた
自分にいきなりめぐり合ふ

ごみのことも
テーブルの傷のことも
美術館の持主である自分をも
思ひ出さない

1991.7.4
富山県立近代美術館開館十周年に寄せて

※二作からなる詩『美術館にて』のうち、「二 ぼくは家に」を掲載。

大岡 信
1931年静岡県生まれ。詩人、評論家。元日本ペンクラブ会長。1994年度恩賜賞・日本芸術院賞受賞。1997年文化功労者、2003年文化勲章受章。朝日新聞で連載された『折々のうた』をはじめ、現代詩の普及に貢献。文学のみならず同時代の美術評論も積極的に行い、当館の開設相談役として、富山の地に多くの同時代の美術を紹介。

開館時間:9:30-17:00
休館日:毎週月曜日

美術館マスコットキャラクター「ミルゾー」
ミルゾーについて

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