立山の ライチョウ

 丸い身体、ゆったりとした動き、小さいヒナの姿、立山で出会うライチョウは、ほんとうに愛らしい烏です。その愛 らしい鳥は、また、日本で最も苛酷な環境で生きる鳥でもあるのです。

生息状況
 日本に推定数で3000羽程しか生息しておらず、その生息域も中部山岳の高山地帯という限られた地域です。
 富山県には全体の3分の1にあたる約1300羽が生息し、中でも立山は、日本の中で最もライチョウの生息数が多い所として知られています。


県鳥の指定
 日本アルプスの代表的な高山鳥であり、昭和30年に特別天然記念物に指定されています。
 富山県では、県民が仰ぎ親しんできた霊峰立山に多く生息し「神の使い」として大切にされてきたことから、昭和36年に県鳥に指定しました。

ライチョウという名
 雷雨がやってくるような雲の多い日や霧の多い朝夕にはワシやタカに襲われる危険が少ないので、こんな時にハイマツの下 から出て活動することが多いことや、「ライチョウが出ると雷が鳴ることがある。」などの言い伝えから来ているようです。

ライチョウのペア ライチョウの一 年

春(繁殖期・ナワバリの形成)
 4月下旬、雪どけがはじまり、オス同士のナワバリ争いも観察されますが、多くの場合、同じペアが前年と同じ場所にナワ バリを形成します。4月〜6月にオスはメスにプロポーズし、やがてメスは産卵を始めます。
見張り中のオス

夏(見張り・ヒナの誕生)
 メスは卵を抱きはじめて21〜22日後、7月上旬にヒナが誕生します。メスが卵を温めている間、オスはナワバリを守る ため見張りをします。誕生したヒナは母鳥の腹の下で暖めてもらい羽毛が乾くころには歩き出すことができます。いよいよ巣立ちです。

母鳥とヒナ
母鳥と幼鳥

秋(母鳥とヒナの生活)
 巣立ち後、母鳥と一緒の生活を送ってきたヒナは、秋になると母鳥と同じくらいの大きさに成長します。初雪の降るころに は、近くのオス、メス、若鳥が一緒になって群れを作りはじめます。

冬(群生活)
 高山帯が雪景色に変わるころ真っ白な冬羽に変わります。高山の大雪と強風を避けるかのようにやや標高の低い森林で群生 活をします。

純白の羽色のメス

換羽
 季節に応じて極端に体色が変化するライチヨウの換羽は、保護色としてよく知られています。ライチョウは、1年に3回換羽します。

  1.  春に純白の体羽が雄は 黒褐色雌は黄褐色に変わります。
  2.  7月中旬、ヒナが巣立ち、ナワバリが解消されると雄は換羽を始めます。雌は遅く、8月下旬から9月になり ます。この時の換羽は、雄も雌も暗褐色となり両者の識別が困難になる程よく似た羽色となります。
  3. 10月中旬頃、3回目の換羽が始まります。初冠雪の季節に合わせたように、暗褐色の羽毛が抜け始め、白い羽 毛が背面に目立ってきます。11月中旬には、ほとんどの個体が純白になって、冬を迎える準備が完了します。


 ライチョウの餌は、主に植物です。花・芽・果実・種子・葉・茎と、苛酷な環境で暮らすせいか、その利用部位は多岐にわ たります。
 植物以外では、春から初夏にかけて雪上に落ちたハエやガの仲間、初夏から秋口にかけてはアリやクモ、そしてミヤマフキバッタなど、動物質の餌をついばむ 様子が見られます。
 

鳴き声

オスの鳴き声 メスの鳴き声


※上記の内容は、立山の自然2 「立山のライチョウ」(執筆;松田 勉、編集;富 山県立山センター)等から作成しました。



富山県のライチョウ生息数 調査結果

調査 年

調査 場所

調査 面積
 (
ha)

生息数
(羽)

備考

昭和 47年

立 山

1, 070

 267

   48年

朝 日岳

   820

  42

   49年

薬 師岳

2, 900

  81

   50年

大 日岳

   740

  54

 

   51年

剱 岳

   160

  82

 

   52年

五 色ケ原

   210

  35

 

   53年

黒 部五郎岳・三俣蓮華岳

   950

  57

 

   54年

上 ノ岳

   780

  61

 

   55年

白 馬岳

   670

  59

 

   56年

立 山

1, 070

 244

   57年

五 龍岳

   350

  33

 

   58年

唐 松岳

   190

  40

 

   59年

鬼 岳・獅子岳

    80

  19

 

   60年

雲 ノ平

   780

  45

 

   61年

立 山

1, 070

 213

   62年

鑓 ケ岳

   630

  91

 

   63年

水 晶岳

   430

  39

 

平成  元年

雪 倉岳

   340

 127

 

    2年

野 口五郎岳

   240

  30

 

    3年

立 山

1, 070

 333

    4年

赤 牛岳

   630

  68

 

    5年

薬 師岳

1, 500

 149

 

    6年

朝 日岳

   870

  56

 

    7年

     −

  −

 

    8年

立 山

1, 070

 334

 

   13年

立山 1,070

 167

   15年

立山 1, 070

 225

   18年 立山  1, 070   245
   22年
薬師岳  1, 500
   113

合   計

(20 山岳)

10, 620

1,254

* を除いたもの

全国に は、合わせて約3,000羽が生息していると推定されている
<ライチョウの生息する県>富山県、長野県、静岡県、岐阜県、山梨県、新潟県