NO. 33

2003 年(平成 15 年) 7 31 曜日北日本新聞掲載

 

「調査船「立山丸」」 資源調査に数々の成果


海洋観測データも蓄積


  

 立山丸は漁業資源調査のために、富山湾はもとより日本海一円で活動している富山県唯一の大型漁業調査船である。
 船名は、毎日仰ぎ見ている雄大な立山連峰にちなんで命名された。現在活躍している三代目・立山丸(160トン)は平成10年10月に建造された。優れた機動力を誇る上、最新の漁業装置や航海計器(電子機器)を搭載して省力化が図られ、船内の研究室が拡充された。居住区の船員室スペースが広く、空調設備も整えられたため、長期航海も快適になった。
 漁業資源調査は、時代の変遷とともに内容が移り変わっている。初代・立山丸が活躍した時期は、沿岸から沖合漁業へと変化した時代で、漁場開発に関する調査航海が何度も行われた。特筆すべき調査成果は、プランクトンが多い好漁場で、日本海の中央に位置する大和堆(やまとたい)でのスルメイカ漁場の発見であろう。二代目の時代は、水産資源の生態調査に関する仕事が多かった。県の魚であるホタルイカの生活史が明らかになったのはこの時代だった。
 現在の三代目も時代のニーズに沿って、資源管理型漁業に対する調査航海が中心になってきている。近年はベニズワイの資源量の動向調査や、スルメイカの資源量調査、県の魚であるブリの生態調査、漁期前に富山湾でのホタルイカの分布量を調査することなどが主な仕事となっている。
 そして忘れてならないのが海洋観測である。この仕事は当初水産分野のみで利用され、海洋生物に関する研究に必要な水温や塩分、潮流など海の状況を把握し、漁獲量とともに漁業者に情報提供してきた。
 海洋観測は、月の初めか終わりに1回実施する。富山湾海域にある30カ所の調査地点で、表面から水深500mまでの水温、塩分の水深別に測定している。 調査が開始されたのが昭和28年とあり、蓄積された膨大な観測データは現在、水産分野はもとより環境、気象などの分野で基礎資料として利用されている。
 これらの調査に当たるため、研究員と立山丸乗組員13名は使命を胸に秘めながら、常に変化する広大な海原で昼夜を問わず航海を続けているのである。 (田中孝世)

 


漁業資源調査のために、富山湾はもとより日本海一円で活躍する立山丸
平成10年10月、建造時の試運転の際に長崎県沖で撮影

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